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平成27年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(長野県・長野市)

平成27年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1 事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • (1)長野市日本語指導運営協議会委員会(28名)
     大学教授1名、大学非常勤講師1名、国際交流専門員1名、センター校校長2名、センター校教頭2名、指導協力者2名、県地域共生コミュニケーター1名、日本語指導教員(県費加配教員)8名、日本語指導巡回指導員代表6名、長野県国際化協会日本語学習支援コーディネーター2名、事務局:市教委担当2名
  • (2)日本語指導連絡協議会(情報交換・研修会・授業参観等の実施)
  • (3)信州大学教育学部、(公財)国際化協会、市国際室、県教育委員会等との連携

2 具体の取組内容

[1]運営協議会・連絡協議会の実施
  • 「長野市日本語指導運営協議会」を4回開催(5月14日・7月31日・12月17日・3月4日)
    • 外国籍等児童生徒の在籍する学校間の連携体制及び各校の支援体制の充実を図った。
       センター校(芹田小と徳間小)の体制の充実 → 日本語指導教室設置校8校(県費加配校:芹田小・徳間小・松ヶ丘小・篠ノ井西小・東北中・裾花中・犀陵中・篠ノ井西中)の体制の充実 → 日本語指導教室の設置されていない学校(外国籍等児童生徒在籍校)の体制の整備
    <第1回日本語指導運営協議会> 5月14日(金曜日) 会場:長野市役所
    • 委嘱書の交付 ・長野市の現況 ・事業概要 ・第一回日本語指導連絡協議会について
    • 今後の推進計画(指導力アップに向けて、外国籍等児童生徒と信大生との交流の予定、進学ガイダンスの予定)・情報交換
    <第2回日本語指導運営協議会> 7月31日(金曜日) 会場:芹田小学校
    • 第1回日本語指導連絡協議会の見返し
    • 第2回日本語指導連絡協議会に向けて
    • 第3回日本語指導連絡協議会に向けて
    • 第4回日本語指導連絡協議会に向けて
    • 第3回及び第4回日本語指導運営協議会の計画内容について
    • 情報交換(各自の取組の現状や課題等を発表し意見交換)
    <第3回日本語指導運営協議会> 12月17日(木曜日) 会場:芹田小学校
    • 第2回・3回日本語指導連絡協議会のアンケートについて
    • 第4回日本語指導連絡協議会に向けて
    • 「とびたとう世界へ」の作成について
    • 情報交換
    <第4回日本語指導運営協議会> 3月4日(金曜日) 会場:長野市役所
    • 「とびたとう世界へ」の概要発表 ・本年度の反省と次年度の方向について
    • 情報交換
  • 「日本語指導連絡協議会」を4回開催(6月18日・9月18日・11月26日・1月28日)
    • センター校を含む県費日本語指導教室設置校における支援体制の状況及び授業を公開することにより、外国籍等児童生徒が在籍する学校における教育支援の充実に努め、指導教員や巡回指導員等の指導力向上を図った。
    <第1回日本語指導連絡協議会> 6月18日(木曜日)会場:長野合同庁舎 参加者:36名
    • 開会式
      • 主催者挨拶:長野市教育委員会学校教育課 支援担当係長
    • 情報提供
       「日本語指導が必要な児童生徒を対象とした『特別の教育課程』導入の背景と制度について」 長野県教育委員会
    • 講演
      • 演題:「DLAを使った児童の見とりと評価」
      • 講師:長野市立徳間小学校 有賀光世 先生
    • 研究協議・演習
      • テーマ:「DLAの活用及び日本語教育の視点を持った授業づくりを考える」
    • 閉会式
      • 主催者挨拶:長野県教育委員会事務局北信教育事務所学校教育課課長
    <第2回日本語指導連絡協議会> 9月18日(金曜日)会場:芹田小学校 参加者:32名
    • 授業公開
      • 国語 「正しく書こう」
      • 授業者 芹田小学校日本語指導担当教諭
    • DLA実践事例発表会
      • 発表者 日本語教室担当者(県費加配教員)8名
    • 指導実践発表(児童生徒の実態を踏まえた指導・支援及び課題)
      • 発表者 指導協力者・巡回指導員 6名
    • 全体会
      • 信州大学教育学部教授の講評等
    <第3回日本語指導連絡協議会> 11月26日(木曜日)会場:篠ノ井西中学校 参加者:31名
    • 授業公開
      • 国語 「地図で知ろう・教えよう」
      • 授業者 篠ノ井西中学校日本語指導担当講師 日本語指導巡回指導員
    • 篠ノ井西中学校の実践発表
      • 発表者 篠ノ井西中学校日本語指導担当講師
    • 協議
      • DLAの実践及び公開授業などにかかわっての意見交換
    • 全体会
      • 信州大学教育学部教授の講評等
    <第4回日本語指導連絡協議会> 1月28日(木曜日)会場:徳間小学校 参加者:25名
    • 授業公開
      • 国語 「ドーナツどろぼうは どこ?」 ~ 聞いて・見て・考えよう ~
    • 授業者
      • 徳間小学校日本語指導担当講師、日本語指導指導協力者
    • 体験発表
      • 演題:中国の文化と教育  話題提供者:信州大学外国人研究者
      • 演題:インドネシアの文化と教育 話題提供者:信州大学教員研修生
    • 全体会
      • 信州大学教育学部教授の講評等

 本年度も県費加配による日本語指導教室設置校を中心により機能する校内連携に努めていただいた。「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」をもとに内容の理解と活用について確認し合い、日本語指導連絡協議会においてセンター校の活用状況を発表していただいた。その他の学校の実践については、報告書「とびたとう世界へ」に概要をまとめた。また、子どもや家族に心を寄せた実践発表や講演会、体験発表等により関係者の意識の高揚を図ることができた。

 長野市日本語指導運営協議会について
 4回の運営協議会の実施を通して各会の内容の充実と普段の連携の強化によって精選に努めた。各委員の方々には毎回ご参加いただき、共通理解を大切にしながらほぼ計画通りに運営できた。特に本年度は、「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」の活用にかかわって演習をして理解を深め、日本語指導連絡協議会における研修会や公開授業、実践発表等での活用について考え合った。
 情報交換では、一人ひとりの考えや思い等を自由に語っていただけるよう心掛けた。今後も一人ひとりの立場や役割を大事にしながらより積極的・建設的に取り組んでいただけるよう努めていきたい。

 長野市日本語指導連絡協議会について
 県主催の日本語指導研修会との共催2回と市独自2回の計4回を実施した。市内の全ての小中学校と隣接市町村の学校、信州大学等へも参加を呼びかけ、毎回多数の参加者があった。授業参観・授業研究会・講演会・体験発表・情報交換を盛り込み、児童生徒に生きて働く連絡協議会になることを願いながら取り組んだ。
 「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA」の活用にかかわって、内容周知に努めるとともに、研修会や公開授業、実践発表等で理解を深め合った。次年度、さらにDLAの内容理解と児童生徒の実態に応じた活用に努めていきたいと考えている。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
  • 「長野市日本語指導センター校」の設置
    • 言葉や文化・習慣の異なる外国籍等児童生徒が、安心して就学できる体制づくりや、一人一人の実態に応じた日本語指導の実践的研究を行うため、本年度も芹田小学校と徳間小学校の2校をセンター校に指定した。また、外国籍等児童生徒が在籍する学校は、日本語指導連絡協議会(研修会)に参加し、情報交換・研修をするとともに、センター校の調査研究成果を自校の支援体制づくりや指導方法の工夫改善に生かせるように努めた。
[3]外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAの活用
  • 日本語指導運営協議会や日本語指導連絡協議会において活用の方法を話し合ったり、実践発表を行ったりした。
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施
  • [1]の<第1回日本語指導連絡協議会>(6月18日)において、長野県教育委員会より「特別の教育課程導入の背景と制度について」の説明を受けて、長野市の今までの取組みと関連づけて内容の確認し、現状と課題を明確にした。
[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

 日本語指導が必要な外国籍等児童生徒が在籍する学校へ母語話者である日本語巡回指導員を派遣し、日本語指導(生活言語及び学習言語)、適応指導等を実施した。教育相談、個人懇談会等保護者への通訳が必要な場合は、学校に母語話者を派遣した。なお、県教委が長野市小学校4校、中学校4校に設置した「日本語指導教室」(センター校2校を含む)の県費加配教員との連携も大事にしながら、よりきめ細かな支援になるよう努めた。

[7]その他

(1)関係機関との連携による就学支援

  • 市役所市民課との連携に努めた。
    • 週1回発行の外国籍住民異動者リストによる就学児童生徒の確認、転入者の確認、転出者の確認をし、関係学校と連絡を取り合った。
    • 入学予定の児童生徒の名簿作成。名簿により、市内小中学校毎に居住状況を確認し、市教委への就学申請を促す。「入学通知書」の発行。
  • 外国籍児童生徒在籍校との連携
    • 家庭状況等プライバシーを考慮し、児童生徒の在留期間の確認と就学期間の適正化を図った。
  • 幼・保育園との連携
    • 該当学校を通しての就学児童の情報交換
  • 就学関係のガイドブック等の活用

(2)外国人の子どもの就学状況調査

  • 週1回発行の外国籍住民異動者リストや各学校への調査等により、外国人不就学児童生徒の把握を行った。

(3)関係機関との連携

  • 信州大学教育学部との連携
    • センター校と連携して、教材開発や各種会議に対する指導・助言をした。
    • 本年度第12回目となる外国籍等児童生徒と信州大学学生との交流会を実施した。
  • 長野市国際室(国際交流コーナー)との連携
    • 外国籍等児童生徒への日本語指導の一層の充実を図るため、「学校内指導支援事業」は教育委員会が主務となり、「学校外指導支援事業」は国際室が主務となって推進した。
    • (公財)長野県国際化協会との連携

3 成果と課題

[1]日本語指導運営委員会及び日本語指導連絡協議会の実施

<成果>

  • 4回ずつの開催により、関係者の情報交換の充実や意識の高揚に繋がった。

<課題>

  • それぞれの会議を充実させるために、会議内容の吟味とともに精選も検討していきたい。
[2]初期指導教室やセンター校等の設置

<成果>

  • センター校の実践が、日本語指導教室の教員や巡回指導員の意欲を喚起し、自分の指導・支援のあり方を改善する契機となった。
[3]外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAの活用

<成果>

  • 運営協議会・連絡協議会には、毎回多くの関係者の参加をいただき、学校現場に生きる授業研究や研修会(講演・実践発表・体験発表)、情報交換等に努めた。諸会議には市教委からも指導支援にかかわる資料や情報提供に努めた。
  • 講演会「DLAを使った児童の見とりと評価」やセンター校である芹田小・徳間小のDLAにかかわる実践発表については、多くの参加者から大変勉強になったとの感想が寄せられた。

<課題>

  • 初めて日本語指導教室を担当する者への周知と実践への啓発を積極的に行っていきたい。
  • DLAの活用について、個人カルテの累積をはじめ一層の充実を図っていきたい。
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

<成果>

  • 初めて日本語指導教室を担当する教員や巡回指導員もおり、内容の周知を図ることができた。
     また、一層計画的な指導の重要性も再認識できた。

<課題>

  • 見通しをもってきめ細かな支援が継続するよう、センター校の実践などを基に具体的に子どもの姿で協議する時間を設けていきたい。
[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

<成果>

  • 外国籍児童生徒への支援体制は出来てきている。
  • 本年度も予算の関係で指導時数の見直しをするなど、関係者に大変ご迷惑をおかけしたが、来日直後の日本語が全くわからない児童生徒への支援を手厚くできるよう配慮し、関係の学校からの感謝の言葉を多数いただいた。

<課題>

  • 巡回指導員の適材の確保、指導力の向上及び十分な指導時間の確保が課題である。巡回指導員の人材確保については、今後も市国際室や(公財)長野県国際化協会と連携を密にしていきたい。
[7]その他

<成果>

  • 外国籍児童生徒の学校への受入に当たっては、本年度も希望を持って入学・編入学できるよう学校訪問等により丁寧な対応に努めた。児童生徒が日本語を意欲的に学びながら安心して生活できるよう、各学校のより機能するきめ細かな教育支援体制づくりと関係者との連携を一層大事にしてきている。

<課題>

  • 小学校から中学校への進学、中学校卒業後の高校進学等の進路選択においても学習言語の確かな習得が大事なので、見通しを持って取り組めるよう進学指導の充実や進学ガイダンスへの参加を呼びかけていきたい。

4.その他(今後の取組等)

 (1)「長野市日本語指導運営協議会」と「長野市日本語指導連絡協議会」を一層充実させ、外国籍等児童生徒の指導支援に更に生きる運営に努めていきたい。そのためにもJSLカリキュラムやDLAを活用した指導法、「特別の教育課程」による日本語指導について具体的に学び合う機会を大事に位置づけていきたい。

 (2)市教委の学校訪問を適時行い、関係児童生徒の様子を見て授業等についてアドバイスしたり相談に応じたりしながら、学校関係者や巡回指導員との連携を一層大事にしていきたい。

 (3)信州大学教育学部、(公財)長野県国際化協会、長野市国際室、長野県教育委員会等との一層の連携強化に努め、市はもとより県全体の外国籍等児童生徒のために取り組んでいきたい。そのためにも関係機関との必要な情報提供や情報交換に努めていきたい。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成29年02月 --