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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 宇宙開発委員会 > ALOSの打上げに係る安全対策について > 3


3 飛行安全対策
 H−2Aロケット8号機の打上げに伴い発生する落下物等及びロケットの飛行に対する安全対策、並びに航空機及び船舶の安全を確保するため、これまでの打上げ経験を踏まえて以下に示す安全対策がとられている。

 飛行安全対策においては、関係法令を遵守するほか、機構内部規程等の安全確保のための手順書の検討・整備及びこれらに基づく安全確認が徹底されている。

1. 打上げ時の落下物等に対する安全対策
 打上げに伴い発生する落下物等に対する安全を確保するため、飛行計画の策定に際しては、ロケットの正常飛行時の落下物の落下予想区域とともに、推力停止した場合の落下物に対する警戒区域及び落下予測点軌跡について下記(1)及び(2)のとおり十分に安全確保が考慮されている(飛行経路は図−7)。

(1) 正常飛行時のロケット落下物に対する安全対策
 ロケットが正常に飛行した場合の落下物としては、2本の固体ロケットブースタ(SRB−A)、2本の固体補助ロケット(SSB)、2個の固体補助ロケットのノズルクロージャ、衛星フェアリング及び第1段機体がある。これらについて、落下中の大気抵抗等を考慮した落下予想区域は、図−8のとおりとなり、陸地及び外国の周辺海域に影響を与えないよう設定されている。

(2) ロケットが推力停止した場合の落下物に対する安全対策
 万一、ロケットに異常が発生し、飛行中断措置等により推力停止し落下する場合にも、破片の衝突、固体推進薬の二次爆発並びに搭載推進薬の流出によるガス拡散等による射場の周辺における被害の発生を防止するなどのため、飛行安全に係る警戒区域が設定され、警戒が行われる。

 飛行安全に係る警戒区域は、二次爆発の影響を含めた落下破片、搭載推進薬の流出によるガス拡散の及ぼす影響を考慮して、射点を中心とする半径3キロメートルの区域等が設定されている(図−3(PDF:45KB))。

 また、固体補助ロケットのノズルクロージャの落下予想区域を含む射場周辺の海域については海上警戒区域(図−4(PDF:18KB))を設定し、その中に船舶が入らないように警戒を行い、その海上警戒区域外では発射直後の飛行中断に伴う破片の落下分散が評価され、飛行中断に伴う破片の落下による船舶被害の発生の可能性が極めて小さいと評価されている。

 さらに、射場周辺から離れた地域についても、落下予測点軌跡(推力飛行中のロケットが突然推力停止の状態に陥った場合に予測される落下点の軌跡)の分散域が、可能な限り人口稠密地域から離れて通過するよう飛行経路が設定されている(図−9)。

2. 打上げ時の状態監視、飛行中断等の安全対策
 ロケットの飛行に対する安全を確保するため、飛行中の状態監視を行い、必要な場合は飛行の中断が安全に行えるよう、以下のとおり適切な対策がとられている。

(1) 飛行中の状態監視
 ロケットの位置、速度、内部機器作動状況等について、図−10に示すように、光学設備、ITV、レーダ、テレメータ等により監視し、安全確保上必要な範囲において飛行中の状態監視が行われている。

(2) 飛行中断
 安全を確保するために必要な範囲において、飛行中断によるロケットの落下あるいはロケットの破壊時の破片の落下による影響が陸地等に及ばないよう、落下限界線が設定されている。

 次のいずれかの場合に該当するときは、飛行安全主任の指示により、ロケットの指令破壊等が行われ、飛行が中断される。

ロケット及びその破片の落下予測域が落下限界線を越えるとき注釈1
ロケットの監視が不可能となり、ロケット及びその破片の落下予測域が落下限界線を越えるおそれがあるとき
ロケットの飛行中断機能が喪失する可能性が生じ、かつ、ロケット及びその破片の落下予測域が落下限界線を越えるおそれがあるとき
その他、ロケットの推力飛行の続行により安全確保上支障が生じるおそれがあると判断されるとき

 なお、正常飛行範囲を飛行するロケットの飛行中断時の落下予測域が落下限界線を通過する場合には、その直前までの飛行状況を十分監視して、正常であることを条件として、上記の飛行中断条件の適用を見合わせることとしている。

(3) 電波リンクの確保
 ロケット打上げから飛行安全管制終了まで安全に飛行させるため、回線のマージンもあり、安全確保上必要な電波リンクが確保されている。

3. 航空機及び船舶に対する事前通報
 ロケット打上げ時において、航空機及び船舶の航行の安全を確保するため、23にあるように、適切な時期に必要な情報が通報されている。

4. 軌道上デブリの発生の抑制
(1) 軌道投入段の破壊・破片拡散防止
 軌道上に残るものとしては、第2段機体、ALOSがある。
 第2段機体については、推進薬タンク及びヘリウム気蓄器の内圧上昇による破壊を防止するため、ミッション終了後に、推進薬等の放出が実施されるとともに指令破壊用火工品の作動を防止する措置がとられている。
 なお、第2段機体に搭載されているタンク等は内圧上昇に対する機械式の安全弁を備えている。

(2) 分離機構等
 衛星分離機構は、作動時に破片等を放出しないよう考慮されている。

注釈1
落下予測域
 ロケットの推力飛行中の各時点毎に、その時点の位置・速度を初期条件とし、その時点でロケットの飛行を中断した場合の地球上へ落下するロケット及びその破片の分散を考慮した落下範囲、破片の二次爆発に伴って発生する爆風の危害の及ぶおそれのある範囲及び二次破片の飛散範囲を包絡する区域。
落下限界線
 ロケットの落下あるいはロケットの破壊時の破片の落下による影響が陸地等に及ばないように、当該陸地等の周りに設定する線。

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