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2.成層圏プラットフォーム研究開発の概要

 成層圏プラットフォームは、気象条件が比較的安定している高度約20キロメートルの成層圏に通信機材、観測センサ等を搭載した飛行船を滞空させ、通信・放送及び地球観測等に利用するシステムである。本システムは、衛星に比べてカバーエリアは狭いが、電波の減衰と遅延が少ないため、通信・放送への利用に適している。また、特定地域の集中的かつ連続的な観測が可能であり、衛星に比べ高分解能及び高精度のデータが取得できることから、災害監視及び地球観測の手段としても有効と考えられている。
 成層圏プラットフォーム研究開発は、平成10年度より総務省(旧郵政省)及び文部科学省(旧科学技術庁)が主体となり、成層圏プラットフォームの中核システムとなる飛行船システムの構築、同システムを利用した通信・放送ミッション及び地球観測ミッションの実用化の目処を立てることにより、航空宇宙技術、情報通信技術、地球観測技術等の向上に寄与することを目的として実施した。
 実施にあたっては、産学官で構成する「成層圏プラットフォーム開発協議会」(以下、「開発協議会」という。)を設立し、研究開発方針の検討、研究開発計画の評価等を行った。
 開発協議会の決定事項に基づく全体の進行管理は、総務省及び文部科学省が実施し、分野別の研究開発については、飛行船分野(電源系を含む)は宇宙航空研究開発機構(旧航空宇宙技術研究所)及び情報通信研究機構(旧通信・放送機構)、通信・放送分野は情報通信研究機構(旧通信総合研究所及び旧通信・放送機構)、地球観測分野は海洋研究開発機構(旧海洋科学技術センター)及び宇宙航空研究開発機構(旧宇宙開発事業団)が担当した。
 本研究開発を開始するにあたっては、総務省及び文部科学省が、フィージビリティ・スタディを実施した上で、平成15年度に技術実証機による飛行実証試験(技術実証試験)を実施することを目標として「成層圏プラットフォーム研究開発計画」(平成11年9月。以下、「研究開発計画」という。)を策定した。
 平成11年12月には、ミレニアム・プロジェクトに環境対応のプロジェクトとして採択されたことを受け、成層圏滞空飛行試験及び定点滞空飛行試験の実施が追加され、技術実証試験は平成17年度に実施すると変更された。
 しかしながら、その後、電源系に関する技術動向が大きく変化したことから、技術実証機の在り方に関する検討を踏まえ、まずは定点滞空飛行試験後に事後評価を行うこととなった。
 平成15年度及び平成16年度には、成層圏滞空飛行試験及び定点滞空飛行試験を実施し、ミレニアム・プロジェクトとしての計画が終了したため、透明性の高い第三者機関において、これまでの成果や問題点等をとりまとめ、事後評価を行うこととなった。
 これらの取組みは、開発協議会において議論され、その結果を踏まえて進められた。また、ミレニアム・プロジェクトにおいては、有識者から構成される評価・助言会議において年度ごとに評価が実施された。
 なお、本研究開発の実施期間中に、中央省庁再編及び研究機関等の独立行政法人化が行われているが、以下において、省庁及び研究開発機関の名称については、特に言及のない限り現行の組織の名称を使用することとする。


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