

8名の方々からのおすすめ本をご紹介します。急なお願いにもかかわず、快くお引き受けくださったご厚情に深く感謝申し上げます。紹介者はお名前の五十音順とさせていただきます。本キャンペーンは、以降継続して行います。

盛山 正仁 文部科学大臣からのメッセージ
皆さんが勉強や部活動等、様々なことに向き合う日常の中で、自分の状況に思い悩む時があるかもしれません。あるいは、新しい世界を知りたい時、リラックスしたい時もあるかもしれません。
そんな時は、本の世界を訪れてみませんか?
読書を通じて、多くの知識を得られたり、先人の経験・生き方や多様な文化を知ることができたり、深く広い想像の世界の物語に心を動かされることもあると思います。
皆さんが夢中になれる本がきっとあると思います。
この度、教育、科学技術・学術、文化やスポーツの分野で活躍中の皆様から、中高生時代に読んでいた本や、最近読んで面白いと感じた本、影響を受けた本など、「きみに贈りたい1冊」を御紹介いただくとともに、皆さんへのメッセージをいただきました。
皆さんが、これから先、自らの学びや支えとなる本と出合い、将来に向かって進んでいただけるよう願っています。

私たちのおすすめの本を
紹介します!

上白石 萌音さん
(俳優・歌手)
2011年に芸能界入りし、映画『舞妓はレディ』『君の名は。』、ドラマ『カムカムエヴリバディ』、舞台『千と千尋の神隠し』などに出演。エッセイ「いろいろ」や翻訳本の執筆もしている。

『本の運命』
井上ひさし 著
文春文庫
作家の井上ひさしさんが、ご自身と本との関わりを語っておられる一冊です。表紙から難しそうな印象を受けるかもしれませんが、騙されたと思って一行目だけでも読んでみてほしい!軽快でユーモアに富んだ口語体の文章がとても読みやすく、ページから声が聞こえてきそうなのです。本を読む気力を呼び覚ましたいときに、特におすすめです。読み終わったら本屋さんや図書館に走りたくなるはず。
メッセージ
学校や塾や家での勉強で、読まなければいけない文章に追われる日々だと思います。そういう時って、「自由な時間まで文章を読みたくない」と思うかもしれません。私にもそんな時期、あります。でも、自分から「読みたい」と思って読むことはとてもいい気分転換になると思います。気が向いたら、書棚の前に立って、何冊かちょっとずつめくって、これならスラスラ読めそうだなと思うものがあれば連れ帰ってみてください。相性の良い本は、読者を一瞬で別世界に連れていってくれます。

金城 梨紗子さん
(TEAM JAPANシンボルアスリート レスリング競技)
サントリービバレッジソリューション株式会社所属。レスリング選手の両親の下で育ち、小学2年生からレスリングを始める。2016年リオデジャネイロ63㎏級金メダル。2017年世界選手権60㎏級金メダル。2018年世界選手権59㎏級金メダル。2019年世界選手権57㎏級金メダル。2021年 東京オリンピック女子57kg級 金メダル。その後結婚、女児を出産し一児の母として現役復帰し全日本選手権59㎏優勝。趣味は娘の服を買うこと。

『チーズはどこへ消えた?』
スペンサー・ジョンソン 著
門田美鈴 訳
扶桑社
2匹のネズミと2人の小人が、迷路を駆け巡ってチーズを探す物語です。
ある日、迷路の中のある場所で大量のチーズを発見し、毎日大量のチーズを食べながら過ごしていきます。しかし、毎日食べてチーズは少しずつ減っていき、チーズがなくなってしまいました。
そこから、ネズミはすぐに新しいチーズを探しに。小人はチーズが戻ってくるかもと無駄な期待をします。この本の中のチーズは自分の追い求めるものを表していて、その目標に対してどのように向き合い取り組んでいくかという考え方を表している本です。
私はこの本を読んで、状況の変化に素早く適応する必要性、またその変化を恐れず楽しむことの重要性を学び、競技に取り組むにあたって、その時どう行動すべきかをよく考える事ができるようになりました。
メッセージ
何かに悩んだり、迷っている時に手にした本が、その時自分に必要な何かのヒントを与えてくれることもあります。まずはふと目にして気になった本を手に取りページを開いてみてください。その1歩が目標への大切な1歩になるかもしれません。

古坂大魔王さん
(芸人・プロデューサー)
1992年お笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。ピコ太郎プロデューサー。文部科学省・CCC大使、総務省・異能vation推進大使。現在は、バラエティ番組をはじめ、コメンテーターとして情報番組への出演、世界のトップランナーと音楽、エンターテインメント等についてトークセッションを行うなど、幅広い分野で活躍中。

『14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト』
飲茶 著
二見書房(表紙画像)
河出文庫
「「なんで人殺しはいけないの?」などの厨二全開の斜に構えた「極端で幼稚な発想」。だが、この十四歳の頃に迎える感性で偉大な哲学者たちの論を見直せば、難解な思想の本質が見えてくる!」(河出文庫より)
↑この紹介文を読んでピンと来たら読んで損はないと思います。そう、損はない!
ここなんです。得もないかも!だから哲学なんです!
メッセージ
哲学と聞いて…難しい!って思う人は多いはず!俺もそうです!でも、この飲茶さん!
そこをわかりやすく楽しく書く天才!この世界、答えのないものが多すぎる!
だからこそ、答えのない問いと答えを考える基本のCPU「哲学脳」を育てると無敵なんです!宗教学や科学や物理学やさまざまの基本となっているのが哲学!何か疑問に思ったら…そこが哲学の始まり!いけ、スタート!

髙木 美帆さん
(TEAM JAPANシンボルアスリート スピードスケート競技)
北海道幕別町生まれ。5歳からスピードスケートを始め、ジュニア時代から国際大会で活躍。オリンピックでは2010バンクーバー大会で代表初選出。2018平昌大会では金銀銅3つのメダルを獲得。さらに2022北京大会では5種目に出場し、4種目でメダルを獲得した。オリンピックの通算メダル獲得数が夏冬を通じて日本女子選手最多となった。

『筋肉のしくみ・はたらき ゆるっと事典』
坂井建雄 監修
永岡書店
筋肉の仕組みや働きを図や漫画でわかりやすく解説されている1冊。スポーツに取り組む上で、自分の体に早い段階で興味を持つことはとても大切なことだと私は思っています。小難しい専門書よりも取り掛かりやすく、自分の「なぜ?」をさらに深掘りできるきっかけになる本だと思います。
メッセージ
学生は勉強も大切・競技も大切・学校生活も大切!やりたいことがたくさんあると思いますが、その忙しい中でも自分の体に興味・関心を持ったり知識を増やしていくことは、競技生活が長くなるにつれ、他者と差がつく部分だと思っています。
「時間の蓄積」だけは、どんなに努力してもどんなに願っても、後から巻き返したり、挽回することがとても難しいもの。大人になってから、ああしておけばよかったと後悔することのないよう、今を全力で過ごしてほしいなと思います。

中江 有里さん
(俳優・作家・歌手)
1973年大阪府生まれ。法政大学卒。89年芸能界デビュー。NHK朝の連続テレビ小説『走らんか!』ヒロイン、映画『学校』、『風の歌が聴きたい』などに出演。NHK BS2『週刊ブックレビュー』で長年司会を務めた。読書に関する講演、小説、エッセイ、書評も多く手がける。著書に小説『わたしたちの秘密』(中公文庫)、『水の月』(潮出版社)、『万葉と沙羅』(文藝春秋))など。2023年7月 Newシングル「二人の掟」リリース。文化庁文化審議会委員。天理大学客員教授。

『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』
ファン・ボルム 著
牧野美加 訳
集英社
「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」は韓国の架空の町にある書店を舞台にした小説です。
新米女性店主と店に集う人々たちとのエピソードの奥にはそれぞれの悩み、韓国の就職事情、家庭問題が描かれています。合間に挟まれるのは、実在する本や映画。主人公たちは対話や複数人での読書会で、作品の感想を通して互いのことを話します。
中に親から命じられ、書店に来る高校生がいます。何事にも無気力な彼に女性店主は「ライ麦畑でつかまえて」を勧めました。やがてその本を読んだ彼は大きな決断をします。
メッセージ
誰にも大きな選択を経て、あらたな場所へ足を踏み出す瞬間が訪れます。悩んでいる時は本の声を聞いてください。本の声とは、本に書かれていることではなく、本から照らし出される自分の声。自分の道は自分で選択しなければなりません。もし道を間違えても、他の道を行けばいいのです。道は無数にあります。周囲の意見は参考にとどめて、ご自身だけの道を探してください。

野村 萬斎さん
(狂言師)
狂言、能の公演に出演するほか、現代劇、テレビ・映画などの映像にも出演。また能・狂言の技法を駆使した演劇、映画などの演出・監督も勤める。NHKEテレ「にほんごであそぼ」に20年間出演。近年は能狂言「鬼滅の刃」の公演を演出・出演して好評を博した。

『中島敦全集 1-小説』
中島敦 著
高橋英夫 編集
勝又浩 編集
筑摩書房
※版元品切れ
高校生の国語の教科書に中島敦の「山月記」が取り上げられていることが多いと思う。彼の代表作であり、喘息という重い病に冒されながら自分という存在に常に疑問を持ち続けて夭折した作家である。山月記は自分を持て余してついには虎になってしまう話である。今でこそ高い評価を受けているが、自分の小説が評価されず、人生の光に憧れ、影に怯えた彼の人生観が他の作品にも反映されている。
メッセージ
自我が芽生え、自分という存在の不思議に気付く時、色々のことを教えてくれる本である。時に悲観的に、時に物凄く楽観的に人生を捉えて提示してくれる。特にこれから大人にならなくてはと思う時、逆に大人になりたくないと思う時にも面白く読めると思う。先ずは「山月記」「名人伝」を読んで欲しい。貴方はそれぞれの主人公のどちらの道を選ぶかな?「生きることは?」と考えながら生きる。これが人生かも知れない。

益子 直美さん
(公益財団法人日本スポーツ協会副会長・日本スポーツ少年団本部長)
共栄学園高等学校時代、第15回春高バレーで準優勝に輝き、高校3年生で全日本代表に選出。その後、イトーヨーカドー女子バレーボール部に所属し第23回日本リーグで優勝。1992年に現役を引退。現在は2021年に「一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会」を設立し、「怒ってはいけない大会」をさまざまなスポーツに広めるため活動しているほか、2023年6月23日、女性初のスポーツ少年団本部長に就任し精力的に活動している。

『君を見上げて』
山田太一 著
新潮文庫
※版元品切れ
ソウル行きのジェット機で出会った身長182cmの女性と163cmの男性が織り成す大人のラブストーリーです。現役当時、練習に明け暮れる苦しかった日々、プライベートの時間はなく恋愛へのあこがれをいだく中、背の高さを気にしていた当時の自分自身を182㎝あるヒロインに重ねながら、普段経験できない恋愛のドキドキを味わっていました。19㎝の身長差というコンプレックスを乗り越え、本当に大切なことは何かを教えてくれるおすすめの本です。この本に出会ったお陰か、私自身も夫より背が高いです!
メッセージ
本を通じて様々な経験や考え方に触れることは、自分自身の人生を2倍にも3倍にも豊かなものにしてくれます。部活動や勉強等で忙しい日々を送る中では、本に触れる時間が少ないかもしれませんが、1冊の本との出会いが未来を切り開く1つのきっかけとなるかもしれません。是非、多くの本に触れていただきこれからの人生を豊かなものにしていってください。

三宅 宏実さん
(国際ウエイトリフティング連盟理事・ウエイトリフティング指導者)
中学3年で重量挙げを始める。2004年アテネ五輪出場、2008年北京五輪4位。2012年ロンドン五輪銀、2016年リオデジャネイロ五輪銅、2021年東京五輪出場。同年現役引退。趣味は読書・旅行。好きな言葉は「今出来る事を精一杯やる」(怪我をして練習できなかった時、今何が出来て何ができないかをしっかり考え、その時できることを精一杯やろうと思いました)

『夢をかなえるゾウ 1』
水野敬也 著
文響社
私がロンドンオリンピックで銀メダル獲得に力をくれた大好きな一冊です。ゾウの姿をした神様が主人公に課題をだし人生を好転させ成功に導くストーリーです。シンプルで笑いと涙ありの楽しめる素敵な本です。
私も実際に課題を実践してみました。照れくさい課題もありますが楽しく、心の持ち方や考え方が広がりました。練習以外にも目を向けるようになり気づき、記録の向上にも繋がりました。悩んでいるときに本から答えやヒントを教えてもらえます。私にとって人生に影響を与えてくれた素晴らしい本です。
メッセージ
中高生の皆さん、毎日勉強や部活動、習い事や好きなことに没頭したり、1日があっという間の日々をお過ごしの事と思います。年齢とともに時間がたつのがもっと早く感じます!皆さん、一人一人が素晴らしい能力や長所を沢山もっています。自信をつけるためには様々な経験が必要になります。人は経験と共に成長していきます。その途中で失敗やうまくいかないことは沢山ありますが、日々挑戦の連続です。一人ではなく応援してくれる人が必ず近くにいて、手を差し伸べてくれる人たちがいることを忘れず、焦らず今というこの瞬間を何事においても楽しんでほしいと思います!

<スポーツ×読書>
読書でリラックス~選手の活躍支えた本のカフェ&サロン~
先般9月23日から10月8日まで中国・杭州で開催されたアジア競技大会。日本の選手達が大躍進し、メダルラッシュに沸きました。
本大会では、日本の選手村での初めての取組として、小説や漫画などたくさんの本が自由に読めるカフェ&サロンが設けられ、メディアの注目を集めました。
日々の競技等で大きなプレッシャーがかかる選手達。カフェ&サロンは、選手がリラックスして良い状態でいられるようにと設置されたもので、元オリンピック選手でもあるTEAM JAPAN副団長等のアイデアで生まれました。

選手村外観 (日本オリンピック委員会(JOC)提供)

チームジャパン カフェ&サロンの様子(JOC提供)
カフェ&サロンにはTEAM JAPAN本部や専門家、スタッフのリクエストで集められた本が並び、その数、65種類135冊!小説、絵本、経営、漫画、とバラエティに富んだラインナップだったようです。

カフェ&サロンに並んだ本(JOC提供)

カフェ&サロンでの選手の様子(JOC提供)
一挙公開!選手たちのブックリスト
今回の子供の読書キャンペーンでは、実際にアジア大会の選手村で並んだブックリストを一挙公開!日々、部活動や勉強等に向き合う皆さんにとって、リラックスや励みになる本、楽しめる本も盛りだくさん。ここで少し御紹介!特別な一冊が見つかりますように!
こちらをクリックすると、カフェ&サロンの本のリスト(65種135冊)が開きます。
※下記はブックリスト(JOC提供)から文部科学省抜粋・作成
『ま、いっか!』
作:サトシン 絵:ドーリー(えほんの杜)
ある朝、テキトーさんは目覚まし時計の音で目をさましました。けれど、なぜだかもう遅刻の時間です。それでもテキトーさんは「ま、いっか!」。
次から次へと失敗を繰り返すテキトーさん。「ま、いっか!」とやり過ごしていくうちに思いもよらない場所にたどり着いて…。
引用:“作:サトシン,絵:ドーリー『ま、いっか!』絵本特集“.えほんの杜.https://ehonnomori.co.jp/ehon/topics/90418834/ ,(参照2023-10-25)
『世界がもし100人の村だったら 完結編』
編:池田香代子・マガジンハウス(マガジンハウス)
世界がもし100人の村だったら…
2001年に発刊された「世界がもし100人の村だったら」はその後シリーズ化。本書は、国連の2015年をターゲットにした「開発目標」を含んだ、未来にむけた完結編
参考:“『世界がもし100人の村だったら 完結編』 — 池田 香代子 編 マガジンハウス 編”. マガジンハウスの本.https://magazineworld.jp/books/paper/1936/ ,(参照2023-10-25)
参考:“『世界がもし100人の村だったら』 — 池田 香代子 著 ”マガジンハウスの本 .https://magazineworld.jp/books/paper/1361/ ,(参照2023-10-25)
『陸王』
著:池井戸潤(集英社)
日々、資金繰りに頭を抱える、老舗足袋屋の四代目社長。存続のために思い立った新しい事業は伝統の技術を駆使したランニングシューズの開発だった。世界的ブランドとの熾烈な競争、素材探し、開発力不足……数々の難問に、従業員20名の地方零細企業が、一世一代の勝負に打って出る。
参考:“陸王/池井戸 潤”集英社.https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-745883-1 ,(参照2023-10-25)
『人生を変えた経験 #アスリートがつなぐ #未来につなぐ』
編:スターツ出版(スターツ出版)
困難に直面した時に、アスリートは何を考え、何を実践してきたのか。
現役・OB・OGアスリートが、子どもたちや若いアスリートをはじめとする多くの方々へ向けてSNSで発信した“ことば”や“想い”を集約。スポーツに関わる方も、そうでない方も、さまざまな困難が立ちはだかった時、何かの「道しるべ」になればという想いが込められた一冊。
参考:“『人生を変えた経験 #アスリートがつなぐ #未来につなぐ』3月11日(金)全国書店で発売”PR TIMES .2022年3月7日.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001482.000000607.html ,(参照2023-10-25)
読書バリアフリー
「誰もが読書をできる社会を目指して」
障害の有無に関わらず、すべての人が読書による文字・活字文化の恩恵を受けられるようにするため、2019年6月に「読書バリアフリー法」が成立しました。さまざまな障害のある方が、利用しやすい形式で本の内容にアクセスできるようにすることを目指しています。
おうちで読書(青空文庫の紹介)
青空文庫はボランティアの方のご尽力によって運営されるインターネット上の電子図書館で、近代の文芸作品など様々な電子書籍が収録されています。
青空文庫を閲覧することのできるスマホアプリも多数配信されています。ご自分のパソコンから、スマホから、読書を楽しんでみませんか。

4月23日は子ども読書の日です
「子どもの読書活動の推進に関する法律」では、4月23日を「子ども読書の日」とすることが定められています。
文部科学省では毎年、特色ある優れた取組を行っている学校、図書館、団体(個人)を表彰するとともに、4月23日に表彰式を行っています。
これまでの表彰校等の取組
これまで表彰された学校、図書館、団体(個人)の取組事例を掲載しています。
4月23日は子ども読書の日です




















