5.教育職員のわいせつ行為等に係る懲戒処分等事案の具体的状況について

1.調査の趣旨

 近年、教育職員に係るわいせつ行為等に係る懲戒処分数が増加している状況に鑑み、任命権者である教育委員会が教職員の服務の一層の確保を図る際の参考に資するため、当該懲戒処分等事案について、その場面、場所、態様等を調査しとりまとめたものである。

2.調査対象・調査時点

 47都道府県及び13指定都市教育委員会を対象として、平成16年度における教育職員(公立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校又は養護学校の校長、教頭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、講師(非常勤を含む。)、実習助手及び寄宿舎指導員をいう。)に係る懲戒処分等のうち、わいせつ行為等に係る懲戒処分等の数及び具体的状況について調査した。

 (注)本調査における「わいせつ行為等」の定義
 「わいせつ行為等」とは、わいせつ行為及びセクシュアル・ハラスメントをいう。
 「わいせつ行為」とは、強姦、強制わいせつ(13歳以上の者への暴行・脅迫によるわいせつ行為および13歳未満の者へのわいせつ行為)、公然わいせつ、わいせつ物頒布等、買春、痴漢、のぞき、陰部等の露出、青少年保護条例等違反、不適切な裸体・下着姿等の撮影(隠し撮り等を含む)、わいせつ目的をもって体に触ること等をいう。
 「セクシュアル・ハラスメント」とは、同僚職員、児童生徒等の者を不快にさせる性的な言動等をいう。

3.懲戒処分等を受けた者の数

 わいせつ行為等を行ったことにより懲戒処分を受けた教育職員の数は139人(他に監督責任による処分が34人)であり、訓告等・諭旨免職を含めた処分等を受けた教育職員の数は166人(他に監督責任による処分等が156人)である。このうち、懲戒免職となった者は95人、諭旨免職となった者は11人である。
 前年度と比較すると、懲戒処分を受けた者は16人の減少、訓告等・諭旨免職を含めて処分等を受けた者は30人の減少となっており、そのうち懲戒免職となった者は12人の減少、諭旨免職となった者は8人の減少となっている。

(注)( )内の数は監督責任によるもので外数。

年度 懲戒処分 訓告等 諭旨 総計
免職 停職 減給 戒告 小計 免職
平成15年 107 40 4(8) 4(21) 155(29) 22(115) 19 196(144)
平成16年 95 30 9(6) 5(28) 139(34) 16(122) 11 166(156)

4.わいせつ行為等の具体的状況

(1)被処分者の性別

被処分者の性別 人数 割合パーセント
男性 165 99.4パーセント
女性 1 0.6パーセント
合計 166 100.0パーセント

(2)被処分者の年齢

 被処分者の年齢層が最も多かったのは、「30歳代」であり、全体の35.5パーセント(59人)を占めている。続いて、「40歳代」(30.7パーセント、51人)、「50歳代」(19.9パーセント、33人)となっている。

被処分者の年齢

被処分者の年齢層 人数 割合パーセント
20歳代 20 12.1パーセント
30歳代 59 35.5パーセント
40歳代 51 30.7パーセント
50歳代 33 19.9パーセント
60歳代 3 1.8パーセント
合計 166 100.0パーセント

(3)被処分者の過去におけるわいせつ行為の有無

被処分者の前歴の有無 人数 割合パーセント
合計 15 9.0パーセント
処分歴 0
151 91.0パーセント
合計 166 100.0パーセント

(注)「前歴」とは、過去にわいせつ行為等による懲戒処分等を受けたことがある者、又は、わいせつ行為等に係る懲戒処分等は受けたことはないが以前にもわいせつ行為等を行っていたことが本人や周囲の供述より推察されるものをいう。

(4)被処分者の所属する学校種

 被処分者の所属する学校種については、最も多かったのが「高等学校」であり、全体の48.8パーセント(81人)を占めている。続いて、「中学校」(31.9パーセント、53人)、「小学校」(15.7パーセント、26人)となっている。

被処分者の所属する学校種

学校種 人数 割合パーセント
小学校 26 15.7パーセント
中学校 53 31.9パーセント
高等学校 81 48.8パーセント
中等教育学校 0 0.0パーセント
特殊教育諸学校 6 3.6パーセント
合計 166 100.0パーセント

(5)わいせつ行為等の相手の性別

相手の性別 人数 割合パーセント
男性 9 5.6パーセント
女性 153 94.4パーセント
合計 162 100.0パーセント

(注)「行為の相手方が不特定または不明」のものは4件であり、その内容は、わいせつな内容のDVD販売、わいせつな内容のメール送信等である。

(6)わいせつ行為等の相手の属性

 わいせつ行為等の相手の属性として、最も多かったのが「自校の生徒」46.4パーセント(77人)であり、続いて、「18歳未満の者(自校児童生徒等以外)」(15.7パーセント、26人)、「自校の教職員」(13.9パーセント、23人)となっている。

わいせつ行為等の相手の属性

  相手の属性 人数 割合(パーセント)
児童・生徒等 自校の生徒 77 46.4パーセント
自校の児童 7 4.2パーセント
自校の卒業生 4 2.4パーセント
18歳未満の者 26 15.7パーセント
小計 114 68.7パーセント
教職員等 教育実習生 2 1.2パーセント
自校の教職員 23 13.9パーセント
他校の教職員 2 1.2パーセント
小計 27 16.3パーセント
  一般人 21 12.6パーセント
特定なし 4 2.4パーセント
合計 166 100.0パーセント

(7)わいせつ行為等が発覚した要因

 わいせつ行為等が発覚した要因で最も多かったものは「校長その他教職員への相談」であり、42.8パーセント(71人)を占めている。続いて、「(教育関係者を介さずに直接)警察からの連絡」(28.3パーセント、47人)、「本人又は保護者以外の者から学校や教育委員会への通報」(13.9パーセント、23人)となっている。

わいせつ行為等が発覚した要因

わいせつ行為等が発覚した要因 件数 割合(パーセント)
校長その他教職員への相談 71 42.8パーセント
スクールカウンセラーへの相談 3 1.8パーセント
セクハラ相談窓口への相談 5 3.0パーセント
本人又は保護者から教育委員会へ通報 11 6.6パーセント
第三者から学校・教育委員会へ通報 23 13.9パーセント
警察からの連絡(教育関係者を介さずに直接) 47 28.3パーセント
その他 6 3.6パーセント
合計 166 100.0パーセント

(8)わいせつ行為等が行われた場面

 わいせつ行為等が行われた場面で最も多かったのが、「勤務時間外」であり、全体の65.7パーセント(109人)を占めている。続いて、「放課後」(7.8パーセント、13人)、「部活動」(6.7パーセント、11人)となっている。

わいせつ行為等が行われた場面

わいせつ行為等が行われた場面 件数 割合(パーセント)
授業中 9 5.4パーセント
学校行事 7 4.2パーセント
休み時間 6 3.6パーセント
部活動 11 6.7パーセント
放課後 13 7.8パーセント
休業日 2 1.2パーセント
通勤中 9 5.4パーセント
勤務時間外 109 65.7パーセント
合計 166 100.0パーセント

(9)わいせつ行為等が行われた場所

 わいせつ行為等が行われた場所で最も多かったものは「ホテル・自宅・自家用車」であり、54件となっている。続いては、「その他」を除き「保健室・生徒指導室等(教室・職員室以外)」25件、「(電車・バス等の)公共交通機関」13件となっている。

わいせつ行為等が行われた場所

わいせつ行為等が行われた場所 件数
教室 12
職員室 1
教室・職員室以外の校舎内 25
運動場・体育館・プール等 9
修学旅行等の宿泊先 5
合宿施設 3
公共交通機関 13
ホテル・自宅・自家用車 54
その他 53
合計 175

(複数回答)

(10)わいせつ行為等の態様

 わいせつ行為等の態様で最も多かったものは「体に触る」であり、67件となっている。続いて、「性交」30件、「言葉・文書等による性的いやがらせ」30件となっている。

わいせつ行為等の態様

わいせつ行為等の様態 件数
体に触る 67
性交 30
言葉・文書等による性的いやがらせ 30
接吻(含未遂) 26
盗撮・のぞき 18
痴漢行為 12
陰部等の露出 5
裸体・下着姿の撮影 4
その他 12
合計 204

(複数回答)

お問合せ先

初等中等教育局教職員課