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平成25年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(豊中市)

平成25年度に実施した取組の内容及び成果と課題【実施主体 豊中市教育委員会】

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)
[1]運営委員会・連絡協議会の実施

[1]-国際教育推進協議会、(1)-2実務担当者会議(日本語指導)

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)1
(構成員)
国際教育推進協議会:大学教授1名、幼小中高学校関係者6名、市部局1名、公益財団法人とよなか国際交流協会1名、教育委員会(事務局)4名

実務担当者会議:学識経験者(大学教授)2名、NPO法人1名、学校関係者5名、公益財団法人とよなか国際交流協会1名、とよなかJSL1名、教育委員会(事務局)2名

(1)-3こどもにほんごプロジェクト企画会議

     
 1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)2               

                 

[3]日本語能力測定方法の活用    
1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)3    

 

(構成員)
人権教育室3人、(該当児童の)学校長、教頭、日本語指導加配担当者、担任
    

 

[2]初期指導教室やセンター校等の設置・ [4]日本語指導ができる支援員の派遣・[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

 

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)4

(支援者体制)
・日本語支援者:日本語能力検定資格取得者-11人、ボランティア経験者-14人、日本語指導養成講座による指導者-7人
・通訳者:英語、韓国語、スペイン語、中国語、ポルトガル語、タイ語、アラビア語、
ベンガル語など


 1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)5

(支援者体制)
・教育委員会、財団法人とよなか国際交流協会、とよなかJSL

 

2.具体の取組内容
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
(1)-1国際教育推進協議会会議
○開催回数・協議内容:
ア第1回6月20日 
・教育委員会挨拶
・委員自己紹介
・規約について(改正なしで確認)
・会長、副会長の選出
・会長挨拶
イ第2回11月1日 
・豊中市国際教育フォーラムについて
・各実務担当者会取り組み状況中間報告
・豊中市国際教育推進協議会共催事業(「多文化フェスティバル」や「うえのワールドミュージアム」等)について
ウ第3回3月25日 
・ESD実務担当者会年間報告
・日本語指導実務担当者会報告
・豊中市国際教育フォーラム報告
(1)-2実務担当者会議(日本語指導)
○開催回数・協議内容:
ア第1回7月4日
・平成25年度(2013年度)豊中市国際教育推進協議会について
・日本語指導に関する実務担当者会の目的について
・日本語指導に活(い)かすための帰国・渡日児童生徒の日本語習得状況調査等について
・今年度の計画について
・その他
・日本語のチェックリスト作成と活用に向けての意見交換。
[参加者]教育委員会、(公財)とよなか国際交流センター所長、学校長、外国人担当教諭、子供日本語教室責任者  計14名
イ第2回8月27日
・帰国・外国人児童生徒の状況調査項目(案)
・調査対象者、調査方法、調査スケジュール等(案)
・今後の予定について
ウ第3回10月3日 
・帰国・外国人児童生徒の状況調査委項目(案)
・調査対象者、調査方法、調査スケジュール等(案)
・今後の予定について
エ第4回12月19日
・豊中市日本語指導に関する調査について
調査(1)「日本語チェックリスト」の分析
先行実施で気づいたこと
今後の予定について
・その他
オ第5回2月27日
・調査(2)各校のふりかえり
・DLAの実施報告
・今年度のふりかえり
・今後の予定
・その他
(2)こどもにほんご教室企画会議
(構成員)とよなかJSL3名、公益財団法人とよなか国際交流協会2名、教育委員会2名
○開催回数・協議内容:
ア第1回企画会議 5月23日 
・年間予定、企画書、協働事業の周知について、
・その他
(9月2日(JSL打合せ)学校への指導者派遣について)
(10月7日(JSL打合せ)学校への指導者派遣について)
イ第2回企画会議11月7日 
・学校へ日本語指導者を派遣するにあたっての派遣方法
・子どもの言語面と生活面でサポートできる相談者の育成について
・その他
ウ第3回企画会議 2月28日 
■本事業評価/振り返りについて
・事業評価(数値報告)
参加児童数(月別/累計)  
指導者数など        
予算の執行状況(月別)   
2/17意見交換会について 
・本事業の評価(振り返り)    
本事業の推進により改善された点など 
反省点/課題        
その他
■次年度事業展望について
・平成26年度(2014年)予算
・企画会議
・指導者養成講座、研修会 等
■その他 
・関係各課/機関より

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
(1)国際教室の実施
・団体名:豊中市教育委員会
・場所:豊中市立桜井谷小学校及び庄内少年文化館
・指導者人数:桜井谷―登録者1人、教育委員会1人、学校の日本語指導担当者1人
庄内―登録者1人、教育委員会1人
・実施形態:桜井谷―毎週水曜 13時00分~16時30分(長期休業中を除く)回数:年間37回
庄内―毎週金曜 16時00分~18時00分(長期休業中を除く)回数:年間37回
・参加人数:桜井谷―5~10人(延べ181人) 庄内―5~10人(延べ122人)
・設置目的:渡日児童の受入れが比較的多い小学校(豊中市の北部地域と南部地域)に、多文化につながりを持つ子供の居場所づくり、基礎日本語力の伸長のための場として国際教室を設置運営。
・指導内容:クラスで出された宿題をこなすことで、宿題ができないことによる不安が払拭されるよう、国際教室ではまず各児童の宿題補習指導をした。終了後は日本語カード遊び、言葉ゲーム、折り紙など遊び的要素を取り入れながら指導を行った。また、必要に応じて保護者との懇談会を随時開催しており、学校との連絡調整もしている。
(2)プレクラス(初期指導教室)の実施
・団体名:豊中市教育委員会
・場所:児童生徒が通学する各小中学校
・指導者人数:通訳登録者49人、日本語指導者11人
・実施形態:学校への受入れにあたり学校からの要請時間にもとづき通訳者等を派遣
・参加人数:18人
・設置目的:渡日児童生徒が円滑な日本での学校生活をおくるための初期支援活動を行うため
・指導内容:学校についての説明、簡単な日本語、保護者に対しての書類の書き方や持ち物の説明などを行った。
(3)帰国教室(帰国サロン・教育相談)の実施
・団体名:豊中市教育委員会
・場所:豊中市立上野小学校
・指導者人数:帰国教室―登録者2人、帰国サロン―担当者1人、教育相談―臨床心理士1人、他―教育委員会担当者1人
・実施形態:隔週土曜 9時30分~11時30分  帰国教室16回、サロン10回、教育相談会3回
・参加人数:帰国教室5~8人(延べ29人)、帰国サロン5~10人(延べ61人)、教育相談4~8人(延べ人数10人)
・設置目的:帰国教室―日本語力の向上、未学習教科・領域等の学習、学校生活への適応能力の促進を図るため設置
帰国サロン―海外滞在経験のある保護者らが集い、帰国後の教育・養育上の様々な悩みや相談事について情報交換ができる場として設置
教育相談―学校現場で活動している臨床心理士による教育相談会を実施し、学校生活での悩みなどについてより専門的な相談ができる機会として設置
・指導内容:個々の課題に応じて様々なテキストを活用しながら学習を進めた。また海外にいてなかなか接することのできなかった日本の文化に対する学びも積極的に取り入れた。(七夕、カルタ遊び 他)
(4)とよなか国際交流センター内、こども日本語教室と教育委員会の協同実施(こども日本語教室)
・団体名:とよなかJSL、公益財団法人とよなか国際交流協会、豊中市教育委員会
・場所:とよなか国際交流センター内会議室
・指導者人数:11人
・実施形態:毎週月曜日、木曜日15時00分~18時00分 土曜日14時00分~16時00分(祝日などは休み)
・参加人数:幼稚園1人、低学年8人、高学年6人、中学生2人、過年度生2人
・設置目的:日本語学習が必要な子供に教科学力につながる日本語学習の機会の提供と、日本語学習支援サポーターが中心となり、子供の日本語指導に関する学びと情報共有の場づくりを行い、地域と学校が共同して子供たちの学びを支援するため実施した。
・指導内容:子供一人一人の課題を見つけ指導案を毎回作成。発音指導から各教科で使用される日本語の説明の補強まで、読み書きをとおして、学校の授業についていける力をつける指導を行った。

[3]日本語能力測定方法の活用
・大阪府教育センター人権教育研究室へDLA研修に行ったのち、対象児童がいる小学校にて測定を実施した。実施後は、当該校にてビデオ映像を用いて採点・評価会を実施。後日、「豊中市国際教育推進協議会」の「日本語教育に関する実務担当者会」にDLA実施を報告。豊中市在日外国人教育推進担当者会(中学校夜間学級を含む豊中市立の67幼小中学校園の担当者にて構成される会)にて上記映像資料を用いてDLAの技法等を周知した。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
・団体名:豊中市教育委員会
・指導者:教育委員会に登録している日本語指導者
・勤務形態:学校からの派遣要請日時にもとづき派遣
・対象学校種:豊中市立小中学校
・人数:4人

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
・小学校:16校、中学校:4校
・児童生徒:27人(保護者:19人)
・言語:中国語、韓国語、英語、スペイン語、アラビア語(エジプト方言)、ベンガル
語、ポルトガル語、ロシア語
・派遣時間:合計611時間(保護者通訳:110.5時間)
・指導内容:教室に入り授業や学校生活の補助を行った。子供どうしをつなぐパイプ役として、会話の中での簡単な言葉を日本語で教える。教科書の横にふりがなをふったり、わからない言葉の箇所は母語を書きこんだ。本読みの練習を一緒にしてみんなの前で発表できるよう補助を行った。懇談や進路相談、家庭の相談など保護者通訳として派遣を行った。
                                       
[6]その他
○教育委員会事務局人権教育室内に渡日児童生徒相談室の開設
・渡日児童生徒相談室では、プレクラス、通訳・日本語指導者派遣業務、帰国教室・国際教室の開催。また、外国にルーツを持つ児童生徒の諸課題の解決に向けた取組を行った。
(1)児童生徒、保護者及び学校支援
(事例1)家庭の状況が落ち着かず、子供の体調面、精神面で不安定な様子が目立つようになってきた。校長、担任、保護者、通訳者、教育委員会が集まりケース会議の場を持った。
(事例2)終始落ち着きがない様子だった。クラスや日本語教室内での子供の様子を注視しながら、担任や校長、教頭、スクールカウンセラー、保護者と情報意見交換を行った
(2)多言語進路ガイダンス実施 
・日時:11月9日  午前 通訳者学習会/午後 進路相談会
・場所:公益財団法人とよなか国際交流協会
・参加者:生徒8人、保護者11人
・通訳者:中国語、韓国語、ネパール語、カタログ語、タイ語、英語、ペルシャ語
・内容:外国にルーツを持つ生徒や保護者を対象とし、豊能地区の高校の進路担当者や先輩から高校生活についての話や情報交換ができる機会を設けた。

 

3.成果と課題
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
(1)国際教育推進協議会会議
<成果>
・日本語指導実務担当者会の日本語調査について活発な意見交換を繰り返しながら、調査票の精査ができた。
<課題>
・本協議会の開催回数が限られるため、実務担当者会との連携がスムーズにいかない場合がある。
(2)実務担当者会議(日本語指導)
<成果>
・豊中市独自の日本語調査評価作成に向け、日本語指導加配教員がいる学校で調査を先行実施するなどの取り組みや活発な意見交換を進めることができた。
<課題>
・一つ目は、豊中市独自の日本語指導調査(以下、独自調査とする)に当たっての委員の専門性の課題である。この調査は、ある委員個人の専門性に依拠している部分が大きいために、その委員がいないと議論が進まないことがあった。今後、市内各学校で独自調査を実施するにあたっては、この委員への負担が一層強まることが考えられることが課題である。
・二つ目に、独自調査実施に当たっての運営上の課題である。個人情報を収集するために法令等を遵守することや調査をどのように学校現場で活かしていくかの議論が不十分な点である。
(3)こどもにほんご教室企画会議
<成果>
・この会議の中では、予算の執行状況や参加児童数などの報告もあるが、この1年間で教室に来る子供たちの話題が、増えてきたのは良いことであると考えている。大きな方向性の議論をすると同時に、具体的な子供の話をしていく中で今、豊中の子供たち一人一人にどのような支援が必要か話し合いをすることができた。
<課題>
・運営にあたり十分な予算の確保が課題である。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
(1)国際教室
<成果>
・多文化共生と人権尊重の観点から、外国にルーツを持つ児童自らが自身のルーツに誇りを持って学びあえる場となっており、日本語力の伸長とともに教室内でのコミュニケーションが進んでいる様子を見ることが出来た。
・在校生への周知や交流を通じて原学級児童に国際性を育む機会も提供でき、外国人児童が信頼をおいて、安心して通える「学びの場」としての場所であり、保護者の信頼も高く実施できた。
<課題>
・地理的状況から通級できない児童生徒もおり、一人でも多くの外国にルーツを持つ児童生徒を国際教室へつなげたい。
(2)プレクラス(初期指導教室)の実施
<成果>
・4月から通学する学校で行うことで、学校の雰囲気や先生の様子などを知る機会が増え、子供にとっては緊張をほぐす一歩となった。また、学校の先生も子供の様子を知ることができ、どのようなかたちで受入れをするか考えられる機会にできた。
<課題>
・学校の一日の流れなどは体験を通してでないと実感がわきにくい。様々な子供がいるのでニーズにあった初期指導ができる経験と知識の蓄積が課題である。
(3)帰国教室(サロン・教育相談)の実施
<成果>
・在籍する学校での学習に加え、帰国教室を通じて日本語力の基礎を伸ばすことができ、教室内では帰国児童どうしの交流、交遊の様子が盛んに見てとれた。
・保護者にとっても年間10回の保護者サロンを通じて生活・学習・高校進学などの情報交換や交流が行われており、とりわけ海外から帰国して間もない保護者にとっては大変貴重な場となった。また臨床心理士による教育相談も実施し、専門的な助言を受ける貴重な機会ができた。
<課題>
・現況は小学生のみの参加であるが、今後中学生等のクラスの実施を考える。
(4)とよなか国際交流センター内、こども日本語教室と教育委員会事務局の協働実施(こども日本語教室)
<成果>
・継続的に系統立てて日本語の勉強ができるため、しっかりと日本語の力を身につけることができた。
<課題>
・指導者が今後とも話し合いの場を持ち、お互いの情報や意見交換、連絡、連携を密にすることで日本語につまずく子供たちを支援するネットワークづくりをすすめたい。

[3]日本語能力測定方法の活用
<成果>
・当該の子の日本語の状況を具体的に把握することができ、次の日からの教育活動の中でどのような点に配慮して支援をすればよいかが、一定明確になることは確かである。
・豊中市では、人権教育室・渡日児童生徒相談室が国際教室や帰国教室を実施していることから、その教室にきている子供であれば、指導者と測定対象者との人間関係ができており、市教委が学校側の協力を得ながら、スムーズに測定を行うことが可能であった。
・採点・評価について当該校の教職員に入ってもらい、その子の状況を共有すると同時に、DLAの手法についても一定周知ができ、DLAの測定内容や結果についても前向きにとらえることができた。
<課題>
・DLAのテスターを務めるためには、一定の技術が必要なことから、研修が必須と考えられる。マニュアルはあるものの、今年度12月16日大阪府教育センターでの講習のみで実施したが、技能等に不足があるかどうか市教委だけでは、検証が困難である。そのため、DLAの開発に関わった大学等の研究機関との連携による指導助言等が必要と思わる。
・豊中は日本語に課題がある児童生徒については、散在地域であり、日本語指導対応加配がいる学校は小学校2校しかない。この2校をはじめ、市内教職員がDLAのテスターになるための研修等実施していきたいが、校内事情もあるため、そこから、学校内外にどのように広げていけるかは、市教委との連携が必要と思われる。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
<成果>
・ある程度日本語が話せる子供もや全く話せない子供など様々だった。派遣時間が原則50時  間と限られているが、日本語を学べる機会を持てることで、クラスメイトとの交流が活発になり、日本語の勉強にも積極的に取り組む姿勢へと変わっていった。
<課題>
・いろいろな行事に向けての準備に遅れなどの支障が出ないよう配慮することで、クラス単位での取組は難しく、学年全体で授業編成を考えないと有効な日本語指導の時間が確保できない。日本語指導の具体的なカリキュラムや指導方法を具体化する必要がある。

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
<成果>
・初めての日本の学校でドキドキしている子供も、通訳者を通して友達との会話ができ、緊張をほぐして学校生活をスタートしている様子が伺えた。学校も心配をして初日を迎えるが、通訳者を通して子供の一日の様子を詳しく知ることができ、また、担任と保護者と理解が深まり子供への支援にもより積極的に関わることができた。

[6]その他
○渡日児童生徒相談室の開設
<課題>
・多言語進路ガイダンスが唯一の場であり、本人、保護者への貴重な情報提供の場となっているが、その重要性が学校現場ならびに保護者へ十分に周知されているか検討する必要がある。今後本事業に関する周知案内を徹底するとともに参加者を増やしていきたい。
・多言語進路ガイダンスは本市のみの開催ではないので、関連する市町村担当者が情報を共有し、より活発に論議がされるようにするとともに、長期的には必要に応じて外国人児童生徒・保護者への情報提供や教育相談が恒常的に行われるような仕組みつくりを検討したい。

4.その他(今後の取組等)
・DLAをより本格的に始動するにあたり、積極的に学校へ足を運び子供の日本語力の把握と 対応に取り組んでいき、子供のために有益であると、教育現場が実感できるように支援体制 を構築していきたい。
・必要に応じで帰国教室や国際教室、こども日本語教室への通室を促し、子供たちが様々な場 所で日本語を学べる機会の情報提供をより一層増やしていきたい。
・学校へ派遣している日本語指導者については研修会を開催し、限られた派遣時間の中で最大限有効的な授業や指導ができるよう指導内容の意見交換などを行いたい。
・児童が日本語力を伸ばしていくにつれ、保護者との母語コミュニケーションが難しくなる傾向があり、多言語にわたる学校文書翻訳、天災時の緊急連絡応対方法の確立などの諸課題に取り組みたい。

オ 第5回2月27日
・調査(2)各校のふりかえり
・DLAの実施報告
・今年度のふりかえり
・今後の予定
・その他
(2)こどもにほんご教室企画会議
(構成員)とよなかJSL3名、公益財団法人とよなか国際交流協会2名、教育委員会2名
○開催回数・協議内容:
ア第1回企画会議 5月23日 
・年間予定、企画書、協働事業の周知について、
・その他
(9月2日(JSL打合せ)学校への指導者派遣について)
(10月7日(JSL打合せ)学校への指導者派遣について)

イ第2回企画会議11月7日 
・学校へ日本語指導者を派遣するにあたっての派遣方法
・子どもの言語面と生活面でサポートできる相談者の育成について
・その他

ウ第3回企画会議 2月28日 
■本事業評価/振り返りについて
・事業評価(数値報告)
参加児童数(月別/累計)  
指導者数など        
予算の執行状況(月別)   
2/17意見交換会について 
・本事業の評価(振り返り)    
本事業の推進により改善された点など 
反省点/課題        
その他
■次年度事業展望について
・平成26年度(2014年)予算
・企画会議
・指導者養成講座、研修会 等
■その他 
・関係各課/機関より

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
(1)国際教室の実施
・団体名:豊中市教育委員会
・場所:豊中市立桜井谷小学校及び庄内少年文化館
・指導者人数:桜井谷―登録者1人、教育委員会1人、学校の日本語指導担当者1人
庄内―登録者1人、教育委員会1人
・実施形態:桜井谷―毎週水曜 13時00分~16時30分(長期休業中を除く)回数:年間37回
庄内 ―毎週金曜 16時00分~18時00分(長期休業中を除く)回数:年間37回
・参加人数:桜井谷―5~10人(延べ181人) 庄内―5~10人(延べ122人)
・設置目的:渡日児童の受入れが比較的多い小学校(豊中市の北部地域と南部地域)に、多文化につながりを持つ子どもの居場所づくり、基礎日本語力の伸長のための場として国際教室を設置運営。
・指導内容:クラスで出された宿題をこなすことで、宿題が出来ないことによる不安が払拭されるよう、国際教室ではまず各児童の宿題補習指導をした。終了後は日本語カード遊び、言葉ゲーム、折り紙など遊び的要素を取り入れながら指導を行った。また、必要に応じて保護者との懇談会を随時開催しており、学校との連絡調整もし
ている。
(2)プレクラス(初期指導教室)の実施
・団体名:豊中市教育委員会
・場所:児童生徒が通学する各小中学校
・指導者人数:通訳登録者49人、日本語指導者11人
・実施形態:学校への受け入れにあたり学校からの要請時間にもとづき通訳者等を派遣
・参加人数:18人
・設置目的:渡日児童生徒が円滑な日本での学校生活をおくるための初期支援活動を行うため
・指導内容:学校についての説明、簡単な日本語、保護者に対しての書類の書き方や持ち物の
説明などを行った。
(3)帰国教室(帰国サロン・教育相談)の実施
・団体名:豊中市教育委員会
・場所:豊中市立上野小学校
・指導者人数:帰国教室―登録者2人、帰国サロン―担当者1人、教育相談―臨床心理士1人、
他―教育委員会担当者1人
・実施形態:隔週土曜 9時30分~11時30分  帰国教室16回、サロン10回、教育相談会3回
・参加人数:帰国教室5~8人(延べ29人)、帰国サロン5~10人(延べ61人)、教育相談
4~8人(延べ人数10人)
・設置目的:帰国教室―日本語力の向上、未学習教科・領域等の学習、学校生活への適応能力の促進を図るため設置
帰国サロン―海外滞在経験のある保護者らが集い、帰国後の教育・養育上の様々な悩みや相談事について情報交換ができる場として設置
教育相談―学校現場で活動している臨床心理士による教育相談会を実施し、学校生活での悩みなどについてより専門的な相談ができる機会として設置
・指導内容:個々の課題に応じて様々なテキストを活用しながら学習を進めた。また海外にいてなかなか接することの出来なかった日本の文化に対する学びも積極的に取り入れた。(七夕、カルタ遊び 他)
(4)とよなか国際交流センター内、こども日本語教室と教育委員会の協同実施(こども日本語教室)
・団体名:とよなかJSL、公益財団法人とよなか国際交流協会、豊中市教育委員会
・場所:とよなか国際交流センター内会議室
・指導者人数:11人
・実施形態:毎週月曜日、木曜日15時00分~18時00分 土曜日14時00分~16時00分(祝日などは休み)
・参加人数:幼稚園1人、低学年8人、高学年6人、中学生2人、過年度生2人
・設置目的:日本語学習が必要な子どもに教科学力につながる日本語学習の機会の提供と、日本語学習支援サポーターが中心となり、子どもの日本語指導に関する学びと情報共有の場づくりを行い、地域と学校が共同して子どもたちの学びを支援するため実施した。
・指導内容:子ども一人一人の課題を見つけ指導案を毎回作成。発音指導から各教科で使用される日本語の説明の補強まで、読み書きをとおして、学校の授業についていける力をつける指導を行った。

[3]日本語能力測定方法の活用
・大阪府教育センター人権教育研究室へDLA研修に行ったのち、対象児童がいる小学校にて測定を実施した。実施後は、当該校にてビデオ映像を用いて採点・評価会を実施。後日、「豊中市国際教育推進協議会」の「日本語教育に関する実務担当者会」にDLA実施を報告。豊中市在日外国人教育推進担当者会(中学校夜間学級を含む豊中市立の67幼小中学校園の担当者にて構成される会)にて上記映像資料を用いてDLAの技法等を周知した。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
・団体名:豊中市教育委員会
・指導者:教育委員会に登録している日本語指導者
・勤務形態:学校からの派遣要請日時にもとづき派遣
・対象学校種:豊中市立小中学校
・人数:4人

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
・小学校:16校、中学校:4校
・児童生徒:27人(保護者:19人)
・言語:中国語、韓国語、英語、スペイン語、アラビア語(エジプト方言)、ベンガル語、ポルトガル語、ロシア語
・派遣時間:合計611時間(保護者通訳:110.5時間)
・指導内容:教室に入り授業や学校生活の補助を行った。子供どうしをつなぐパイプ役として、会話の中での簡単な言葉を日本語で教える。教科書の横にふりがなをふったり、わからない言葉の箇所は母語を書きこんだ。本読みの練習を一緒にしてみんなの前で発表できるよう補助を行った。懇談や進路相談、家庭の相談など保護者通訳として派遣を行った。
                                       
[6]その他
○教育委員会事務局人権教育室内に渡日児童生徒相談室の開設
・渡日児童生徒相談室では、プレクラス、通訳・日本語指導者派遣業務、帰国教室・国際教室
の開催。また、外国にルーツを持つ児童生徒の諸課題の解決に向けた取組を行った。
(1)児童生徒、保護者及び学校支援
(事例1)家庭の状況が落ち着かず、子どもの体調面、精神面で不安定な様子が目立つようになってきた。校長、担任、保護者、通訳者、教育委員会が集まりケース会議の場を持った。
(事例2)終始落ち着きがない様子だった。クラスや日本語教室内での子どもの様子を注視しながら、担任や校長、教頭、スクールカウンセラー、保護者と情報意見交換を行った
(2)多言語進路ガイダンス実施 
・日時:11月9日  午前 通訳者学習会/午後 進路相談会
・場所:公益財団法人とよなか国際交流協会
・参加者:生徒8人、保護者11人
・通訳者:中国語、韓国語、ネパール語、カタログ語、タイ語、英語、ペルシャ語
・内容:外国にルーツを持つ生徒や保護者を対象とし、豊能地区の高校の進路担当者や先輩から高校生活についての話や情報交換ができる機会を設けた。

3.成果と課題
[1]運営委員会・連絡協議会の実施
(1)国際教育推進協議会会議
<成果>
・日本語指導実務担当者会の日本語調査について活発な意見交換を繰り返しながら、調査票の精査ができた。
<課題>
・本協議会の開催回数が限られるため、実務担当者会との連携がスムーズにいかない場合がある。
(2)実務担当者会議(日本語指導)
<成果>
・豊中市独自の日本語調査評価作成に向け、日本語指導加配教員がいる学校で調査を先行実施するなどの取り組みや活発な意見交換を進めることができた。
<課題>
・一つ目は、豊中市独自の日本語指導調査(以下、独自調査とする)に当たっての委員の専門性の課題である。この調査は、ある委員個人の専門性に依拠している部分が大きいために、その委員がいないと議論が進まないことがあった。今後、市内各学校で独自調査を実施するにあたっては、この委員への負担が一層強まることが考えられることが課題である。
・二つ目に、独自調査実施に当たっての運営上の課題である。個人情報を収集するために法令等を遵守することや調査をどのように学校現場で活かしていくかの議論が不十分な点である。
(3)こどもにほんご教室企画会議
<成果>
・この会議の中では、予算の執行状況や参加児童数などの報告もあるが、この1年間で教室に来る子供たちの話題が、増えてきたのは良いことであると考えている。大きな方向性の議論をすると同時に、具体的な子供の話をしていく中で今、豊中の子供たち一人一人にどのような支援が必要か話し合いをすることができた。
<課題>
・運営にあたり十分な予算の確保が課題である。

[2]初期指導教室やセンター校等の設置
(1)国際教室
<成果>
・多文化共生と人権尊重の観点から、外国にルーツを持つ児童自らが自身のルーツに誇りを持って学びあえる場となっており、日本語力の伸長とともに教室内でのコミュニケーションが進んでいる様子を見ることが出来た。
・在校生への周知や交流を通じて原学級児童に国際性を育む機会も提供でき、外国人児童が信頼をおいて、安心して通える「学びの場」としての場所であり、保護者の信頼も高く実施できた。
<課題>
・地理的状況から通級出来ない児童生徒もおり、一人でも多くの外国にルーツを持つ児童生徒を国際教室へつなげたい。
(2)プレクラス(初期指導教室)の実施
<成果>
 ・4月から通学する学校で行うことで、学校の雰囲気や先生の様子などを知る機会が増え、子どもにとっては緊張をほぐす一歩となった。また、学校の先生も子どもの様子を知ることができ、どのようなかたちで受け入れをするか考えられる機会にできた。
<課題>
・学校の一日の流れなどは体験を通してでないと実感がわきにくい。様々な子どもがいるのでニーズにあった初期指導ができる経験と知識の蓄積が課題である。
(3)帰国教室(サロン・教育相談)の実施
<成果>
・在籍する学校での学習に加え、帰国教室を通じて日本語力の基礎を伸ばすことができ、教室内では帰国児童どうしの交流、交遊の様子が盛んに見てとれた。
・保護者にとっても年間10回の保護者サロンを通じて生活・学習・高校進学などの情報交換や交流が行われており、とりわけ海外から帰国して間もない保護者にとっては大変貴重な場となった。また臨床心理士による教育相談も実施し、専門的な助言を受ける貴重な機会ができた。
<課題>
・現況は小学生のみの参加であるが、今後中学生等のクラスの実施を考える。
(4)とよなか国際交流センター内、こども日本語教室と教育委員会事務局の協働実施(こども日本語教室)
<成果>
・継続的に系統立てて日本語の勉強ができるため、しっかりと日本語の力を身につけることができた。
<課題>
・指導者が今後とも話し合いの場を持ち、お互いの情報や意見交換、連絡、連携を密にすることで日本語につまずく子どもたちを支援するネットワークづくりをすすめたい。

[3]日本語能力測定方法の活用
<成果>
・当該の子の日本語の状況を具体的に把握することができ、次の日からの教育活動の中でどのような点に配慮して支援をすればよいかが、一定明確になることは確かである。
・豊中市では、人権教育室・渡日児童生徒相談室が国際教室や帰国教室を実施していることから、その教室にきている子どもであれば、指導者と測定対象者との人間関係ができており、市教委が学校側の協力を得ながら、スムーズに測定を行うことが可能であった。
・採点・評価について当該校の教職員に入ってもらい、その子の状況を共有すると同時に、DLAの手法についても一定周知ができ、DLAの測定内容や結果についても前向きにとらえることができた。
<課題>
・DLAのテスターを務めるためには、一定の技術が必要なことから、研修が必須と考えられる。マニュアルはあるものの、今年度12月16日大阪府教育センターでの講習のみで実施したが、技能等に不足があるかどうか市教委だけでは、検証が困難である。そのため、DLAの開発に関わった大学等の研究機関との連携による指導助言等が必要と思わる。
・豊中は日本語に課題がある児童生徒については、散在地域であり、日本語指導対応加配がいる学校は小学校2校しかない。この2校をはじめ、市内教職員がDLAのテスターになるための研修等実施していきたいが、校内事情もあるため、そこから、学校内外にどのように広げていけるかは、市教委との連携が必要と思われる。

[4]日本語指導ができる支援員の派遣
<成果>
・ある程度日本語が話せる子供もや全く話せない子どもなど様々だった。派遣時間が原則50時間と限られているが、日本語を学べる機会を持てることで、クラスメイトとの交流が活発になり、日本語の勉強にも積極的に取り組む姿勢へと変わっていった。
<課題>
・いろいろな行事に向けての準備に遅れなどの支障が出ないよう配慮することで、クラス単位での取組は難しく、学年全体で授業編成を考えないと有効な日本語指導の時間が確保できない。日本語指導の具体的なカリキュラムや指導方法を具体化する必要がある。

[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
<成果>
・初めての日本の学校でドキドキしている子供も、通訳者を通して友達との会話ができ、緊張をほぐして学校生活をスタートしている様子が伺えた。学校も心配をして初日を迎えるが、通訳者を通して子どもの一日の様子を詳しく知ることができ、また、担任と保護者との理解が深まり子どもへの支援にもより積極的に関わることができた。

[6]その他
○渡日児童生徒相談室の開設
<課題>
・多言語進路ガイダンスが唯一の場であり、本人、保護者への貴重な情報提供の場となっているが、その重要性が学校現場ならびに保護者へ十分に周知されているか検討する必要がある。今後本事業に関する周知案内を徹底するとともに参加者を増やしていきたい。
・多言語進路ガイダンスは本市のみの開催ではないので、関連する市町村担当者が情報を共有し、より活発に論議がされるようにするとともに、長期的には必要に応じて外国人児童生徒・保護者への情報提供や教育相談が恒常的に行われるような仕組みつくりを検討した
い。

 

4.その他(今後の取組等)
・DLAをより本格的に始動するにあたり、積極的に学校へ足を運び子どもの日本語力の把握と対応に取り組んでいき、子どものために有益であると、教育現場が実感できるように支援体制を構築していきたい。
・必要に応じで帰国教室や国際教室、こども日本語教室への通室を促し、子どもたちが様々な場所で日本語を学べる機会の情報提供をより一層増やしていきたい。
・学校へ派遣している日本語指導者については研修会を開催し、限られた派遣時間の中で最大限有効的な授業や指導ができるよう指導内容の意見交換などを行いたい。
・児童が日本語力を伸ばしていくにつれ、保護者との母語コミュニケーションが難しくなる傾向があり、多言語にわたる学校文書翻訳、天災時の緊急連絡応対方法の確立などの諸課題に取り組みたい。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成26年10月 --