審査の方法及び原子力専門職大学院等に要求すべき事項
免除指定を受けようとする原子力専門職大学院等の審査は、十分な教育の実施を担保するため、カリキュラムの範囲のみならず、その質や量についても踏み込んだ評価をする必要がある。その評価に当たっては、公表された基本的な審査基準の下、国が専門家の意見を聴いて判断することが妥当である。
原子力専門職大学院等に要求すべき事項として、まず、カリキュラムの内容が学生に対して原子炉主任技術者に必要な専門的知識を与えるに十分な内容であることが挙げられる。このため、カリキュラムの範囲が出題範囲をカバーしているかどうかに加え、原子炉主任技術者としての専門的知識が十分に習得できるように、カリキュラムが体系的に編成され、演習や事例研究等の効果的な教育方法が取り入れられていることも必要である。なお、原子力専門職大学院等を修了するために必要な単位数と筆記試験合格者相当の専門的知識を習得するために必要な単位数は一致しないことに留意する必要がある。
次に、所要単位取得修了者が筆記試験合格者水準の質を有するためには、教育実績や教育能力、実務家としての能力・経験などの教員団の質についてもこれを担保させる措置が必要である。このため、原子炉主任技術者免状の保有者を教員に含むべきであり、このような教員が教育計画に参画するか若しくは意見を述べる機会を設けることが求められる。なお、教育組織の質的向上を図るファカルティデベロップメント等については、既に通常の大学院においても導入されているが、制度を適切に運用していくために、筆記試験免除の担保として、改めて要求すべきである。
このような要求事項については、日本技術者教育認定機構(JABEE)の日本技術者教育認定基準のような広く普及している一般的な基準を参照するべきである。
なお、専門職大学院にあっては、すでに文部科学省における設置審査において「高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識と卓越した能力を培う」ことができることが審査・確認されているため、要求すべき事項について、筆記試験の合格者相当の専門的知識が習得されることを確保するための措置を除き、専門職大学院設置基準と重複する部分は設けなくてよい。
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