教員養成部会 教員免許制度ワーキンググループ(第7回) 配付資料

1.日時

平成17年6月10日(金曜日) 13時~15時30分

2.場所

九段会館 2階 「鳳凰の間」

3.議題

  1. 教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

4.配付資料

5.出席者

委員

 野村主査、天笠委員、門川委員、甲田委員、渡久山委員、八尾坂委員、山極委員

文部科学省

 樋口審議官、山中審議官、板東審議官、とく永審議官、戸渡教職員課長、勝野視学官 他

6.議事

(1)教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

 事務局から配付資料の説明の後、資料3、4の論点ごとに自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり。(○:委員、●:事務局)

委員
 地方交付税削減の動きと連動して、教員の給与をどうするのかという問題があるが、教員全体としての待遇について記述されているか。教育基本法第6条には、「教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない」とあり、そのような視点の記述も必要。また、ここでは教員に対する記述が中心となっているが、免許状取得者のうち、約2万人しか教員に採用されないため、残りのペーパーティーチャーをどうするのかという問題について、きちんと位置付けておく必要がある。

委員
 この資料は議論のたたき台となっているが、専門職大学院ワーキンググループの方は、審議経過となっている。当ワーキンググループも、やがては審議経過という形になっていくのか。

事務局
 ワーキンググループごとに、審議経過報告を出す形にはなっていない。これから、教員養成部会全体で、関係団体のヒアリングも踏まえつつ、まとめていく形になる。案1、2の部分は、ワーキンググループで議論いただく中で、一つの方向にまとまるものはまとめていただいて良いし、まとまらないものについては、そのままの形で部会で議論いただいても良いと考える。

委員
 「このような時期こそ、採用段階における教員の質の確保という従来型の発想から、養成段階における教員の質の確実な保証へと、転換を図ることが必要」とあるが、転換を図るという表現では、養成段階にウェイトを置き過ぎるのではないか。その後の、研修を更新制とつなげることからすると、養成、採用、研修について実のあるシステムをつくることで、教員の質が保証されるという形になるので、研修と更新制との絡みも記述する方が良い。

事務局
 転換を図ると記述した趣旨は、養成段階には期待せず、採用段階で良い人材を確保すれば良いという、民間企業の採用と同じ感覚で指摘を受けることがあったため、こういう表現になった。

委員
 「養成、採用、現職研修の各段階における改革を総合的に進めることが必要である」とあるが、総論では、必要性や方向性については謳われているだけで、どういう改革をするのか、踏み込んだ記述がない。不十分な現行制度を前提として、更新制の導入により教員の資質や適格性を確保しようとするものなのか、養成・採用・研修のそれぞれが連動して改善を図りながら、その中に更新制も導入しようとするのかをはっきりさせなければならない。すなわち、制度全体の姿、改革の姿全体の中での更新制の位置付けを明確にする必要がある。

委員
 教員養成部会としての中間まとめや最終まとめのイメージを事務局としてどのように考えているのか。一つにまとめるのか、それとも分けるのか。

事務局
 昨年10月に、専門職大学院制度の活用と更新制の導入という、諮問をさせていただいたが、これは教員の資質向上にとって欠かせない二つの課題であるためで、答申にあたっては、一本化した形でまとめいただくことになると考えている。

事務局
 どこまで踏み込んで制度改正を考えていくかという指摘があったが、当面、専門職大学院の在り方、更新制の導入について速やかに検討ということを考えると、これらの議論の範囲内で、現行制度について直すべきところがあれば直すということだと考える。ただ、大きく見直すべき点については、今回の制度改正と合わせてということではなく、今後の課題として整理する方法もあるのではないか。ただし、現職研修と採用については、全体としてまだ記述が足りないという指摘があったものと受け止めている。

事務局
 平成14年答申との関係で、免許状授与時の適格性や専門性をきちんと見ているかという問題がネックになっていた。今回更新制を導入する際は、大学における教職課程の問題が大切になるので、免許状授与時にきちんと適格性、専門性を検証しているか、また、現職に就いた時に一定期間ごとにその専門性と適格性が維持されているのかということをセットで議論する必要がある。このため、理念的に教職課程の改善を謳うだけではなく、教職課程の改善・充実や、適格性と専門性を大学できちんと検証するシステムを考えていくことが必要であり、引き続き検討していただきたい。

委員
 養成段階での教員の質の保証ということになれば、大学のカリキュラムの中に適格性を養う科目が必要となるが、新たに科目を指定するのか、それとも大学の自主性に任せて、それが身に付くよう指導するだけなのか。

委員
 案がいくつか出ているが、部会へは、一つに絞って上げるのか、それとも2案くらい出すのか。

事務局
 事務局としては、教員養成部会で最終的に議論いただくというスタンスであり、これまで検討いただいた中身がわからない形にして部会に上げるよりは、両論を出して部会で議論いただき、そこで集約いただければと考えている。

委員
 ワーキンググループで、余程意見の分かれる部分は両論併記で、そうでないところは、一つの案に集約して、部会に報告してもらった方が良いのではないか。部会は人数も多く、時間にも限りがあるので、できれば絞っていただきたい。

事務局
 このワーキンググループは、部会と相互にキャッチボールをしながら、審議を進めてきている。また、ヒアリングも今後予定されているので、関係団体の意見も踏まえながら、合意形成できるのであれば、ワーキンググループとして一定の方向にまとめていただき、部会にあげていただいても良い。ただし、他の部会との時期的な関係もあるので、部会長や主査とも相談させていただきながら、今後の工程を考えていきたい。

委員
 法制上の問題もあり得るので、必ずしも一本化することはないのではないか。

委員
 免許状の授与の仕組みの案2は仮免許状であるが、これで良いのか。一定の勤務実績は教職に就いた後でなければ、判断できないのではないか。仮免許状とするのではなく、正規の免許状を授与し、更新時に一定の勤務実績を踏まえて適格性を判断する形の方が良い。案1ならば、養成段階で、適格性まで含めた教科をつくってほしいし、案2ならば、正規の免許状の授与後、勤務実績を踏まえて、教育委員会や審査委員会(仮称)で適格性を判断してほしい。また、案3であれば、国家試験で専門性や適格性を見ることになるが、この案には賛成できない。

委員
 大学が変わり、養成段階できちんと専門性から適格性まで指導するのであれば、更新制は縛りの強い制度とするのではなく、上進制を活用しながら、処遇も改善していくというスタンスで良いのではないのか。

委員
 現職教員とペーパーティーチャーで不公平がないかどうか。現職教員の場合は、採用試験や初任者研修、10年経験者研修も受けなければならない。どの程度の重さで勤務実績が評価されるのか。

委員
 当初、更新制は、不適格な教員を排除するという流れの中で、減点法で検討された。しかし、資質能力に欠ける教員を排除する制度は他にあるので、減点法ではなく、加点法すなわち、資質能力の維持や向上に重点を置いて検討してきた。ペーパーティーチャーについては、それを見ることができないので、免許が失効した場合は、必要な研修の機会を与えた上で、免許状を再授与することがあるという文言を入れておいた方が良いのではないか。

委員
 教員の大量採用と、採用が少ない時が約20年周期で繰り返す。特別免許状制度もあるが、多くのペーパーティーチャーがいるからこそ、例えば、民間企業から引き抜き、教員として採用することができる。潜在的な教育力として、ペーパーティーチャーは大事である。教員免許状を取得しておこうという者が少なくなると困るので、ペーパーティーチャーの免許状がすぐ失効してしまうという印象を与えない工夫が必要である。また、大学において、教員養成をきちんと行うということが実現できれば、更新制は緩やかな制度で良いのではないか。しかし、国家試験でもしない限り、どこまで大学が教員養成をきちんと行えるか、懐疑的である。更新制の基本的な在り方について、案1と案2の中間が良い。最低限必要な適格性や専門性を有していれば良いということに加えて、専門性を高めるような努力規定を設けるという記述もあるが、熟した案ではない。優良更新、一般更新、一年経ったらもう一度成果を見るという条件附更新という形とするのも良い。例えば、LD/ADHDなどの新しい知見や、現代の子どもや社会の状況について絶えず勉強することは、教職に就いた者として当然の責務である。更新制を緩やかにし、教員がモチベーションを高めて、子どもにとって良い教育状況、学校にしていく知恵が必要である。

委員
 現代の社会は変化の激しい時代で、一度獲得した知識も短い時間の経過の中で古くなってくる。そういう時代に生きる専門職に求められるものは何かといった、専門性の言及が必要ではないか。常に知識の更新が専門性を維持する重要な営みとなるのではないか。いかに養成制度がしっかりしていても、その後の研修システムで知識の更新に応じざるを得ないし、その中には大学に戻ることも含まれている。更新制は、常に専門性が一定レベルで保証されているという、社会的な証明となるのではないか。ペーパーティーチャーは、教育についての関心を高めることや、教職の潜在的な予備軍というメリットはあるものの、そのままでは、変化の激しい社会の中で、知識が陳腐化してしまうというデメリットもある。ペーパーティーチャーが教壇に立とうとするならば、知識の更新システムを通過する形とするのが重要である。資料4について、教科等に関する専門的知識・技能は、ある程度合意ができる。難しいのは、豊かな人間性のような、抽象的で漠然としたものである。適格性には、理念的・価値観的なものが入ってくるため、具体的な項目を挙げるにしても、知恵を絞る必要がある。この案のうち、例えば、教科等に関する専門的知識・技能は、専門性に分類されるのではないか。また、学校種や教科ごとに判定基準も異なる部分があるのではないか。

委員
 大学における適格性の判定では、教育実習が大きなウェイトを占めるが、その評価が不十分であるため、これをきちんとしていくことが大切である。しかし、教育実習が現場の負担となっているため、いい加減になっているのではないか。その中で、適格性が育っているのか、きちんとした評価がされているのか、疑問である。教育実習は1年間とし、教職課程の中で一定程度の適格性を養成するのも良いのではないか。当面、教育実習をどのようにしていくのかが課題である。更新制で大事なのは、教職に就いて5年や10年でどのような適格性・専門性が発揮されているかである。また、更新制の中に、同僚性や学習指導の方法というようなものも含めて考えるのであれば、養成段階において養成される適格性と、教職に就いた後に、養成される適格性は質的に違うので、分けて考えなければならない。

委員
 専門職大学院ワーキンググループでは、専門職大学院も含めて、教員養成機関の認証評価をしなければならないということが検討されている。教育実習については、適格性を身に付けさせるための仕組みができているかどうか、その仕組みの中で、学生がどこまで伸びているかについても二重に見なければいけない。例えば5~7年に1回くらい、認証制度のような形でチェックする取組みができないか検討すべきである。

委員
 適格性について、例えば、上手く子どもと接することができる学生と、そうでない学生というのは、教育実習等の中で、見えてくるのではないか。その場合、場数を踏めば、上手く接することができるようになる学生と、それでも成長が難しい学生とが出てくるが、それについての判定も必要になってくる。また、2週間程度で見えてくる場合と、1年かけて、見えてくる場合とでは、様子が違うのではないか。教育実習で、ある程度学生の資質は見ることができるが、どうしても期間が短すぎる。しかし、受け入れ側からすると、それでも負担が大きいし、学生にとっても大変であるので、ギリギリのところで今の教育実習が維持されている。もし大学で、適格性を判定する場合、実習を受ける場の確保や制度的整備をどれだけ手当てできるか検討することが必要である。

委員
 大学における専門性の軸、適格性の軸、そして1~4年の学年の軸がある。教育実習はもちろん大事だが、4年間の中で、体験活動やボランティア活動、あるいは自分が教職に向いているのかという自己評価等が、カリキュラムの形で位置付けられ、その後に教育実習があり、トータルとして、卒業時に専門性や適格性が身に付いているという流れが必要ではないか。

委員
 17年度の課程認定の申請の手引きは、昨年に比べると分厚くなっている。これまで以上に、養成しようとする教員像を明確に持ち、理想とする教員像を学生に持たせ、学生に対してどのような履修指導を行い、資質を高めていくかを踏まえて、申請をするように大学に求めている。既に課程認定を受けている大学にも、どのような教員像を持って養成するのかについて、要求していかなければならない。教育実習については、実力のない学生に授業をさせることによって、現場は困っている。教育実習の期間の延長については、これまでも言われてきて、中学校の場合は、平成10年答申を受けて、2週間が4週間に、事前事後を含めて5週間行われているが、授業時間の確保等の問題が起こっている。拠点校をつくり、そこできちんとした教育実習を行うという案があるが、その学校の授業時間の確保の問題があるし、教育実習の数が多ければ、拠点校ですべて対応するのも不可能である。

委員
 現行の教育実習の中で、適格性を判定するのは、困難ではないか。判定するためには、教育実習の期間を1年間とするなど、大きく変えなければならない。

委員
 資料4の適格性の判定については、指導力不足教員の判定で出ているような観点である。養成段階の場合は、これ自体は参考として良い。教育実習については、例えば、1年間、毎週1回行くということでも、長期的に学校を知ることになるので、良いのではないか。適格性の判定基準については、大学のカリキュラムを変えていく機会になるかもしれない。また、現職教員でAが付くとすれば、分限処分にも値するような者かもしれないが、そういう点では、Aが付く者はいるということだろう。Aに該当すると認められる場合の手続の考え方として、審査委員会をつくるというのは良いことである。本人の言い分を聞く機会もあって良いだろうし、客観的な事実関係の判定は必要である。ただ、最終的には、判定でAになるかそれに近いような判定になる者が出ないように指導するという役割もあるのではないか。それに応じて、予防的な措置を各大学で考えるきっかけにできれば良い。

委員
 教育実習も2~4週間であれば、学校現場にとって重荷であるが、1年間実習に来てもらえるとなれば、マンパワーになる。デュアルシステムにしても良いし、若干の給与を与えても良い。大学のカリキュラムの一環でありながら、学校現場で実習するという期間は、1年あるいは半年でも良い。大学の前期・後期の授業を上手に組み合わせて来てもらえればありがたい。短期間で教育実習を行うから学校の受け入れが大変になる。

委員
 今、教育委員会や学校は、教育実習以外で学生に来て欲しいと思っている。学生としては、学校現場を知った方が良いということで、特に1年生を中心に、学校に行っている。それは良いことだが、これでは大学の存在意義が問われる。しかし、例えば、小学校教育の専門をきちんと教えておかないといけないことを考えると、例えば、4年間は現場に行かせず、専門をきちんと教え、その後の2年間は全て学校現場に行かせ、そこで専門性や適格性を見るというくらいに変えなければいけないのではないか。

委員
 6年間の教員養成については、他の部会やワーキンググループで議論されているのか。例えば、専門職大学院ワーキンググループは、そういうことを絡めながら議論をしているのか。

事務局
 教員養成部会においては、6年制を考えるのか、4年制を基本として考えるのかという議論があった。これについては、過去の答申でも、6年制については4足す2の一貫したカリキュラムの研究等を踏まえながら、中・長期的に検討していくことが必要であるとされていることを踏まえ、今回の検討では、学部段階を基本としながら、制度設計していこうということで、議論が展開されている。専門職大学院についても、6年一貫を目指すということではなくて、今の4+2という中で、専門職大学院制度を活用しながら、より実践力を持った教員をいかに養成していくかという議論をしていただいている。しかし、6年制の教員養成をについては、過去の答申でも課題としてあげられており、今回の専門職大学院も6年一貫も意識しながら議論いただいているものと思っている。

委員
 教育改革国民会議が出した、17の提案の中では、6年制について触れられている。過去の中教審答申でも出てきてはいるが、まとまって議論はされていない。しかし、いずれは検討しなければならない問題である。当面は、4足す2の形での専門職大学院の立ち上げが先になるが、6年制が出てきても良いのではないのか。

委員
 現在、採用後1年間は、試補のような仕事をしている。そのような中で、1年間条件附で採用し、期間の終了時に、本採用して良いかどうかという考えがあるが、その場合に、給与を与えるかどうかの問題がある。今は給与を与えながら、初任者研修を受けさせて、ほとんど採用される形になっている。6年制については、将来の課題として検討してほしい。

委員
 日本の教員の資質向上のためには、今の4足す2の形が大事である。後の2については、インターン制をしたり、研修センター等で行う等、色々な形があって良い。教員の場合、他の一般公務員と違い、条件附採用期間が1年になっている。また、指導力不足教員に対する分限制度もある。更に今度、更新制を導入するとなれば、全く質の違う制度を導入することになる。これは、現行の労働法制との関係でどうなるのか、きちんと確認していただきたい。また、例えば、モデル・コア・カリキュラムというものを示して、各大学で活用することが言われたが、必ずしも成功していない。どこに原因があるのか検証しなければならない。

委員
 授与の仕組みの案3の試験というのは、国家試験を必ずしもイメージしていないのではないか。つまり、卒業時に何らかの基礎学力テストを行うという意味の試験にも読み取れる。卒業段階で学生全員に、各大学あるいは教育委員会が、基礎学力的なテストをして、その結果を加味しながら免許状を授与する方法は、米国でもある。この試験の意味を検討しても良いのではないか。また、管理職については、勤務年数で取得できるシステムがあるので、校長くらいの者であれば、専修免許状を取得しているはずである。管理職になる場合は、専修免許状を取得できる機会があっても良いのではないか。管理職が頑張っている姿が、一般教員に影響するので、そういう点で、努力義務が入っても良いのではないか。

委員
 更新制の案について、一度全体のイメージを示してほしい。また、4専門性向上のための方策で、「現行制度では、在職年数により一律に上位免許状の取得に必要な単位数が軽減されているが」とあるが、例えば、専修免許状を取得する時に、3年間15単位となっているが、そのことを言っているのか。以前は、経験年数によって、必要単位数が減ったが、今はないのではないか。

事務局
 現行の仕組みについては、3年の経験があれば、一種免許状から専修免許状への上進に際して、15単位の修得で良く、3年の経験を15単位として換算している。また、二種免許状から一種免許状への上進の際は、現行でも1年ごとに5単位軽減となっているので、その2つを合わせて、一律軽減と言っている。

委員
 更新制と上進制を連動させる場合に必要なのは、機会の提供である。現在、専修免許状を取得するためには、大学院へ行ったり、認定講習を受ける必要がある。そういう機会を多くすることにより、希望する多くの教員が受けられるようなシステムが整っていないと、上進できない。

委員
 更新制の条件の一つとして、専修免許状を取得しなければならないとするのではなく、大学院に行って、専修免許状を取得したことも、研修の一環として加味されるという方法が良いのではないか。大学院での教員養成が不評と言われるが、実際は、大学院への希望者は多い。また、更新制の場合に、校長が評価者の一人となるが、教員を評価できる校長をどこまで育てれられるのか。同僚性についての指摘も出ているが、校長が本当にリーダーシップを発揮すれば、教員一人一人が研修を積み、専門性を高めることとなるので、更新制で問題になるような教員は出てこないはずである。そのような校長を育てる場として大学院があるが、校長学を育成できているか、という問題もある。また、大学院の場合は少人数教育で行うが、認定講習は大人数である。本当に大学院と同じレベルの力を付けて、評価をしているかという問題があるので、認定講習の在り方も吟味しなければならない。

委員
 校長の権限は少なく、教育委員会がきちんとサポートしない限り、リーダーシップを発揮できない。その一方で、教育委員会が校長に対して指示ばかりするため、校長も教員に対して、指示ばかりすることになる。そうなると、校長は単なる伝達機構になってしまい、学校自身が活性化しなくなる。このため、個々の教員も生き生きとした教育活動ができないという状況に陥る。そういう面についても、議論した方が良い。

委員
 スクールリーダーを育てるため、京都教育大学と、京都府・京都市の教育委員会で、有料で、教務主任や中堅教員を対象とした講座を夜に開講して、将来的に大学院の単位の一つとして認めることを想定しながら行っている。教育委員会の研修だけでなく、大学の講座で学校経営を中心にした教育を行い、教育委員会の職員も教えに行くということをした。専修免許状の管理職への義務付けも、大学が講座を開いて、現場を離れることなく通えて、その内容も意味あるものなら良いとは思うが、現実にはそうはなっていないので、義務付けるのは良くないのではないか。しかし、現場の現実に直面し、日々教育実践に明け暮れているのではなく、大学で学ぶことも大切であるし、権限を行使するだけでなく、内なる権威によって、教員を引っ張っていくことも大切である。ただし、校長は、教員の使い方が上手であれば良く、あらゆる専門分野のトップリーダーになる必要はないので、資格についてあまり縛らない方が良い。

委員
 兵庫教育大学の大学院でも、2年間のスクールリーダーコースを立ち上げたが、現職教員のみを対象として教育委員会からピックアップしてもらった者に入ってもらっている。これは、専門職大学院のための事前の取組みとして始めた。ここで大切なのは、管理職は、オールマイティーではないということである。上手に組織を動かすことが大切である。管理職は、教育委員会の方針を受け止めるのも大切だが、教員の意欲をどうまとめ上げて、学校という組織体をつくっていくかが重要である。

委員
 免許状の授与の仕組みの案2に、一定の勤務実績の評価があるが、その中には校長による評価も位置付けられることになるし、その後の更新時における評価でも、校長評価が関わってくるので、更新制においては、校長は大きな役割を果たすことになるのではないか。学校の活性化や学校マネジメントという課題の中で、教員の勤務実績の評価の在り方とのつながりを、押さえておく必要があるのではないか。現在、教員評価として掲げた目標の下に、校長の評価がなされつつあるが、比較的スムーズに行っている学校と、戸惑っている学校がある。戸惑いの一つは、校長自身が教員に対して上手く評価の説明ができない、相互に納得がいく形で評価ができないなど、入口のところで問題が生じている。そのことは、更新制における勤務実績の評価にもつながってくる課題である。その点、校長の評価の在り方、そのような能力を持つ教員の養成も押さえておかなければいけない。

委員
 評価能力の問題と同時に、評価の客観性の問題と教員の自己評価の問題がある。管理職による評価の客観性が保証される中で、更新されない教員の問題等が出てくるので、その点も検討していかなければならない。大学の中には、教員養成に真剣に取り組んでいる大学もあれば、免許を取得させるだけで良いと考えている大学もある。そのような大学を、教育委員会との絡みの中でどう考えていくのかについても、今後問題にしていかなければならない。

委員
 適格性の判断について、審査委員会という考え方は良い。フィンランドでは生徒が教員評価に加わっている。日本で、そのまま導入するのは難しいかもしれないが、そういう視点も持っていただきたい。

委員
 学校評議員制のような形で、参考意見として、日ごろから生徒の意見を汲み取るというのはあっても良いのではないか。人事評価が始まっているが、その評価観は、おそらく更新制にも関係している。いかに部下を育てるかという意味での評価観というのも大切な発想である。その意味で、人事評価や更新時の評価においても、いかに育てるのかという評価観を入れて欲しい。

委員
 教員の話し方から、本の読み聞かせ方まで、的確に評価しているのは子どもで、それがわかる教員というのは優れた教員である。そういう教員の養成を考えていかなければならない。

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

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(総合教育政策局教育人材政策課)