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我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等、組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン

平成22年5月10日
中央教育審議会大学分科会大学教育の検討に関する作業部会大学グローバル化検討ワーキンググループ

1.目的

 本ガイドラインは、「中長期的な大学教育の在り方に関する第二次報告」(平成21年8月25日中央教育審議会大学分科会)を踏まえ(参考1参照)、我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等につながるプログラムの組織的・継続的な教育連携関係を促進するとともに、同時に学位及びプログラムの質を保証し、ひいては国内外の高等教育の質の保証及び更なる向上につながることを期待して、プログラム形成に当たっての拠りどころとなる留意点を示すために策定するものである。

※ 中央教育審議会大学分科会においては、各大学におけるプログラムの「クリアリングハウス機能」(国内外における取組に関する情報提供や各種照会への対応、及び望ましい国際連携や質保証の観点から一定の水準を満たしていると認められるプログラムを公示する機能)を含め、質保証の在り方について更に検討することとしている。

2.基本的考え方

 我が国の大学と外国の大学との組織的・継続的な教育連携関係の構築は、学生にとっては、より短い期間、少ない経済的負担で複数の大学からの学位を取得できるとともに、安心して学業に専念し、国際的な経験を積むことが可能となるなど、流動化の促進につながる効果が考えられる。また、大学にとっては、他大学との国際教育連携を通じて教育内容を充実するとともに、優秀な学生の計画的な受入れ・派遣を通じて国際的な視野をもつ人材を育成するなど、質の保証を伴った大学間交流の促進と国際競争力の向上につながる効果が考えられる。

 その一方、異なる国に所在する大学同士がどのようにプログラムを形成すべきかについては、国際的にも明確かつ詳細な合意は存在しておらず、このことが各大学におけるプログラム形成の検討を躊躇する一因となっている。また、「ダブル・ディグリー」や「ジョイント・ディグリー」、「デュアル・ディグリー」といった類似の用語についても、国内外において一義的な定義はなされていない。

 これらの状況を踏まえ、本ガイドラインは、現行の我が国の学位制度を前提として、別途それに付随して外国の大学から学位が授与される場合における用語の定義や留意点等を整理したものである。したがって、本ガイドラインの策定をもって、我が国の現行の学位制度を何ら変更するものではなく、また、外国の学位制度に何ら影響を及ぼすものではない。

 各大学においては、プログラムの形成にあたり、我が国の大学制度にかかわる部分について、大学設置基準等の関係法令に抵触することのないよう留意することが当然に求められる。このことは、海外に対する我が国の大学及び学位制度に対する信頼にもかかわるものである。また、プログラムに基づき各大学が本来自ら実施すべき内容を十分に提供できない状況に陥らないようにすることも、当該プログラムの質を保証する上での当然の前提となる。

3.定義

 本ガイドラインにおける主な用語の定義は以下のとおりとする。なお、ここに掲げた「ダブル・ディグリー」、「ジョイント・ディグリー」の他に、例えば「デュアル・ディグリー」、「共同学位」、「複数学位」等の用語が各大学において用いられている。これらの用語の定義は本ガイドラインにおける「ダブル・ディグリー」または「ジョイント・ディグリー」の定義のいずれかに包含されるものと考えられることから、本ガイドラインにおいて仔細な分類は行わないが、同様に本ガイドラインにおける留意点を踏まえた取組が期待される(「ダブル・ディグリー」、「ジョイント・ディグリー」以外の用語を用いることを妨げるものではない)。なお、ダブル・ディグリー、ジョイント・ディグリーの定義については、他の類似の用語も含め、国内外において多様な用い方がなされていることに留意が必要である(参考2参照)。

 <学位記>
 その者が大学が編成する所定の教育課程を修了し、我が国の法令に基づき当該大学から学位を授与されたことを証明する文書。

 <サティフィケート>
 その者がある大学より学位を授与されたことを証明するものとして、1つの大学から又は2つ以上の大学から共同で交付される文書であって、学位記以外の証明書。

 <プログラム>
 1つ又は2つ以上の大学が、特定の教育目的を設定し、体系的・計画的に編成された一連の教育内容であって、学生がその教育内容を適切に修了したことを厳正に評価し、もって学位を授与することを目的とするもの。

 <カリキュラム>
 プログラムの趣旨を踏まえつつ、それを実現するものとして、1つ又は2つ以上の大学により提供される授業科目や研究指導等の体系。

 <単位互換>
 大学設置基準第二十八条等に基づき、大学が、教育上有益と認める場合において、大学間の協議等において定めるところにより、学生が外国を含む他の大学又は短期大学において履修した授業科目について修得した単位を、一定の単位を超えない範囲で当該大学における授業科目の履修により修得したものとみなすこと。

 <ダブル・ディグリー・プログラム>
 我が国と外国の大学が、教育課程の実施や単位互換等について協議し、双方の大学がそれぞれ学位を授与するプログラム。

 <ジョイント・ディグリー・プログラム>
 我が国と外国の大学が、教育課程を共同で編成・実施し、単位互換を活用することにより、双方の大学がそれぞれ学位を授与するプログラム(我が国と外国の大学が、共同で教育課程を編成・実施する場合に、単一の学位記を授与することは、我が国の法令上認められていない)。その際、学位記は各関係大学が授与するが、そのほかに、共同で編成された教育課程を修了したことを示すサティフィケート(証明書)を発行することが想定される。なお、これには、国内大学の共同実施制度(国公私を通じ、複数の大学が相互に教育研究資源を有効に活用しつつ、共同で教育課程を編成し、共同で1つの学位を授与するもの)は含まない。

 ※ 「ダブル・ディグリー」及び「ジョイント・ディグリー」の定義については、海外においても一様ではなく、一方ではダブル・ディグリーを複数の高等教育機関によりそれぞれ発行される2枚の学位記、ジョイント・ディグリーを2又はそれ以上の機関が発行した単一の学位記であると考える場合もある。他方では、ジョイント・ディグリーについて、国による学位記を伴わずに、プログラムを提供した機関自身により発行される共同の学位記(この場合の「共同の学位記」については、法令上の位置づけは明確でない)とする場合もある。

4.留意点

【当初に確認すべき事項】

 第一に、関係大学となる外国の大学について、当該国や地域における公的な質保証システムにおける認可等(相手大学の所在国における適正な評価団体からのアクレディテーション、ユネスコの高等教育情報ポータルに掲載されている大学であること等)を受けているか確認すること。

 その上で、関係大学と教育連携関係を構築する意義や、参加する学生数の見込み、教員の配置等について、学内で十分検討し、学内における組織的・継続的な教育連携関係の構築にかかる基本方針を明らかにし、関係者の共通理解を得ること。その際、当該教育連携関係を通じて関係大学より取得可能な学位等の位置づけ(正規の学位であるか、学位とは別の証明書であるか、等)について、十分に確認すること。

 さらに、形成するプログラムのうち我が国の大学がかかわる部分について、我が国の大学設置基準等の関係法令と抵触することがないか、十分に確認すること。

【共同の実施体制の整備】

 第一に、関係大学との教育連携の安定的かつ継続的な実施を確保するため、あらかじめ関係大学間において、学長、理事長等の大学運営に責任を有する者の名義により協定を締結し、各大学ごとの対象人数、教員の配置、教育研究の内容、業務運営、経費の配分、学生に対する責任、授業料等の取扱い、プログラムの終了時の際の手続その他プログラムの形成及び実施のために必要な基本的な方針について協定等により取決めを設けること。協定等を設ける際は、各関係大学が協定を通じてどのような連携活動を展開しようとしているのか、その意志について十分に確認すること。これにより、例えば了解を得ずに関係大学が自らの大学の学生に学位を授与するといった、適切に責任を果たすことが困難な事態になることのないよう留意すること。

 また、協定に基づき関係大学との調整や重要事項について協議を行うため、権限を有する者あるいは学長、理事長等から必要な権限を委ねられている者により構成される協議会等を設け、定期的に開催すること。さらに、プログラムを組織的かつ継続的に運営するため、各関係大学において窓口となる担当部署を設定し、情報の共有や各種問い合わせへの対応、プログラム運営上の関係者間の調整など、組織的な教育連携を図るよう留意すること。

 【カリキュラムの編成】

 第一に、カリキュラムの編成に当たり、関係大学がどのような分野別質保証や職業資格団体による認証等を受けているか確認すること。

 次に、カリキュラムの編成の際には、関係大学における単位制度(授業時間を含めた学習量や単位の換算方法等)について確認するとともに、学位取得に向けたタイムスケールや履修の順序、単位互換の手続、アカデミックカレンダーの相違、履修すべき科目と学生が選択可能な科目の整理等について十分に確認し、学生の履修に支障がないようにすること。また、コースワークを重視し、授業内容を反映した科目名によるカリキュラムの構成に留意するとともに、関係大学における単位制度も踏まえつつ、単位の実質化を軽視することのないよう、厳密に確認すること。その際、単位互換の枠組については、既に国際的に実施されている枠組の活用も考えられること。

 また、魅力あるプログラムを形成するとともに、カリキュラムの調整や交流の促進が円滑に行われるよう、双方の大学が英語等による授業や課程を提供するなどの工夫を図ること。 さらに、教育内容の質を保証するとともに、学生の負担を減らす観点から、担当教員が双方の大学に出向いて共同指導を行う等工夫すること。

 その上で、カリキュラムを充実するとともに、その可視化を図る観点から、関係大学間の議論や対話を通じて学位を取得するにあたり達成すべき能力を明確にするとともに、例えばGPAの導入や評価に係る教員間の相互チェックなど、透明性、客観性の高い、厳格な成績評価が行われるよう留意すること。

 なお、形成するプログラムが修士課程又は博士課程の場合、学生が全ての関係大学の教員から研究指導を受けることができるよう、研究指導教員については、それぞれの学生について全ての関係大学から教員を主担当又は副担当として定めるなど、適切な管理を行うこと。

【学位審査】

 学位審査については、各大学において適切に行われることを前提としつつ、例えば論文の提出が求められる場合、各関係大学に提出する論文の数や内容、トピックの選択、使用言語、論文受理の要件、論文審査のタイムスケジュールや審査体制、論文指導における関係大学による共同指導の在り方などにつき、相手大学の制度や実情も踏まえつつ、十分に検討すること。特に、ジョイント・ディグリーの場合、カリキュラムが共同で編成されていることにも鑑み、学位審査に当たり、関係大学と十分に協議し、適切に行うこと。また、各国の学位制度や適切な質の保証を踏まえつつ、例えば我が国の修士課程において、論文の提出に代えて特定課題についての研究成果の提出を求めるなどの対応も考えられること。なお、一つの論文で複数の大学においてそれぞれ学位を取得可能とするプログラムについては、質の保証の観点から疑念を持たれないよう、引き続き慎重な検討が必要である。その際、修士課程・博士課程における学位審査については、学位審査委員会に関係大学の教員を構成員として加えることが考えられるが、その場合は、学位規則第5条の協力者とするなどの対応をとること。

 次に、学位記の発行については、各関係大学がそれぞれ学位記を発行するほか、ジョイント・ディグリー・プログラムについては、別途関係大学により、共同で編成された教育課程を修了したことを示すものとして、サティフィケートのような証明書を発行することが考えられることから、関係大学との間で適切に協議すること。このようなサティフィケートは、卒業後に海外で活躍する際に有用な情報となり得るものであり、特にジョイント・ディグリー・プログラムに参加する学生にとっての有用性は高いものと考えられる。

 なお、学位記の発行に際しては、当該プログラムの概要や、その履修を通じて得られる能力等に関する情報を記載した資料(例えば、アカデミック・ポートフォリオや欧州におけるディプロマ・サプリメント等)の文書を学位記に添付することが望ましい。

 上記のジョイント・ディグリー・プログラムにおけるサティフィケートを発行する場合、その表記については、日本語及び当該大学の所在国における言語を併記するとともに、英語での併記についても検討することが望ましい。記載内容については、卒業・修了者の氏名、専攻分野と授与される学位、卒業・修了日等の表記につき、相手大学との間で十分検討すること。その際、プログラム名の外国語での表記について、適切に検討すること(サティフィケートの様式例として、参考3を参照)。その際、学位に付記する専攻分野の名称についても、ジョイント・ディグリー・プログラムが共同で編成・実施されるカリキュラムに基づくものであることも踏まえ、適切に検討すること。 

【教育研究活動の評価】

 プログラムにかかる教育研究活動の評価については、各大学の自己点検・評価、認証評価など大学単位で実施する際、あるいは専門職大学院において課程単位でその教育研究活動の状況について認証評価を受ける際に、当該プログラムの状況についても適切に評価を受けること。

【学生への支援】

 ダブル・ディグリー及びジョイント・ディグリー・プログラムの実施に際しては、新入学生のみを対象とするコースや、入学後に希望する学生が応募可能なコース等を設けることが考えられるが、いずれの場合においても、当該プログラムを選択する学生の募集については、具体的な手続を定めること。その際、募集要項等の関係書類等については、原則として公開するよう留意すること。また、想定した募集人員が集まらなかった際の扱いについても、応募した学生に不利益とならないよう、対応策を事前に協議すること。

 次に、学生の在籍関係については、単位互換制度等を活用して当該プログラムを形成する場合、休学とするなどの扱いが考えられるが、我が国の大学及び相手大学の両方に同時に在籍する期間が存在する場合は、学生に対する責任等につき遺漏がないよう適切に処理すること。あわせて、学生の学修及び生活面において、関係大学間で継続的に状況把握を行い十分な連絡・情報共有を心がけるとともに、学生が履修上の適切な指導を関係大学において受けることができ、心身ともに健康な学生生活を送ることができるための支援体制を整備するなど、継続的な学生支援体制を関係大学間において構築することに留意しつつ、学生が履修に失敗した場合の扱いについても事前に協議すること。また、複数の大学に在籍することに伴って生じる授業料等の取扱いにつき、学生の便益に配慮するとともに、双方の大学の学生間で公平が図られるよう留意すること。また、全体を通じて適切な学習環境が確保されるよう、関係大学と十分検討すること。これらの措置を通じて、学生が国内と外国の大学の間を移動することに伴う負担を可能な限り軽減するとともに、学生の授業科目の履修や、就職活動を含めた授業外の各種活動に過度な負担を生じさせることのないよう配慮すること。

 なお、当該プログラムの安定的かつ継続的な実施を確保するため、いずれかの大学がやむを得ない事由により授業科目を開設できなくなった場合にも、当該大学の責任の下に、関係当局に助言を求めるとともに、学生に対し、その授業科目を提供することができるようにするなど、あらかじめ、対処方針と必要な方策を定めておくこと。

【情報の公開】

 上記の留意点に関する各大学及び関係大学における方針及び検討結果や、当該プログラムの開始後における実施状況等については、質を対外的に保証し説明責任を果たす観点や、当該プログラムの詳細について予め学生が把握し、適切な判断や選択が可能となるよう、適切に公開するとともに、関係大学に対しても必要な情報の公開を適宜要請すること。

 また、大学の取組や当該プログラムを選択した学生の学習成果が社会で広く理解されるよう、各大学において、ダブル・ディグリー・プログラム等、組織的・継続的な教育連携関係の教育的な効果について、学生のみならず広く社会に対して伝えていくこと。                         

 

参考資料(参考1~参考3)

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高等教育局高等教育企画課国際企画室

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(高等教育局高等教育企画課国際企画室)

-- 登録:平成22年05月 --