多様で複雑な地震活動のもと、熊本地震列や東北沖前後の大地震、南海トラフ地震、1938年福島沖のような、連発大地震発生や強い群発地震の可能性を考慮した短期確率予測および即時把握をするため、地殻変動や地震動モニタリングを含む有益なモデルの開発・展開・実装を目的とする。そのため統計地震学や多変量時系列解析を含む統計科学の最新の高次元大容量の計算方法を活用して、地震発生の長期・中期・短期予測と即時把握とそれらの信頼度を与える。先ず、時空間ETASモデルを震源データの不均質性などを克服し高度化し、地殻変化や地震活動の異常変化などを考慮し、長期・中期・短期といった異なる時間スケールの確率予測とそれらの複合的確率予測をオンライン・システムに実装する。オンライン確率予測の出力は、既存および新規の観測網配置最適化と緊急地震速報の事前シナリオに活用するとともに、システムの信頼性を向上させるための事前情報として使用する。観測された地震と予測結果を比較することで、時空間的なモニタリング範囲と精度の不均一性を評価する。
統計数理研究所 庄建倉