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平成27年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(長浜市)

平成27年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

 外国人子どもサポート主任指導員が、各学校の状況を考慮して、外国人サポート巡回指導員の各校への配置計画を作成した。また、家庭訪問・個別懇談などの通訳の割り振りも行った。しかし、学校現場からは、さらに巡回を増やすように希望もあがるなど、現状で十分支援が行き届いているとは言えない。
 1月に外国人児童生徒教育担当者連絡協議会を開催し、巡回指導員と日本語指導加配教員を対象に、「特別教育課程」による学習指導や翻訳業務にあたっての情報交換を行い、改善すべき点などが確認できた。来年度は学期に1回の頻度で実施し、横の連携をより密にしていきたい。

2.具体の取組内容

 [3]日本語能力測定方法について、県の連絡協議会で研修を受け、授業の中で活用している。さらに日本語能力の高い児童生徒に対しては、日本語能力試験の模擬受検および受検に向けての学習を取り入れた。実際に受験した生徒は4人で、全員合格した(N4:1人、N3:2人、N2:1人)。

 [4]指導員・日本語指導対応加配教員を対象として、「特別の教育課程」による日本語指導の状況報告や情報交換を目的に連絡協議会を1回実施した。限られた支援時間の中で、児童生徒への支援を行いながら、一方で学校生活に必要な文書等の翻訳作業も行わなければならず解決策を話し合ったり、支援員同士の情報交換をした。

 [5]日本語指導が必要な児童生徒が在籍する長浜市内小中学校に、ポルトガル語5人、スペイン語3人、タガログ語1人の外国人サポート巡回指導員を派遣した。該当児童生徒の教室に入り込んで学習支援したり、取り出し授業で日本語指導や学力補充を行った。基本的に午前中4時間授業があるが、1校で4時間指導したり、2校で2時間ずつ指導したりした。

 [6]外国人サポート巡回指導員は、定期の家庭訪問や緊急の家庭訪問・保護者対応でも昼夜を問わず通訳として担任教員に同行した。学期末の個別懇談会や新入生説明会でも通訳を務めている。さらに、学校便りや保健便りといった、保護者配布文書の翻訳を行っている。

 [7]市民課に来た転入者(就学年齢に該当する子どものいる保護者)に「就学希望についての聞き取り調査」を行い、公立学校を希望する場合は、教育委員会に出向くように勧める。また、ブラジル人学校か日本の公立学校に就学させるか決まっていない場合は、保護者に日本の教育制度や日本語教室、学用品貸出について説明する。
 教育委員会窓口で教育相談を実施する。
 夏期休業を中心に、学校の希望に応じて指導員を学力補充教室へ派遣している。
 進路ガイダンスでは、県の高等学校受検担当者からの説明をそれぞれの言語に通訳するという役割を果たす。

3.成果と課題

 [3]日本へ来て間もない児童生徒には日本語能力測定方法は有効で、特に小学校低学年での指導に使いやすい。ただ、学習が少し進んだ児童生徒の学習意欲を引き出すという点で考えた時、日本語能力試験を目標にすることにより、さらに多くの児童生徒が積極的に学習に取り組めた。

 [4]「特別の教育課程」のより良い活用方法や、より効率的な支援の仕方・課題などを互いに情報交換できた。少しでも児童生徒に関わる時間を確保するために、日本語教室にこれまでなかったノートパソコンを配置した。年度末が迫っての開催だったので、来年度は学期に一回程度実施し、連携を密にする必要がある。

 [5]学校では日本語に触れる機会が多いが、家庭では全く日本語に触れることがなかったり、また、家庭で日本語の学習する機会がほとんどない児童生徒にとっては巡回指導員の丁寧で工夫した日本語指導を受けることができ、日本語の習得に役立った。しかし、特に増加の傾向にあるポルトガル圏や中国語圏で十分な支援が行き渡っているとは言い難い。

 [6]緊急時の通訳では、日常的にかかわっている巡回指導員を派遣することにより、問題となっていることに迅速に対応できた。できる限り指導員と保護者が日頃からつながりを持っていることが重要となった。しかし、緊急派遣対応は指導員の善意に支えられている面が多く、かなりの無理をしていただいている。

 [7]転入者に「就学希望について聞き取り調査」を行い、来日直後の保護者に母国語の話せる指導員が日本の教育制度の説明をしたことで、不安を軽減し就学への働きかけができた。現在、不就学者はいないのは、その成果であると思われる。しかし、指導員が学校現場へ出かける時間が増え、委員会へ相談に来る外国籍の保護者等に即時に対応することが難しくなってきている。また、指導員が時間外に対応することも多くなってきている。

4.その他(今後の取組等)

 今年度中に、ポルトガル語圏、タガログ語圏、中国語圏の児童生徒が新たに転入してきたり、市内の別の学校へ転校したりしたため、現時点で雇用している巡回指導員だけでは十分に支援に回り切れていないのが実情である。徐々に増えつつある中国語圏の児童生徒について、今年度は地域周辺の住民に通訳をお願いしてきたが、来年度は新たに巡回指導員を雇用し対応できるように検討していく。

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-- 登録:平成29年02月 --