ここからサイトの主なメニューです

第4章 教員のICT活用指導力の基準の普及・活用方策について

 教員のICT活用指導力の向上を図るためには、今般策定した基準の普及を図り、教育現場や教育委員会の研修など様々な場面で活用されることが必要である。
 そこで、検討会においては、基準の普及・活用方策についてとりまとめ、可能なものから実施することとした。

第1節 ICT活用指導力基準の普及方策について

1. 概要

 まず、本基準の策定の趣旨について、教育委員会の指導主事や学校現場の管理職などの理解を得るとともに、基準の内容に関して各教員に周知を図ることが重要であると指摘された。
 そのため、具体的な普及方策として、単に本報告書を各教育委員会に配付するだけではなく、基準についてのパンフレットを作成し、全教員に配付することとした。また、Webシステムを構築し、インターネットを介して、いつでもどこからでも、本基準が閲覧・活用できるようにすることとした。更に、基準をもとに様々な研修が行えるよう、研修プログラム例を提示した。

2. パンフレットの作成・配付

 全ての教員に対して、教員のICT活用指導力の基準の周知と内容の理解を促進するため、基準を分かりやすく解説したパンフレットを作成・配付することとした。本パンフレットにおいては、基準の策定の趣旨、5つの大項目の説明、チェック項目、基準の活用方策等について、必要に応じてイラストを交えて分かりやすく説明することとした。

3. Webシステムの構築

 全国の教員に対し広く普及を図る手段として、パンフレットの作成に加え、インターネットを介していつでも、どこからでもアクセスできるWebシステムを構築することとした。
  Webシステムの機能としては、次の3点を具備することとした。
1 本基準の内容について教員が簡単に理解できるように、分かりやすく説明する機能
2 教員が本基準を用いてICT活用指導力について自己評価できるような機能
3 本基準を用いた教員研修を支援する機能

4. Webシステムを用いた教員研修支援

  Webシステムの機能のうち、教員研修を支援する機能については、研修前後で各教員の能力を評価し表示することに加えて、研修参加者全体の評価結果を分かりやすく表示することとした。
 まず、研修実施前に各教員のICT活用指導力の実態を把握することにより、研修で重点的に取り組むべき分野が明らかになるとともに、研修のグループ構成を検討する上での参考とすることができる。
 また、研修実施後に各教員のICT活用指導力がどの程度向上したかを把握することにより、研修の成果を確認するとともに、研修プログラムの改善等に役立てることができる。
 更に、教員個人の評価結果に加え、研修グループ全体についての評価結果を分かりやすく表示することとした。例えば、5つの大項目や18のチェック項目について、研修グループ全体の水準や分布を表示したり、教員の属性を入力する場合には、その属性毎の結果を表示する機能を持たせることとした。

5. 研修プログラム例

 教員のICT活用指導力の基準を各種の研修で活用するにあたっては、研修を企画する主体や研修の内容に応じたプログラム例があると便利であることから、いくつかの研修プログラム例を提示する必要がある。本報告書においては、「ICT活用指導力の向上を期した研修モデルプログラム例」を【資料編3】に提示する。

第2節 ICT活用指導力の基準の活用方策について

1. 概要

 ICT活用指導力基準の普及については、国が率先して推進する必要があるが、基準の活用については、国(文部科学省)だけではなく、各教育委員会、学校、大学、民間企業が、それぞれの立場で推進する必要がある。以下では、各実施主体毎に、基準の活用方策についてとりまとめた。

2. 国における活用

 文部科学省では、毎年3月に「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」を実施しているが、平成19年3月に実施する調査では、「教員のICT活用指導力の実態等」という調査項目を新たに設け、教員のICT活用指導力の基準を活用した調査を実施することとなった。
 実態調査により、教員のICT活用指導力の現状の水準や分布等を含め、全国的な傾向を把握することが可能となる。特に、「IT新改革戦略」における目標との関係では、全ての教員が、全てのチェック項目について「3:ややできる」または「4:わりにできる」と自己評価することを目標に掲げることが考えられる。
 また、国による実践的な調査研究の実施など、教員のICT活用指導力の向上に関する各種施策において、本基準を活用した新たな取組みの実施が期待される。

3. 教育委員会における活用

 教育委員会においては、まず、指導主事自らがチェック項目を活用して、ICT活用指導力の自己評価を行うことにより、チェック項目の理解と普及を促進することが求められる。さらに、教育センター等が主催する教員研修などにおいて本基準が積極的に活用されることが期待される。具体的には、初任者研修や10年目研修などの必須研修、ICT活用指導研修などの一般研修などにおいて、本基準や研修プログラム例を活用することが期待される。
 また、教員評価の一要素として、教員のICT活用指導力を位置付ける際には、本基準の評価結果を活用することが考えられる。
 更に、教員採用試験においても、面接時に、チェック項目に挙げられたICT活用指導力について質問するなどの活用例が考えられる。

4. 学校現場での活用

 全ての教員のICT活用指導力を向上するという目標の達成のためには、学校現場における本基準の積極的な活用が重要である。まずは、教員一人一人が基準を活用し、自己評価することにより、自己の意識向上を図ることが必要である。更に、本基準や研修プログラム例を活用した校内研修を開催するなど、積極的な活用が期待される。

5. 大学の教員免許課程における活用

 大学の教員免許課程における教職科目の履修の際に、各大学の判断により本基準を活用するなどの取組が期待される。

6. 民間団体等における活用

 民間団体等が主催する教員を対象とした研修やセミナー等においても、本基準や研修プログラム例の積極的な活用が期待される。また、学校教育放送番組や各種教員学習用のコンテンツ開発においても、本基準の活用が期待される。

前のページへ 次のページへ


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ