国民の体力・運動能力の現状を明らかにするとともに,体育・スポーツの指導と行政上の基礎資料を得る。
小学生(6~11歳)
(中学12~14歳,高校全日制15~17歳,高校定時制15~18歳,高等専門学校(男子)18、19歳,短期大学(女子)18、19歳,大学18、19歳)
※ 持久走と20メートルシャトルラン(往復持久走)は選択実施
成年(20~64歳)
※ 急歩と20メートルシャトルラン(往復持久走)は選択実施
高齢者(65~79歳)
平成20年5月~10月(小・中・高校生は5月~7月)
区分 |
標本数 |
数回収 |
回収率 |
小学校 |
13,536 |
13,472 |
99.5% |
中学校 |
8,460 |
8,441 |
99.8% |
高等学校(全日制) |
7,614 |
7,533 |
98.9% |
高等学校(定時制) |
1,504 |
1,370 |
91.1% |
高等専門学校(男子) |
600 |
594 |
99.0% |
短期大学(女子) |
600 |
529 |
88.2% |
大学 |
2,400 |
2,172 |
90.5% |
成年 |
33,840 |
30,026 |
88.7% |
高齢者 |
5,640 |
5,608 |
99.4% |
合計 |
74,194 |
69,745 |
94.0% |
(図1-1、図1-2、図1-3、図1-4、図1-5、図1-6、図1-7、図1-8)
種目により差異はあるが,全体的な傾向としては,男女とも6歳から加齢に伴い体力水準は向上し,男子では青少年期(6~19歳)の17歳ごろピークに達するのに対して,女子では青少年期(6~19歳)の14歳ごろピークに達し,その後数年間その水準を保持する傾向を示している。
その後,男女とも20歳以降は体力水準が加齢に伴い低下する傾向を示している。
なお,握力については,男子は30~34歳で,女子は40~44歳でピークに達する。
(図2-1、図2-2、図2-3、図2-4、図2-5、図2-6、図2-7、図2-8、図2-9、図2-10、図2-11、図2-12、図2-13、図2-14、図2-15、図2-16、図2-17、図2-18、図2-19、図2-20)
長期的に年次変化の比較が可能である,握力及び走能力(50m走・持久走),跳能力(立ち幅とび),投能力(ソフトボール投げ・ハンドボール投げ)などの基礎的運動能力を図2-1~10に示した。また,上体起こし,長座体前屈,反復横とび,20mシャトルラン及び新体力テスト合計点の年次推移を図2-11~20に示した。
長期的にみると,握力についてはほとんど変化はみられないが,走,跳,投能力にかかる項目は,体力水準が高かった昭和60年頃と比較すると,依然低い水準になっている。
なお,最近10年間の基礎的運動能力をみると,走,跳,投にかかる項目では,小学生,高校生の立ち幅とびで低下傾向がみられるものの,持久走,50m走,立ち幅とび(中学生),ソフトボール投げ・ハンドボール投げでは,横ばいまたは向上の兆しがみられる。
また一部の年代を除いて,上体起こし,長座体前屈,反復横とび,20mシャトルランでは向上傾向を示している。
最近10年間の合計点の年次推移をみると,小学生高学年以上の年代では,緩やかな向上傾向を示している。
(図3-1、図3-2、図3-3、図3-4、図3-5、図3-6、図3-7、図3-8)
成年において,長期的に年次変化の比較が可能な握力,反復横とび及び急歩の年次推移を図3- 1~3に示した。また,上体起こし,長座体前屈,20mシャトルラン,立ち幅とび及び新体力テストの合計点の年次推移を図3-4~8に示した。
長期的にみると,握力と急歩には,一定の傾向はみられないが,反復横とびでは,向上傾向を示している。
なお,最近10年間では, 握力,急歩,20mシャトルランは各年代を通してほとんど変化が見られない。反復横とびは,20~30歳代においてほとんど変化はみられないが,40歳代以降では緩やかな向上傾向を示している。上体起こしは多くの年代で向上傾向を示しているが,長座体前屈では多くの年代で低下傾向にある。立ち幅とびは,20~30歳代で低下傾向を示しているが、その他の年代ではほとんど変化はみられない。
最近10年間の合計点の年次推移をみると,20~30歳代の女子では低下傾向がみられるが,40歳以降では男女とも緩やかな向上傾向を示している。
(図4-1、図4-2、図4-3、図4-4、図4-5、図4-6、図4-7)
高齢者における握力,上体起こし,長座体前屈,開眼片足立ち,10m障害物歩行,6分間歩行及び新体力テストの合計点についての年次推移を図4-1~7に示した。
握力については,ほとんど変化がみられないが,その他の多くの項目が向上傾向を示している。
合計点についても向上傾向がみられる。
≪調査分析の観点≫
過去10年間の走・跳・投能力の状況について,平成18年度調査では「低下のスピードが緩やかになる,あるいは,低下傾向のない項目がある」こと,平成19年度調査では「低下の傾向を示していない」ことが示された。
そこで,本年度についても,一定の傾向の出現について確認するため,小学生,中学生,高校生について,最近10年間の走跳投の状況について分析を行った。
昭和33年生まれ(50歳),昭和48年生まれ(35歳),昭和63年生まれ(20歳)の3年齢層について,体力及び運動・スポーツの実施状況の年次推移を確認し,生涯を通じて,高い体力水準を維持するための要因について分析をおこなった。
(1) 青少年(6~19歳)
◆ 青少年の体力・運動能力の年次推移(表1,図5-1~3)
ア.昭和60年との比較
◇ 依然として低い水準にある。
イ.最近10年間(平成11年度~20年度)の比較
◇ 小学生,中学生については,基礎的運動能力である,走,跳,投にかかるテスト項目の,持久走,50m走,立ち幅とび(小学生の一部の年代を除く),ソフトボール投げ・ハンドボール投げでは,横ばいまたは向上の兆しがみられる。
◇ 高校生では, 走跳投能力について,現在もほとんどのテスト項目で横ばいの状況となっている。
(2) 成年(20~64歳)
◆ 年齢層別にみた体力の推移(図6)
昭和63年生まれ・・・平成20年:20歳
青少年の体力低下が顕著であった,平成5年~15年ころに小,中学生であった年代
昭和48年生まれ・・・平成20年:35歳
青少年の体力水準が高かった,昭和50年~60年ころに小,中学生であった年代
昭和33年生まれ・・・平成20年:50歳
青少年の体力が向上傾向を示していた,昭和40年~50年ころに小,中学生であった年代
ア. 小・中学生の時に体力水準が低い状況であった昭和63年生まれ(20歳)の人たちと,昭和48年生まれ(35歳)及び昭和33年生まれ(50歳)の人たちを比較すると,20歳の人たちは,19歳の時点で比較可能な種目である握力,持久走において,いずれも低い水準にある。
イ. 今後,20歳の人たちの体力が,35歳及び50歳の人たちと同様に加齢とともに低下傾向を示すことになった場合,その体力は,これらの年代の人たちより低い状況となることが予想される。
◆ 年齢層別運動・スポーツ実施状況の推移(図7-1~2)
ア.35歳,50歳の人たちの運動・スポーツの実施状況をみると,加齢に伴い「ときたま(月1~3日程度)」の割合が低下し,「しない」の割合が増加する傾向にある。20歳の人たちは,35歳,50歳の人たちが20歳であった時と比較すると、「ときたま」の割合が低く,「しない」の割合が高い状況となっている。
イ.20歳の人たちが今後,35歳,50歳の人たちと同様の加齢に伴う傾向を辿るとすると,運動・スポーツの実施状況が一層低下することが懸念される。
課長補佐 上田 優人(内線2045)
電話番号:03-5253-4111(代表)
専門職 関 伸夫(内線2687)
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-- 登録:平成21年以前 --