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参考資料2

安全レポート(Derivation of Activity Concentration Levels for Exclusion, Exemption and Clearance,「規制除外、規制免除及びクリアランスのための放射能濃度値の算出」)の概要

1.  目的
   RS-G-1.7に示された、大量の固体状物質に対する規制除外、規制免除及びクリアランスを判断するための濃度基準値の算出根拠を示すためのものである。

2.  算出根拠
 
(1)  天然放射性核種
   自然放射性核種に対して核種毎の放射能濃度値を、規制免除と同じ放射線学的規準に基づいて導出すると、その値が、自然環境中に存在する物質に見られる濃度より低くなることが多い。その結果、それまでは放射線学的な観点からの規制がなかった人間活動、例えば、自然の建設材料を使った家屋の建設や多くの地域での土地の使用でさえ、規制を受ける可能性がある。
 このため、自然放射性核種に対する放射能濃度値の導出は、規制資源も含め、防護の最適化により大きな重点を置いた手法に基づいて行うこととなった。具体的には、天然起源の放射性核種に対する放射能濃度レベルは、世界規模での土壌、岩石、砂及び鉱石中の天然起源の放射性核種の放射能濃度の測定結果(UNSCEAR 2000年報告書)の上限を基に設定している。
(2)  人工放射性核種
   人工放射性核種を含有する全ての物質について放射能濃度値を導出するための計算は、以下の手順で行っている。
 
計算を行う放射性核種の選定: 放射能濃度値を計算する放射性核種は、規制免除レベルがBSSに示されている核種である。これらの核種としては、原子力発電所や核燃料施設などの原子力施設や研究、産業および医療で放射性核種の使用と最も関連性のある核種が含まれ、短寿命核種も含まれている。なお、RS-G-1.7に基準値が示されている核種以外の核種(例えば、カルシウム-41、銀-108m、バリウム-133等についても、皮膚被ばくの評価を除いて、評価が実施されている。
適切なシナリオとパラメータ値の設定: 既存のクリアランスレベルの評価等で考慮されたシナリオの中から表1に示すシナリオが選定されている。評価用パラメータの選定に当たっては、評価結果が保守的となりすぎないような考慮がなされている。表2表3表4表5に評価に使用されたパラメータの数値を示す(地下水経路と皮膚被ばくの評価を除く)。
各核種について単位比放射能(すなわち、1ベクレル毎グラム)あたりの年間線量を計算
各セットの計算に対して最も厳しくなるシナリオ、すなわち、最も高い線量となるシナリオの明確化。
参照する線量レベル(10マイクロシーベルトまい年、1ミリシーベルト毎年、50ミリシーベルト毎年)を、その核種について最も厳しいシナリオで1ベクレル毎グラムに対して計算した年間線量で割って、核種毎の濃度値を導出
放射能濃度値の計算結果を丸める: 計算した値が3かける10のエックス乗と3かける10のエックスプラス1乗の間にあれば、丸めた値は10のエックスプラス1乗となる。通常の丸めでは上方に2倍、下方に5倍の誤差となるが、このような近似対数まるめでは同じ倍率の誤差となるために、こちらの方が選ばれた。BSSに示された少量の規制免除レベルの設定においても、同じ方法が使用されている。
BSSに示された規制免除レベルとの比較: 計算結果が、BSSに示された規制免除レベルよりも大きい場合には、BSSの規制免除レベルに合わせる。



表1 RS-G-1.7で考慮されている評価シナリオ
シナリオ番号 シナリオの内容 評価対象者 関連する被ばく経路
WL 処分場又は鋳物工場以外の施設の作業者 作業者 処分場での外部被ばく
処分場での吸入摂取
汚染した物質の直接摂取
WF 鋳物工場の作業者 作業者 装置又はスクラップの山からの鋳物工場での外部被ばく
鋳物工場での吸入摂取
汚染した物質の直接摂取
WO その他の作業者(e.g.トラック運転手) 作業者 装置又はトラックの積荷からの外部被ばく
RL
(RL-CとRL-A)
処分場又は鋳物工場以外の施設の周辺居住者 子ども(C)(1〜2歳)

成人(A)(18歳以上)
処分場又は鋳物工場以外の施設の周辺での吸入摂取
汚染した土地で栽培した食物の経口摂取
RF 鋳物工場の周辺居住者 子ども
(1〜2歳)
鋳物工場周辺での吸入摂取
RH 汚染した材料で建設した家の居住者 成人
(18歳以上)
家屋内での外部被ばく
RP 汚染した材料で建設した公共の場の周辺居住者 子ども
(1〜2歳)
公共の場での外部被ばく
汚染したダストの吸入摂取
汚染した物質の直接経口摂取
RW
(RW-CとRW-A)
個人用井戸からの水を使用又は汚染した川からの魚を消費している居住者 子ども(C)(1〜2歳)

成人(A)(18歳以上)
汚染した飲料水、食物及び魚の経口摂取
SKIN 鋳物工場等の作業者 作業者 手等へのダストの沈着に伴う被ばく



表2 被ばく評価に使用されているパラメータ一覧
(注):括弧内の数値は、低確率パラメータを示す。
パラメータ 単位 WL WF WO RH RP
被ばく時間 時間パー年 450かっこ1800 450かっこ1800 900かっこ1800 4500かっこ8760 400かっこ1000
希釈係数 該当なし 0.1かっこ1 0.1かっこ1 0.1かっこ1 0.1かっこ0.5 0.1かっこ0.5
被ばく開始までの放射能の減衰期間 にち 30かっこ1 30かっこ1 30かっこ1 100 1
被ばく期間中の放射能の減衰期間 にち 365かっこ0 365かっこ0 365かっこ0 365 365
物質の密度 グラム毎立方センチメートル 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
線源の幾何形状 該当なし 半無限媒体 5かける2かける1メートルの直方体 5かける2かける1メートルの直方体 3かける4平方メートル、高さ2.5メートルの壁2面と天井、壁の厚さ20センチメートル 半無限媒体
線源までの距離 メートル 1 1 1 不明 1



表3 吸入摂取経路の評価に使用されているパラメータ一覧
(注):括弧内の数値は、低確率パラメータを示す。
パラメータ 単位 WL WF RL-A RL-C RF RP
被ばく時間 時間パー年 450かっこ1800 450かっこ1800 1000かっこ8760 同左 1000かっこ8760 400かっこ1000
被ばく開始までの放射能の減衰期間 にち 30かっこ1 30かっこ1 30かっこ1 同左 30かっこ1 100
被ばく期間中の放射能の減衰期間 にち 365かっこ0 365かっこ0 365かっこ0 同左 365かっこ0 365
希釈係数 該当なし 0.1かっこ1 0.02かっこ0.1 0.01かっこ0.1 同左 0.02かっこ0.01 0.1かっこ1
空気中ダスト濃度 グラム立方メートル 5かける10のマイナス4乗かっこ10のマイナス3乗 5かける10のマイナス4乗かっこ10のマイナス3乗 5かける10のマイナス4乗かっこ10のマイナス3乗 同左 1-70 4
濃縮係数 該当なし 4 元素依存
1-70
4 同左 0.22 0.22
呼吸率 立方メートル毎時 1.2 1.2 1.2 0.22 1かける10のマイナス4乗かっこ5かける10のマイナス4乗 1かける10のマイナス4乗かっこ5かける10のマイナス4乗
線量係数 マイクロシーベルト毎ベクレル 5マイクロメートル、作業者の値 5マイクロメートル、作業者の値 1マイクロメートル、成人の値 1マイクロメートル、幼児(1〜2歳)の値 1マイクロメートル、幼児(1〜2歳)の値 1マイクロメートル、幼児(1〜2歳)の値



表4 直接経口摂取に係る評価用パラメータ
(注):括弧内の数値は、低確率パラメータを示す。
パラメータ 単位 WL/WF RP
年間摂取量 グラムパー年 10かっこ50 25かっこ50
希釈係数 該当なし 0.1かっこ1 0.1かっこ1
濃縮係数 該当なし 2 2
被ばく開始までの放射能の減衰期間 にち 30かっこ1 100
被ばく期間中の放射能の減衰期間 にち 365かっこ0 365
線量係数 マイクロシーベルト毎ベクレル 作業者の値 幼児(1〜2歳)の値



表5 間接経口摂取に係る評価用パラメータ
(注):括弧内の数値は、低確率パラメータを示す。
パラメータ 単位 RL-A RL-C
年間摂取量 キログラムパー年 88かっこ264 68かっこ204
希釈係数 該当なし 0.01かっこ0.1 0.01かっこ0.1
被ばく開始までの放射能の減衰期間 にち 365 365
被ばく期間中の放射能の減衰期間 にち 365 365
土壌−農産物移行係数 ベクレルパーグラムかっこしつじゅん パー ベクレルパーグラムかっこかんそう 元素依存 元素依存
線量係数 マイクロシーベルト毎ベクレル 成人の値 幼児(1〜2歳)の値

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