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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 調査研究協力者会議等 > 初等中等教育における教育の情報化に関する検討会 > (第7回)配付資料 > 資料1 > 3


3.実証授業
   前述の調査の結果によれば、多数の教育場面においてIT活用による学力向上が期待できると教員が回答している。そこで、ITを活用した授業を実践していただき、それによって児童生徒の学力が向上するかについて評価してもらった。その場合の評価の観点、実施した実証授業のタイプは以下の通りである。
  (1)評価の観点
    小学校、中学校、高等学校における学力を定義することは容易でない。そこで、本研究では、学習指導要領に記述されている評価観点で評価してもらい、その観点での評価が高まれば学力が向上したと考えることにした。
  (2)実施した実証授業のタイプ
     本研究では次に示す2つのタイプの実証授業を実施していただいた。
  1 一時限の授業:1つのテーマを一時限で学習する授業
  2 単元毎の授業:1つのテーマを複数の時限で学習する授業
 まず1は1時限の授業においてITを活用してもらい、そのIT活用によって児童生徒の学力が向上したかについて教員に評価してもらった。ただし、1時限の中でITを活用した場合と、しない場合の両方を行ってもらい、それらの比較をして評価してもらった。ただし、ITを活用しない場合との比較については、従来からの経験から判断していただいても良いことにした。

 次に、単元レベルの5〜6時限の授業2については、例えば学習グループを2つに分けて、Aグループは2時限目にITを活用した授業をして、Bグループでは3時限目にITを活用するなどして、2つのグループの比較によってIT活用の効果を調べることにした。なお、AグループだけにITを活用してBグループにはITを使わないような授業をすることは、指導方法に差が出ることになって不公平感があるため実施しないことにした。

 以上のような考え方でIT活用による学力向上に関する実証授業を実施していただき、合計で134件の実証授業を収集することができた。

  (3)実証授業のまとめ
     それぞれの教科について、「関心・意欲・態度」、「思考・判断」、「知識・理解」、「表現・技能・処理」の4つの観点で実証授業を行い、評価した。
 分類した4つの観点ごとに評価点の平均をまとめると、以下の表のようになった。小学校では、4観点のうち、関心・意欲・態度が最もITを活用した教科指導の効果がある結果となった。次いで、知識・理解、思考・判断、表現・技能・処理の順に効果がみられた。この結果から分かるように、ITを活用して関心・意欲・態度に関する力が最も向上すると教員が考えている。その次が知識・理解の観点である。思考・判断と表現・技能・処理に関する項目が最下位である。しかし、これらの平均点は3.5点を超えており、全ての観点について効果を認めている。
 中学校の場合は、4観点のうち、知識・理解が最もITを活用した教科指導の効果がある結果となった。次いで、関心・意欲・態度、表現・技能・処理、思考・判断の順に効果があると考える教員が多い結果となった。小学校と同様に、関心・意欲・態度、知識・理解については高い評価であった。思考・判断が最下位である。しかし、これらの平均点は3.5点を超えており、全ての観点について効果を認めている。
 高等学校の場合は、4観点のうち、関心・意欲・態度が最もITを活用した教科指導の効果があると考える教員が多い結果となった。

表14 観点別の実証授業の評価点
観点 小学校 中学校 高等学校 全体
関心・意欲・態度 3.80 3.63 4.00 3.73
思考・判断 3.43 3.34 3.50 3.49
知識・理解 3.78 3.80 3.50 3.68
表現・技能・処理 3.42 3.50 3.50 3.47
平均 3.61 3.57 3.63 3.59




委員名簿

清水 康敬   独立行政法人メディア教育開発センター 理事長
(日本教育工学会会長)
近藤 勲   岡山大学教育学部 教授(日本教育工学会 副会長)
石川 賢   宇都宮大学教育学部 教授
小泉 力一   東京都墨田川高等学校 教諭
小柳 和喜雄   奈良教育大学教育学部 教授
佐々木 真理   京都教育大学教育学部 教授
新地 辰朗   宮崎大学教育文化学部 助教授
高比良 美詠子   独立行政法人メディア教育開発センター 助教授
中山 実   東京工業大学教育工学開発センター 助教授
南部 昌敏   上越教育大学学校教育センター 教授
野中 陽一   和歌山大学教育学部 教授
波多野 和彦   独立行政法人メディア教育開発センター 助教授
平井 尊士   兵庫大学情報科学センター 室長
平松 茂   岡山県教育庁指導課 IT教育担当参事
宮田 仁   滋賀大学教育学部 教授
村瀬 康一郎   岐阜大学総合情報メディアセンター 教授
山崎 正吉   北海道教育大学函館校 教授
山本 朋弘   熊本県人吉市立東間小学校 教諭


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