3.政策評価の結果の政策への反映状況(1)実績評価(施策目標4-4)


主管課及び関係課 基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成16年度以降の取組)
施策目標4−4 環境分野の研究開発の重点的推進
【主管課】
研究開発局海洋地球課
【関係課】
研究開発局宇宙開発利用課
地球温暖化、水循環、資源循環、有害化学物質等の地球環境問題は、我々人類の社会生活と密接な関連を有し、重大な影響を及ぼす恐れがあることから、総合科学技術会議の環境分野推進戦略を受け、その現象を科学的に解明し、適切な対応を図るための研究開発を推進する。 ARGO計画に基いたフロートの展開を実現し、海洋データを全地球規模で収集する。人工衛星からの地球観測により、地球変動予測に不可欠な観測データを取得する。これらの観測により、国際的な地球観測の枠組であるIGOS(統合地球観測戦略)の活動を通じた地球環境観測体制の強化を図る。 ・ARGO計画によるデータ取得数 ○ARGO計画については、国際連携の下での観測機器(中層フロート)の展開数が米国に次いで世界2位の寄与度である。
 人工衛星からの地球観測のうち、環境観測技術衛星(ADEOS‐2)の地球観測運用を断念したが、取得したデータについて最大限の活用を図っている。陸域観測技術衛星(ALOS)及び温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の開発並びに改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR‐E)の運用については概ね順調に進められている。
 以上のことから、進捗状況にやや遅れが見られる。
 今後は、「みどり2」が担ってきた先進性の高い観測能力を継続的に補完、強化し気候変動予測モデルの向上及び気候の短期・中期予報精度の改善に資することを目標とした研究開発に取り組む必要がある。
 G8エビアン・サミットや第1回地球観測サミットなど、全世界をカバーする地球観測の実現に対する国際社会からの要請が高まっており、全地球観測システムの構築のため我が国からの国際貢献を推進する必要がある。
○ARGO計画については、第9回ARGO計画推進委員会を開催し,関係機関連携の下で事業を推進(16年度)。引き続き目標達成に向けて研究開発を推進(17年度)。
 地球観測の基盤整備を促進し、国として直接的かつ具体的な政策誘導を行うために、地球観測衛星開発費補助金を創設(17年度)。また、宇宙開発委員会の下に地球観測特別部会を設置し、今後15年程度の地球観測衛星計画を検討中。衛星の総点検、及び信頼性向上への取り組みを集中的に実施(16年度)。
 第2回地球観測サミットを平成16年4月に東京で開催(16年度)。また,平成17年2月の第3回地球観測サミットにおいて採択された地球観測10年実施計画への貢献を目指し,技術開発・観測研究等を行う「地球観測システム構築推進プラン」を創設(17年度)。さらに,科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の下に地球観測推進部会を設置し(16年度),関係府省・機関連携の下,我が国の地球観測の推進に関する所要の調査審議を実施予定(17年度)。
南極地域観測第6期5カ年計画に基づき、南極地域観測事業を推進し、地球温暖化、オゾンホール等の地球規模での環境変動の解明に向けた研究・観測を行う。 該当なし ○南極・ドームふじ観測拠点における試験掘削を目標としており、試験掘削を行い順調に稼働していることから、概ね順調に進捗と判断。
 なお、平成20年に、現在の南極観測船「しらせ」及びヘリコプターが退役するため、切れ目なく南極地域観測を継続させるためには、「しらせ」後継船及びヘリコプター後継機を早期に就役させ、平成20年度以降の観測体制の実現を図る必要がある。
(南極地域観測は、昭和51年に統合推進本部が定めた「南極地域観測事業の将来計画基本方針」に基づき、5カ年を1単位とする観測計画を策定)
○南極観測を継続させるため、厳しい財政状況の中で、「しらせ」後継船を平成17年度から5年計画(平成21年度完成)で建造し、平成20年度の観測については、代替輸送手法を用いて観測を継続する。
 また、ヘリコプター後継機1機を製造開始(16年度)。安全な輸送体制を確保するため2機目の製造を目指す(18年度)。
地球温暖化等に関する精度の高い予測を実現することを目的として、約10キロメートルメッシュスケールの全球大気・海洋各モデル及び高解像度結合モデルを開発する。 該当なし ○10キロメートルメッシュ全球モデルの開発に不可欠な各要素過程の組み込みのための(地域的、時間的に限られた)サブシステムモデルの開発が進むとともに、60キロメートルメッシュの高解像度結合モデルの開発に向けて、一段分解能の低い120キロメートルメッシュの大気・海洋モデル結合を進めた。また、大気モデル及び海洋モデルを地球シミュレータ上で駆動させ、そのパフォーマンスの改良を行っており、概ね順調に進捗している。
 今後は、地域的、時間的に限られたサブシステムモデルの更なる改良により、各モデルのパラメタリゼーションの一層の高度化を図るとともに、各個別プロセスのフィードバック効果等全球モデルの開発に重要なサブシステムの開発、改良を進めることが必要。
○平成16年度は、地域的、時間的に限られたサブシステムモデルの更なる改良を図った。各モデルのパラメタリゼーションの一層の高度化を図るとともに、各個別プロセスのフィードバック効果等全球モデルの開発に重要なサブシステムの開発を進めた。(16年度)
 引き続き目標達成に向けて研究開発を推進。(17年度)
世界最高の計算処理速度を有する地球シミュレータ(最大性能40テラフロップス)を平成13年度に開発し、高精度の地球環境変動のシミュレーションを実現するため、平成18年度までに、全球大気・海洋各モデル等を用いたシミュレーションを世界最高レベルの速度で駆動させるためのプログラムを開発する。 該当なし ○平成14年3月から本格的運転を開始した地球シミュレータはコンピュータの性能評価用プログラムによる試験において35.86テラフロップスの世界最高性能を達成しており、平成15年には「21世紀の偉業賞」等を受賞した。さらに、地球変動予測については、地球シミュレータが持つ世界最高性能を十分活かすことのできる高精度プログラムの開発を進めており、概ね順調に進捗している。
 今後は、地球環境予測研究等で開発している地球変動予測研究の代表的な分野における大規模シミュレーションを、地球シミュレータ上でさらに効率よく計算できる高精度プログラムを開発。
○高精度プログラムの開発の一環として、平成16年度より連結階層シミュレーション研究開発に着手。(16年度)
 引き続き目標達成に向けて研究開発を推進。(17年度)
大学・研究機関の英知を結集し、各種観測データを集約することにより、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)における第4次評価報告書に寄与できる精度の高い温暖化予測を目指して「日本モデル」(大気海洋結合モデルの高度化、地球温暖化予測統合モデルの開発、高精度・高分解能気候モデルの開発)を開発する。 該当なし ○RR2002「人・自然・地球共生プロジェクト」における温暖化ミッションとして、平成14年度に4つの研究開発課題を設定し,研究開発実施機関を公募し、6件の主管研究実施機関を選定した。15年度は温暖化予測実験の開始に向けたモデル開発・改良が順調に進んだ。平成16年3月には平成15年度研究成果報告会を開催し進捗状況の講評を行ったところであり,研究開発は順調に進められている。
 今後は、中間評価を行うとともに、IPCCの研究成果報の普及に努める必要がある。
○「人・自然・地球共生プロジェクト」における温暖化ミッションとして、研究開始後3年目である平成16年9月に中間評価を実施した。地球シミュレータの特色を生かし、異なる解像度・機能でのモデル開発を着実に進め、IPCC第4次評価報告書への寄与という目標に良く対応、特に16年度に入ってから7月までの間には顕著な進捗が、見られている等の高い評価を得た。また、IPCCに向けて研究成果をとりまとめ,研究成果報告会の開催等により成果の普及に努めた。(16年度)
引き続き目標達成に向けて研究開発を推進。(17年度)
日本を中心としたアジア・モンスーン地域における陸水循環過程の解明に向け、各研究機関が共同で高解像度の水循環モデルを開発する。 該当なし ○RR2002「人・自然・地球共生プロジェクト」における水循環変動予測ミッションとして、既に実施中の課題に対しアジア地域等の水環境改善の観点の成果を補完するための研究開発課題として「水資源管理システムの開発」を追加設定し,研究開発実施機関を公募し、2件の,主管研究実施機関を選定した。また、水循環変動モデルの素過程のモジュール開発を実施するとともに,水収支をシミュレーションするために必要な0.1度メッシュのデータ整備にもGIS取り組んだ。さらに、平成16年 3月には,平成 15年度研究成果報告会を開催し進捗状況の講評を行ったところであり、研究開発は概ね順調に進捗している。
 今後は、中間評価を実施、研究成果の普及に努める必要がある。
○「人・自然・地球共生プロジェクト」における水循環ミッションとして、研究開始後3年目の平成16年9月に中間評価を実施した。アジア・モンスーン地域における水循環予測モデルを開発することにより、水資源・水災害の予測や化学・生物汚染防止も含めた十分かつ良質な水資源の確保を目指すなど、予測から問題解決型の視点まで幅広くとらえ、適切に計画されておりほぼ順調に進捗、特に従来の欧米モデルが適応できないアジア地域のモデル化の取り組みは先駆的・独創的である等高い評価を得た。また、研究成果報告会の開催等により,成果の普及に努めた。(16年度)
引き続き目標達成に向けて研究開発を推進。(17年度)
「持続型経済社会」の実現に向けて、都市・地域から排出される廃棄物・バイオマスの無害化処理と再資源化(原料化・燃料化)に関する技術開発を行うとともに、その実用化と普及を目指して、要素技術、影響・安全性評価及び経済・社会システム設計に関する研究開発を産学官の連携・協力により行う。 該当なし ○リーディングプロジェクト「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として、大学、研究機関、民間企業による研究グループを形成し、産学官連携による研究開発を実施しており、概ね順調に進捗していると判断。
 今後は、プロジェクトの適切な進捗が図られるよう中間評価を実施予定。。
○「一般・産業廃棄物・バイオマスの複合処理・再資源化プロジェクト」として、研究成果報告会の開催等により、成果の普及に努めるとともに、要素技術やシステム開発等の研究開発を推進。さらに、「モデル事業」として、エネルギー変換効率の従来方式に比した向上を目指し、実証実験を実施。(16年度)
 引き続き目標達成に向けて研究開発を推進するとともに、研究開始3年目である平成17年度中に中間評価を実施予定。(17年度)。

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