徳島県は2つの青、すなわち「藍」と「LED」の日本一の産地です。
<阿波藍の教育研究>
徳島に肥沃な土壌をもたらし、流域では古くから藍栽培が盛んに行われてきた吉野川河畔に四国大学は位置しています。四国大学では、染色技法を教育する「藍の家」を昭和54年学内に設置し、古くから染料としての「藍」について研究を行っています。さらに、近年では、藍の食用機能性についても研究を進めており、それら成果を報告します。
<LED産業の振興と光アート人材育成>
徳島県は世界有数のLED先進地域であり、青色LEDの開発・普及によって「光」による様々な演出が可能となりました。四国大学では、LED産業の振興と人材育成を目的に、「徳島光・アート教育人材育成事業(愛称:T-LAP(Tokushima Light Art Project))を実施しており、企業とも連携しプロジェクションマッピングや光を制御するための光プログラミング教室を県内一円で展開するなど、大学の資源の開放に注力しており、その成果を報告します。
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下「QST」という。)は、量子科学技術による「調和ある多様性の創造」により、平和で心豊かな人類社会の発展に貢献するという理念の下、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成や国内の数々の社会課題の解決へ貢献するため量子科学技術に関する研究開発等に取り組んでいます。
本展示では、上記の理念に基づき、QST研究者たちの「今行っている研究開発が、将来社会の中で活かされ、人々の役に立っていて欲しい」という夢を描いたイラスト「QSTが描く未来社会」を掲示します。その中で、QSTが取り組んでいる研究開発により実現した様々な機械や道具のイラストをピックアップして解説します。
一般の方々にも具体的なイメージを持っていただくために模型を展示します。模型の一つは、SDGsの目標7にも関連する水素融合(核融合)を行う実験炉ITERです。水素融合(核融合)は、CO2を排出せず、安全性が高く、自然状況に左右されない、燃料がほぼ無尽蔵な究極のエネルギー源です。また、SDGsの目標3に関連して、がんや認知症等の病巣を画像化する診断装置のPETを頭部検査に特化した高精度で小型な普及型の「ヘルメット型PET」の模型等も展示します。
上記に加えて、動画によりQSTの研究開発を紹介するとともに、QSTで発明された特許の解説集「どんなことができるかな? 未来を拓く科学のタネ」やニューズレターの等も配布いたします。
岐阜大学では、全ての学部・研究科が1つのキャンパスにある特徴を教育・研究の両面に活かし、特に、高度な専門職業人の養成に主眼を置いた教育、教育の基盤としての質の高い研究、地域に根差した国際化に取り組んでいます。今回は、その中でも「岐阜県との協働」について、岐阜大学を代表する「地域協学センター」と「航空宇宙生産技術開発センター」の好取組事例を紹介します。
全国の高専生が、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉を想定した競技にチームで製作したロボットで挑戦する「廃炉創造ロボコン」を紹介する。この大会は、廃炉作業が長期に渡ることが想定される中、中長期的な人材育成に貢献することを目的に、平成28年度から開催されている。令和4年度で第7回大会を迎える。毎回全国から参加する高専生が創造性・技術力を発揮し、課題のクリアに向けて趣向を凝らしたロボットを製作している。ロボットには廃炉という困難な現場で課題をクリアするために様々なアイデアがつめこまれており、それらを紹介するとともに、高専生のロボットに込めた想い、工夫などを紹介したい。震災から10年が経過し、震災の記憶の風化が懸念される中、普段廃炉を意識することが少なくなった方々にも紹介する機会としたい。
今回の展示では、これまでの大会で最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞したロボット3機。この大会を契機に企業との共同研究で製作されたロボット1機を紹介する。
有明工業高等専門学校・熊本高等専門学校・久留米工業高等専門学校は、3高専4キャンパス共同で小学5年生から中学3年生を対象としたプログラム「高専ハカセ塾」を実施しています。本プログラムの目的は、理数・情報分野に関心のある次世代科学・技術を担う傑出人財の発掘・育成です。地元の教育委員会や地域の企業・人材と連携しながら普段は4つの会場に分かれておりますが、連携講座により各高専の得意分野を共有できるように、活動しております。
また、合同の研修会や研究成果発表会等により受講生に研究仲間との出会いや活動の場を提供できるように工夫しております。
なお、本プログラムは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「ジュニアドクター育成塾事業」の採択事業として、平成30年度から継続して実施しております。
本展示では「高専ハカセ塾」の取り組みや3高専の概要についてご紹介します。
ナノファイバーは1本の太さが約100nm(ナノメートル)以下、髪の毛の500分の1程度の細さという極細繊維。従来のマイクロファイバーに比べて高比表面積、高空隙率、軽量、微細な孔径、薄さ、滑らかさなどの特徴があり、疎水性(撥水)や親水性(高吸水性)、透過性に優れるなど高機能性を誇ります。
信州大学先鋭領域融合研究群 国際ファイバー工学研究拠点の金翼水教授は2008年に世界初となるナノファイバーの大量生産プラントの開発に成功、その後テキスタイルでは有名ブランドにも採用され、メディカル、電気・電子分野、さらに農業分野、自動車産業、次世代電池の分野にまで幅広く社会実装が進み、2022年にはコロナ禍に貢献したナノファイバーマスクの実用化で文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました。
この展示では多面的な広がりを見せるナノファイバー研究の中でも、産学連携に特化した製品群を展示し、社会実装の成果としてご覧いただきます。
我が国が宣言した2050年カーボンニュートラル実現に向け、原子力は化石資源を使用しない安定的電力供給や非化石資源由来の水素製造などで貢献が可能です。
高温ガス炉は、被覆燃料粒子、黒鉛構造材、ヘリウムガス冷却材を用いることで物理的特性による炉心溶融を起こさない設計が可能など優れた安全性を発揮する次世代原子炉です。
原子力機構は、高温ガス炉の実用化に向け、高温ガス炉の試験研究炉HTTRを建設以降、基盤技術を開発・実証するとともに、様々な異常状態を模擬した試験を通して安全性の実証を進めてきました。2011年から長期間運転停止していましたが、HTTRの優れた安全性が原子力規制委員会に認められ2020年6月に原子炉設置変更許可を取得、2021年には運転の再開を果たしました。
グリーン成⾧戦略では、高温ガス炉による水素製造に係る要素技術を確立する目標が示され、原子力機構と三菱重工業株式会社は、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「超高温を利用した水素大量製造技術実証事業」を受託し、HTTRを用いた水素製造事業を開始しました。本事業では、高温ガス炉と水素製造施設の高い安全性を実現する接続技術を確立し、2030年までに水素製造を実証する計画です。これと並行して、高温熱を利用して高温ガス炉に適した化学反応により水を分解して水素を製造する技術の開発に取り組んでいます。
本企画展示では、これら高温ガス炉の概要とカーボンニュートラルに向けた原子力機構の取り組みについて紹介します。
独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が設置するハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)は、日本のトップアスリートの中核拠点として国立スポーツ科学センター(JISS)と味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)が持つスポーツ医・科学、情報等による研究、支援及び高度な科学的トレーニング環境を提供し、ハイパフォーマンススポーツの強化に貢献しています。今回の展示においては特に、JISSが行っているハイパフォーマンススポーツ研究(世界一を競い合うレベルのアスリートが発揮する卓越したパフォーマンスに関する研究)から得られたエッセンスがどのようにアスリートの支援に役立てられているか、また、大規模な国際競技大会で選手村の村外におけるサポートがどのように行われているかなどについて、ポスターや冊子、動画等を用いて分かりやすく紹介します。
本展示では、日本の国際競技力の向上を担うハイパフォーマンススポーツセンターが行うアスリートの支援に加えて、小学生、中学生、高校生から一般スポーツ愛好家まで一般の方々にとっても役立つ情報をお伝えします。
科学技術分野において、これまでの研究や技術開発は無意識のうちに男性を対象または基準として進められることが多く、性差が見過ごされてきました。そのため、研究成果や開発技術の中には、女性にとって必ずしも当てはまらない場合が見受けられます。ジェンダード・イノベーションは、研究や技術開発のプロセスに、積極的にセックス(生物学的な性)/ジェンダー(社会的・文化的な性)分析を組み込むことで、科学技術分野におけるイノベーションと発見を実現しようとするアプローチです。このアプローチを取り入れることで、研究の卓越性や技術の多様性、新しいビジネスチャンス、さらには多様な人々のウェルビーイングの向上が期待できます。
本企画展示では、そのような性差の視点に基づいた研究、イノベーション、社会発信を推進する産官学連携のハブ組織として、2022年4月にお茶の水女子大学に新設された「ジェンダード・イノベーション研究所」の紹介のほか、お茶の水女子大学の学内公募で採択されたジェンダード・イノベーションに関する研究や国内外の研究事例について紹介を行います。