スポーツ施設のストック適正化ガイドライン策定検討委員会(第1回)議事要旨

1.日時

平成28年12月9日(金曜日)11時15分 ~ 13時15分

2.場所

文部科学省東館 16F3会議室

3.議題

(1)座長選任等について
(2)運営規則について
(3)スポーツ施設のストック適正化の現状とガイドラインの策定について
(4)スポーツ施設のストック適正化ガイドライン構成案について
(5)スポーツ施設のストック適正化ガイドラインの作成に向けた地方公共団体アンケート調査計画案について
(6)その他

4.議事要旨

・平井スポーツ総括官より御挨拶。
・大橋委員の座長選任について了解を得た。
・大橋座長より御挨拶。
・事務局より,資料2に基づき運営規則の説明を行い,了解を得た。
・事務局より,資料3,4に基づきスポーツ施設の現状やガイドライン作成を行う背景,それを踏まえたガイドラインの構成案について説明を行い,各委員から意見を頂いた。
・事務局より,資料5に基づき地方公共団体に対するアンケート調査計画案について説明を行い,各委員から意見を頂いた。


 (○:委員の意見)
■スポーツ施設の定義・データ等に関する意見
○スポーツ施設に関して,定義付けをしっかり行った方がよい。競技スポーツを行う施設と,日常的に市民がスポーツに親しむ施設,イベントで使用する施設と分かれてくる。公民館の多目的室のようなスポーツ施設とは異なる施設がスポーツに使われることに留意が必要。
○体育・スポーツ施設現況調査の数字は,プールやトレーニング室,体育館等の個別の数をカウントしているが,指定管理者制度等を考えると,施設を管理する単位での把握も調査した方がよい。
○スポーツ施設の定義について,東京オリンピックで新しく追加されたスケートボードやクライミング関係の施設はその他の分類に入っていると思うが,個別に対象とした方が良い。
○スポーツ施設はストックが適切に把握されていない。スポーツ庁でデータをとっていく流れは良い。

■スポーツ施設の利用と評価に関する意見
○スタジアム・アリーナ,日常使用の生涯スポーツの振興施設,その他学校や公民館施設とそれぞれの目的があるが,混合して運営せざるを得ないのが実態であり,よほどの施設でない限り,午前は市民利用,昼から大会のような利用となっている。
○スポーツ施設を使用している人が,常連化した一部の人たちに偏っており,スポーツの普及にはなっていない可能性がある。述べ利用者数と実利用者数は別に考えるべきだ。
○ストック管理をどのように行うかは,実利用人員や利用時間帯,利用密度等を正確に見ていかければならない。
○現在の施設運営は,利用者を待っている状態でだが,組織していく方向にしていかなければならない。総合型地域スポーツクラブは組織していく側(がわ)として支援を受けているが,使用できる施設がほとんどない。

■地域のストック適正化の実態や事例に関する意見
○公共施設等総合管理計画を策定して明らかになったことは,絶望的な財源不足である。更新費用試算ソフトの中には,水泳プールや野球場等屋根がかかっていない施設の改修・更新費用は含んでいないため,更にその改修・更新費用が加わる。
○ガイドライン作成に当たっては,財源をどうするかが大事だが,財源の必要性だけでは予算を工面できない。地方公共団体が真剣に施設を選別していくところまで示せれば一番よい。例えば,県内でどういった施設を何箇所残すのか等,大きい枠組みについて国が指針を示し,それに基づく更新維持のための支援等体制があることが望ましい。
○適正化を図るに当たって統廃合は必要だが,スポーツ施設は競技団体との関係もある。圏域ごとの施設量を国が示すということは,地方公共団体が適正化を図るための言い訳になるのではないか。
○児童センターの体育室を夜間,民間事業者に定期的に貸し,週2回教室を開いている。今までの児童センターの,1年間の収入の5割に当たる収益があがっている。地方公共団体が,本当に大事なスポーツ施設を含めた公共施設の役割を,市民の負担を少なくしながら維持する方法を真剣に考えるかどうかが重要。

■学校体育施設や民間スポーツ施設に関する意見
○学校施設は,学校としての利用が1日7時間,土日休みや長期休暇を考えると,年間で20%しか使われておらず,開放では一般市民が使えないことも多い。
○学校の体育館の開放が社会体育施設の機能を補っているが,中学校の施設は夜間しか開放できない。義務教育学校による体育館の統合が進めば,社会体育施設の代わりを果たせる施設は減少する。
○学校で部活をやるのは,スポーツ振興の根幹部分であり,若い世代を育てることは重要。日中の利用を別枠に考えない方が良いのではないか。
○地域では民間企業の福利厚生施設が大きな役割を果たしている。野球大会やサッカー大会等は,企業のグラウンドを借りないとできない。企業も経営が苦しくなれば,売却したり貸し出したりするので,企業のストックを残すことに対して国からの支援が望ましい。
○大学の大規模なスポーツ施設の改築では,学生,地域,社会貢献も含めて構想をつくっている。50mの温水プールを,行政で提供できない施設として,地域の大会等に提供し行政からも若干支援してもらう。1/3を行政,2/3を大学で使用する施設としてプログラムを提供していけば,維持管理費は工面できる。スポーツ振興の中の位置付けを明確にし,どのような施設を整備して,民間とタイアップしていくのか,将来のマネジメントを先に考えて施設を整備しないと運営できない。

■スポーツ施設の安全確保に関する意見
○安全性の確保については,過去に公務員が業務上過失致死傷罪で執行猶予付ではあるが禁固刑を受けた事故もある。刑事事件では,業務委託を出していても,公務員個人が刑事被告人になるということを注意喚起しておくべきである。
○スポーツ施設の安全基準というのは,あるようでない。器具メーカー等が自社製品の安全基準を設定しているが,汎用性はない。利用者からのクレームで修理するという状況もある。
○安全な施設の確保について,老朽化以外にも,人工芝への張り替えたことによって,スライディング等によりフェンスにぶつかった事故のような設備が新しくなったことによる事故もある。小規模な施設や練習場のような施設での事故,夜間照明の設置や人工芝への貼り替えに周辺設備の状況が追いついていない状況等,近年の施設の動向も視点としては必要。

■スポーツ施設の質の向上に関する意見
○トイレの洋式化が進んでいないことが大きな問題である。地方のスポーツ施設ではトイレまで予算が回らない。施設の老朽化対策や安全確保の話をすればするほど,トイレや更衣室の設置等は後回しになってしまうので切実な問題だと捉えている。
○体育館は避難所になる。トイレの問題は,避難所となったときに大変深刻で,和式しかなかったためにお年寄りが我慢して,エコノミークラス症候群になりかかった事例がある。災害対策の場合,起債充当率100%なので,体育館のトイレの改修を災害対策として起債対象にする方法も考えられる。

■ガイドラインに関する意見
○地方公共団体が必要としているのは,ストックの総量がわかった上で,どこを自己資本で整備して,どこを民間でやるかに関するバランスのかけ方の指針や,民間でやる際のアイデアや問題の事例ではないか。
○スポーツ施設は,地方公共団体が自己資本でやるには厳しい状況であるが,市民に対する訴求力は強い施設。資料4の策定フローの施設評価(1次評価)の部分で判断するのはかなり厳しい。都市公園では民間資本をいれながら芝生を張ったり,設置許可等を与えて民間資本を入れたりしている。
○ストックの現状把握は必要。適正化のガイドラインは,基本方針(2次評価)でエリア的な方針の立て方と,個別施設のやり方等の内容が必要になる。所管が複雑なところを乗り越えるためのガイドラインが作られると,地方公共団体は理解できる。ステップを分けて3か年程度をかけて検討するのがよいのではないか。
○評価から方針立てのところが地方公共団体が悩むところ。施設評価(1次評価)はアンケートのまとめで客観的に示せそうだが,基本方針(2次評価)は,整備方針の見える化やスポーツ施設の政策方針が課題になりそうなので,事例を示すことによるフォローが必要。
○策定フローは画期的だが,基本情報の把握及び施設評価(1次評価)で,客観的な指標が出てくると自主財源がなければここで途切れる。基本方針(2次評価)は政策の領域だが,施設評価(1次評価)と基本方針(2次評価)の間について,広い公益の立場,国の政策の立場から,どこまで示せるか難しい。
○民間にスポーツ施設の運営を任せても,目的外使用の事業はやってはいけないと収益事業を規制していることが多い。地方公共団体の大半にマネジメントの感覚がない。今後のスポーツ施設整備の本質的な考え方をアドバイスしていくべきだ。
○指定管理者に対してしっかり関与している地方公共団体もあるが,工夫は指定管理者に任せて,地方公共団体はその可否の判断をするだけというようなことも多い。地方公共団体が,施設の目的,使用の工夫等を意識してもらうための働きかけになればよい。
○地方公共団体がどこまで細かくデータを取れるかが未知数であり,時間が少ないことも心配。スポーツ施設について,人口減少が窮迫する中で,国が事例を作りながら地方公共団体に示していくことは重要だが,地方公共団体が考えてやっていけるようサポートし,サポートすることで地方公共団体から案が出てくるような体制が取れるとよい。
○スポーツ施設は講演会やシンポジウム等の文化的な活用をされている施設がたくさんある。新たなスポーツ施設の在り方を見せていかないと,暗い印象で終わってしまう。スポーツ施設に宿泊機能が入ってくることも考えられる。
○修繕と維持,将来の建設の考え方は分けて考えればよい。
○一番は財源の問題になる。ガイドラインを示しても,それを実施していく方向性や財源が次に出てくる。アンケート等で認識を深め,具体的な内容になると有り難い。
○地方公共団体のスポーツ振興計画策定の経験上と,俯瞰(ふかん)的な図を作成して,行政,公益団体,体育協会,指導者等で,スポーツ振興の議論ができるようにする必要がある。

■アンケート調査計画案に関する意見
○アンケートの内容は,示されている項目で答えうる。
○アンケートの9ページの聞き方では,スポーツ施設の問題・課題が挙がってこない。付随する関連施設についても聞いておくべきだ。9ページのマル8 劣化状況不具合の把握について,安全の基準がグレーゾーンになっていて,けがをしてから気づくこともある。何をもって劣化調査というか,回答者の基準が同じでない可能性がある。
○地方公共団体は,施設の不具合について,予算もなくどう手をつけていいかわからないという状況。アンケートから,他の事例がわかると,動きやすくなってくるのではないか。


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