【ポイント解説】バリアフリートイレ
バリアフリートイレの配置

バリアフリートイレの整備については、配慮を要する児童生徒等が支障なく安心して学校生活を送ることができるようにするとともに、地域住民の災害時の避難所としても重要な整備です。
(バリアフリートイレの配置、仕様等について)
- 洋式便器を採用するなど、生活様式や児童のニーズ等を踏まえた便所を計画することが重要である。また、障害のある児童生徒、教職員及び学校開放時又は避難所開設時の高齢者、障害者等の要配慮者の利用を踏まえた多様な便所を計画することが重要である。
- 便所は、障害のある児童生徒等の利用に配慮した計画とし、車いす使用者が円滑に車いすから便座に移動でき、支障なく便座を利用できるよう腰掛便座や手すり等の配置や十分な空間が確保された車いす使用者用便房を各階に設置することが重要である。この際、介助等の観点や施設の規模、利用者のニーズ等を考慮しつつ、男女共用の便房を一つ以上計画することが望ましい。
※支障なく、緊急通報ボタンや、洗浄ボタン等の各種設備を利用できるよう、操作ボタンの配置にも配慮する。
標準的な車いす使用者用トイレの設計例
便所、劇場等の客席、駐車場に係るバリアフリー基準の見直しについて
(令和6年11月 国土交通省 住宅局 参事官(建築企画担当)付)より
[バリアフリー基準における規定]
【車いす使用者用便房】
- 便所設置階ごとに、車いす使用者用便房を原則1以上(当該車いす使用者用便房に男子用及び女子用の区別を設ける場合にあっては、それぞれ1以上。)設置※。
※1,000平方メートル未満の小規模階、10,000平方メートル超の大規模階における規定については、「建築物のバリアフリー基準の見直し(PDF ※別ウィンドウで開きます)」(国土交通省)P1~3を参照。
- 車いす使用者用便房の構造は、次に掲げるものとする。
- 腰掛便座、手すり等を適切に配置
- 車いす使用者が円滑に利用することができるよう十分な空間を確保
※校舎と屋内運動場などが別棟の場合など、敷地内に複数の棟があるケースでは、バリアフリートイレがある棟に、車いす使用者等が他の棟から円滑に移動し、利用できる場合には、それぞれの棟にバリアフリートイレの設置を求めない規定となっていますが、児童生徒等が休憩時間内の教室移動を円滑に行えるように配置することが重要です。
当事者からのコメント(車いす使用者)
バリアフリートイレが1か所しかないと、移動に時間を要してしまい、次の授業開始の時間に間に合わないこともあります。また、人によってはトイレを我慢して、健康を害してしまう可能性もあります。
【オストメイト用設備を有するトイレ】
- 便所のうち1以上には、高齢者、障害者等が円滑に利用することができる構造の水洗器具を設けた便房を1以上(当該便房に男子用及び女子用の区別を設ける場合にあっては、それぞれ1以上)設置。
【男子用小便器】
- 男子用小便器を設ける便所のうち1以上には、床置式の小便器、壁掛式の小便器(受け口の高さが35センチメートル以下のもの)その他これらに類する小便器を1以上設置。
- 車いす使用者用便房を設置する便所については、便所及び便房の出入口並びに通路について、車いす使用者の通行が可能な幅員を確保することが重要である。
- 高齢者、障害者用の便器、手すり等の設備を設置した便房、オストメイト対応の水洗器具を、一般の便所内あるいは適切な位置に確保することが重要である。
- 床面は滑りにくい仕上げとし、便所及び便房の出入口並びに通路は段差をなくすとともに、出入口に戸を設ける場合には円滑に利用できる仕様とすることが重要である。
- 小便器の一個以上は、床置式又は壁掛式低リップとし、手すりを設置することが重要である。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)より
当事者からのコメント(発達障害)
トイレの整備は日常の生活環境と仕様を揃えていくことが必要です。例えば、男性用小便器については、日常生活では利用がないので、発達障害の児童等にとっては利用が困難なケースがあります。
- 車いす使用者などの障害のある児童生徒等が休憩時間内の教室移動を円滑に行えるよう、車いす使用者用便房を配置することが重要である。とりわけ、新築・改築時のバリアフリー基準への適合が求められる場合はもとより、長寿命化改修等の大規模な改修時の機会を活用して、各階かつ障害のある児童生徒等が使いやすい位置に車いす使用者用便房を設置することが重要である。
- 車いす使用者用便房、オストメイト対応の水洗器具、オムツ交換台、シャワー等の設置などを組み合わせてバリアフリートイレとする場合については、バリアフリートイレ以外の便所と一体的又はその出入口の近くなど、適切な位置に設置するとともに、車いす使用者の利用に支障が生じないよう、整備する箇所に配慮することが望ましい。また、オムツ交換台については、利用する児童生徒等の体格も考慮して、大型のベッドを設置するなどの対応も重要である。この際、車いす使用者が円滑に利用できるよう、十分な広さを持った便房とすることが重要である。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)より
- 車いす使用者用便房には、緊急通報ボタンを設置することが重要である。
- 洗面台の一個以上は、座位でも容易に使用できる高さ、使いやすい水栓の設置、車いすでひざ下が入るスペースの確保等の措置を講じることが重要である。
- 視覚障害者の利用に配慮して、洗浄ボタン、ペーパーホルダー等の機器の配置については、日本産業規格(JIS)※を踏まえ、統一することが望ましい。
※JIS S 0026(公共トイレにおける便房内操作部の形状、色、配置及び器具の配置)
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)より
[バリアフリー検討部会からのアドバイス]
バリアフリートイレにおける器具の配置について
JIS S 0026(公共トイレにおける便房内操作部の形状、色、配置及び器具の配置)では、操作部及び紙巻器の設置寸法も定められています。小学校では、車いすを使用する児童等の利用しやすさに配慮して、便座上面先端から各器具までの垂直距離は、下限の寸法(2007年制定時点)を採用することが適切です。
当事者からのコメント(感覚過敏)
芳香剤のにおいが苦手な子供や、ジェットタオルや自動洗浄の音等、意図せず突然聞こえる音が苦手でトイレを怖がる子供がいます。バリアフリー化に関する検討事項の一つとして、音やにおい、照明への配慮があります。
- 視覚障害者の利用に配慮して、案内板等に便所の位置及び男女の別を点字等により表示することが重要である
- 視覚障害者や聴覚障害者の利用に配慮して、便房の戸に使用中か否かの表示装置を設置するなど、わかりやすいものとすることが重要である。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)より
- 聴覚障害者の利用に配慮して、緊急時であることを知らせるための光警報装置を設置することが望ましい。
※光警報装置は便房内に設置することが望ましい。
※光警報装置ピクトグラムは、JIS Z 8210(案内用図記号)に規定されている。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)より
- 屋内運動場に車いす使用者用便房等障害のある人が利用できる便所がない学校については、災害時に避難所となることを想定し、校舎等の隣接する建物の便所と共有して使用できるようにしたり、障害のある人も使用できるマンホールトイレ等の災害時用トイレの設置を計画したりするなどの対策も重要である。
[事例]
[バリアフリー検討部会からのアドバイス]男女共用のトイレ
令和7年6月施行のバリアフリー法施行令の改正により、バリアフリー基準の適合義務のかかる建築物の新築等の際には、各階に車いす使用者用トイレが設置されることになりました。この車いす使用者用トイレを含め施設内のトイレの計画・設計においては、車いす使用者の利用のしやすさ等を踏まえたものとすることに加えて、視覚・知的・発達障害者等への異性による介助や性的マイノリティの利用への配慮から、男女共用の広めのトイレを設置することも考慮が必要です。
[事例]
建築物移動等円滑化誘導基準に相当する整備内容や設計例等については、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月国土交通省)の「第2章 10.便所・洗面所」(P100~P129)を参照。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001892119.pdf(※別ウィンドウで開きます)



