ここからサイトの主なメニューです

第5章 今後の取組等について

 本章では、今後の取組や課題を含め、教員のICT活用指導力の向上に関する展望について取りまとめた。

1. 具体的な指導例の更新

 まず、第3章第3節で述べた「具体的な指導例」については、今般の検討会では、限られた実践事例を基に限られた時間で整理していることから、第1版として提示しているものであり、教科毎のばらつきや、内容的なばらつきが見られる。今後更に、具体的な事例を収集し、整理・分類の上、Webシステム等を活用して内容を更新していく必要がある。

2. 基準を活用した自己評価後の学習支援

 教員がICT活用指導力の基準を活用した自己評価(自己診断)を行い、その結果に基づき適切な自己学習を支援する仕組みの構築が求められる。
 具体的には、当該教員自身が苦手な項目について重点的に学習することができるeラーニングシステムや、苦手な項目についての模擬授業を見られるビデオ・オン・デマンドシステムなどの開発が期待される。

3. チェック項目の活用事例の収集

 本検討会では、チェック項目の具体的な活用方策について、初任者研修のプログラム例を提示するに留まったが、今後、教員免許課程における活用や、教員採用試験における活用など、各地域における効果的な活用事例を収集し、広く情報提供する必要がある。

4. 基準自体の見直し

 学習指導要領の見直しやICTの技術的な進歩などを踏まえ、本基準自体を見直していく必要がある。

5. 管理職を対象とした能力基準の策定

 本検討会においては、全ての教員を対象としたICT活用指導力の基準を策定することを目的として検討が進められてきた。しかし、教員のICT活用指導力の向上も含めた教育の情報化を推進するためには、管理職がリーダーシップを発揮するなど、管理運営体制を充実することが必要不可欠であり、そのための一つの手法として、管理職を対象としたICTに関する能力基準の策定が望まれる。
 検討会においても、「管理職が変わらなければICT活用は進まない。」という意見が多く出されている。

6. 教員のICT活用指導力の向上に向けた展望

 教員に対しICTを活用することの「インセンティブ」(やる気を起こさせるような刺激)を与えることができれば、教員のICT活用指導力の向上の促進が期待できる。「IT新改革戦略」においては、「2006年度までに教員のICT活用指導力の評価の基準の具体化・明確化を行い、それに基づき、ICTを活用した教育に関する指導的教員の配置や、教員のICT活用指導力に関する評価をその処遇へ反映すること等を促進することにより、全ての教員のICT活用指導力を向上させる。」とされているところである。
 これらを踏まえ、各教育委員会においては、今般の教員のICT活用指導力の基準の策定を受け、教員のICT活用指導力に関する評価等について、その処遇への反映を含めた具体的な検討が求められる。

7. おわりに

 ICTを効果的に活用して「わかる授業」を組み立てたり、児童生徒のICT活用能力を向上するためには、教員のICT活用指導力の向上が不可欠である。教員は、単にICTを操作可能であるだけではなく、ICTを活用して指導の効果を引き上げ、児童生徒の学力の向上を図ることが求められているのである。
 教育現場の各教員においては、今般策定した教員のICT活用指導力の基準を用いて自己評価を行うことにより、自分自身の苦手な項目や重点的に取り組むべき課題を明確にし、それを克服するための研修等に取り組むことが求められている。
 本報告書により、ICTを活用した指導等についての理解が深まり、全国の教員の意識の向上が促進され、その結果、次代を担う児童生徒の教育に大きな効果がもたらされことを願うものである。

前のページへ 次のページへ


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ