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4. まとめ

 管理事業法は、施行から約4年を経過したところであるが、新規の管理事業者も参入し、同一分野において複数の管理事業者が存在する状況も生まれ、著作権者等の選択の幅が拡大し、また潜在的な競争環境が旧仲介業務法時代からの管理事業者にも影響し、管理手数料の引下げ等のサービスの向上や経営面での改善が見られるとの前向きの評価がある。

 他方で、意見募集の結果からは、同一分野に管理事業者が複数存在することによる許諾手続きの複雑化、信頼度の低い新規参入事業者の存在などの旧仲介業務法に基づく秩序の変更に伴う戸惑い等もあると思われ、特に利用者側からは規制の強化を求める意見が多く見られた。

 これは、管理事業法が施行から約4年しかたっておらず、管理事業者の実績や事業者間の競争の効果がまだ現れておらず、利用者側から見て信頼度が高い管理事業者とそうでない管理事業者の峻別等がはっきりしないことや、管理事業法に基づく新しい利用秩序がまだ定着していないことから、旧仲介業務法に基づく利用秩序との比較でしか現状を評価できないことなどが原因と考えられる。

 以上の点を踏まえ、管理事業法附則第7条に基づく、同法の見直しに当たり、以下のとおり提言をする。

 ア.  管理事業法に対する意見募集の結果を踏まえ、検討事項を整理し、検討した 結果、直ちに管理事業法を改正し対応すべき事項はない。ただし、非一任型の管理事業の規制、管理事業者の役員の兼職、管理事業者の守秘義務、管理著作物等の情報提供、管理権限の開示義務及びインターネット公示については、管理業務の実態をよく調査するとともに、ある程度の期間を経た段階で、改めて制度改正について検討する必要がある。

イ.  法改正事項はないものの、特に利用者側の意見から、現行法の厳格な運用が求められており、これに応えて文化庁は管理事業者への指導監督を的確に実施していくことが必要である。具体的には、定期報告徴収及び定期立入検査、管理事業者向けの講習会など現在実施している施策については、内容の充実を図った上で今後も継続していくことが重要である。また、相当期間にわたり管理委託契約約款や使用料規程の未提出の管理事業者及び事業の実態がないと思われる管理事業者については、業務の実態をよく調査した上で、廃業届の提出を求めたり、必要に応じ、登録の取消処分を行うなど、適切な監督を行う必要がある。

ウ.  更に、アで指摘した課題については、制度改正の検討とは別に、文化庁はガイドラインを策定するなどして、適切な管理事業が実施されるよう管理事業者に対する指導・助言を強化していく必要がある。

エ.  最後に、届出事項の変更届出期間の緩和や管理委託契約約款・使用料規程のインターネット公示については、現行法の枠内で対応可能と考えられるので、文化庁はその手続の改善等に配慮すべきである。

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