資料4 教員免許更新制における適格性の判定について(議論のたたき台)

1.判定項目及び判定基準(免許状の授与時及び更新時に共通)

(1)判定項目

判定項目 判定に当たって参考となる具体的事例 判定欄
1.豊かな人間性 (例)
  • 人間尊重・人権尊重の精神に欠ける
  • 他人に対する思いやりの心に欠ける
 
2.教職への情熱・教育的愛情 (例)
  • 教育や教員としての職務に対する使命感・熱意に欠ける
  • 児童生徒に愛情を持って接することができない
  • 児童生徒の人権に配慮した指導ができない
 
3.社会性 (例)
  • 社会的常識や見識に欠けた行動をする
  • 他の職員と協調的・協働的に職務を行うことができない
  • 保護者や地域の関係者と良好な人間関係を築けない
  • 公私の区別ができない
 
4.児童生徒に関する理解 (例)
  • 児童生徒の発達の特性を理解していない
  • 児童生徒とのコミュニケーションを取ろうとしない
  • 児童生徒の心身の状況を把握できない
  • 児童生徒と公平に接し、受容する包容力がない
 
5.教科等に関する専門的知識・技能 (例)
  • 教科等について、学習指導要領の趣旨・内容を理解していない
  • 教える内容に誤りがある
  • 児童生徒の質問に答えることができない
  • 指導計画や指導案を作成することができない
  • 教材研究を行わず、指導や教材選択の工夫ができない
  • 教科等の専門性向上に向けた研鑽意欲に欠ける
 
6.教科等に関する指導力 (例)
  • 児童生徒の反応を見ることなく、一方的に授業を行う
  • 授業の進め方について、一貫性・計画性に欠ける
  • 児童生徒の学習内容の定着状況を把握できない
  • その他指導方法が拙劣あるいは不適切で授業が成立しない
 
7.学級経営や生徒指導等に関する能力 (例)
  • 児童生徒との信頼関係が築けず、学級が機能しない
  • 児童生徒を取り巻く諸課題を踏まえた指導ができない
  • 児童生徒を見下し、感情的・高圧的な指導をする
 

(2)判定基準

判定基準 判定欄
  • 問題事象が頻繁に見られ、その程度が重大であり、簡単には改善できない持続性が認められ、円滑な職務の遂行に重大な支障を生じるおそれが強い。
A
  • 問題事象が時々見られ、その程度が比較的重く、円滑な職務の遂行に支障を生じるおそれがある。
B
  • 問題事象が時々見られるが、その程度は軽微であり、円滑な職務遂行に支障を生じるおそれは比較的少ない。
C
  • 特に問題は認められない。
(空欄)

2.免許状(正規の免許状)の授与時の判定

(1)判定権者及び判定方法

案1:教員養成を行う大学が適格性を判定する場合

 適格性の判定は、実質的には教員養成を行う各大学が行う。具体的には、教員養成を行う各大学は、新たに教職課程委員会(仮称)を設置し、学士の学位等の基礎資格を有し、教職課程の所要の単位を修得した者に対して、面接や論文審査、模擬授業等の方法により、教職課程の履修全体を通じて身に付けた資質能力を総合的に評価するとともに、その一環として、教員としての適格性の判定を行う。

 大学(教職課程委員会(仮称))からの評価結果の報告に基づき、免許状の授与権者である都道府県教育委員会が最終的に判定を行う。

案2:一定の勤務実績を基に教育委員会が適格性を判定する場合

 適格性の判定は、免許状保有者の所属する学校長からの一定の勤務実績(直近6ヶ月)についての報告に基づき、免許状の授与権者である都道府県教育委員会が行う(学校長からの報告は、服務監督権者である市町村教育委員会、任命権者である都道府県教育委員会を経由して行う)。

(2)判定結果と対応

判定結果 対応
1.Aが1つ以上ある
  • 免許状を授与しない。
2.上記以外
  • 免許状を授与する。

 上記1(Aが1つ以上ある)に該当すると認められる場合には、適格性の判定に際して、客観性・公正・公平を保つため、第三者により構成される審査委員会(仮称)を設置し、そこへの諮問・答申を踏まえて、判定を行う。

(3)免許状が授与されない場合

案1:教員養成を行う大学が適格性を判定する場合

 免許状が授与されなかった者については、大学の講習の受講等により、問題があるとされた事項について改めて履修した上で、再度、大学の教職課程委員会(仮称)において、総合的な評価を受けることとする。

案2:一定の勤務実績を基に教育委員会が適格性を判定する場合

 正規の免許状が授与されなかった場合、暫定的な免許状の有効期限内であれば、免許状保有者からの申請に基づき、再度、適格性の判定を行うことも可能とする。ただし、その際は、さらに一定の勤務実績(6ヶ月)を要することとし、当該期間の勤務成績を評価して再度の適格性の判定を行う。

3.免許状の更新時の判定

(1)判定権者及び判定方法

 適格性の判定は、免許状保有者の所属する学校長からの一定の勤務実績(有効期限満了時の直近6ヶ月)についての報告に基づき、免許状の授与権者である都道府県教育委員会が行う(学校長からの報告は、服務監督権者である市町村教育委員会、任命権者である都道府県教育委員会を経由して行う)。

(2)判定結果と対応

  判定結果 対応
Aがある 1.Aが3つ以上ある
  • 免許状の更新を留保し、都道府県教育委員会は特別の講習(例えば、20単位相当分)を指定する。
2.Aが1~2つある
  • 免許状の更新を留保し、都道府県教育委員会は特別の講習(例えば、10単位相当分)を指定する。
Aはない 3.Bが3つ以上ある
  • 免許状は更新するが、都道府県教育委員会は特別の講習(例えば、5~10単位相当分)を指定することが望ましい。
4.Bが1~2つある
  • 免許状は更新するが、都道府県教育委員会は特別の講習(例えば、5単位相当分)を指定することが望ましい。
5.Bはないが、Cが3つ以上ある
  • 免許状は更新するが、免許状保有者は、自主的に特別の講習を受講することが望ましい。
  6.上記以外
  • 免許状は更新する

 上記1~5に該当すると認められる場合には、適格性の判定に際して、客観性・公正・公平を保つため、第三者により構成される審査委員会(仮称)を設置し、そこへの諮問・答申を踏まえて、判定を行う。

(3)特別の講習

 上記の「特別の講習」については、都道府県教育委員会が、当該教員の実態等に応じて、講習内容・方法等を盛り込んだ実施計画を作成する。実施計画については、現在、各都道府県教育委員会において行われている指導力不足教員に対する研修が参考になる。

(4)特別の講習の受講後の対応

 特別の講習の受講後、再度、上記1の(1)、(2)の判定項目・判定基準に照らして適格性を判定した結果、上記(2)の1、2(Aが1つ以上ある)に該当すると認められる場合には、免許状は失効する(更新しない)ものとする。なお、この場合も、適格性の判定に際して、客観性・公正・公平を保つため、第三者により構成される審査委員会(仮称)を設置し、そこへの諮問・答申を踏まえて、判定を行う。

<判定の手続き(公立の小・中学校教員の場合>

判定の手続き(公立の小・中学校教員の場合)の図

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初等中等教育局教職員課