子供の読書キャンペーン~きみの一冊をさがそう~

萩生田光一前文部科学大臣からのメッセージ

 萩生田光一前文部科学大臣

児童・生徒の皆さんへ

 皆さんは本が好きですか?
 本を読むと、今まで知らなかったことを知ることができたり、会ったことのない人や、会えるはずのない人にも出会えたり、行ったことのない場所や知らない国、また宇宙や、過去、未来、夢の世界にだって行くことができます。
 良い本との出会いは、ずっと心に残り、一生の宝物になることもあります。
 最近は、新型コロナウイルス感染症のため、自宅で過ごすことが増えたかもしれませんね。
 このような中でも、たくさんの良い本や好きな本に出会って、多くのことを学び、将来に向かって進んでいってください。

保護者の皆様へ

 この「子供の読書キャンペーン~もっとひろがれ!本の森~」のホームページは、昨年3月に新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業期間における児童生徒の学習の支援方策の一つとして開設したものです。
 このたび、4月23日の「子ども読書の日」に向けて、デザインを一新するとともに著名人のおすすめ本の追加等のリニューアルを行いました。
 保護者の皆様には、このページをきっかけとして御家庭で子供たちと一緒に本を読んだり、子供たちと本の話をしたり、子供たちが本に親しむ機会を作っていただければ幸いです。
 

私たちのおすすめの本を紹介します!(敬称略)

 11名の方々からのおすすめ本をご紹介します。
 急なお願いにもかかわらず、子供たちに届くならと快くお引き受けくださったご厚情に深く感謝申し上げます。

鈴木大地(前スポーツ庁長官)

鈴木大地(前スポーツ庁長官)写真 『彼の生きかた』 表紙画像

『彼の生きかた』 遠藤周作 著(新潮社)
 言葉が不自由なため弱気で、人とうまく接することができない主人公の一平。そのため、人よりも動物を愛し、野生のニホンザルの調査に一身を捧げる決意をする。しかし、無理解な人間たちが立ちふさがるなど数々の壁にぶつかる。自分の意志を大切に、純朴でまっすぐな生き方を貫く姿を描く長編小説。

●子供たちへのメッセージ
 自分がやりたいことを見つけても、その意志を貫き、実現するのは容易なことではありません。主人公が目標に向かってひたむきに努力する姿が、皆さんの心に響くと思います。受験や就職など人生の節目に、ぜひ読んでみてください。

宮田亮平(前文化庁長官)

宮田亮平(前文化庁長官)写真 『じぶんリセット つまらない大人にならないために』 表紙画像

『じぶんリセット つまらない大人にならないために』 小山薫堂 著(河出書房新社)
 くまモン生みの親でもある小山 薫堂さん。アイディアの宝庫であり、人を喜ばせる達人が10代の皆さんに向けて書き下ろした本です。
 「夢は大いに語るべし」、それは人に伝えるということがチャンスを広げることになるからだと言います。
 この本は、見過ごしてきた大切なものを見つめ直し、人生を豊かにする感性や時代を生き抜く創造性を磨くきっかけを与えてくれると思います。

●子供たちへのメッセージ
 昨日とは違う自分。人とは違う自分。それぞれの感性や思いに誇りを持って、これからの文化を皆で創っていきましょう。

古坂大魔王(文部科学省 クロス カルチュラル コミュニケーション大使)

古坂大魔王(文部科学省 クロス カルチュラル コミュニケーション大使)写真 だるまさんシリーズ表紙画像

『だるまさんが』 『だるまさんの』 『だるまさんと』(だるまさんシリーズ) かがくいひろし 著ブロンズ新社)
 だるまさんとその仲間のおりなす、シュールで可愛くて病みつきになる絵本。読み聞かせをしていると、「だるまさんが~」の言葉に反応して子供達も一緒になって読んでしまうという、楽しくコール&レスポンスができる内容になっていて、この本を使って親子で様々なコミュニケーションが取れます!

●子供たちへのメッセージ
 手に取って、感じて、読んで、めくる。そこに君達の未来が詰まってます。
 本さえ読んでれば、この世界は走って行ける!

※以下50音順に掲載

 

秋田喜代美(学習院大学文学部教授)

秋田喜代美(学習院大学文学部教授)写真 『勉強法が変わる本 心理学からのアドバイス』 表紙画像

『勉強法が変わる本 心理学からのアドバイス』 市川伸一 著(岩波書店)
 新学期を迎える前に、小学校高学年から中高校生に読んでもらいたい1冊。どんなふうに自宅でも学校でも学習すると短時間でも効果的に学べるのかを、勉強法(学習方略)の視点から教育心理学という学問の知見をもとにわかりやすく解説。英語や数学でなぜつまづくのかが書かれているので3,4月に特にお薦め。

●子供たちへのメッセージ
 読書は苦手と思っている人も、文学や小説だけでなく、スポーツや科学など様々なジャンルの本が皆さんを新たな世界へ誘ってくれます。

梶田隆章(ノーベル物理学賞受賞者・現東京大学宇宙線研究所所長)

梶田隆章(ノーベル物理学賞受賞者・現東京大学宇宙線研究所所長)写真 『バッタを倒しにアフリカへ』 表紙画像

『バッタを倒しにアフリカへ』 前野ウルド浩太郎 著(光文社)
 本書は、若いバッタ研究者がアフリカの砂漠での自らの研究体験について書いた本です。駆け出しの研究者の研究への想いや、いろいろな苦労が書かれていて、著者に共感するところがたくさんあります。研究というもののリアルな一面を知る機会を与えてくれる魅力的な1冊です。

●子供たちへのメッセージ
 この本は、皆さんが皆さんの将来のことを考えるとき、きっと参考になると思います。

紺野美沙子(俳優・朗読座主宰)

紺野美沙子(俳優・朗読座主宰)写真 『学問のすゝめ』 画像

『学問のすゝめ』 福沢諭吉 著(書影:岩波書店)
 名著として知られる一冊です。皆さん、一万円札でおなじみの福沢諭吉の顔と名前は知っていると思います。
 「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり」という言葉も聞いたことがある、という方も多いでしょう。旧仮名づかいの文章は小学生には難しいかもしれませんが、インターネットで検索すると、現代語訳や漫画など沢山の種類の本があります。まずは、自分がチャレンジしやすい「学問のすゝめ」を読んでみてくださいね。

●子供たちへのメッセージ
 「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」この本はその疑問に答えてくれます。読むとムクムクと学ぶ意欲が湧いてくるから不思議。是非、この機会に読んでみてください。そして大人になっても読み返してみてください。きっと新しい発見があります。

佐藤弘道(タレント・医学博士)

佐藤弘道(タレント・医学博士)写真 『こども六法』 表紙画像

『こども六法』 山崎聡一郎 著(弘文堂)
 法律の本と聞くと難しいイメージがありますが、この本はとても分かりやすくて、とても勉強になります。子どもに限らず、ぜひ親も一緒に読んで欲しい一冊です。

●子供たちへのメッセージ
 いっぱい食べて、いっぱい寝て、いっぱい動くと免疫力が上がって病気が近寄らない体になるよ!そして、いっぱい笑おう!

とよたかずひこ(絵本作家)

とよたかずひこ(絵本作家)写真 『家をせおって歩く かんぜん版』表紙画像

『家をせおって歩く かんぜん版』 村上慧 著(福音館書店)
 この間、東京・竹橋のオフィス街を悠然とリヤカーを引いているおじさんがいた。脇をひもにつながれたイヌが一緒に歩いている。いい風景だった。いっそのこと家ごと移動しちゃえ。それを実践しているのがこの村上さんち。家はすべて発泡スチロール製で手作り。屋根もちゃんと瓦ぶき。日本中気ままにどこへでも行けるのに郵便受けもある(笑)。
 家が歩いている。いい風景だ。

●子供たちへのメッセージ
 物事は多面的に見なければならない。スマホを置き、書を開いてひとりになろう。自分の頭で考えよう。

童門冬二(作家)

童門冬二(作家)写真 『木を植えた男』 表紙画像

『木を植えた男』 ジャン・ジオノ 著、フレデリック・バック 絵、寺岡襄 訳(あすなろ書房)
 著者の若いころの体験物語です。フランスのプロバンス地方に旅をした著者はある山の中で孤独な羊飼いに会います。土地は荒れていて村には住む人もいません。羊飼いは老人で口をききませんが、若者を親切に泊めてくれました。老人は毎日、木の実を荒地に埋めていました。「木の実は必ず木になり、林になり、森になる」と老人はいいます。この本は、そのとおりになった老人の努力の物語です。

●子供たちへのメッセージ
 この本はみなさんに“人のために努力する勇気”を与えてくれます。それも“身近な所で自分に出来ること”を教えてくれます。そして、“小さな努力の積み重ね”が、やがて大きくなり、人のため社会のためになることを教えてくれます。

堀川照代(青山学院女子短期大学教授)

堀川照代(青山学院女子短期大学教授)写真 『ライオンと魔女』表紙画像

『ライオンと魔女』(ナルニア国ものがたりシリーズ) C.S.ルイス 著、瀬田貞二 訳(岩波書店)
 男の子2人と女の子2人の4人きょうだいがイギリスの片田舎の大きな屋敷を探検。衣装だんすのなかを通り抜けると,そこは白い魔女に永遠の冬にされたナルニア国。子どもたちは森の王ライオンのアスランとともに魔女と戦いナルニアに春をよみがえらせます。『ライオンと魔女』ほか全7巻でナルニア国の始まりから終わりまでを描いた壮大なファンタジー。

●子供たちへのメッセージ
 各巻はナルニア国の異なる年代の物語で映画にもなりました。どれから読んでもOK,どれを読んでもわくわく。小学生向けですが私は大学の時に読みました。

山崎直子(宇宙飛行士)

山崎直子(宇宙飛行士)写真 『COSMOS』 表紙画像

『COSMOS』 カール・セーガン 著、木村繁 訳(朝日新聞出版)
 NASA惑星探査の指導者だったカール・セーガン博士は、遥か太陽系外まで飛んでいくボイジャー探査機に、地球の言語や自然の音などを録音した「ゴールデンレコード」を搭載したことでも知られます。「COSMOS」を読んで、私たちは「星の子」、宇宙の一部だと感動したことが、宇宙への興味を深めるきっかけになりました。私たちはどこから来て、どこへ向かおうとしているのか、大きく想像力をかきたてられる本です。

●子供たちへのメッセージ
 私たちが実際に体験できることは限られますが、本は、時代や空間を超えて、様々なことを疑似体験させてくれます。本を通じて、心を大きく旅立たせてくださいね。