学校法人会計問答集(Q&A)第17号 計算書類の注記事項の記載について[4]

学校法人の出資による会社に係る事項
Q19 学校法人の出資による会社に係る事項の具体的な記載例はどのようなものですか。
A  当該項目は、平成13年6月8日及び平成14年1月7日の文部科学省高等教育局私学部参事官通知により、貸借対照表に学校法人の出資割合が2分の1以上の会社がある場合に、注記として記載するように第1号通知で定められている。また、学校法人委員会報告第38号「学校法人の出資による会社に係る注記に関する監査上の取扱い」(平成14年1月17日)により、その記載例が定められている。当該項目も注記事項の一つであるため、記載内容は従来と変わるところはない。
ア. 名称及び事業内容
イ. 資本金又は出資金の額
ウ. 学校法人の出資金額等及び当該会社の総株式等に占める割合並びに当該株式等の入手日
エ. 当期中に学校法人が当該会社から受け入れた配当及び寄附の金額並びにその他の取引の額
オ. 当該会社の債務に係る保証債務

【記載例1】
学校法人の出資による会社に係る事項
 当学校法人の出資割合が総出資額の2分の1以上である会社の状況は次のとおりである。
学校法人の出資による会社に係る事項【記載例1】
【記載例2】
学校法人の出資による会社に係る事項
当学校法人の出資割合が総出資額の2分の1以上である会社の状況は次のとおりである。
1  名称及び事業内容 株式会社丸丸清掃・警備・設備関連業務の委託
2  資本金の額バツバツバツ
3  学校法人の出資金額及び当該会社の総株式等に占める割合並びに当該株式の入手日
平成バツバツバツバツバツバツ   バツバツバツ バツバツバツ
総出資金額に占める割合   バツバツパーセント  
4  当期中に学校法人が当該会社から受け入れた配当及び寄附の金額並びにその他の取引の額 受入配当金バツバツ円、寄付金バツバツ円、当該会社からの長期借入金バツバツバツ
5  当該会社の債務に係る保証債務
学校法人は当該会社について債務保証を行っていない。

主な外貨建資産・負債
Q20 主な外貨建資産・負債の注記は、どのように記載するのですか。
A
 外貨建の預金及び借入金等は、外貨建を円貨に換算して表示するが、これらの外貨建資産・負債等は、為替変動の影響を受けることにより、学校法人の財政及び経営の状況に影響を及ぼすことがある。計算書類上は外貨建であることが表示されないので、主な外貨建資産・負債につき、取得時又は発生時の為替相場で換算している場合には、その旨、年度末日の為替相場による円換算額及び換算差額を注記することとなる。なお、外貨建有価証券については、為替変動の影響が有価証券の時価情報の注記に含まれることになるため、記載を要しない。

【記載例】
主な外貨建資産・負債の表
偶発債務
Q21 偶発債務の注記は、どのように記載するのですか。
A  偶発債務は、将来において当該法人の負担となる可能性のあるものをいい、将来債務を負う又は損害を被る可能性が年度末日において既に存在しているため注記が求められるものである。なお、学校法人の出資による会社に係る事項で当該会社の債務による保証債務を注記している場合には、重複することになるため、ここでの記載を要しないと考えられる。

【記載例】
偶発債務
ア. 債務保証を行った場合
  下記について債務保証を行っている。
  教職員の住宅資金借入バツバツバツ
 
役員の銀行借入金   バツバツバツ
A学校法人(姉妹校)の銀行借入金   バツバツバツ
B社(食堂業者)の銀行借入金   バツバツバツ
理事(又は監事)が取締役であるC社の銀行借入金   バツバツバツ
イ. 係争中の事件がある場合
   当学校法人を被告とする丸丸事件についてさんかくさんかくと係争中であり、バツバツバツ円の損害賠償請求を受けている。
ウ. 手形の割引又は裏書を行った場合
 
手形の割引高   バツバツバツ
手形の裏書譲渡高   バツバツバツ

所有権移転外ファイナンス・リース取引
Q22 所有権移転外ファイナンス・リース取引の記載例は具体的にどのようなものですか。
A
 当該項目は、委員会報告第37号により、貸借対照表に注記すべき場合が定められている。なお、学校法人においてリース料総額に重要性がない場合には当該注記は省略することができる。

【記載例】
所有権移転外ファイナンス・リース取引
通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っている所有権移転外ファイナンス・リースは次のとおりである。
所有権移転外ファイナンス・リース取引の表

純額で表示した補助活動事業の収支
Q23 純額で表示した補助活動事業の収支の記載例は具体的にどのようなものですか。
A
 「1.重要な会計方針」で補助活動事業の収支を純額表示している旨の注記を行った場合には、収支相殺の範囲及び金額を注記する必要がある。

【記載例】
純額で表示した補助活動事業の収支
純額で表示した補助活動事業の収支を相殺した科目及び金額は次のとおりである。
【記載例】純額で表示した補助活動事業の収支の表

関連当事者との取引の注記
Q24 学校法人における関連当事者との取引を注記することの意義はどのようなことですか。
A  関連当事者との取引は恣意性の介入する余地があるため特に透明性が要求される。したがって、関連当事者が自己又は第三者のために学校法人と取引を行った場合には、取引内容を記載することによって学校法人の計算書類の透明性を高めることとなる。

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