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3 我が国コンテンツ産業の意識・行動改革

1. 意思決定プロセスの集約化と強化

(1) 問題意識
1 承認業務が緩慢
 コンテンツの国際展開には、翻訳に伴う内容審査や商品化に伴い様々なレベルにおける承認業務が必要となるが、日本の事業者の行う承認業務には時間がかかるという問題点が、アジア各地の各コンテンツ・ジャンルの事業者から共通して指摘されている。マンガについてはタイやインドネシアのように大手事業者が長年かけて日本の出版社と信頼関係を築いており、そうした承認業務がスムーズに行われている模様だが、これは例外的なケースである。
 アジアの多くの事業者が指摘するのは、日本の事業者の承認業務はスピードアップしているものの、米国や韓国などの承認速度に比べると依然として非常に緩慢であり、ビジネスチャンスを逃してしまう場合も少なくないという。
 アジアでのコンテンツ・ビジネスにおいては海賊版による被害を最小限にするうえでも、市場導入のタイミングは、極めて重要な要素であるため、こうした承認業務の速度向上が必要である。

2マーケティング素材や情報の提供が不足
 日系事業者にとっては国内市場の比重が極めて大きいこともあり、アジア等海外市場でのマーケティング活動に必要となる素材や情報に関して、限定的な量しか与えないケースが多い。
 コンテンツのマーケティング活動では、パンフレット、サンプル、ポスターなどの販促グッズのほか、作品やアーチストの背景情報など多岐にわたるマーケティング素材や情報の提供が不可欠であるため、こうした状況を改善すべきである。

3 裁量権の付与が不足
 コンテンツの国際展開においては、しばしば言語の翻訳や内容の文化・社会的規範への対応といった必要性から、現地の文脈に即した変更を伴わざるをえないケースが多い。しかし、文化・社会的規範や消費者の嗜好性などを鑑みて必要となる変更点についても、日系事業者は理解を示さず、オリジナルな形を維持することに執着する傾向が強いという指摘も多く、現地事業者に対して付与する裁量権をより大きくしていくべきである。

(2)提言
−提言7 意思決定プロセスの集約化と強化−
上記の問題意識を解決するためには、コンテンツの国際展開に関与する担当者間の稟議を簡素化し、海外事業者との窓口となる担当者の権限を強化するなど、意思決定プロセスの集約化と強化を図る必要がある。
現地事業者に対して行う各種承認業務の迅速化、マーケティング素材提供の充実化、付与する裁量権の拡大等の具体的な改善を検討すべきである。

例) アジアの事業者から聞かれた日系事業者に関する不満
米国や韓国の事業者に比べ日本の事業者は各種承認業務に時間をかけすぎる
コンテンツをプロモーションしたくても十分な素材を提供してもらえない
現地消費者の嗜好性にあわせた変更を施そうとしてもなかなか認められない


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