平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(長浜市)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

 長浜市外国人児童生徒教育担当者連絡協議会の構成員:
 外国人子どもサポート室長、日本語教育加配教員または学校の担当者、市主任指導員、各言語サポート巡回支援員、市教育委員会事務局担当者

2.具体の取組内容

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること。

[3]日本語能力測定方法の活用

 5月17日:第1回外国人児童生徒教育担当者会にて、教育指導課所属の主任指導員より日本語教育担当教員および巡回支援員を対象に、日本語能力測定方法の学習会を実施した。保護者の理解協力を得ながら進めていけるように、昨年度の取組と成果を紹介した。

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

 5月17日:第1回外国人児童生徒教育担当者会にて、市内小中学校の「特別の教育課程」による日本語指導を行っている児童生徒を1名ずつ抽出し、指導法について情報交換を行った。

[5]日本語指導ができる支援員の派遣

 日本語指導が必要な児童生徒が在籍する長浜市内小中学校(小学校10校、中学校9校)に、ポルトガル語5人、スペイン語3人、タガログ語1人、中国語1人の外国人サポート巡回指導員を派遣している。該当児童生徒の教室に入り込んで学習支援したり、取り出し授業で日本語指導や学力補充を行った。基本的に午前中4時間授業があるが、1校で4時間指導したり、2校で2時間ずつ指導したりした。

[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

 外国人サポート巡回指導員は、定期の家庭訪問や緊急の家庭訪問・保護者対応でも昼夜を問わず通訳として担任教員に同行した。学期末の個別懇談会や新入生説明会でも通訳を務めた。さらに、学校便りや保健便りといった、保護者配布文書の翻訳を行った。

[8]その他
  • 市民課に来た転入者(就学年齢に該当する子どものいる保護者)に「就学希望についての聞き取り調査」を行い、公立学校を希望する場合は、教育委員会に出向くように勧めた。また、ブラジル人学校か日本の公立学校に就学させるか決まっていない場合は、主に主任指導員が保護者に日本の教育制度や日本語教室、学用品貸出について説明を行った。
  • 主に主任指導員が教育委員会窓口で随時、教育相談を実施した。
  • 平成28年10月30日に開催した進路ガイダンス(県国際協会との共催)では、巡回指導員の数名が県の高等学校受検担当者からの説明をそれぞれの言語に通訳した。

3.成果と課題

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること。

 [3]日本へ来て間もない児童生徒には日本語能力測定方法は有効で、特に小学校低学年での指導に使いやすかった。また、学習が少し進んだ児童生徒の学習意欲を引き出すという点で考えた時、日本語能力試験を目標にすることにより、さらに多くの児童生徒が積極的に学習に取り組めた。実際に試験を受験した生徒は9人で、8名合格した(N3…3人、N2…4人、N1…1人)。日本語能力測定方法については有効であるとは承知しながらも、一人ひとりに実施するのに大変時間がかかり、全ての児童生徒に行うことはできていない。特に日本語指導を必要とする児童生徒を多く抱えている学校においては、日々の学習指導・対応を個別に行うことで精一杯で、なかなか測定の時間を確保することができなかった。今後は長期休業の期間を利用することも考える必要がある。

 [4]抽出した児童生徒の指導計画等を持ち寄り、情報交換をしたことで、「特別の教育課程」のより良い活用方法や、より効率的な支援の仕方・課題などを互いに共有でき、それらを各学校へ持ち帰り、その後の指導に活かすことができた。「特別の教育課程」による指導計画等の作成により、各学校内での共通理解が行いやすくなった。

 [5]日本語指導担当教員とともに取り出しや入り込み指導を行い、同じく日本語を第二言語として学んできた巡回指導員の丁寧な日本語指導を受けることにより、児童生徒の日本語の習得に役立った。特に小学校では複数の児童が、1学期と比較すると3学期には日本語教室で学習する時間が減り、在籍学級にて授業を受ける時間が増える等の効果があった。

 [6]緊急時の通訳では、日常的にかかわっている巡回指導員を派遣することにより、問題となっていることに迅速に対応できた。平成29年1月末現在で、緊急派遣は471.25時間に上った。
 本市には、平成29年1月10日現在で、208名の日本語指導を必要とする児童生徒がいる。今年度は特に外国籍児童生徒の転入・転出が激しく、その中でもポルトガル語圏の児童生徒の増加が目立ち、その多くが市内の1小学校に集中した。一方で、定住するために、市内の別の学校(日本語指導を必要とする児童生徒がいない、または少ない)へ転校する家庭も増え、現時点で雇用している巡回指導員だけでは十分に支援に回り切れていないのが実情である。

 [8]転入者に「就学希望について聞き取り調査」を行い、来日直後の保護者に母国語の話せる指導員が日本の教育制度の説明をしたことで、不安を軽減し就学への働きかけができた。県が行っている「日本語指導が必要な外国人児童生徒等の在籍および指導状況等調査」において、現在不就学者が0であるのは、その成果であると思われる。
 しかし、主任指導員も学校現場へ出かける時間が増え、委員会へ相談に来る外国籍の保護者等に即時に対応することが難しくなってきている。また、指導員が時間外に対応することも多くなってきている。

4.その他(今後の取組等)

 来年度は、増加しているポルトガル語圏の児童生徒に対応するため、巡回指導員を増員する予定である。
 また、日本語能力測定方法について市で学習会を実施し、より良い活用方法を学びたい。「特別の教育課程」による日本語指導の実施をより充実させるために、協議会にて、PDCAサイクルによる検証を行いたい。

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