3.政策評価の結果の政策への反映状況(1)実績評価(施策目標4-7)


主管課及び関係課 基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成16年度以降の取組)

施策目標4−7 宇宙分野の研究・開発・利用の推進

【主管課】
研究開発局宇宙政策課
【関係課】
研究開発局宇宙開発利用課

宇宙というフロンティア分野で先端科学技術に挑戦し、「人類の将来につながる知見を獲得」するとともに、「社会経済への貢献」及び「宇宙活動基盤の強化」を目指す。

月・地球型惑星、小惑星、磁気圏など太陽系科学探査技術の確立に向けて、第17号科学衛星(LUNAR−A)や月周回衛星(SELENE)の開発、打上げ、運用を行う。また、第20号科学衛星(MUSES−C)「はやぶさ」の運用を行う。

該当なし

○LUNAR−Aについては、搭載部品がリコール対象となったことから、今後の対応を検討することとした。
 SELENEについては、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗等を受け、打上げ年度を平成18年度に変更し、引き続き開発中。
 「はやぶさ」については、平成15年5月に打上げ、平成16年5月に地球スイングバイに成功し、小惑星に向けて順調に航行中。
 以上を踏まえ、施策の進捗にやや遅れが見られる。今後は信頼性の確立を最優先に、衛星の総点検を行ったうえで打上げに向けた準備を行い、また、既に打ち上げられている衛星については着実な運用を行う。

○LUNAR−Aについては、リコール対象部品を交換したが、総点検の結果、搭載するペネトレータ(槍型の貫入体)の開発にさらなる期間と費用を要することが判明したため、計画を見直すこととした。
 SELENEについては、平成18年度の打上げに向け、引き続き着実に開発を実施。
 「はやぶさ」については、平成17年夏の小惑星到着に向け、着実に運用。
 既に打ち上げられている衛星については着実な運用を行う等、太陽系科学探査技術の研究開発を実施した。

宇宙からの天文観測において最先端の観測技術の確立に向け、第21号科学衛星(ASTRO−F)や第22号科学衛星(SOLAR−B)、第23号科学衛星(ASTRO−E2)の開発、打上げ、運用を行う。

該当なし

○ASTRO−Fについては、試験中に不具合が見つかったため、新たな打上げ年度を設定中であり、引き続き開発中。
 SOLAR−Bについては、ASTRO−Fの打上げ年度の変更を受け、打上げ年度を平成18年度に変更し、引き続き開発中。
 ASTRO−E2については、平成16年度の打上げを目指し開発中。
 以上を踏まえ、施策の進捗にやや遅れが見られる。今後は、衛星の総点検の結果を踏まえたうえで、各々の衛星について、打上げに向けた準備を行う。

○ASTRO−Fについては、不具合箇所を改修し、引き続き着実に開発を実施するとともに、打上げ年度を検討中。
 SOLAR−Bについては、平成18年度の打上げに向け、引き続き着実に開発を実施。
 ASTRO−E2については、総点検の結果、抽出された課題の対処の方向性は妥当であるとの宇宙開発委員会の評価を得た。打上げ時期についてはH−2Aの打上げ再開の影響により、平成17年度に変更した。
 各々の衛星の打上げに向けて、宇宙からの天文観測において最先端の観測技術の研究開発を実施した。

高度な地球観測技術の確立に向けて、陸域観測技術衛星(ALOS)や温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の開発、打上げ、運用を行う。また、米国の地球観測衛星(Aqua)に搭載されたAMSR−E、環境観測技術衛星(ADEOS−2)「みどり2」の運用を行う。

該当なし

○ALOS、GOSATについては、それぞれ平成16年度、平成19年度の打上げを目指して開発及び開発研究を実施。
 Aquaに搭載されたAMSR−Eについては、平成14年5月に打ち上げられ、観測データの取得や一般への配付が行われている。
 「みどり2」については、平成14年12月に打上げ、観測データの取得や「こだま」との衛星間通信実験に成功したが、平成15年10月に電源系に異常が発生し、観測運用を断念した。約9ヶ月間に取得したデータについては、一般への配付など最大限の活用を図っている。
 現在、信頼性向上の観点から、ロケット・衛星の設計の基本にまで遡った総点検を実施している。
 以上を踏まえ、技術開発については、一定の進捗が見られるが、想定したとおりには進捗していない。今後は、信頼性の確立を最優先に、衛星の不具合防止対策を実施するほか、「みどり2」が担ってきた先進性の高い観測能力を継続的に補完、強化し、気候変動予測モデルの向上及び気象の短期・中期予報精度の改善に資することを目標とした研究開発に平成17年度から着手することを検討中。

○ALOSについては、総点検の結果、抽出された課題の対処の方向性は妥当であるとの宇宙開発委員会の評価を得た。打上げ時期については、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗等を受け、平成17年度に変更し、引き続き着実に開発を実施。
 GOSATについては、開発段階への移行を妥当とする宇宙開発委員会の評価を踏まえ、平成17年度から開発に着手予定。
 AMSR−Eについては、引き続き観測データの取得や一般への配布を実施。
 衛星の信頼性の確立に向けた不具合防止対策については、「みどり2」の運用異常を踏まえ、技術基盤の一層の強化・拡充を図るため、信頼性向上プログラムを平成17年度から創設・実施予定。
 「みどり2」が担ってきた先進性の高い観測能力を継続的に補完、強化し、気候変動予測モデルの向上及び気象の短期・中期予報精度の改善に資することを目標とした研究開発に平成17年度から着手するための予算を計上した。

高度な衛星通信技術の確立に向けて、光通信技術試験衛星(OICETS(オイセッツ))や技術試験衛星8型(ETS−8)、超高速インターネット衛星(WINDS)の開発、打上げ、運用を行う。また、データ中継技術衛星(DRTS)「こだま」の運用を行う。

該当なし

○OICETS(オイセッツ)については、平成17年度の打上げを目指し準備中。
 ETS−8、WINDSについては、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗等を受け、打上げ年度をそれぞれ平成17年度、平成18年度に変更し、引き続き開発中。
 「こだま」については、平成14年9月に打上げ、「みどり2」との衛星間通信実験等に成功。
 以上を踏まえ、施策の進捗にやや遅れが見られる。今後は信頼性の確立を最優先に、衛星の総点検を行ったうえで打上げに向けた準備を行い、また、既に打ち上げられている衛星については着実な運用を行う。

○OICETS(オイセッツ)については、平成17年夏の打上げに向けて準備中。
 ETS−8については、総点検の結果、抽出された課題の対処の方向性は妥当であるとの宇宙開発委員会の評価を得た。打上げ時期については、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗等を受け、平成18年度に変更し、引き続き着実に開発を実施。
 WINDSについては、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗等を受け、打上げ年度を平成19年度に変更し、引き続き着実に開発を実施。
 「こだま」については、引き続き着実に運用。
 衛星通信分野のみならず、測位分野においても高度な技術の確立が必要であるため、準天頂衛星システムを用いた高精度測位実験システムの開発研究を実施。

宇宙輸送系技術の完成と維持・発展による自在な打ち上げ手段の確保に向けて、平成17年度からの民間移管に向けて、H−2Aロケットを9号機まで確実に打ち上げるとともに、開発を完了する。

・H−2Aロケット打上げ数

○平成15年11月にH−2Aロケット6号機の打上げに失敗した。信頼性確立を最優先に、不具合防止対策及び総点検を実施している。また、H−2Aロケット標準型については、民間移管へ向けた取組みを継続中。
 また、将来輸送系の選択肢の多様性を確保するため、LNG推進系の開発を着実に推進している。
 なお、M−5ロケットについては、政府としての技術開発を終了し、大型固体ロケット技術を確立した。平成15年5月には5号機の打上げに成功した。
 以上を踏まえ、施策が想定したとおりには進捗していない。今後は、信頼性の確立を最優先に、不具合防止対策及び総点検を実施し、打上げ再開に向けた万全の対策を行うこととし、H−2Aロケット標準型の民間移管を着実に推進する。

○H−2Aロケットについては、技術的対策と設計の基本にまで遡ったロケット全体の再点検の実施、また、宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))における、製造企業との責任体制の見直しや信頼性推進評価室の設置、さらに、総合科学技術会議においてH−2Aロケットの基幹ロケットとしての明確な位置づけの確認を得たことを踏まえ、平成17年2月の打上げ再開に向けて準備中。また、H−2Aロケット標準型の民間移管を引き続き着実に推進。国際宇宙ステーションへの物資補給等のニーズに対応するためH−2Aロケット能力向上型の開発を引き続き推進している。
 LNG推進系については、打上げ年度を平成18年度に変更し、引き続き着実に開発を実施。
 M−5ロケット6号機については、H−2Aロケットの打上げ失敗等を受け、打上げ年度を平成17年度に変更。
 ロケットの信頼性の確立に向けた不具合防止対策については、H−2Aロケット6号機の打上げ失敗等を受け、技術基盤の一層の強化・拡充を図るため、信頼性向上プログラムを平成17年度から創設・実施予定。
 宇宙開発の発展及び宇宙産業の国際競争力強化に向け、関税暫定措置法の平成20年度までの制度延長が認められた。

日米欧加露の国際協力の下で行われている国際宇宙ステーション(ISS)計画を推進し、有人宇宙活動の基礎的な技術の確立、宇宙環境利用の促進に向けて、我が国初の有人宇宙施設「きぼう」を開発、運用する。

該当なし

○「きぼう」については、平成17年度、18年度、19年度における3回に分けての打上げを目指し開発中。「きぼう」の主要部分である船内実験室は、平成15年8月に、ISS本体結合部との実機組み合わせ試験を行い、技術データを取得している。
 なお、ISSの組立てスケジュールについては、米国スペースシャトル「コロンビア号」の事故及びその後の対策のため、遅延が生じている。
 以上を踏まえ、施策の進捗にやや遅れが見られる。今後は、米国のスペースシャトル飛行再開の状況を見据えつつ、各極でスケジュールの見直し等の検討・調整を引き続き実施する。また、国内においては宇宙開発委員会利用部会報告書「我が国の国際宇宙ステーション運用・利用の今後の進め方について」にあるとおり、ISS計画の効率的・効果的な推進に努める。

○米国のスペースシャトル「コロンビア号」の事故及びその後の対策を受けて、「きぼう」を平成19年度に3回に分けて打ち上げることとした。船内実験室は、米国に輸送され、性能・機能維持を行っている。
 「きぼう」の打上げ経費の代替としての生命科学実験施設(セントリフュージ)及びISSの共通運用経費の代替としての宇宙ステーション補給機(HTV)の開発を継続する等、ISS計画を着実に推進。
 スペースシャトルについては、平成17年5月頃の打上げ再開が予定されており、野口宇宙飛行士が搭乗予定。また、平成17年1月のISS計画に関する宇宙機関長会議において、平成22年の終わりまでにISSを完成することが確認された。
 国内においてもISS計画を効率的・効果的に推進している。


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