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1.  はじめに
 自然界には、地球誕生以来地殻に存在するものや宇宙線により生成されたものなど、さまざまな放射性核種が存在し、これらの核種を含む物質は、自然起源の放射性物質(NORMa:Naturally Occurring Radioactive Materials)(以下「自然放射性物質」という。)と呼ばれている。放射能濃度の高いものは、モナザイト、リン鉱石、チタン鉱石、その他の鉱石、鉱物砂などであり、産業用の原材料として広く利用されている。また、これらをもとに製造された製品は、幅広い分野で利用され、一般消費財としても多くの人に使用されている。
 ウラン、トリウム等の自然放射性物質を含んでいる原材料や一般消費財の一部には、国際原子力機関(IAEA)の安全シリーズNo.115「電離放射線に対する防護と放射線源の安全のための国際基本安全基準」1(以下「BSS」という。)で定められている免除レベルを上回るものも見られる。原材料及び一般消費財のうち、放射能濃度や放射能がBSS免除レベルを超えるものは、人工放射線源と同様に規制対象とする必要があるかどうかを検討する必要がある。
 国際放射線防護委員会(ICRP)では、自然放射線源による被ばくを基本的に放射線防護の対象外としてきた。しかし、ICRP Publ.602(1990年勧告)において、操業でのラドン被ばく及び微量の自然放射性物質を有意に含む物質を扱う操業や貯蔵における作業者の被ばくは、職業被ばくとして管理するとの提案がなされた。
 平成11年4月に、BSS免除レベルの国内法令への取り入れの検討が、放射線審議会基本部会において開始され、平成14年10月に『自然放射性物質の規制免除については、今後国内の利用実態及び海外の動向を調査して検討する必要がある』との内容を含む報告書「規制免除について」がとりまとめられた。放射線審議会は、平成15年2月26日の第79回総会において、自然放射性物質の規制免除についての検討を基本部会で行うこととし、同基本部会において、我が国の法令にBSS免除レベルを取り入れることに関連し、自然放射性物質の規制免除に関して検討した。本報告書は、その検討結果をとりまとめたものである。

a NORM用語解説(付録1)を参照
1 International Basic Safety Standards for Protection against Ionizing Radiation and for the Safety of Radiation Sources, Safety Series No.115, IAEA, Vienna(1996)
2 1990 Recommendations of the International Commission on Radiological Protection., ICRP(1991)

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