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平成25年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(久留米市)

平成25年度に実施した取組の内容及び成果と課題【実施主体 久留米市教育委員会】

1.事業の実施体制(運営協議会・ 連絡協議会の構成員等)

 

1.事業の実施体制(運営協議会・ 連絡協議会の構成員等) 

 

2.具体の取組内容
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
日本語支援教員連絡協議会での情報交換、実践交流及び研修会の実施
・日本語指導を行う上での心構えについて
・学習指導の在り方について
・講話・演習 「日本語指導の初期指導の在り方」
・演習 日本語と教科の統合指導の在り方
・授業参観、協議 「日本語指導の実際」(授業を録画したDVDの視聴)
・授業内容や指導方法、教材・教具についての質疑、意見交流
・協議、指導助言「個に応じた日本語指導の在り方」

 [3]日本語能力測定方法の活用
・研修会を実施し、講師の講話や実践発表などを通して、日本語初期指導のポイントとして日本語能力の見取りとそれを生かした初期指導の実際について学習を行い、日本語能力の見取り計画表の作成や見取りの方法として日本語能力測定方法や面談、インタビュー、診断テスト、観察、作品からの見取り方について研修を行った。
・初期指導プラグラムの作成について、いつ(指導開始時、サバイバル終了時、日本語基礎の各段など)どのような方法で見取っていくかについてや、日本語の見取りにあわせて、指導計画表を作成し、個別の指導計画表を作成するというサイクルの確立について研修を行った。
・日本指導教員の実践をもとに、支援を受ける児童の日本語能力測定方法等を用いた実態把握の方法、単元の学習内容の特徴、子供の実態に即した予測(子供がつまずくところ)、理解を助ける支援、表現を助ける支援についての講師の先生の講話をもとに参加者全員で考えた。
・個に応じた日本語指導の在り方について、講師の講話からなぜ個に応じた指導が必要なのかや教科の学習の持つ特徴とそのための対応について、子供の実態から出発した実践の工夫について、実態をもとにした授業計画づくりの基本的な視点について、JSLにおける理解支援について学習した。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
・日本語を聞く、話すなど、日本語理解が困難な外国人児童生徒が在籍している学校に対して、外国人児童等授業介助員を小学校9校、中学校4校派遣し、学校が作成した指導計画に沿って、学習支援、学校生活適応支援、保護者との教育相談及び連絡の支援を行った。

 

3.成果と課題
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
<成果>
<課題>

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
<成果>
・各学校の日本語支援計画や推進計画を交流することで、取り出し授業と入り込みでの授業の行い方や留意点などを理解することができた。また、児童生徒の実態に応じた支援の在り方について考え、実践に生かすことができた。
・連絡協議会の中で大学の先生を招聘して講話をしていただいたことは、基本的な指導の在り方や日本語指導の現状と課題、それを踏まえた具体的な指導のポイント、さらには、様々な事例をもとに個に応じた指導の在り方について学ぶことができた。
・実際の授業を録画したDVDを視聴して意見交流を行うことで、日本語初期指導の在り方や教材の作成や提示、活用の仕方、個に応じた具体的な支援の在り方について考えることができた。
・小学校と中学校で児童生徒の様子を交流し、情報交換することで、小中連携して支援に当たることができるようになった。
<課題>
・日本語支援教員は入れ替わりが多く、継続して児童生徒の支援に当たったり、継続して研修や経験を積み、専門性を高めたりしていくことが難しい。そのため、日本語支援教員の引継ぎを丁寧に行ったり、教材を共有したりする必要がある。
・外国人児童生徒の母国語が多様化しており、保護者の対応も含めて、日本語支援教員だけでの対応が難しい状況である。
・生活言語の習得はある程度できるようになってきているが、学習言語についてはよりきめ細かな支援が必要であり、個に応じた支援計画のさらなる工夫が必要である。

[3]日本語能力測定方法の活用
<成果>
・日本能力活用測定方法をはじめとする児童生徒の日本語能力を測定する方法を理解することができた。また、その目的や測定後の活用の仕方について具体的に学習することができた。
・実践発表やそれに対しての意見交流、指導助言、講師による講話を通して、児童生徒の実態把握をどう実際の指導に生かすかを具体的な実践、教材等を用いて学習し、そのポイントについて共通理解を図ることができた。
<課題>
・日本語能力測定方法をはじめとする児童生徒の日本語能力の測定方法やその目的等については共通理解を図ることができたが、実際に測定を行い、その妥当性や活用方法について教科指導等の充実につなげていくことが今後の課題である。測定を行うことが目的ではないため、それをどう生かすかについて更に研修を深める必要がある。
・児童生徒の日本語能力は様々なため、一人一人の実態に応じた個別の指導計画が必要となる。そのため、たくさんのデータや実践、児童生徒の変容を持ち寄り、情報交換を行ったり、支援の方法を学習したりして、よりその児童生徒の実態に応じた支援の在り方について研修を深める必要がある。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
<成果>
・対象の児童生徒が在籍する学校に、母国語を話すことができる外国人児童等授業介助員を派遣することで、日本語の初期指導や学習内容の説明などの支援を個別に行い、日本語の習得、学習に必要な日本語の理解を進めることができた。
・対象の児童生徒は日本語の困り感から友達とのコミュニケーションが思うように行えず、意思の疎通ができなかったり、トラブルになったりして悩みや不安を抱えることも多い。その中で、外国人児童等授業介助員と母国語で様々な話をすることで悩みを解決したり、安心感を得たりして、心の安定を図ることにつながっている。
・外国児童等授業介助員が対象の児童生徒に日本の生活様式や学校生活のルールやマナーなどを説明したり、周りの児童生徒に文化の違いを伝えたりすることで、日常の学校生活への適応を促すことができた。
・外国人児童等授業介助員が日本語理解の困難な保護者への連絡や相談を行い、準備物や行事等の開催や参加の案内などを適切に伝えることができた。
<課題>
・年々小学校及び中学校における日本語指導が必要な児童生徒が増加しており、その児童生徒も分散傾向にある。そのため、対象の児童生徒の母国語等を話せる支援員の確保が難しい。
・外国人児童等授業介助員の派遣の時間が少ないため、県派遣の日本語支援教員や担任等との十分な打合せの時間の確保が困難である。
・新学期が9月始まりの国から夏休みに転入するケースが多く、年度途中からの支援体制の確立、充実が難しい。

 

4.その他(今後の取組等)
・対象の児童生徒の母国語等を話せる支援員の確保が難しい状況にあるため、今後は、支援員の情報を集約して共有できるようにしていく必要がある。
・日本語能力測定方法を活用した児童生徒の実態把握と、それをもとにしたより効果的な個別の指導計画の作成と見直しサイクルの確立が必要である。

 

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成26年10月 --