情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-Eプロジェクト)

研究課題⑤(研究代表者:統計数理研究所 庄建倉)

長期から即時までの時空間地震予測とモニタリングの新展開

研究概要

多様で複雑な地震活動のもと、熊本地震列や東北沖前後の大地震、南海トラフ地震、1938年福島沖のような、連発大地震発生や強い群発地震の可能性を考慮した短期確率予測および即時把握をするため、地殻変動や地震動モニタリングを含む有益なモデルの開発・展開・実装を目的とする。そのため統計地震学や多変量時系列解析を含む統計科学の最新の高次元大容量の計算方法を活用して、地震発生の長期・中期・短期予測と即時把握とそれらの信頼度を与える。先ず、時空間ETASモデルを震源データの不均質性などを克服し高度化し、地殻変化や地震活動の異常変化などを考慮し、長期・中期・短期といった異なる時間スケールの確率予測とそれらの複合的確率予測をオンライン・システムに実装する。オンライン確率予測の出力は、既存および新規の観測網配置最適化と緊急地震速報の事前シナリオに活用するとともに、システムの信頼性を向上させるための事前情報として使用する。観測された地震と予測結果を比較することで、時空間的なモニタリング範囲と精度の不均一性を評価する。









実施体制図





研究代表者メッセージ

  • 研究代表者メッセージ
  • 決定論的「地震予知」が困難であることは複雑系科学の宿命です。しかし、今日では大規模に各種関連データが蓄積されており、これらから確率的な予測をめざすことが求められています。本プロジェクトは、地震活動や地殻活動の定量化モデルに基づく確率的な予測を行い、さらに地震学的知見の有用性についても研究を進め地震学に貢献します。特に長期・中期・短期の多項目複合確率により、より高い確率利得のリアルタイム予測で実装し、想定された地震学的シナリオの予測確率のもと地震動の予測や緊急観測網の機動的な展開を行います。長期・中期・短期・即時といったマルチ時間スケールの観点から、情報科学・統計科学の手法とサブプロジェクト間の研究連携により、それぞれの専門分野の特長を活用し地震分野の発展と地震防災の対策に貢献をもたらします。

    統計数理研究所 庄建倉


関連リンク

研究課題HP
庄建倉
尾形良彦
矢野恵佑
山田真澄
Stephen Wu
岩田貴樹
楠城一嘉