平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(静岡県)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

・実施項目[1][3][4]について

【協議会名】
 帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会

【構成員】
 日本語指導が必要な児童生徒が在籍する市町教育委員会の担当指導主事等(17市町)

  • 政令市教育委員会担当指導主事(静岡市・浜松市)
  • 外国人児童生徒スーパーバイザー(以下、SVという。)
  • 各教育事務所地域支援課担当指導主事
  • 義務教育課主席指導主事、担当指導主事
  • (オブザーバー参加)県国際交流協会担当、県多文化共生課担当
・実施項目[6][8]について

 外国人児童生徒相談員、SVの派遣及び研修
 ポルトガル語(5人)、スペイン語(2人)、中国語(4人)、フィリピノ語(3人)、ベトナム語(1人)を母語とする、相談員13人とSV2人を任用。
 教育事務所ごとに、年間8回のトータルサポート研修会を実施。

2.具体の取組内容

・実施項目[1][3][4]について

 県多文化共生課及び県国際交流協会と協力し、午前中に市町の首長部局の担当者が参加するネットワーク会議、午後に市町教育委員会の指導主事が参加する帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会を開催した。同日開催することで、一堂に会した会議とすることができ、充実したものとなった。
 帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会では、「特別の教育課程の編成実施について」「 日本語能力測定方法(DLA)の活用について」を主なテーマとし、情報共有を図った。

・実施項目[6][8]について

◇相談員の派遣実績

  小学校 中学校 特別支援学校 合計
静東教育事務所管内 267回 171回 23回 461回
静西教育事務所管内 311回 200回 164回 675回

◇SVの派遣実績

  小学校 中学校 特別支援学校 合計
静東教育事務所管内 54回 0回 1回 55回
静西教育事務所管内 72回 2回 0回 74回

 トータルサポート研修会を教育事務所ごとに年間8回実施し、相談員・SV同士の情報交換や効果的な支援方法についての研修を行った。

3.成果と課題

・実施項目[1][3][4]について

【成果】
 県多文化共生課・県国際交流協会と連携し、終日にわたって研修を進めることができ、顔が見える関係を築くことができたことは、非常に大きな成果であった。また、グループでの協議の時間も十分とることができ情報共有することができたことは参加者からも好評であった。

【課題】
 特別の教育課程の編成・実施について、計画書等の取りまとめは行っているものの、実際に指導している場面を見たことがある市町担当指導主事は、少数であった。また、担当としての経験が浅く、現場での助言等を積極的に行える者も少ないため、学校現場に指導内容・方法等は一任されていることが多い。今後、市町教育委員会の自立を促す意味でも、県として担当指導主事等を対象にした研修会の開催の可能性を探るとともに、教員等を対象にした研修会の内容の一層の充実に努めていく必要がある。

・実施項目[6][8]について

【成果】

○相談員及びSVの支援等を受けた児童生徒に対するアンケート調査結果より (87校の146人に調査)

[1]「相談員等の支援は、授業がわかる上で役立ちましたか。」

  とても
役立った
役立った あまり
役立たない
役立たない
28年度 60.4% 37.1% 2.5% 0%

[2]「相談員等の支援は、学校生活に慣れる上で役立ちましたか。」

  とても
役立った
役立った あまり
役立たない
役立たない
28年度 66.4% 31.5% 2.1% 0%

○相談員及びSVの支援等を受けた学校に対するアンケート調査結果より (87校の担当教員等に調査)

[1]「相談員等の派遣は、日本語指導を受ける児童生徒が学校生活に満足する上で役立ちましたか。」

  とても
役立った
役立った あまり
役立たない
役立たない
28年度 81.0% 19.0% 0% 0%

 アンケート結果から、相談員等の派遣については、大変充実していることがわかる。今後も、限られた予算ではあるが、希望した学校には相談員等を派遣できるよう調整していきたい。

【課題】

 相談員等の研修会の際に、特別な支援が必要な児童生徒が増加傾向にあり、その対応で保護者面談等に関わることも増えてきているとの声があがっている。今後、相談員等の資質向上を図るためにも特別支援教育担当との連携を図っていく必要がある。
 また、中学校では、進学について、かなり間際になって保護者から質問を受けることも多く、進路説明会等を市町で開催しているが、その情報が保護者にまで届いていないというような事例もあったため、情報の周知も相談員等の大切な役割として、考えていきたい。

4.その他(今後の取組等)

 県教育委員会、市町教育委員会、知事部局・市町部局、国際交流協会等の関係団体等の関係者が連携し、散在化・多国籍化の傾向にある日本語指導が必要な児童生徒への支援について、これまでの支援体制を見直し、効果的な支援体制の構築を図る。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035