(注1)「青少年」
(1ページ等)
法令上の定義はないが,一般的には我が国の将来を担う若い世代で,人間形成の途上にある人たちを指す。
本答申における「青少年」の対象年齢については,「青少年育成施策大綱」(平成15年12月9日 青少年育成推進本部決定)が,おおむね30歳未満の者を対象として以下の各年齢期に応じて青少年育成施策を推進していることを念頭に置いている。
乳幼児期: |
小学校就学前の時期
人間への基本的信頼と愛情を育てていく基礎となる,親や特定少数の人との強い情愛的きずなを形成するとともに,複数の人々とのかかわりを通じて認知や情緒を発達させ人格を形成していくことが重要。 |
学童期: |
小学生期
後の成長の基礎となる体力・運動能力を身に付け,多様な知識・経験を蓄積し,家族や仲間との相互関係の中で自分の役割や連帯感などの社会性を獲得していくことが重要。 |
思春期: |
おおむね中学生〜高校生に当たる時期
自分らしさを確立するために模索し,社会規範や知識・能力を修得しながら大人への移行を開始することが重要。 |
青年期: |
おおむね高等学校卒業以後に当たる時期
親の保護から抜け出し,社会の一員として自立した生活を営み,さらに,公共へ参画し,貢献していくことが重要。 |
(注2)「経験」「体験」「体験活動」
(2ページ等)
本答申においては,「経験」「体験」「体験活動」の各用語について,主に以下のような意味で用いている。
経験: |
「人間と外界との相互作用の過程を人間の側から見ていう語。人間のあらゆる社会的実践を含むが,人間が外界を変革するとともにまた自己自身を変化させる活動が最も基本的なもの。人間の直接にぶつかる現実。」(「広辞苑第四版」)とも定義され,本答申では,人間が実際に見たり,聞いたり,行ったりすることを広く指して用いている。 |
体験: |
経験のうち,経験する者の能動性や経験の内容の具体性に着目して,能動的な経験や具体的な経験を指して用いている。 |
体験活動: |
体験を通じて何らかの学習が行われることを目的として,体験する者に対して意図的・計画的に提供される体験を指して用いている。 |
(注3)「フリーター」「ニート」
(3ページ)
「フリーター」とは厚生労働省の定義(「労働経済の分析(労働経済白書)」)では,15〜34歳で,男性は卒業者,女性や卒業者で未婚の者とし,雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者,完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者,非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で,家事も通学も就業内定もしていない「その他」の者の合計としており,平成17年は約201万人。
「ニート」(NEET)とは“Not in Education, Employment or Training”の略で「若年無業者」と称し,厚生労働省の定義(「労働経済の分析(労働経済白書)」)では,15〜34歳で非労働力人口のうち家事も通学もしていない者としており,平成17年は約64万人。
(注4)「スクールミーティング」
(3ページ)
文部科学省が教育現場の実際の取組を見たり,保護者や教職員,子どもたちの声を直接聞いたりすることを目的に,大臣・副大臣・大臣政務官等の幹部,中堅・若手の職員が平成17年1月〜7月に全国47都道府県を網羅する形で計387の小学校,中学校,盲・聾(ろう)・養護学校を訪問して実施。
(注5)「情動」
(22ページ,69ページ)
怒り・喜び・悲しみ・憎しみなどのような一時的な感情の動きで表情,身振りなどの行動の変化や心拍数増加や血圧上昇などの自律神経系や内分泌系の変化を伴う。
(「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会報告書」(平成17年10月,文部科学省)より)
(注6)「愛着形成」
(22ページ,45ページ)
愛着とは,人と人との間で形成される相互の親和性(相手と一緒にいることを望み,一緒にいることで大きな安心感,満足感を感じられる関係)のことである。愛着には,「相互的な関係」,「情緒的満足感」,「身体接触的関係」という要素が不可欠であり,「身体接触的関係」という点で友人関係とは異なるものとなる。子どものこころの健全な発育のためには適切な「愛着」形成が重要である。
保育者との愛着によって,子どもの対人関係能力や言語能力が伸長することから,乳幼児期からの親子関係をはじめとした人間関係が重要であることが分かる。もちろん,初期の母子関係のみが人間関係を発達させる決定要因なのではなく,乳幼児期に十分な「愛着」体験がない場合でも,後に適切な愛着形成が行われたことにより人格的に大きく成長した事例が報告されており,後からでもやり直しがきく部分があると考えられる。
また,近年では,「愛着」体験の不足だけでなく,過剰な「愛着」体験が子どもの自我の確立や自立性・社会性の発達を損なうことも指摘されてきている。
(「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会報告書」(平成17年10月,文部科学省)より)
(注7)「青少年団体」
(30・37ページ,54ページ等)
「青少年団体」に法令上の定義はないが,青少年の健全育成を図ること等を目的として青少年を対象に組織的な活動を行う団体を指す。青少年を組織する団体を「青少年教育団体」,青少年を指導する者を組織する団体や青少年の活動への財政支援等を行う団体を「青少年育成団体」と称する場合もある。
(注8)「青少年教育施設」
(37ページ,56ページ)
青少年を対象に研修事業や体験活動プログラムの提供を行うとともに,青少年団体等の利用に供するために設置される社会教育施設。少年の自然体験を推進する「少年自然の家」,青年に研修や交流の場や機会を提供する「青年の家」,少年に科学知識の普及や生活指導等を行う「児童文化センター」等があり,宿泊設備を備えるものと備えないものがある。
国立の施設は独立行政法人国立青少年教育振興機構が設置・管理しており。全国に28施設。(国立オリンピック記念青少年総合センター,13の国立青少年交流の家,14の国立青少年自然の家)
公立の施設のうち条例で設置し教育委員会が所管するものは,全国に1,320施設。(平成16年10月1日現在,「社会教育調査」)
(注9)「情報メディア」
(41ページ,71ページ等)
映像,音声,文章等の情報を記録,伝達,保管等する際に用いられる媒体,媒体に関する技術,または媒体を運営する主体・事業者等を指す。
このうち,特定少数の発信者が不特定多数の受信者に向けて情報を伝達等する形態を「マスメディア」と称し,テレビ,新聞,ラジオ,雑誌等のいわゆる報道機関に加え,出版,映画,音楽業界を含めることもある。「マスメディア」が情報の大量一括送信であることと対比して,個人の発信者が情報を記録,編集,発信等するために用いるものを「パーソナルメディア」と称することがあり,携帯電話が代表的なものである。
また,複数の発信者が複数の受信者に向けて情報を伝達等する形態を「ネットワークメディア」と称し,インターネット,電子メール,電子掲示板等が代表的なものであるが,電話や郵便を含めることもある。
(注10)「バーチャルコミュニケーション」
(41ページ)
バーチャル(virtual:仮想の)な世界でのコミュニケーションを指し,対面による直接対話等のコミュニケーションと対比して用いられる。
最近では特に,電子メールや電子掲示板,インターネット上におけるコミュニケーションを指すことが多い。
(注11)「受容関係」
(45ページ)
相手に対して受容的な態度で接する関係で,拒否関係と対極にある。
子に対する親の受容的な態度とは,豊かな愛情で子どもを包み,子どもを保護する機能を果たすことで,具体的な行動としては「子どもの言い分を理解する」「子どもといつも一緒にいる」「子どもの身の回りの世話をする」「子どもの健康に気を配る」などとして現れる。
カウンセリングや生徒指導等における受容的な態度とは,相談者や児童生徒に対して,自己決定のできる独立した人格としてとらえ,その考えや言動を尊重し,かつ積極的・肯定的にとらえることを言う。受容関係にある相手に対しては,「理解されている」「配慮されている」「尊重されている」といった感覚を持つことができる。
(注12)「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」
(47・49ページ)
一律の定義はないが,家庭や職場において何か,あるいは一方を犠牲にすることなく,豊かで自分の価値観に合う生き方を実現するという考え方。
少子高齢化の進展や雇用環境の変化に伴い,過重な労働負担や長時間労働,不安定な雇用環境が心身の健康に重大な影響を及ぼすにとどまらず,結婚・出産をためらい子どもの教育や家族・地域とのかかわりを軽視する傾向を助長しているとの指摘もあることから,企業経営や公共政策の分野においても国際的に関心が高まっている考え方。
なお,厚生労働省の検討会議(「仕事と生活の調和に関する検討会議」報告書,平成16年6月)においては,今後のあるべき働き方として「働く者一人ひとりが,職業生活における各々の段階において,『仕事』と『仕事以外の活動』(家庭,地域,学習)を様々に組み合わせ,バランスの取れた働き方を安心・納得して選択していけるようにすること,すなわち『仕事と生活の調和』の実現が重要である」としている。
(注13)「次世代育成支援対策推進法」
(47ページ)
少子化の急速な進行への対策を進めるため,平成15年7月に成立・公布された法律。
この法律では,次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ,育成される環境整備を行う「次世代育成支援対策」を進めるため,国や地方公共団体による取組だけでなく,301人以上の労働者を雇用する事業主は,「一般事業主行動計画」を策定し,平成17年4月1日以降,速やかに届け出なければならないとし,300人以下の事業主には,同様の努力義務があるとしている。
(注14)「子どもゆめ基金」
(53ページ)
独立行政法人国立青少年教育振興機構法に基づき同機構に設置されている基金。
子どもの健全な育成の一層の推進を図ることを目的に,民間団体が行う子どもの体験活動の施行を図る活動,子どもの読書活動の振興を図る活動,インターネット等で利用可能な子ども向け教材を開発・普及する活動への助成金の交付を行う。
(注15)「放課後児童健全育成事業」
(53ページ)
児童福祉法第6条の2第2項の規定に基づき,厚生労働省が実施している事業。
児童福祉の観点から,保護者が労働等により昼間家庭にいない,小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童(放課後児童)に対し,学校の授業終了後に児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えてその健全な育成を図る事業。「放課後児童クラブ」「学童保育」等と称する場合もある。
(注16)「特定非営利活動法人(NPO法人)」
(54ページ)
NPO(Nonprofit Organization民間非営利組織)のうち,特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得したものを指す。
特定非営利活動促進法は,ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展の促進を目的に平成10年3月に成立,同12月に施行された法律。同法では「特定非営利活動」を,社会教育の推進を図る活動,学術・文化・芸術又はスポーツの振興を図る活動,子どもの健全育成を図る活動等の17分野の活動で不特定多数の者の利益の増進に寄与することを目的とするものと定義している。
同法に基づき法人格を取得するためには,同法に定める特定非営利活動を行うことを主たる目的とし,かつ,営利を目的としないこと,10人以上の社員がいること,宗教活動や政治活動を主たる目的にしないこと等の要件を満たす必要がある。
(注17)「子どもセンター」
(54ページ)
平成14年度の完全学校週5日制の実施に伴い,土日等休日の子どもの多様な体験活動を推進するため,地域における自然体験,ボランティア等の様々な体験活動や,子育てサークルなどの家庭教育支援事業等に関する情報収集と,これらの情報の情報誌等による住民への提供を行うとともに,体験活動・家庭教育等に関する指導者や団体の紹介等の相談事業を行う組織。各市町村の教育委員会等に置かれている。
(注19)「サマーキャンプ」
(58ページ)
欧米等の諸外国においては,学校の休業期間中の青少年を対象に,キャンプをはじめとした多様な活動プログラムが広く実施されている。特に2か月程度に及ぶ夏季休業期間中には,長い夏休みを青少年が有意義に過ごせるよう,「サマーキャンプ」「サマースクール」等と称する,数週間から1か月以上にわたる長期プログラムが実施されている。
全米キャンプ協会(ACA)によると,アメリカにおいては12,000以上のキャンプ施設があり,うち約7,000が「レジデント・キャンプ」(resident camp,滞在型施設),5,000が「デイ・キャンプ」(day camp,毎日通う形式の施設)である。施設の運営主体のうち3分の2に当たる約8,000施設が青少年団体や宗教団体を含む非営利組織であり,残りは私企業や個人所有者である。毎年1,100万人以上の青少年及び大人がプログラムに参加しており,主なプログラムの内容は,水泳,乗馬,自然体験,冒険活動,チーム・ビルディング(問題解決能力を育成するために組織で行う活動)などである。
フランス青少年・スポーツ・非営利社団活動省によると,フランスにおいては長期休業期間中の青少年の活動拠点として自治体等が全国に約3万の「バカンス・センター」(centre de vacances,滞在型施設,12人以上の集団で活動)及び約3万3,000の「余暇センター」(centre de loisirs,毎日通う形式の施設,8〜300人の集団で活動)を設置しており,毎年400万人以上の青少年がこれらセンターで実施される教育プログラムに参加している。教育プログラムは責任感や自主性の育成,集団生活への適応や多様性の尊重を重視しており,その内容はカヌー,乗馬,登山といった野外活動にとどまらず,音楽,ダンス,演劇等の文化芸術活動,天文観察,コンピュータ等の科学技術活動,自然環境保護,文化遺産見学等の環境教育等,多岐にわたっている。
(注21)「子ほめ条例」(児童生徒表彰に関する条例)
(64ページ)
「子ほめ条例」は通称であり,「児童生徒表彰条例」等の名称で市町村等の自治体が制定する条例を指す。
これらの条例では,地域ぐるみで青少年をほめて育てる機運を醸成するため,青少年の優れた個性や能力,長所,善行等を発見し,これを表彰することを定めている。昭和60年に栃木県国分寺町(平成18年1月に下野市に統合)が「国分寺町児童生徒表彰に関する条例」を制定して以降,平成14年3月時点で13の町村が同様の条例を制定している。(NPO法人全国生涯学習まちづくり協会の調査結果による)
(注22)「ガイダンス」
(66ページ)
青少年が現実社会と適応しつつ全人格的な成長を図ることを目的として,青少年一人ひとりに対して行われる教育的指導を指す。青少年自身が人生の様々な選択場面において自主的に望ましい判断を行い,その進む道を決定し,自らにとって最上のかたちで社会の中での自己実現を図ることができるよう側面的に援助することであり,援助する側が「目指すべき大人像」といったものを定めて青少年に提示し,そこへ青少年を導くというものではない。
青少年の指導に当たってガイダンスの発想に立つことにより,例えば青少年の置かれる状況や抱える課題に応じた体験活動プログラムの立案・提供や,自らの状態が把握できずに立ちすくんでいる青少年に対する積極的な支援など,能動的かつ青少年の主体性を尊重した指導を行えるようになる。
また,こうした指導は,指導者が提供する体験・学習プログラムの実施時にとどまらず,青少年が日々の生活で直面する課題の解決場面においても発揮されるため,青少年の成長に継続的にかかわることとなり,青少年の発達段階に応じて,また青少年個人の能力や特性等に対する理解や青少年が置かれている環境や状況に対する理解を深めつつ,指導を行うこととなる。
(注23)「特定非営利法人自然体験活動推進協議会(CONE)」
(68ページ)
自然体験活動の普及・促進を図るため,平成12年5月に設立され,同14年3月にNPO法人の認証を受けた団体。
平成18年9月現在,274団体が加盟しており,団体間の連絡促進を図る事業のほか,自然体験活動指導者の能力向上を図るため,指導者養成プログラムの統一基準を作成し,これに合致する各団体の指導者養成プログラムを認定するとともに,指導者の登録事業を行っている。(登録指導者数;平成18年9月現在23,315人)
(注24)「犯罪被害者等基本法」
(69ページ)
犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的に,平成16年12月に成立,平成17年4月に施行された法律。
この法律に基づき,平成17年12月,犯罪被害者等(犯罪やこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為の被害者及びその家族又は遺族)のための施策を総合的かつ計画的に推進するための「犯罪被害者等基本計画」が策定された。
本計画は,犯罪被害者等の権利利益の保護が図られる社会を実現させるため,基本方針,重点課題及び具体的施策を盛り込むとともに,国の行政機関をはじめとした関係諸機関が連携・協力し,各施策について犯罪被害者等の視点に立って取り組んでいくための体制を定めている。本計画には,少年被害者を含む児童生徒の心のケア(手当て)に資するよう,スクールカウンセラーの適正な配置等による相談体制の充実を図ることが盛り込まれている。
(注25)「コンテンツ」
(72ページ等)
英語の“contents”のカタカナ語表記で,「内容」のこと。書籍,テレビ,ラジオ,映画,CD・DVD,インターネット,コンピュータソフト等の情報メディア(媒体)によって提供される情報内容や文学作品,番組,音楽,図画,映像,漫画,アニメーション,ゲームといった創作物のことを指す。
昨今の情報社会の進展やデジタル技術の普及,日本の漫画・アニメーション,ゲーム産業等への注目に伴い,「コンテンツ」「デジタル・コンテンツ」「コンテンツ産業」等の言葉が使われるようになった。
(注26)「青少年保護育成条例」
(73ページ)
青少年の健全育成を目的として自治体が定める条例。その名称は自治体によって様々であるが,「青少年保護育成条例」「青少年健全育成条例」などが多い。都道府県については長野県を除く46都道府県が制定している。
その内容も自治体によって様々であるが,おおむね,青少年の健全育成を阻害する行為の規制や,社会環境の浄化に関する規定を中心に定めている。
青少年の健全育成を阻害する行為の規制に関しては,青少年に有害な図書・映画・広告物等の指定(いわゆる「有害図書類」の指定)やその販売制限,青少年を対象とするわいせつ行為の制限やそのための場所の提供・斡旋(あっせん)等の禁止等を定めている。近年は,インターネットの普及を踏まえ,青少年がインターネットを利用するに当たって青少年の健全な育成を阻害する情報を閲覧・視聴しないよう,事業者や保護者等に努力義務を課す規定を設ける自治体が増えてきている。
(注27)「レイティング制度」
(73ページ)
「レイティング」とは,英語の“rating”のカタカナ語表記で,対象物を何らかの基準によって評価し,等級分けしたり格付けたりすること。
ここでいう「レイティング制度」とは,コンテンツを閲覧・視聴する者にとって望ましくない表現が含まれていないかどうかを閲覧・視聴する者自身が事前に判断できるよう,コンテンツの内容を一定の基準で等級分けして表示することを指す。
映画,ビデオ作品,家庭用テレビゲーム,一部のコンピュータソフト等については,いずれも暴力的な表現や性的な表現,反社会的行為に関する表現等について一定の基準を設け,これらの基準に従って個々の作品を審査し,いわゆる「18歳未満閲覧・視聴禁止」のように対象年齢の下限を示す方式を採用している。
(注28)「BPO(放送倫理・番組向上機構)」
(75ページ)
日本放送協会及び社団法人日本民間放送連盟加盟放送局(平成18年4月現在202社)が財源を拠出して平成15年7月に発足した組織。
放送事業の公共性と社会的影響の重大性にかんがみ,放送による言論・表現の自由を確保しつつ視聴者の基本的人権を擁護することを目的に,放送への苦情,特に人権や青少年と放送の問題に対して,直接視聴者から意見を受け付けるとともに,放送倫理上の問題について見解や提言を取りまとめるなどの活動を行っている。
青少年と放送の問題については,同機構内に設置されている「放送と青少年に関する委員会」が取り扱う。同委員会は,視聴者から寄せられた意見について審議し,意見や委員会の見解を各放送事業者に連絡し,放送事業者の自主的検討を要請するとともに,検討・対応結果について報告を求め,公表している。また,青少年が視聴する番組共通の問題について自主的に検討し,「『子ども向け番組』についての提言」(平成16年3月)などの提言・見解を公表している。
(注30)「情報モラル教育」
(77ページ)
「情報モラル」とは,「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」であり,日常生活上のモラルに加えて,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報技術の特性と,情報技術の利用によって文化的・社会的なコミュニケーションの範囲や深度が変化する特性を踏まえて,適正な活動を行うための考え方と態度が含まれる。
情報モラル教育とは,こうした考え方や態度を育成するための教育指導であり,例えば中学校学習指導要領解説においては,「ネットワークやソフトウェアの活用に当たっては,いわゆる情報化の「影」の部分への対応として,ネットワーク上のルールやマナー,個人情報・プライバシー,著作権等の配慮が必要である。」とされている。具体的には,情報収集時における適正な手続き,著作権等の尊重,情報の信頼性の確認,情報発信時におけるプライバシーの保護,発信内容の正確性・信頼性に対する責任,コミュニケーション時におけるマナー遵守やTPOに応じたやりとり,等が含まれる。
(「インターネット活用のための『情報モラル指導集』」(平成13年3月 文部科学省)等より)