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学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議(第2回)議事要旨・配付資料

1.日時

平成20年6月16日(月曜日)14時〜16時

2.場所

文部科学省東館5階第7会議室

3.議題

  • (1)関係団体のヒアリングの実施について
  • (2)教職調整額の見直し等について
  • (3)その他

5.議事

概要

  • (1) 事務局より、配付資料の確認が行われた。
  • (2) その後、自由討議となった。

    【委員】

     例えば、学校の先生が大変だという議論というのは、教育関係者や現場を知っている人が言ったりします。ですが、国民というか、一般の社会はほんとうにそう見ていてくれるのだろうか、むしろ、まだ先生に対する冷ややかな思いというのがあるのではないかと思います。
     そういう風潮が追い風になって次々といろいろな施策が講じられていくことが多いような気がします。子どもたちに力をつける、教科についての力をつけることについて、学校が信頼されているかどうか。学校は学校でやってくれているけれども、ほんとうに力をつけるのは塾のほうだという見方も世の中にはあるような気がするのです。
     そういう世の中の思いに対して、やはり我々も考えないといけないのではないかと思います。
     こういう教育のことだけの関係者が集まると、そういう思いばかりが募っていくのですが、思い切ってどこに問題があるかということを切り込んでいかないといけないと思います。これは今回のこの検討会の一番大きなところですけれども、やはりスリム化するということです。それから、例えば、関係団体のヒアリングでも、この団体で挙げると16団体も、ほとんどが教育関係者です。例えば、教育を支える中で、事務の方、例えば高等学校ですと、事務長とか事務部長とか、あるいは小中学校でも事務の方たちが、教員を中心とする活動をどういうふうに見ているのかということで、ちょっと違った視点の考え方、教育関係者だけではなくて、教育をある意味で支えながら、教育のことについて客観視しているような人たちの意見も聞いて、どこに問題があるかと、改善の余地はどこにあるかということも考慮しないといけないと思います。同じ発想の者だけがこうやって言っていてもいけないのではないかと思います。

    【委員】

     確かにそうですね。少なくとも、例えば同じ学内でも、やはり他の職員の視点で見るということも必要かもしれないですね。

    【委員】

     一般企業の人たちから見たときに、学校の先生方の忙しさをどう受けとめているのかという問題があると考えます。これは実は私自身も、一昨年まで私立の学校にいましたが、非常に保護者からの要望に対してこたえるのですね。例えば、送り迎えまではしませんけれども、駅のところに立っていて、安全の確保のために駅から学校までの安全を確保する。公立の学校だと、学童養護員がいて、ちゃんと旗を振ってくれたりするのですが、私立の学校にそういう人がいなければ、行き帰りの駅では、ちゃんと先生が見ていて、バス指導をしたりする。帰るときも、バスに乗って一緒に近くの駅までは幾つかのところに分かれていく。このごろの塾なんかを見ていると、駅から塾までの行き帰りなんかは、大きな旗を持って送り迎えしている。公立の先生方は、「忙しい、忙しい」と言うけれども、そんなにやっていないじゃないかというのは目に見えたところではあるのですね。
     忙しいとは何かというと、やはり一番目に見えるのは部活動なのです。私は、部活動の様子について外から何となく聞く程度で、ご苦労しているなとは思いながら、ほんとうに一般の人たちが期待している先生の忙しさということ、やってもらいたいことは、部活動もさることながら、やはり子どもがほんとうに喜んで学校へ行って、分かったということをやってもらえる先生に受け持ってもらいたいということがメインではないかと思うのです。そういうことに対して、きちんとお金が払われるのであれば、そのことに対しての異論はないだろうと思いますが、何かもう少しほんとうのところでの、本来学校がやらなければいけない、教師がやらなければいけない仕事をきちんと分析をして、そしてそのことに対してこういうふうにお金を払いますよとしていかないと、世間一般の納得が得られないのではないかと思うんです。
     例えば地域の人材や外部の専門家の活用というのは小学校ではかなりやっていますが、やればやるほど学校は忙しくなるわけです。つまり、その間の外部の人材が来て何をやればいいかの説明から始まって、そして時間の調整だとか、あらゆることをやらなければいけないわけです。そういうのはあまり目に見えないのです。目に見えないけれども、きちんとそれができていないと、円滑に授業は動かないし、地域の人材が活用できない。専門家が来て、例えば理科の支援員なんかでも、支援員が来たら理科の授業がよくなるかといえば、そうはいかないです。ちゃんと打ち合わせしなければいけないですから。そういう時間が、実はなかなか取れないというのが、現実の問題としては小学校ではあるのです。
     それを、勤務の時間の中でできるかといったら、できないから、勤務時間外でやれるかというような、部活動の問題は中学校では非常に大きな問題だと思いながら、そのことについての外部の理解がどれだけ得られるかということや、小学校でいうと、いわゆる外部人材の活用だとか、あるいはもっと授業をどうしたら子どもたちにとってわかりやすい、いい授業になるかというところでの数字を出していかないと、超過勤務手当にしても、教職調整額にしても、増やすことはなかなか難しいだろうなと思います。
     もっと厳しい状況のところで働いている人たちからの教育関係者に対する意見と、それから教育関係者としては、本来何が本務の仕事で、どこにウエートを置いて教職調整額が出ているのかということを、検討していかないといけないと感じております。

    【委員】

     教員のほうも当然授業が本務ですから、授業に力を入れるのは、これは当然の話ですが、今の学校にはそれ以外のことが、いろいろなことが持ち込まれているのです。要するに、子どもが育つ環境が悪くなっているのです。家庭教育も当然そうなのですが。学校教育が頑張っているからこの程度で済んでいるのだと思います。もっと親の啓発をしないと。学校の中に授業以外のことが持ち込まれてきていますので、その部分の負担が結構あるのです。
     小学校は空き時間がほとんどありませんから、そういう問題を抱えた子がいると、先生も授業をやりながら、片方ではそういうことも気を使わなければいけない。休み時間は当然それにかかわる。中学校も、空き時間がそれでつぶれてしまうということが結構あります。
     やはりその辺を直していかないと、なかなか教員の負担というのは軽くならないと思うのです。部活だけじゃないのです。

    【委員】

     結局人をどうやってつけるかというか、例えば今のような問題だったらば、もちろん担任は関わらなきゃいけないけれども、教育相談の担当が必ず学校に常駐しているとか、それから、それ以外でもいろいろな担当の人がいること、あるいは授業を教えること以外のスタッフを充実させないことには、学校の今の忙しさというのは解決できないということになるのかなと思うんです。
     私も現場にいましたから、その忙しさはほんとうにわかっているつもりですが、その忙しさを家庭や地域にわかるぐらい、きちんとアナウンスしているつもりだけど、それも届かない。この辺を、どこを突破口にしてやれるのかということをほんとうに話をしていかないといけないと感じるんです。

    【委員】

     学校のスリム化の問題とか、教師や学校がやるべき基本的な本務は何かというふうな議論を巻き起こす意味で、むしろ今回の教職調整額見直しの論議を、むしろそうしたプラスの方向で進めていくことはあり得ると思うんです。
     つまり、今までの教職調整額の体制というのは、学校には無限の資源と無限の時間があるというふうな意識を生み出したり、そうした意識を下支えするような仕組みでもあったと思うんです。それに対して、教師の勤務時間は8時間であること、8時間以上は時間外勤務だという、区切りを明確にして、8時間の中で教師ができる仕事は何なのかという議論から、学校や教師の本務、そのプライオリティを整理して、それ以外の、8時間以上の勤務、時間外勤務を軽減するため、或いは、そうした時間外勤務の業務内容を他職種やアウトソーシングするための財源確保をどうするかという議論を積み重ねることで、学校や教師の本務の明確化と本務に専念できる体制構築を図っていくという議論を巻き起こす1つの手段にはなるのかなと考えます。

    【委員】

     私は時間外勤務手当を導入しても、仕事の軽減化にはつながらないと思いますね。何をスリム化するかというと、学習内容をスリム化するか、あるいは教員一人当たりの仕事をスリム化するしかないわけです。ということは、人を増やすということですよね。でも、それもなかなかできませんので。
     でも、非常勤でも、前やっていた心の教室相談員みたいな、不登校対応の職員でも1人いれば、随分違いますよ。今、市町村で、結構そういう非常勤の職員をつけてくれていますので、そういう人がいるだけでも随分違いますよね。

    【委員】

     学校にいろいろな仕事がどんどん入ってくる。本来家庭で行われるべきしつけの部分とか、家庭教育に任されるべきことまでも学校が抱えているという、それが当たり前のように思われてしまっている。
     この教職調整額が出てきたときの学校教育、あるいは先生が行うべき業務というのは、ある程度きちっとわかっていて、それに対する仕事、例えば学校あるいは勤務場所を離れた業務も、それに関連する業務というようなことです。今はそれがどんどん、ある意味では薄らいできて、ほんとうにいろいろなことがごちゃまぜになっているんです。こういう機会に、本来の学校が果たすべき役割、そして本来先生方の行うべき業務というのは何かというようなことをきちっと明文化するくらいのことをしないといけないと思います。
     例えば教育委員会など、行政とは違うといわれるかもしれませんが、行政における各課、例えば教職員課とか学校指導課とかは、明確に業務というのは明文化されているんです。それの中で、定数が配置されて、業務を行っていく。本来学校も組織だから、学校というのはこういうものだということで、そういう業務の内容を明文化し、それに対する先生方は一人一人がどういう役割でやっていくかというような、そういう動きになってかないと、これはいつまでたっても整理がつかないと思うんです。

    【事務局】

     まさに、ご意見いただいているとおり、昭和40年代の状況に比べると、いろいろな事柄、社会の状況も大きく変わって、学校がやらないといけないことが複雑化している、多様化している、子どもの問題もいろいろあるということで、どんどんいろいろな仕事がたくさん増えていっている、状況が変わってきているということがあると思います。
     まさに学校の組織運営の在り方というところで、これまで中教審の答申でも、そういう状況に対応して、やはり学校の中で校長をトップとした上で、教員は教育が本務なので、子どもと向き合う時間、つまり教育の時間を増やしていきましょうと。いろいろ職員の方、そのほかいらっしゃいますし、それぞれの職についての役割の明確化をちゃんと図った上で、それで専門的な事柄については外部に手伝っていただいて、外部の専門家の方にやっていただけるような体制にしていってはどうかということが、対応の方向性としてはあるのかなと思います。
     ただ、それは理想論という面はあると思いますが、まさに方向性としては、個人事業主がいっぱいいてというのではなくて、1つの組織として学校全体で物事にあたるという方向に持っていくというのが方向性なのではないかと思ってはいます。

    【委員】

     今、学校や教員の本務とか職務内容というのをどうするかという、その振り分けた仕事を担うスタッフの増とか、そうしたことが今後の課題だという話がありましたけれども、その問題にかかわって、これはこの検討会議である程度の方向性みたいなのを出さざるを得ないだろうなと思う1つのテーマは部活をどう扱うかという問題です。

    【委員】

     結局、土日も時間外勤務であることには変わりないわけですから、そこが一番難しくなるという話なんです。当然予算の範囲内でしか時間外勤務命令は出せませんので、結果的に土日の部活動は時間外勤務命令は出せないと思います。そうなると、自主的な勤務にならざるを得ないし、一方で部活手当、特殊勤務手当が支給されているんですけども、本給も時間外勤務手当も支給されない。単に手当だけは出されるという、そういう結果になってしまうと思います。

    【委員】

     私も教員だったときは部活動もやりましたが、どうしても教員としての本務は教科指導、学習指導がメインで、例えば持ち時間数というのは、どの教員も同じように割り振られて、そして部活動を持つ人は、それプラス部活動なんです。したがって、1人の教員が行う活動というのは、その教科の活動と部活があれば、当然それは絶対に同じような勤務の中でやれるわけがないのです。
     もし、これがほんとうに可能かどうかわかりませんが、1人に部活動が充てられたとすれば、どこかをそれに相応する分、例えば教科の授業数を減らすとか、そういうことをしないと、1人の人間で行う活動の範囲というのは限られてくるわけですから。それがはみ出して、土曜とか日曜日とかということになってしまうと思います。
     もう1つ、変形労働時間でも、結局担任も持ち、部活動もやりという人にとっては、どういうふうに割り振られたって、取るところがないんです。今の学校週5日制になって、休む人は徹底的に全部取っている先生が結構いるんです。土日も部活もないということで、それは当然の権利として。そういう先生は一般社会からすれば目立つというか、先生はわりと楽だなというように見られてしまいます。
     だから、結局不公平感とか何か、ここでも議論が出ましたけども、一部の教員にいろいろな業務が重なり、できる人はみんなできる素質を持っているもので、それがどうしても集中してしまうということで不公平感が出てくるのではないかなと思います。そこら辺を、やはり先ほど言ったように、きちっと区別して、これだけの活動を1人の時間の中で、例えば20時間なら20時間で、部活動に充てられる時間と教科の時間というものも、きちっと割り振られるような仕組みをつくっていかないといけないということです。

    【委員】

     ちょっとイメージで教えていただければと思うのは、実際に働いている時間というのは、とても財源で全部カバーできないことになりますから、今実際に時間外で働いたうちに、どれに対して勤務命令を出すのかというのは、どこまで学校現場で、あるいは教員間の公平性を担保して、どこかに集中するというのを選ばなきゃいけないと思うんです。それが、仮に例えば時間外勤務を土日の部活にまで優先的に充当するということが可能なのがどうかです。
     つまり、時間外勤務、いろいろな人は5時以降に長い場合もあれば、土日に出てきている場合もあって、全部足すと全部には出せないという場合、どちらを優先するかだと思うんです。
     例えば、土日をまず優先するということが可能であれば、例えば土日の部活を非常に重視して、まずここが一番負担が重いのだから、ここに集中的に時間外勤務手当を投下して、あとはまさに予算の範囲内でというふうな差別化といいますか、それが先生方の間での公平感と矛盾しなければ一番いいような気がするんですが、そういうことというのは、やっぱり難しいものなんでしょうか。

    【委員】

     やっぱり優先順位は平日の時間外勤務を優先すべきだと思いますね。

    【委員】

     だとするならば、土日が時間外勤務になっているというのは、まさにほかの教師からいえば、自発的であってもしようがないという形になると。

    【委員】

     それは現場では受け入れられると思います。ただ、平日に勤務時間の中で部活動をやるというのは、これは時間的に不可能です。8時から始まって、勤務時間終了は休憩時間が45分なら4時45分なんです。そうすると、帰りの会が終わるのが大体4時前後ですので、ほとんど準備して準備運動をして終わってしまうのです。
     だから、これはちょっと不可能ですね。平日でも時間外勤務をしなければ、部活動の指導はできないですね。

    【委員】

     とすると、平日の時間外の部活を、まず一番に優先すると。

    【委員】

     部活とは限りませんけども。大体部活終わってから事務処理をやりますから。

    【委員】

     それの優先順位がついていれば、予算の範囲内といっても、公平感に矛盾しないと思うんですけれども。みんな足りないから、3時間ずつくらいみんなで分けようというと、多分問題になると思うんですよね。

    【委員】

     自発性、創造性というのを大事にすれば、やっぱり教員が何をやりたいかというのを大事にしてあげないといけませんから、校長が全部ああしろ、こうしろと言ったら、学校は硬直化して運営できなくなっちゃいますよね。
     だから、平日に大体1時間とか2時間とか時間外勤務を命ずると。ただ、それも予算の範囲内ですから、17時間じゃ足りないんですよ。
     結局、仮に月に34時間の半分の17時間としても、1日1時間の時間外勤務ですよね。1カ月に授業日が22日ぐらいあるわけですから、毎日1時間まで予算はつけられないわけです。だから、17時間分ぐらいの時間外勤務というのは、すぐいってしまうと思います。小学校でも1日1時間ぐらいは、みんな時間外勤務をしていますからね。

    【委員】

     ただ、それを皆さん最低1時間やっているんで、最低1時間みんなに割り振るのか、それとも1時間やっても出さない人は出さない、1時間ぐらい当たり前だとか、もっとつらい人がいるなら、そっちを優先しようということができるのかどうかなんですが。

    【委員】

     時間外勤務の性質からすれば、やっぱりある程度形式的に判断されてしまうと思いますから、やっぱりやっているのは最低限は支給せざるを得ないんじゃないでしょうかね。

    【委員】

     そうなると、事実上一律支給ということにならないでしょうか。

    【委員】

     ただ、17時間やらない人もいますから、それは当然カットしますから、そういう面ではメリハリがつきますよね。普通の人は17時間やりますよ。結局時間の長さだけでは決められないということなんですよね。学級担任だったら、同じ結果といいますか、水準を求められますから、当然それは同じ時間数の中でやれという話になりますよね。

    【委員】

     今までの学校教育のあり方を引きずっている限り、この教職調整額をなくすというのは難しい、やはり学校教育に対して、意識を変えていかないとだめな時期にもきていると思うんです。
     ですから、やはり資料2の論点整理の1番に、学校の組織運営の在り方というところがありますが、もちろん個々の教員の自発性や創造性は伸ばしていくようにしなくてはなりませんけれども、学校全体を管理職はどういうふうに学校経営していくかという、そこの視点をやはりこれから強く打ち出していかないといけない。例えば部活1つとっても、確かにおっしゃるように、勤務時間内に部活をやるというのは不可能だと思うんです。しかし、その不可能な状態の中で、どういうふうに部活動を位置づけるかということも、やはり学校経営の一環として考えていかざるを得ない。
     例えば、それは1つの自治体単位の問題になるかもしれませんけど、外部の指導員制度をどういうふうに導入していくかとか、その地域の、例えば地域のボランティアで指導してくれる方をどういうふうに組織するかとか、部活ではなくて地域のスポーツ活動として位置づけることは、不可能なのだろうかというふうな意識の転換をしていかないと、なかなか教職調整額の話は難しいかなと感じています。
     それからもう1つは、やはり管理職が、果たして今の管理職がそこまでいろいろな先生方に対して、自分の学校経営の経営方針をしっかり打ち出せるかどうかです。今は、やはりそれぞれの個々の先生方の自主性、創造性を尊重するという管理職は非常に多いと思うんですが、もちろんそれを尊重しながら、例えば、あなたには時間外勤務を命じますよと言える管理職が、どれぐらいいるだろうか。管理職の育成をする時間的な準備というのは、非常に重要なんじゃないかと思います。
     例えば、あなたはただ学校に残っているんじゃなくて、勤務時間内にきちっとできるでしょうと、勤務時間内にやりなさいと言えるような管理職が、果たしてどのくらいいるだろうかと。あなたはほんとうに無理もないと、いろいろな職務を担当していて、時間外に勤務をする必要性はよくわかると。だから、あなたには時間外勤務手当を出しますよと。そのメリハリをつけられる管理職はどれだけいるかというと、非常に難しい。
     ですから、現実的に、私は学校教育の質の転換を、教職員が意識を変えることができるかどうかということと、あと、管理職の育成の問題というのは非常に大きいんじゃないかなと思います。

    【委員】

     まさにそうだろうと私もずっと思っています。
     ただ、ある意味逆に言いますと、そこでかなり処理されれば済む。主幹教諭を今後増やしていくと、それが主幹教諭対普通の教諭が、例えば1対3とか、かなり主幹教諭の数を増やせばメリハリは結果的につきますし、実質的にマネジメントして、一番仕事をたくさんやっている人の中から人事的に任用させていけば、教職調整額に手をつけなくても、むしろ十分なんじゃないかなという気もしています。
     2番目として、教職調整額の率の決め方が、実は明確でなかったということが問題でした。この40年間ずっと実質的に多忙化といいますか、何でも仕事をこなせるブラックホールのような形として機能してきたという意味で、教職調整額の額及びそこに組み込まれる公務以外と称されるものが、どの程度あるのかと全然決めないまま、とりあえず昔の調査の場合には8時間とか4時間分多いんだから、きっとそこが大変なものなのだろうということで調整額を決めていたんですが、一たん決めた後は、どういう基準で改定するかという何の根拠もなく放置してきてしまったというのが、今回問題になっているんじゃないかなと思います。
     ただ、この放置の問題を是正しても、それはメリハリには直接は全然影響しないですよね。教職調整額本体の持っていたすぐれた点と同時に、率を決める根拠は何もなかったということ。34時間あるということは、昔の調査における4パーセントと意味が違っているはずだと。包括的に評価してです。そこはやっぱり別途議論しようとしかけていたんじゃないかなという気はします。
     そういう意味では、本来の筋からいえば教職調整額の決め方自体、改定の仕方自体をアップするというのは筋ではないかという話になると思うんですけど。

    【委員】

     私は教職調整額を残すというのは、管理職の教員に対する評価をあいまいのままにしておくことになると思うんですね。
     要するに、実際問題として、ほんとうに一生懸命やっている方もいますし、時間がくると帰る方もいらっしゃるわけです。それを一律教職調整額として出すという、やっぱりそういうことは、今では私は時代的にも許されないだろうと思うのです。そのときの課題は、実際に、どういうふうに個々の教員が仕事をしているかということを管理職がきちっと評価できるかどうかというところです。私は管理職の評価能力を高めていかないといけないだろうと思います

    【委員】

     話は変わりますが、例えば、食育基本法ができて、学校給食で食育をきちっとやろうというときに、やはり栄養教諭を全校に配置してもらうような、そういう食育という視点から栄養教諭の存在が非常に重要だということであれば、やはり文部科学省にも頑張っていただいて、そういうところはきちっと人的配置をしていただく。
     そうすると、例えば食育に関しては、担任の先生は栄養教諭のマネジメントのもとで協力するということで、随分エネルギーが減ると思うんです。ですから、そういうことはきちっと人的手当をしていただいた方がありがたいと思うんですけどね。

    【委員】

     どうしても相矛盾することが入っているんです。部活動による教育効果というのは認めるんです。これは教室で行える活動とは違って、生徒のいろいろな面が見られる。そして人格形成の上で部活動が果たす役割というのは非常に大きいし、教室では見られない姿と一緒になってやったというのは、大きな人格形成にかかわることになり、そういう教育的な効果は認めています。教職調整額というならば、本来部活動が教職、教員が行う職務というふうになるべきで、そして教職であれば当然勤務時間内で行われるべきなんです。それがはじめから勤務時間外を想定したような活動を入れていること自体がおかしい。だから部活動の教育的な効果を認めるなら、やはりこれはあらゆることが今、教科の仕事でもどんどん時間数が増えて、これがはみ出してしまっているところが矛盾しているので、大きな教育効果は絶対認めているんだから、それをやはり限られた時間の中でおさめるように、まずできるかどうか、そういう議論にしないといけない。
     私は高等学校の校長を3つやりましたが、その1つの学校は絶対に5時半までに終わると。最大延長しても5時45分までには学校を出るという。どんな大会前でも、必ずそれでやっているんです。それで生徒はその限られた時間の中で目いっぱいやって、結構効果を挙げて、大会でもいいところへ出てくるんです。
     それは、進学校で進学を重視するから、部活動をそういう時間で制限している。一方、工業高校とか商業高校の校長をしたときは、これはむしろ部活動をやりたいためにそこへ来たというような生徒がいるわけですから、それは本人も納得して、それから学校の指導者もそれを納得してやっているんです。
     教育的な効果を認める活動ということならば、本来は勤務時間内で行われることを考えて、それに対する手当などを考えるような発想をしないと、結論は出てこないような気がします。

    【委員】

     結局、学習内容を減らすか、人を増やすかしかないわけで、学習内容は減らせませんから、人を増やすしかないんですよね。
     さっきおっしゃったような、部活をやる人は授業時数を減らすと、そういうことができるだけの人を確保できれば、ある程度解決できるんですけど、今の状況ではなかなか難しいんじゃないでしょうか。

    【委員】

     そうだと思いますね。その辺の理想と現実のギャップを、教職調整額の見直しを図っていく中でどこまで埋めていくことができるかは、定数改善等の条件整備をどれだけ実現できるかにもかかってくるかと思います。
     今までの議論を聞いて、文科省の方としてはどう考えているかというのを、私もお聞きしたいですし、あと、変形労働時間についても、ちょっと事務局のほうで何かお考えがあればご意見をお聞かせいただければと思います。

    【事務局】

     部活の時間の取り扱いに関しましては、大前提として勤務時間内で実施をするということを前提とした上で、年度当初に指導計画などを計画するわけですが、その段階において、最初から時間外を想定して計画するなんていうのは、まずあり得ないでしょうから、当然そのときには勤務時間内を前提にして計画がされると考えています。
     土日などに行うような場合については、例えば1年単位の変形労働時間制の話はまた別として、夏休み中の勤務日と週休日の振替などをして、勤務時間を割り振った上で実施をするというような方向にできないかというようなことを考えています。
     今の教職調整額制度であれば、かつ超勤4項目という命令をできる規定があって、ほぼ全県そういう形で条例が整備されているという状況下であれば、その中に部活動が入っていませんので、時間外勤務は部活については命令はできません。命令はできませんが、実際放課後や平日の時間外や土日に行われている。それは命令に基づかずに行われているわけでして、それについて自発的な勤務だと評価をした上で、後から見て評価をした上で、4時間以上なら部活動手当が出ますよというのが、今の制度だと思います。
     それは、そういう教職調整額の制度をとっているので、自発的勤務というカテゴリーができるんだと思うんですけども、それを仮に時間外勤務手当の制度にして、労働基準法を基本的に適用するということになった際には、やはり基本的には時間外勤務の必要がある際に命じて、命じ方はいろいろあると思いますが、その必要な時間勤務して、その勤務について手当を支払うというのが基本になると思いますので、そういう制度上の話をすれば、やはり勤務時間の中で実施をする。やむを得ず当初の計画から延長して何かの事情でやらないといけないというような場合は、時間外勤務という形になると思いますけれども、そういう形が制度上は基本になるのではないかと考えます
     それから、1年単位の変形労働時間制につきましては、平成19年3月の答申においては、やはり夏休みなどは残業時間もほとんどないというような調査結果が出ておりますので、比較的余裕があるのではないかということをもとに、1年単位の変形労働時間制を導入して、勤務時間の弾力化というような観点から、導入することを検討する必要があるとの意見が出されたというような形になっておりまして、他方、やはり長期休業期間中といっても、研修とか教材・授業研究、補習、部活動など、いろいろな多様な業務があるということで、やはり慎重に対応すべきだと、両方の意見がありました。そういう意見を踏まえて、実態調査の結果も見て、さらに専門的、技術的な検討を進めていくことが必要というような形で、教職調整額の見直しの在り方と同じような扱いで、答申では挙げられていますので、今回の検討の中であわせてご検討いただければと考えています。

    【委員】

     例えば土日の部活については、週休日の振替でというふうな話ですけども、現実的に中学校ではそれは可能ですか。

    【委員】

     無理です。

    【委員】

     そもそも勤務時間の中で計画を立てるとおっしゃいますけど、保護者が納得しませんよね。それでは子どもがそもそも納得しません。

    【委員】

     まず取れないですね。土日は運動系は練習試合も含めて、大会が組まれるのが土日であることが多いですね。結局土日は自発的な勤務で、教員のほうから引率願いを出して、これに行きますからということで、それを認めるというようなことで対応している。命ずることができないために、そういう変則的なことをやっている。

    【委員】

     私は今までの日本の教育の流れを維持して、教職調整額の在り方を変える、または廃止するというのは非常に難しいと思うんです。
     例えば、部活を例にしても、ほんとうは自分のためにやっているんじゃないかと思うような先生だって、中にはいらっしゃいますよね。7時、8時までやって、子どもたちを帰さない。しかし、学校の経営者として校長が見たときに、学校教育全体の中で、部活の時間量の上限を設定し、例えば、5時半でやめなさいと、きちっと言えるかどうかです。それこそ組織としての学校の運営ということが求められているということを、もっと前面に出さないと、私はこの件は検討できないだろうと思います。

    【委員】

     やっぱりまず組織のあり方があって、体制のあり方があって、どういう教育をするのかがあって、初めて給与にどうするのかという話にならざるを得ないので、おっしゃられたように、時間の管理とか、あるいはマネジメントとか組織的なものを強化するというのは、多分比較的了解されると思うんですけど、それが進んでからでないと、やっぱり教職調整額の全面的な見直しというのは難しいだろうなというのは普通に出てくるんではないかと思うんです。

    【委員】

     条件整備を待っていたら、いつになるかわかりませんから。だから、教職調整額一律引き上げ、これが無理ならば、時間外勤務手当導入もやむなしという判断になってきますよね。

    【事務局】

     まさに今回の検討会議の表題を、単に教職調整額の見直しとせずに、組織運営を踏まえたとしているところが、今おっしゃったところをきちんと考えていくというようなことがやはり本筋だろうと考えております。

    【委員】

     今学校で行われている活動はほんとうにあらゆる矛盾を抱えているので、それをやはり全面的にゼロからというか、見直すという、そういうところから積み上げていけば、少し進むところがあるのではないかなと思います。

    【事務局】

     教職調整額を時間外勤務手当にかえるのか、かえないのかということとかかわらず、今の学校の勤務時間のあり方だとか、あるいは教員の働き方なりというものは、やはり現実に勤務実態調査を踏まえて、勤務時間の縮減なりも大きな課題となっているわけですので、そういう中でどうしていったらいいかというのは、考えていかないといけない話だと思うんです。
     そういう中で、組織はどうあるべきかとか、あるいはマネジメントはどうあるべきか、それを考えたときに、時間外勤務についても、どういうふうに考えていったらいいのか、それをどう給与上評価していけばいいのかという、論点として挙げている中での話だと思います。

    【委員】

     変形労働時間制を導入するときに、できる規定にしておけば、やりたくないところは今の現行のままできるわけですよね。逆に、今のままだと変形労働時間制導入を禁止されちゃっているわけですから、幅を広げておけばいいんじゃないかと思うんですけど、それは可能ですよね。

    【事務局】

     1つ考えなければいけないのは、1年単位の変形労働時間制の導入というのは、民間では労働組合との協定を結んで導入するということを決めます。協定を結んでやるという形になっているからこそ、公務員には全体的に適用除外だと。教員だけに限らず、全体的に適用除外になっている。それは団体協約締結権、公務員はありませんけども、そのあたりとの絡みで、協定を結んで導入する事柄は適用除外だと、公務員全体についてなっているということと、そのうち公立学校の教員だけ導入するようにすることができるのかどうか、そういったところの問題点は1つございます。

    ─ 了 ─

(初等中等教育局財務課)