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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 調査研究協力者会議等 > 初等中等教育における教育の情報化に関する検討会 > (第7回)配付資料 > 資料1 > 2


2.アンケート調査
  (1)アンケート調査の対象と回答数
     小学校・中学校・高等学校の教員を対象に「ITを活用した教科指導の改善のための調査」を行った。アンケートの対象校は全国の小学校・中学校・高等学校の中から県を層とした層別抽出法とし、層内では無作為抽出を行った。また、対象校以外の学校でもご協力頂ける学校には回答いただいた。アンケートの対象は、小学校の教員の場合は各学年1名以上、中学校・高等学校の教員の場合は各教科1名以上とした。

アンケートの回答数を表1に示す。表に示すように合計で7,800名の教員から回答が得られた。
表1 教員からの回答数
  小学校 中学校 高等学校 全体
依頼状を発送した学校数 3,071 1,380 549 5,000
依頼状を送付した学校のうち1件以上回答があった学校数 1,187 538 276 2,001
依頼状を送った学校の教員からの回答数 3,807 2,120 1,255 7,182
学校調査番号が無い学校から回答があった回答数
(依頼状を紛失された学校からの回答も含む)
389 179 50 618
教員からの回答数の合計 4,196 2,299 1,305 7,800

  (2)教員のIT活用
     回答者のIT使用目的の回答数とその割合を表2示す。しかし、この質問は複数回答をしているため、全回答数(小学校:4,196、中学校:2,299、高等学校:1,305)に対する割合を示している。この表から分かるように、校務などの事務処理に最も多くITが使われており、小学校、中学校、高等学校ともに85パーセント以上である。また、地域との連絡のためには、小学校が26.9パーセント、中学校が12.7パーセント、高等学校が8.2パーセントと他と比べて低い結果となった。

表2 回答者のIT使用目的ごとの回答割合
IT使用目的 小学校
(%)
中学校
(%)
高等学校
(%)
全体
(%)
校務などの事務処理 86.3 85.6 86.5 86.2
教材研究 63.6 72.2 78.5 68.7
授業中の活用 54.9 42.0 38.8 48.4
家庭・地域との連絡 26.9 12.7 8.2 19.6

 本調査では、ITの使用頻度として、ほぼ毎日、1週間に2、3回、1週間に1回、1ヶ月に1回、まったく使用しない、という分類で調査した。そこで、ほぼ毎日使用すると回答した教員の割合と、1ヶ月に1回以上使用する教員の割合を表3に示す。これからわかるように、本調査に回答した多くの教員はITを使用している。ただし、授業でのIT使用、児童生徒のIT使用の割合は低い。


表3 教員のIT使用頻度
使用目的 ほぼ毎日 1ヶ月に1回以上
小学校 中学校 高校 小学校 中学校 高校
学校において、ITをどの程度使用していますか。 51.5 66.1 73.4 97.7 95.9 96.8
電子メール(携帯電話のメールも含む)をどの程度使用していますか。 44.0 38.9 51.0 82.5 80.6 84.2
授業のためにITを使用して資料の収集をどの程度行っていますか。 4.9 9.9 18.5 86.8 83.4 86.2
授業中に、教授する為のツールとしてITをどの程度使用していますか。 2.7 6.8 17.2 78.0 59.5 58.1
担任している学級の児童生徒は、学校でITをどの程度使用していますか。 1.7 3.7 12.0 78.7 90.9 87.0

  (3)教科指導におけるIT活用の効果に関する調査方法
     本調査では、各教科の指導場面を示して、それに対する回答をいただいた。小学校算数を例にして、調査の方法を説明すると、以下のようになる。まず、算数の指導場面を示して、下記に示す4段階の評価をしていただいた。
【算数】
  (1) 算数のシミュレーションやアニメーションを活用することで、イメージがつかみやすく、算数への関心を高め、より意欲的になると思う。〔関心・意欲・態度〕
  (2) 表やグラフを作成する際に、表計算ソフトを子どもたちに活用させることで、数量の関係や統計的な見方をより高めることができると思う。〔思考・判断〕
    4段階の評価の図


 このような方法で回答をまとめると、表4に示すように回答の割合(パーセント)が得られた。この表からわかるように、小学校算数で例示した「関心・意欲・態度」に関しては、44.9パーセントの回答者が「大変そう思う」と回答し、「少し思う」を加えると89.7パーセントとなる。これば、ITを活用することによって算数に関心を高め、より意欲的になると教員が考えていることを示している。


表4 小学校算数に関する評価の結果
観点 質問 回答の割合(%) 評価点
たいへん すこし あまり まったく
関心・意欲・態度 算数のシミュレーションやアニメーションを活用することで、イメージがつかみやすく、算数への関心を高め、より意欲的になると思う。〔関心・意欲・態度〕 44.9 44.8 9.6 0.7 3.34
思考・判断 表やグラフを作成する際に、表計算ソフトを子どもたちに活用させることで、数量の関係や統計的な見方をより高めることができると思う。〔思考・判断〕 26.2 51.0 20.4 2.3 3.01
表現・処理 計算のドリルソフト・コンテンツを活用してくり返し指導することで、基礎的な計算能力をより習熟させることができると思う。〔表現・処理〕 25.3 51.8 20.8 2.2 3.00
知識・理解 算数の授業で、シミュレーションやコンテンツを提示して指導することで、数量や図形への理解をより高めることができると思う。〔知識・理解〕 38.0 51.8 9.2 1.0 3.27


 次に、この表において、右欄の「評価点」は、「たいへん」:4点、「すこし」:3点、「あまり」:2点、「まったく」:1点として重み付けをして平均を算出した値である。最大値が4点、最小値が1点で、2.5点が中央値であるため、平均が2.5点以上の値であれば、その項目に記述されている指導場面において、ITを活用した教科指導の効果があることを意味している。
 算数に対する結果を表4に示すように、全ての観点で評価点が3点以上の高い評価点となっている。算数においてIT活用の効果があると教員が思っていることが分かる。


  (4)小学校の教科別調査結果
     小学校の教科別に調査した回答の結果を教科別に表5に示す。そこで、表5に示す各教科における値間に対する評価点をみてわかるように、全ての項目が2.5点以上である。したがって小学校の各教科で実施されているIT活用によって学力が向上すると教員は評価していることが分かる。
 このように、この評価点が高い項目に書かれた指導場面でのIT活用は効果があると教員が判断していることを意味している。表では、平均が3.5点以上の項目を太字で表している。これらの項目は、上位から社会(関心・意欲・態度)が3.75点、理科(知識・理解)が3.55点で、これらの指導場面において、教員が高いと判断している教員の割合が大きい。また、体育(思考・判断)をはじめ17の場面での平均が3点以上の評価である。したがってこれらの3点以上の指導場面におけるIT活用は今後広く推進することが望ましいと考えられる。
 また、2.5点以上で3点以下の場面は10項目あるが、これらの指導場面については、より効果が上がるIT活用の具体的な事例を作成して教員に示す必要があると考えられる。

表5 小学校の教科ごとの結果
教科 観点 質問 評価点
国語 関心・意欲・態度 ITを活用して、物語や説明文などに関する情報を提示することで、国語への関心や意欲をより高めることができると思う。 2.85
話す・聞くことの能力 国語の授業で、プレゼンテーションなどのITを活用した発表会を行うことで、話したり聞いたりする力をより高めることにつながると思う。 3.14
読むことの能力 ITを活用して、物語や説明文などに関する情報を提示したり、子どもたちに調べさせたりすることで、情景や心情を読み取る力をより高めることができると思う。 2.67
書くことの能力 国語の授業で、書くことの指導にワープロなどのITを取り入れることで、相手や目的に応じて筋道よく文章を書く力をより高めることができると思う。 2.65
知識・理解 ソフトウェアやコンテンツを活用して、新出漢字の正しい字形、書き順、読みを視覚的に提示することで、言語事項の習熟をより高めることができると思う。 2.83
社会 関心・意欲・態度 社会科の授業で、産業や地理、歴史などについて調べる際に、子どもたちにインターネットを活用させることで、より意欲的に調べるようになると思う。 3.75
思考・判断 インターネットによる情報収集や交流学習を行うことで、生活の工夫、産業や地理についての考え方をより高めることができると思う。 3.43
技能・表現 ITを活用して、情報を収集したり整理したりする学習を行うことで、的確に調査し、資料を効果的に活用する能力をより高めることができると思う。 3.37
知識・理解 ITを活用して、産業や地理、歴史などの情報を提示し、調べ学習を行うことで、社会生活への理解をより深めることができると思う。 3.43
算数 関心・意欲・態度 算数のシミュレーションやアニメーションを活用することで、イメージがつかみやすく、算数への関心を高め、より意欲的になると思う。 3.34
思考・判断 表やグラフを作成する際に、表計算ソフトを子どもたちに活用させることで、数量の関係や統計的な見方をより高めることができると思う。 3.01
表現・処理 計算のドリルソフト・コンテンツを活用してくり返し指導することで、基礎的な計算能力をより習熟させることができると思う。 3.00
知識・理解 算数の授業で、シミュレーションやコンテンツを提示して指導することで、数量や図形への理解をより高めることができると思う。 3.27
理科 関心・意欲・態度 理科の授業で、ITを活用した実験や観察を進めることで、自然に親しみ、意欲をもって調べる態度をより高めることができると思う。 3.05
思考・判断 実際に動植:物を観察した後、図書資料だけではなく、インターネットで情報を検索することで、観察したり調べたりする学習に広がりが出てくると思う。 3.43
技能・表現 デジタルカメラやコンテンツなどを活用して、実験や観察を進めることで、器具や機器を目的に応じた工夫して扱うようになると思う。 3.38
知識・理解 理科の授業で、シミュレーションやアニメーションを活用して提示することで、直接観察できない現象をより理解させることができると思う。 3.55
体育 関心・意欲・態度 体育の授業で、ITを活用した実技指導を進めることで、楽しく運動し、関心をもって取り組む態度をより高めることができると思う。 2.70
思考・判断 体育の授業で、ビデオカメラやコンテンツを活用して、子どもの運動の様子や模範となる演技を提示することで、子どもが課題や改善点を見つけることができると思う。 3.45
運動の技能 体育の授業で、ビデオカメラやコンテンツを活用して、子どもの運動の様子や模範となる演技を提示することで、運動に必要な動きや技能をより高めることができると思う。 3.31
知識・理解 インターネットを使って、体や心の発達、安全に関する情報を収集させることで、健康や安全についての理解をより高めることができると思う。 2.85
音楽 関心・意欲・態度 音楽の授業で、ITを活用した表現や鑑賞の指導を進めることで、音楽に親しみ、進んで表現したり鑑賞したりする態度をより高めることができると思う。 2.83
表現・技能 コンピュータやシンセサイザーを活用して、曲を作ったり演奏したりすることで、演奏技術の巧稚にかかわりなく、より豊かな音楽表現をより楽しむことができると思う。 3.09
鑑賞の能力 デジタルコンテンツを活用して、世界各地の音楽を鑑賞させることで、さまざまな音楽の特徴や美しさを感じ取り、関心をより高めることができると思う。 3.10
図画
工作
関心・意欲・態度 図画工作の授業で、ITを活用した表現や鑑賞の指導を進めることで、表現技術の巧稚にかかわりなく、創造活動を楽しみ、進んで創り出す態度をより高めることができると思う。 2.83
創造的な技能 デジタルカメラなどで撮影した画像を観察しながら絵を描かせることで、絵の構図や画面構成、配色などを工夫する能力をより高めることができると思う。 2.98
鑑賞の能力 デジタルカメラなどで撮影した画像やインターネット上の作品を鑑賞させることで、そのよさや美しさを感じ取る力をより高めることができると思う。 2.89

  (5)中学校の教科別調査結果
     中学校の教科別に調査した回答の結果を教科別に表6に示す。この表から分かるように、国語の「読む能力」を除いて全ての教科指導の場面で2.5点以上を示し、IT活用の効果についてプラスの回答となっている。したがって中学校の各教科で実施されているIT活用によって学力が向上すると教員は評価していることが分かる。
 ここで、特に高い値を示した教科指導の場面を挙げる。保健体育の「関心・意欲・態度」が最も高く(3.60点)、外国語(英語)の「知識・理解」が3.56点、理科の「自然事象についての知識・理解」が3.55点、社会の「関心・意欲・態度」が3.54点で、いずれも3.5点より高い項目である。また、3点以上の項目は28項目もある。
 尚、最も高い評価が得られたのが保健体育の関心・意欲・態度(3.6)である点はやや意外な結果である。以下、外国語の知識・理解(3.56)理科の知識理解(3.55)社会の関心・意欲・態度(3.54)と続くが、外国語の知識・理解が、外国文化を紹介するにはコンテンツが適しているためか。
 また、関心・意欲・態度では、音楽は3以下。美術(3.18)、国語(3.14)も低い。それらの教科にふさわしいコンテンツがないのが要因の一つと考えられる。

表6 中学校の教科ごとの結果
教科 観点 質問 評価点
国語 国語への関心・意欲・態度 プレゼンテーションソフトなどのITを活用した情報提示や発表活動を取り入れることで、国語への関心や意欲をより高めることができると思う。 3.14
話す・聞く能力 プレゼンテーションソフトなどのITを活用した発表会や討論を取り入れることで、相手や目的に応じて、筋道を立てて話し、的確に聞き取る力をより高めることができると思う。 2.99
書く能力 ワープロソフトなどを活用させることで、相手や目的に応じ、筋道を立てて適切に文章を書く力をより高めることができると思う。 2.69
読む能力 ディジタルコンテンツなどによる情報提示や、インターネットなどによる情報検索を取り入れることで、物語や説明文などの様々な文章を的確に読み取る力をより高めることができると思う。 2.44
言語についての知識・理解・技能 ソフトウエアの活用、やディジタルコンテンツなどのITを活用した情報提示を行うことで、音声、語句、語彙、文法、漢字などの言語事項の習熟をより高めることができると思う。 2.78
社会 社会的事象への関心・意欲・態度 ITを活用した情報提示や情報検索を取り入れて社会的事象に対する具体的なイメージを喚起することで、興味・関心をより高め、より意欲的に追究するようになると思う。 3.54
社会的な思考・判断 ディジタルコンテンツなどによる情報提示や、インターネットなどの情報検索を取り入れることで、社会的事象の特色や相互の関連を多面的に考える力をより高めることができると思う。 3.19
資料活用の技能・表現 インターネットなどによる情報検索や学習成果の発表会を取り入れることで、社会的事象に関する有益な情報を選択し、効果的に活用する力をより高めることができると思う。 3.40
社会的事象についての知識・理解 ディジタルコンテンツなどによる情報提示や、インターネットなどによる情報検索を取り入れることで、社会的事象への理解をより深めることができると思う。 3.23
数学 数学への関心・意欲・態度 シミュレーションソフトやアニメーションを活用し情報提示して具体的なイメージを喚起することで、数学的な事象への関心をより高め、進んで考察しようとするようになると思う。 3.39
数学的な見方や考え方 表計算ソフトを活用し表やグラフを作成したり、図形等の情報提示を行ったりすることで、数学的な見方や考え方をより高めることができると思う。 2.92
数学的な表現・処理 シミュレーションソフトやアニメーションで図形やグラフ等の情報提示を行うことで、数学的に表現し処理する仕方を身に付けることができると思う。 2.94
数量・図形などについての知識・理解 シミュレーションソフトやアニメーション、ディジタルコンテンツなどを活用し情報提示することで、数量や図形などに関する基礎的な理解をより高めることができると思う。 3.06
理科 自然事象への関心・態度・意欲 ITを活用した情報提示や観察・実験を取り入れることで、自然の事物・事象に対する関心をより高め、それらを意欲的に追究しようとする態度をより高めることができると思う。 3.22
科学的な思考 ディジタルコンテンツなどによる情報提示や、インターネットなどを活用した情報検索を取り入れることで、目的意識をもって観察・実験し、自然事象を総合的に考察する力をより高めることができると思う。 3.09
観察・実験の技能・表現 ディジタルカメラやディジタルコンテンツなどを活用し実験、観察を行うことで、器具や機器を目的に応じてより工夫して扱うことができるようになると思う。 3.24
自然事象についての知識・理解 シミュレーションソフトやアニメーション、ディジタルコンテンツなどを活用し情報提示することで、直接観察できない事象をより深く理解させることができると思う。 3.55
音楽 音楽への関心・意欲・態度 ITを活用した表現や鑑賞の活動を取り入れることで、音楽への興味をより高め、進んで表現し鑑賞しようとする態度をより高めることができると思う。 2.98
音楽的な感受や表現の工夫 ITを活用して音色、リズム、旋律、和声などの諸要素のはたらきを視覚的にとらえさせることで、それらの諸要素の音と音とのかかわりを理解して音楽表現の多様さをより感じ取ることができる、音楽表現をより工夫させることができると思う。 2.90
表現の技能 コンピュータなどを活用して、曲を作ったり演奏したりすることで、いろいろな表現技能をより高めることができると思う。 3.07
鑑賞の能力 ディジタルコンテンツを活用して、世界各地の音楽を鑑賞させることで、様々な国の音楽のよさや美しさをより味わわせることができると思う。 3.20
美術 関心・意欲・態度 Webページを閲覧し、様々な情報を検索したり、完成した作品を生徒相互に評価したりすることで主体的に活動し、美術に対する関心・意欲がより高まると思う。 3.18
発想や構想の能力 IT機器を利用し、デザインや色の組み合わせを考え、思考することにより、豊かな発想や創造的な表現能力をより高めることができると思う。 3.10
創造的な技能 コンピュータグラフィックスソフトを利用し、感じ取ったことや考えたことを表現することにより、心豊かで創造的な表現をする能力がより高まると思う。 2.90
鑑賞の能力 映像メディアやインターネットを活用して、美術作品や文化遺産などを鑑賞することで、美術作品のよさや美しさを味わう能力をより高めることができると思う。 3.34
技術・家庭 関心・意欲・態度 ものづくりの過程や、様々な工業製品の紹介に、実際に見ることができないものにディジタルコンテンツを利用することにより、ものづくりに対する関心・意欲をより高めることができると思う。 3.46
工夫・創造 製作品の設計やデザインにITを活用したシミュレーションをして改善点を明確にすることで、より工夫して製作しようとする意欲が高まると思う。 3.34
生活の技能 自分の作業している姿や作品を映像で記録して、モデルと比較することで、ものづくりの技術をより高めることができると思う。 3.12
知識・理解 仕組みの理解にデジタルコンテンツを利用することで、知識・理解をより高めることができると思う。 3.37
保健体育 関心・意欲・態度 運動の「動作」や「特徴」についての指導の際にVTRやディジタルコンテンツなどの視聴覚教材を用いることで、自己の運動への関心をより高め、意欲的に取り組もうとする態度をより高めることができると思う。 3.60
思考・判断 体育実技に関する測定結果を集計しデータ化することで、客観的に自己の運動能力をとらえ判断する力をより高めることができると思う。 3.45
技能 生徒の実技場面を動画として保存しITを活用してそれを分析することで、技能の修正や改善に役立たせることがよりできると思う。 3.46
知識・理解 保健体育に関する知識や技能を学習する際にITを活用して資料収集をすることで、知識や理解をより高めることができると思う。 3.23
外国語(英語) 関心・意欲・態度 ITを活用して外国の様々な情報を収集することで、外国への関心をより高め、積極的に言語活動を行ってコミュニケーションを図ろうとする態度より高めることができると思う。 3.44
実践的コミュニケーション能力 チャットや、テレビ会議システムを利用して英語でのコミュニケーションを行うことで、相手の発話に対応した適切な表現を活用する力をより高めることができると思う。 3.08
理解 外国語の文や文章をITを利用して読み、書き手の意向などを理解する言語活動を行うことで、相手が伝えようとする内容を理解する能力をより高めることができると思う。 3.09
知識・理解 ITを活用して外国の様々な情報や資料を収集し、外国の文化について考えることで、言語や文化についての知識・理解をより高めることができると思う。 3.56

  (6)高等学校の教科別調査結果
     高等学校の教科別に調査した回答の結果を教科別に表7に示す。ただし、回答数が少なかった教科(現代社会、倫理、政治経済、地学、工芸、書道)については省略した。ただし、以下の文中の場面数については、本報告書の記載と合わせて省略前の数とした。
 それぞれの評価点をみてわかるように、国語の一部の項目を除いて、全ての項目が2.5点以上である。この平均が大きい項目に書かれた指導場面でのIT活用は効果があると教員が判断していることを意味している。表では、平均が3.5点以上の項目を太字で表している。
これらの項目は、上位から日本史(関心・意欲・態度)が3.62点、物理(思考・判断)が3.62点、地理(知識・理解)が3.59点、地学(関心・意欲・態度)が3.56点、生物(関心・意欲・態度)が3.54点、現代社会(関心・意欲・態度)が3.50点、地学(表現・技能・処理)が3.50点、保健体育(関心・意欲・態度)が3.50点で8つの場面で平均が3.5点以上であり、これらの指導場面において、教員が高いと判断している教員の割合が大きい。また、体育(思考・判断)をはじめ46の場面での平均が3点以上の評価である。したがってこれらの3点以上の指導場面におけるIT活用は今後広く推進することが望ましいと考えられる。また、3点未満の場面は39項目あるが、これらの指導場面については、より効果が上がるIT活用の具体的な事例を作成して教員に示す必要があると考えられる。

表7 高等学校の教科ごとの結果
教科 観点 質問 評価点
国語 国語への関心・意欲・態度 国語の授業において、ITを活用した検索作業や発表活動、情報提示等を取り入れた指導などを行うことで、国語に対する関心・意欲をより高めることができると思う。 2.81
話す・聞く能力 国語の授業において、プレゼンテーション(発表)やパネルディスカッション(討論)などをITを活用して行うことで、目的や場面に応じて的確に伝え合う力をより高めることができると思う。 2.95
書く能力 書くことの指導において、ワープロソフトやディジタルコンテンツなどを活用することで、自分の考えを的確にまとめて書き表す能力をより高めることができると思う。 2.42
読む能力 文章の構成や展開を正確に捉えたり、人物の心情や情景を理解する際に、ITを活用して関連事項を調べたり、得られた情報を提示することで読解力をより高めることができると思う。 2.40
言語についての知識・理解・技能 ソフトウェアやコンテンツを活用したり、インターネット上の豊富な情報を適切に活用することで、言語感覚を磨いたり言語事項の習熟をより高めることができると思う。 2.45
日本史 関心・意欲・態度 日本史の授業の中で、プロジェクターを使って芸術作品や史跡・遺跡の写真を多数見せることで、歴史に対する具体的なイメージを喚起して興味・関心をより高めることができると思う。 3.62
思考・判断 日本史の授業の中で、ディジタルコンテンツなどによる情報提示や、インターネットなどの情報検索を取り入れることで、我が国を取り巻く国際環境などと関連付けて多面的・多角的に考察し、公正に判断する力を高めることができると思う。 3.04
資料活用の技能・表現 日本史の授業の中で、小論文やレポートだけではなく、プレゼンテーションソフトを使って生徒に発表させることで、歴史像を組み立てる力をより高めることができると思う。 2.94
知識・理解 日本史の授業の中で、板書の代わりにプレゼンテーションソフトを使って歴史上の事項や概念を図解して説明することで、分かりにくい事件や歴史用語に対する理解をより深めることができると思う。 2.88
世界史 関心・意欲・態度 インターネットを利用して、博物館・美術館・大学および研究所などの公式サイトを利用して調べ学習を行うことで世界史への関心や課題意識がより高まると思う。 3.38
思考・判断 ディジタルコンテンツやインターネットによる情報検索により、文化の多様性と現代世界の特質を世界史的視野で考察し公正に判断する能力が高まると思う。 3.02
資料活用の技能・表現 プレゼンテーションソフトを使った発表活動を通して、世界の歴史についての諸資料から追究し考察した過程や結果を適切に表現する力をより高めることができると思う。 3.02
知識・理解 プレゼンテーションソフトを用いて、歴史上の事項や概念を図解で説明することにより、分かりにくい事件や歴史用語に対する理解をより深め、知識の定着度を高めることができると思う。 3.08
地理 関心・意欲・態度 地域調査の授業において、対象とする地域に関連する様々な情報をインターネットで収集することで、地域調査への関心や意欲を高めることができると思う。 3.41
思考・判断 ディジタルコンテンツやインターネットを利用して、現代世界の地理的事象から課題を見いだし、それを系統地理的、地誌的に考察し、公正に判断する能力が高まると思う。 2.86
資料活用の技能・表現 プレゼンテーションソフトを利用することで、地図や統計、画像など地域に関する諸資料から、現代世界の地理的事象を追求したり、その結果を適切に表現したりすることができると思う。 3.32
知識・理解 世界の諸地域の地理的環境や人々の生活などについて、ITを活用してその地域の写真やビデオなど視覚的なコンテンツを参照することで、その地域の生活や文化の地理的理解をより深めることができると思う。 3.59
数学 関心・意欲・態度 ドリル型学習ソフトを利用して自学自習を行ったり、インターネット上の教材サイトを利用してさらに発展的な問題に挑戦することで、自らの興味関心に応じて学習する能力を高めることができると思う。 2.61
数学的な見方や考え方 一般化された定理や公式を、表計算ソフトやプログラミングを使ったシミュレーションで確認することで、定理や公式の理解をより深めることができると思う。 2.83
表現・処理 いろいろな関数の指導に、グラフ作成ソフトなどで正確なグラフを作図させることで、関数をグラフで表現することを理解し、いろいろな条件をグラフで表現する能力を高めることができると思う。 3.02
知識・理解 数学の各分野に関連した話題や教材をインターネットから収集することで、社会における数学の役割を理解し、さらに発展的な知識を習得する能力を高めることができると思う。 2.67
物理 関心・意欲・態度 万有引力による物体の運動や半導体の整流作用などの指導において、実験を行うと共にシミュレーションで提示することで、物理的な事物・現象への関心・意欲をより高めることができると思う。 3.28
思考・判断 音の伝わり方の学習で、マイクから入力した音の波形を提示することで、波についての性質を分析的・総合的に考察し、事実に基づいて科学的に判断する力をより高めることができると思う。 3.62
技能・表現 コンデンサの放電による電圧の変化や電流の強さによる磁界の変化をセンサーを使って測定し、表計算ソフトでグラフ化することで、電気や磁気に関する基本的な概念や原理・法則を系統的に考察し、表現する力をより高めることができると思う。 3.07
知識・理解 実験を行うと共に、物体の運動の様子をシミュレーションで提示したり、様々なエネルギーの現象をアニメーションソフトで提示したりすることで、物体の運動や様々なエネルギーの現象の基本的な概念や法則の理解をより高めることができると思う。 3.38
化学 関心・意欲・態度 原子の大きさや構造、共有結合の様子や分子の形などを、映像やシミュレーションで提示することで、化学的な事物・現象についての関心・意欲をより高めることができると思う。 3.44
思考・判断 混合物の凝固点降下をセンサーを使って測定し、表計算ソフトでグラフ化することで、分析的・総合的に考察し、事実に基づいて科学的に判断する力をより高めることができると思う。 2.80
技能・表現 酸化、還元などの実験で質量の変化を調べるとき、表計算ソフトを利用して変化をグラフ化して比較し、分析的・総合的に考察することで、実験の過程や結果及びそこから導き出した自らの考えを的確に表現する力をより高めることができると思う。 2.61
知識・理解 実験を行うと共に、有機化合物の性質や立体構造を扱った映像やシミュレーションを併用して提示することで、物質の構造の基本的な概念や原理・法則の理解をより高めることができると思う。 3.43
生物 関心・意欲・態度 カエルの胚発生など体内構造の変化過程をアニメーションソフトを利用して提示することで、生殖と発生の仕組みについての関心・意欲をより高めることができると思う。 3.54
思考・判断 酵素反応速度と温度との関係を温度センサーなどを使って測定し、表計算ソフトで表やグラフにして提示することで、実証的、論理的に考えたり、分析的・総合的に考察したりして生物学的に探究し、事実に基づいて科学的に判断する力をより高めることができると思う。 2.76
技能・表現 クロマトグラフィーやツンベルク管などの実験器具の操作方法を書画カメラとプロジェクタを使って提示することで、正しい実験の技能を習得し、実験結果及びそこから導き出した自らの考えを的確に表現する力をより高めることができると思う。 2.76
知識・理解 タンパク質の立体構造を分子立体画像提示ソフトを使って提示することで、様々な生物現象を支えるタンパク質の機能の理解をより高めることができると思う。 3.07
保健体育 関心・意欲・態度 運動の動作や特徴についての指導にVTRや視聴覚教材を用いることで、自己の運動に関心を持ち、その修正や強化に関する意欲を高めることができると思う。 3.50
思考・判断 体育実技に関する測定結果などを集計しデータ化することで、自己の運動に関する能力を的確に判断することができると思う。 3.29
運動の技能 生徒の実技場面を動画ファイルとして保存し、ITを利用してそれを多角的に分析することで、技能を修正したり改善したりする能力を高めることができると思う。 3.21
知識・理解 保健体育に関する技能や学び方を学習する際に、ITを利用して資料や情報を収集することで、知識や理解をより高めることができると思う。 3.29
音楽 創作における関心・意欲 ITを活用することで、創作活動に対する意欲をより高めることができると思う。 2.83
表現・視唱力の伸長 ITを活用することによって、合唱における音取りやパート練習の効率をより高めることができると思う。 2.72
表現・奏法の工夫 コンピュータやシンセサイザーを利用することで器楽アンサンブルの表現をより高めることができると思う。 2.92
創作における知識・理解 ITを活用して音色、リズム、旋律、和声などの諸要素のはたらきを視覚的にとらえさせることで、音楽の構造(和音、リズム等)の理解をより高めることができると思う。 2.86
知識・理解・鑑賞の能力 ディジタルコンテンツを利用することで楽曲の歴史的背景・文化的背景や、自国や各国の音楽の種類と特徴について、理解をより深めることができると思う。 3.08
美術 関心・意欲・態度芸術的な感受や表現の工夫 作品制作にあたり、インターネットで関連情報を調査をすることにより、感じ取ったこと、自己の考え、夢や想像などを基にして主題を生成する能力をより高めることができると思う。 2.78
関心・意欲・態度鑑賞の能力 Webページなどを利用して生徒相互の作品評価を行うことにより、作品制作に向かう態度をより高めることができると思う。 2.65
芸術的な感受や表現の工夫 IT機器による映像メディア表現を行うことにより、視覚的な伝達効果を考えた表現の構想力をより高めることができると思う。 3.19
創造的な表現の技能 コンピュータ・グラフィックスソフトを利用することで、意図に応じた多様な表現をする技能をより高めることができると思う。 2.97
鑑賞の能力 IT機器を用いて提示された作品を鑑賞することにより、美術作品のよさや美しさを味わう能力をより高めることができると思う。 2.81
外国語(英語) 関心・意欲・態度 テレビ会議システムなどのITを活用することで、発表や話し合い、討論などに積極的に参加する意欲を高められると思う。 2.85
思考・判断 英文を読んで、情報や書き手の意向などを理解する際に、ワープロのアウトライン機能などのITを活用することで、概要や要点をとらえる能力をより高めることができると思う。 2.71
表現の能力 プレゼンテーションソフトなどのITを利用することで、聞いたり読んだりして得た情報や自分の考えなどをまとめ、発表する能力をより高めることができると思う。 3.10
理解の能力 サウンドレコーダーなどのITを活用することで、リズムやイントネーションなど英語の音声的な特徴を判断し正確に発音する能力をより高めることができると思う。 3.18
知識・理解 インターネットや電子百科事典などのITを利用して調べた、背景となる知識を活用することで、未知の語の意味を推測しながら、辞書なしに文章を読んでいく能力をより高めることができると思う。 2.84
家庭 関心・意欲・態度 インターネットなどを用いた消費者問題の事例収集や、オンラインショッピングの疑似体験などのITを活用した実習を行うことで、現代の消費生活における課題や消費者保護の必要性についての関心を高め、その理解を深めようとする意欲を高めることができると思う。 3.29
思考・判断 インターネット上に提供されている多種多様な生活情報を比較し、その発信源や正確さを考えさせるような教材を提示することで、消費者として主体的に判断し、責任をもって行動できる能力をより高めることができると思う。 3.05
知識・理解 ディジタルビデオカメラやディジタルカメラで撮影した幼稚園や保育所等での乳幼児の様子の提示教材を活用することで、子どもの心身の発達と特徴及び子どもの生活と遊びについての理解をより高めることができると思う。 3.24
技能・表現 コンピュータの計算機能やグラフ作成機能を用いて食事の栄養価計算や適切な献立作成を効率よく行うことで、家族の健康に配慮した食生活を営む実践力をより高めることができると思う。 3.17
情報 関心・意欲・態度 コンピュータやインターネットの利用が、問題解決や情報の発信などの指導において、生徒の実習に対する意欲を高めると思う。 3.44
思考・判断 問題解決の指導において、表計算ソフトの計算機能やグラフ作成機能を利用して情報を整理・分析することで、思考法や状況判断の能力を高めることができると思う。 3.04
技能・表現 情報伝達の指導において、プレゼンテーションソフトやWebページ作成ソフトを使うことで、伝達内容に応じて提示方法を工夫する能力を高めることができると思う。 3.41
知識・理解 インターネットにおける情報収集活動を通して、より発展的な新しい知識の習得や様々な考え方の理解を深めることができると思う。 3.14

  (7)全体に関する調査結果
     教科には関係ない全体的な項目について調査した結果を表8(小学校)、表9(中学校、高等学校)に示す。まず、小学校の結果を示す表8から分かるように、IT活用による「効率化」に関する評価点が2.2点と低いが、その他の項目についてはいずれも評価点が2.5点より高く、IT活用の効果を教員が感じているという結果である。
 また、中学校と高等学校の結果表9から分かるように、IT活用による効率化に関する評価点が2.12点、1.99点と低い。このことから、IT活用が効率化につながると考える教員は少ないことがわかる。ただし、その他の項目についてはいずれも評価点が2.5点より高く、IT活用の効果を教員が感じているという結果である。

表8 全体に関する調査結果(小学校)
観点 質問 評価点
表現力 ITを活用したプレゼンテーション(発表)を行うことで、自分の考えや思いをわかりやすく表現する力がより高まると思う。 3.28
表現力 Webページを作成して、情報を発信することで、自分の考えや思いを的確に表現する力がより高まると思う。 2.89
思考・判断 電子メールやテレビ会議などで交流学習を進めることで、他と学び合いながら、多様な考え方をより高めることができると思う。 3.03
効率化 授業の中でITを積極的に活用することで、教師の負担を軽減して、児童とふれあう時間をより多く確保することができると思う。 2.20
習熟度への対応 授業の中でITを積極的に活用することで、児童の習熟の度合いに応じた指導の可能性がより高くなると思う。 2.82
くり返し学習 コンピュータなどを活用して、くり返して反復学習を行うことで、基礎的な内容をより深く理解させることができると思う。 2.95
評価 表計算ソフトなどを用いて、児童の学習状況を記録・評価することで、より効率的に評価を行えるようになると思う。 3.24
コミュニケーション能力 電子メール、テレビ会議などを授業の中で活用することで、コミュニケーション能力をより高めることができると思う。 2.77

表9 全体に関する調査結果(中学校、高等学校)
観点 質問 中学 高校
表現力 ITを活用したプレゼンテーションを用いて発表させることで、自分の考えや思いを分かりやすく表現する力がより高まると思いますか。 3.17 3.06
表現力 Webページを作成して、情報を発信する活動を行うことで、自分の考えや思いを的確に表現する力がより高まると思いますか。 2.89 2.76
思考・判断 電子メールやテレビ会議などで交流学習を進めることで、他と学び合いながら、多様な考え方をより高めることができると思いますか。 2.88 2.68
効率化 授業の中でITを積極的に活用することで、教師の負担を軽減して、子どもとふれあう時間をより確保することができると思いますか。 2.12 1.99
習熟度への対応 授業の中でITを積極的に活用することで、習熟の度合いに応じた指導の可能性がより高くなると思いますか。 2.62 2.34
くり返し学習 コンピュータなどを活用して、繰り返し反復学習を行うことで、基礎的な内容をより理解させることができると思いますか。 2.88 2.60
評価 表計算ソフトなどを用いて、学習状況を記録・評価することで、より効率的に指導に生かす評価を行えるようになると思いますか。〔評価〕 3.21 2.93
コミュニケーション能力 インターネットや電子メール、テレビ会議などを授業の中で活用することで、コミュニケーション能力をより高めることができると思いますか。 2.62 2.40
問題解決力 授業の中でITを積極的に活用することで、主体的にITを使って問題解決をしようとする態度をより高めることができると思いますか。 2.77 2.57
情報モラル 授業の中でITを積極的に活用することで、インターネットや電子メールを使う上でのルールやマナーをより守っていこうとする態度を高めることができると思いますか。 2.83 2.64
時間確保、効率化 教師がITを活用することにより、授業のための準備時間の短縮、生徒へ対応する時間の確保がこれまで以上にできるようになると思いますか。 2.28 2.09
指導の深化・拡充 教師がITを活用することにより、教材研究が深まったり、指導内容が広がったりすると思いますか。 3.18 3.04
評価、効率化 授業にITを活用することにより、評価に時間をかけたり、効率のよい指導を行ったりすることができるようになると思いますか。 2.77 2.46
校務の効率化と情報 校内でITを活用することにより、校務処理が効率化し、情報の共有が図られ、教師間の指導のための連携が進むと考えられますか。 3.21 2.93

  (8)回答者分類による調査結果の考察
   
1 男女の比較
   小学校教員の男性女性の違いについては、全項目(27項目)のうち16項目で、1パーセント有意水準で男性教員の方が高い結果となっている。これはIT活用能力との関係があるように思われる。ただし、中学校、高等学校になると、男女の違いはあまり大きくない。

2 教員のIT活用頻度の違い
   小学校の場合の、IT活用の頻度について分析した教科別の結果を表10に示す。この表において不等号記号(<<)は、1パーセントの水準で有意に差があることを示している。小学校の場合、すべての教科と観点において、IT活用頻度の高群が低群と比較して、有意に高い結果となった。
 また、中学校の場合、ITの活用頻度について「まったく使用しない」と「1ヶ月に1回以上」を比較した場合、理科と保健体育において、有意な差が見られた。高等学校の場合は、日本史、世界史、美術において、有意な差が見られた。

表10 小学校におけるIT活用頻度と評価点
  まったく
使用しない
  1ヶ月に
1回以上
国語 2.60 不等号 2.83
社会 3.34 不等号 3.50
算数 3.01 不等号 3.16
理科 3.13 不等号 3.36
体育 2.81 不等号 3.08
音楽 2.76 不等号 3.02
図工 2.68 不等号 2.91

 次に、観点ごとの評価点を、IT使用頻度で比較した結果を表11に示す。この結果からわかるように、ITを使用している教員の方が、評価の観点からみたIT活用の効果を高く認めている。
表11 IT活用頻度と観点別の評価点
校種 小学校 中学校 高等学校
活用の頻度 まったく
使用しない
  1ヶ月に
1回以上
まったく
使用しない
  1ヶ月に
1回以上
まったく
使用しない
  1ヶ月に
1回以上
関心・意欲・態度 2.83 不等号 3.06 3.04 不等号 3.36 2.63 不等号 3.13
思考・判断 3.16 不等号 3.33 2.92 不等号 3.11 2.35 不等号 2.93
表現・技能・処理 2.88 不等号 3.12 2.93 不等号 3.18 2.37 不等号 3.09
知識・理解 2.88 不等号 3.08 3.04 不等号 3.26 2.50 不等号 3.02

3 教員の経験年数と関係
   コンピュータ使用との教員の経験との関係を調べるために、経験年数が5年未満、5年〜15年未満、15年〜25年未満、25年以上の4グループに分けて、調査結果の比較を行った。
 その結果、5年〜15年未満の経験年数の教員の評価点が最も高い傾向にあり、次に15年〜25年未満、続いて5年未満という結果となった。5年〜15年未満の教員は、学校内で中堅として位置づけられ、授業でのIT活用においても積極的に取り組む傾向にあることが考えられる。授業のねらいや学習内容にも概ね熟知していることもあり、効果的な活用を進める傾向にあると考えられる。
 5年未満の教員は、コンピュータ操作やインターネット利用では、十分なスキルを有しているが、授業のねらいを達成するためのIT活用において授業経験がまだ少ないこともその要因として考えられる。
 25年以上は、他の3群と比較して、有意に低い項目が多くある。これは、コンピュータ操作やインターネット利用に関するスキルが十分でないこともあり、25年以上の教員を対象にした特定の研修内容が必要であることが伺える。
 特に、4つに分けた経験年数間すべてに有意な差が見られた項目は、「算数のシミュレーションやアニメーションを活用することで、イメージがつかみやすく、算数への関心を高め、より意欲的になると思う。〔関心・意欲・態度〕」である。この項目が特に経験年数に関係していることを示している。

4 IT研修の受講の有無の比較
   IT研修の受講の有無について検討した。小学校の教科別の結果を表12に示す。その結果、すべての教科・観点において、IT研修を受けた教員が高い評価をしていることが分かった。また、44項目中、5項目を除き、教員研修を受けた教員が高い評価をしていることが分かった。すなわち、9割近い項目において、IT研修を受講した場合が有意に高い結果となり、これまでに実施された研修が、教師の指導力向上につながっていると考えられる。

表12 IT研修受講経験の有無と各教科評価点(小学校の場合)
  受講経験なし   受講経験あり
国語 2.77 不等号 2.84
社会 3.44 不等号 3.51
算数 3.08 不等号 3.17
理科 3.28 不等号 3.37
体育 3.00 不等号 3.10
音楽 2.94 不等号 3.03
図工 2.83 不等号 2.92

 次に、評価の観点別にIT研修の受講の有無を比較した結果が表13である。その結果、小学校と高等学校ではすべての観点について受講の有無が関係している。ただし、中学校の場合は、二つの観点で5パーセントの水準で差が示されている結果である。
表13 IT研修受講経験と観点別の評価点
校種 小学校 中学校 高等学校
  受講経験
なし
  受講経験
あり
受講経験
なし
  受講経験
あり
受講経験
なし
  受講経験
あり
関心・意欲・態度 2.97 不等号 3.07 3.31   3.36 3.01 不等号 3.19
思考・判断 3.27 不等号 3.35 3.07   3.13 2.82 不等号 2.96
表現・技能・処理 3.06 不等号 3.13 3.12 不等号 3.20 2.95 不等号 3.14
知識・理解 3.01 不等号 3.09 3.20 不等号 3.28 2.92 不等号 3.06

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