平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(川崎市)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 会議名:川崎市国際教育連絡協議会の実施
  • 日時:平成28年4月27日(水曜日) 10時~11時
  • 構成委員:小学校国際教育研究会長、中学校国際教育部会長、日本語教室設置校校長、学校教育部長、川崎市総合教育センター所長、川崎市総合教育センターカリキュラムセンター室長、川崎市総合教育センターカリキュラムセンター指導主事(事務局)

2.具体の取組内容

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

[1]運営協議会・連絡協議会の実施

実施内容

  • 1)川崎市国際教育連絡協議会規約の確認
  • 2)平成28年度役員紹介
  • 3)平成27年度報告および平成28年度計画
    • 「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた本市の進め方
    • 教育相談と日本語指導等協力者派遣事業説明
    • 日本語能力測定方法の活用についての説明
    • 帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会(各校代表者1名選出による年2回の研修会)の実施内容
    • 国際教室担当者連絡協議会(国際教室設置校の担当者)の実施内容
    • 国際理解教育の推
    • これからの課題と取組
    • 情報交換
      小学校国際教育研究会、中学校国際教育研究部会、各日本語教室設置校
[3]日本語能力測定方法の活用(必須実施項目)

 1)第1回日本語指導等協力者研修会において、日本語指導測定方法の活用に向けた基本的な考え方や取り扱い方についての説明会を実施した。

 2)日本語指導等協力者の勉強会で、DLA別冊<読む> レベル別テキストを取り寄せ、日本語能力測定方法の活用についての話し合いを行った。また、日本語能力測定方法に精通した日本語指導等協力者から、実施上の留意点などを含めた情報を提供してもらい、共通理解をはかった。さらに、勉強会等でも日本語能力の測定について、大学関係者に指導を仰いだ。

 3)国際教室(日本語教室)担当者連絡協議会において、DLAの趣旨説明および内容説明を行った。実際の学校現場で課題等も検討した。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施 (必須実施項目)

 1)国際教室(日本語教室)担当者連絡協議会の開催(年間2回)
 国際教室(日本語教室)設置校の国際教室(日本語教室)担当者に、「特別の教育課程」による日本語指導の実施の説明

 2)帰国・外国人児童生徒教育担当者研修会の実施(年間2回:小中特別支援学校の担当者1名参加)
 「特別の教育課程」による日本語指導の実施に向けた取組の説明
 日本語指導が必要な児童生徒の実態調査実施の説明

[5]日本語指導ができる支援員の派遣

 1)日本語指導等協力者の派遣
 日本語が十分でない児童生徒のために、日本語指導等協力者派遣事業を実施している。初期の日本語指導習得および学校生活の適応などの支援をするためにそれぞれの学校に週2回、1回2時間の指導を基本として、72回(約8ヶ月~1年)をめどに実施した。

 2)日本語指導等協力者の研修において、日本語能力測定方法を活用しての意図的・計画的な指導展開の必要性を確認した。

[8]その他(中学校 3年生への学習支援員の派遣)

 1)外国人生徒に対する高等学校等への進学時の学習支援の充実
 高等学校進学に向けて学習言語の習得を目標に年間48回の学習支援を行った。(対象は渡日3年以内で日本語指導等協力者を初期日本語指導ということで派遣した生徒)

 2)教育委員会等と関係機関との連携による就学支援
 総合教育センターを中心に各区教育担当、区役所・就学事務担当と連携した就学教育相談を行った。総合教育センター帰国・外国人児童生徒教育相談室を中心にしながら7区の教育担当と連携を して、外国からの編入において身近な場所で教育相談ができる体制を継続させた。

 3)日本語指導等協力者の研修会の実施(年4回)

3.成果と課題

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

[1]運営協議会・連絡協議会の実施

 成果

  • 帰国・外国人児童生徒教育・国際教育の充実の必要性が確認された。
  • 日本語指導等協力者と国際教室の担当教員の連携がうまくいっている事例紹介があった。
  • 国際教室設置校での特別の教育課程の実施を確認することができた。

 課題

  • 中学生段階で渡日した生徒の指導、厳しい家庭環境の児童生徒への支援で苦慮している。このような児童生徒に対して、どのような手立てがさらにできるのかを考えていく必要がある。
[3]日本語能力測定方法の活用

 成果

  • 日本語指導等協力者の勉強会で、DLA活用に向けた検討を行った。情報提供により、目的や方法さらに実施上の留意点などについても共通理解することができた。
  • 国際教室(日本語教室)担当者連絡協議会において、日本語指導測定方法の活用に向けた意図は理解・必要性を確認することができた。

 課題

  • 日本語指導等協力者や国際教室担当者が実際に活用していくには、さらなる研修を積んでいく必要がある。当面は川崎市独自で取り組んでいる「にほんごのあゆみ」と並行して活用しながら、DLAの活用を図っていく。
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施 (必須実施項目)

 成果

  • 国際教室の担当教員が、児童生徒を丁寧に看取り、計画的に指導することにつながっている。日本語指導等協力者との連携についても、その重要性が認識されるようになった。

 課題

  • 日本語指導に対する意識は高まりつつあるが、さらに計画的な指導につながる「特別の教育課程」による日本語指導についての理解を深めていく必要がある。
[5]日本語指導ができる支援員の派遣

 成果

  • 文化の違いやコミュニケーション不足からくる様々なトラブルに、日本語指導等協力者が丁寧に互いの立場や考えを聞きだし、子どもたちのよりよい成長へとつながっていくケースが報告された。
  • 研修を充実させることで、日本語指導のさらなる充実、工夫・改善をしていく上で、方向性を得ることができた。

 課題

  • 日本語指導が必要な児童生徒の母語の多言語化が進んでいる。また、日本生まれで日本育ちであるが、両親が日本語を話せなく、日本語定着が図れない児童も増加している。さらに、特別に支援を要するのが日本語だけでないケースも増加しており、児童生徒への指導だけでなく家庭へのケアも課題となっている。
[8]その他(中学校 3年生への学習支援員の派遣 教育委員会と関係機関との連携による就学支援 ほか)

 成果

  • 中学校3年生の高校進学に向けての学習支援を行い、きめこまやかな支援を行うことができた。
  • 各区の教育担当連携することで、小学校低学年の児童の相談を、区役所での住民登録と合わせて行うことができ、本人及び保護者の負担軽減につながった。

 課題

  • 近年中学生段階で初めて渡日し、日本の学校に就学を希望する生徒が増えている。学習支援の研修を充実させたり、日本語指導等協力者がネットワークを形成して情報交換を密にしたりすることで、指導の工夫を行っていく必要がある。

4.その他(今後の取組等)

  • 日本語指導等協力者の勉強会や国際教室担当者連絡協議会において、日本語能力測定方法の活用についての検討を深めていく。
  • 各学校代表者1名の参加による帰国・外国人児童生徒教育担当者研修会で、帰国・外国人児童生徒の日本語指導および受け入れ体制の整備、充実にむけた研修を進めていく。さらに、国際教室担当者の連絡協議会の内容を含め、さらに充実させていく。
  • 国際教室における「特別の教育課程」による日本語指導と日本語指導が必要な児童生徒の全市調査を継続的に実施していくことにより、全市規模での日本語指導体制の充実を図っていく。

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総合教育政策局国際教育課

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