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平成27年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(相模原市)

平成27年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

[3]日本語能力測定方法の活用

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

[5]日本語指導ができる支援員の派遣

[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

[7]連携等に係る会議・研究会の開催

2.具体の取組内容

[3]日本語巡回講師と市内の各国際教室担当者に測定方法についての学習会を実施した。
  • 市内の小・中学校で、基礎的な会話力の測定から始め、徐々に読解力・作文力・聴解力の習得度を測定。
  • 測定から日本語能力を把握し、児童生徒の指導に生かすと共に子どもたちの発達のプロセスを記録。
  • 年度末に実践報告会を行い、成果や課題についてまとめ次年度に反映。
[4]文部科学省から「特別の教育課程」についての説明を受け、取り組みを検討した。
  • 「特別の教育課程」による日本語指導を行っている都道府県、市町村の情報を収集。
  • 平成27年度協議会発足に向けての準備(人選・依頼)
  • 第1回特別の教育課程検討会(12月3日)→相模原市の取組みについての意見交換
  • 学校教育推進協議会で説明(2月1日)
     →校長会で「特別の教育課程」による日本語指導』の概要を説明
  • 第2回特別の教育課程検討会(2月25日)相模原市の取組みの方向性
  • 小・中学校定例校長会で説明(3月)
     →校長会で『「特別の教育課程」による日本語指導』の取組について説明
  • 平成28年度国際教室設置校で導入(4月~)
[5]〔日本語巡回指導講師の派遣〕

 指導期間を毎週1~2回、1年~1年6ヶ月を目安に、原則1回の支援につき3時間を超えない範囲内(授業2単位時間・情報交換等)で、日本語指導を要する児童・生徒等が在籍する相模原市立小・中学校に直接赴き、日本語を使って以下の支援を行った。

  • ア 日本語の基礎的な「聞く」「話す」「読む」「書く」の指導
  • イ 教科の学習をする上で必要な日本語の指導
  • ウ 生活の指導
  • エ 上記に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認める指導
     〔日本語巡回指導講師打合せ会〕
     各日本語巡回指導講師が担当している帰国・外国人児童生徒の生活・学習等の状況確認及び評価を行うとともに、その児童生徒の状況や指導方法等の情報交換等をし、日本語指導の質的向上を図った。
[6]〔日本語指導等協力者の派遣〕
  • 指導期間を週1~3回、最長1年間を目安とし、原則1回の支援につき2時間、日本語指導を要する児童・生徒が在籍する小・中学校に直接赴き、外国語を使って以下の支援を行った。
    • ア 児童生徒の学校生活への適応支援
    • イ 日本語での会話等に支障がある保護者等への適応支援
    • ウ 上記に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認める事項
  • 保護者面談・家庭訪問・懇談会等における通訳を行った。
[7]〔合同連絡会の開催〕

 日本語巡回指導講師及び日本語指導等協力者が帰国・外国人児童生徒等に対する理解を深めるとともに、指導のあり方や指導方法について情報交換を行い、指導力の向上を図った。
 〔授業研究会〕
 国際教室担当教員、日本語巡回指導講師、日本語指導等協力者の帰国・外国人児童生徒に対する日本語指導の質的向上を図り、3者を含めた連携・協力を強化した。

3.成果と課題

[3]今年度は国際教室担当者にも学習会を開き、日本語巡回講師と共に、DLAの概要や測定方法を理解し、実践することで日本語指導に生かすことができた。
 また、これまでは、一人ひとりの日本語能力を判定する規準が明確に設定されていなかったため、日本語巡回指導講師の経験に基づく主観に任されていた部分が大きかったが、DLAを導入することで、一人ひとりの力を丁寧に捉えられることができ、見落としていた課題を把握することができた。
 *日本語能力測定を行うには、時間を要するため、限られた指導時間の中で実施するのは難しい。
 *日本語能力測定を効率良く実施するには、測定者が二人一組になるなどの工夫が必要である。
 *教科指導をしている教諭が測定を実施したほうが、授業中の支援に結びつけることができる。

[4]協議会を行うことで、「特別の教育課程」の指導計画の書式や学習評価の方法をはじめ、様々なご意見をいただき、来年度の国際教室での実施に向けて具体的に取り組みを行う準備ができた。
 *文部科学省からの説明を受け、本市での取り組みについて検討を行ったが、個別の指導計画、学習評価などは日本語巡回指導講師の協力を得ながら進めていく必要がある。今後、日本語指導巡回講師との連携について検討(日本語指導巡回講師と学校担当者)が必要である。

[5]全く日本語が分からない状態で入学・編入するケースが多く、初期対応の充実が求められており、初期段階で日本語巡回講師の派遣回数(最大週2回)を増やし、対応してきた。その結果、編入当初、日本語を全く理解できない児童・生徒も1年後にはひらがな、カタカナの読み書きができるようになってきている。
 *一定期間の日本語指導を受け、ある程度の日常会話ができるようになっても、教科に使用される言語が分からず、学習につまずく児童・生徒への支援体制の充実が必要である。
 *今後、さらに日本語の支援を必要とする児童・生徒が増加した場合、現状の体制で対応が難しくなるおそれがあり、支援体制を検討していく必要がある。

[6]全く日本語が分からない状態で入学・編入するケースが多く、初期対応の充実が求められている。そこで、初期段階で日本語指導等協力者の派遣回数を増やし(最大週2回の派遣)対応してきた。また、学校生活への適応や保護者面談及び懇談会の通訳、子どもや保護者の相談活動の支援を学校と連携して行い、成果をあげている。
 *日本語指導等協力者が指導・支援する内容が、基礎的な日本語の指導や学校生活上の諸問題にとどまらず、家庭の諸問題や不登校、将来の悩みなど、極めて多岐に渡っている現状があり、関係機関(福祉関係・NPO・青少年相談センター)とのさらなる連携が必要である。

[7]年度当初に合同会を開き、日本語巡回指導講師及び日本語指導等協力者が帰国・外国人児童生徒に対する理解を深めるとともに、指導のあり方や指導方法について情報交換を行い指導力の向上を図ることができている。
 また、授業研究会では、国際教室担当教員、日本語巡回指導講師、日本語指導等協力者の帰国・外国人児童生徒に対する日本語指導の質的向上を図るため、研修会や協議を行い連携が深まった。
 *外部講師を招いた研修会は、とても有意義であるが、日本語巡回指導講師の授業時間と予算確保が難しいため、これ以上増やすことは難しい。授業研究会の2回を有効に活用するため、指導者の実態を把握し計画を立てていく必要がある。

4.その他(今後の取組等)

[3]日本語巡回講師と国際教室担当の教諭を対象に、日本語能力測定方法を活用するための学習会を開催し、教科指導に生かせる日本語能力測定を実施していきたいと考えている。

[4]国際教室が設置校されていない学校における特別の教育課程編成に向け、個別に日本語指導をするには、担当教員が必要となり、該当児童生徒が在籍する学校の全てで、このような特別の教育課程を実施することは難しいので、検討していく。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成29年02月 --