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3.
現地産業との共生を視野に入れた国際展開
(1)
問題意識
現地コンテンツ産業と日本コンテンツ産業の関係
日本コンテンツの国際展開は日本のコンテンツ産業サイドによる努力のみでは発展していくことは不可能である。
まず、現地における市場形成が不十分であれば消費者・事業者によるコンテンツ購買力の向上は望めない。アジアでは地域やコンテンツ・ジャンルにより市場形成の度合いに大きな格差が存在しており、こうした状況には注意を払う必要がある。
また、日本コンテンツの輸出振興を独善的に推進すれば、文化摩擦を引き起こすことは明白である。アジアでは国外コンテンツの流入に対して量的規制や内容規制が設けられている場合も多く、こうした制約があることも念頭に置かなければならない。
したがって、日本コンテンツ産業が国際展開を図っていくうえでは、現地産業の発展が日本コンテンツ産業の利益に結びつくことをまず認識し、現地コンテンツ産業振興に向けて貢献していく姿勢が不可欠である。
各地で高まる国内産業育成の機運
アジアにおいてコンテンツ産業を将来的な成長産業として位置付け、自国のコンテンツ産業振興政策に取組むケースが増えている。韓国では金大中元大統領の文化大統領発言に象徴されるように官民協力してのコンテンツ振興政策が実践されており着実かつ急速な成果を納めつつある。台湾でもデジタル・コンテンツ産業振興に向けて専門組織を設立し、既存の優位産業である半導体やディスプレイ産業とのシナジー効果を創出しようと試みられている。中国においてもコンテンツ産業は重視されつつあり、既にマンガ産業に関しては明確な産業振興策が実施されている他、近年成長の著しいゲーム産業についても振興政策が開始されつつある。
国際支援事業の推進
現地政府の推進するコンテンツ政策動向や現地事業者のニーズに沿った形で国際支援事業を検討していく必要がある。
国内コンテンツ産業振興政策が強化された場合、その動きに対応して国外コンテンツに対する流入規制が何らかの形で強化される可能性は常にある。特に日本コンテンツに高い優位性があると認められるアニメやマンガなどの分野においては、どのような形で現地産業との協力関係を築きながら国際展開を進めていくかが非常に重要となる。
こうしたことから、政府間、業界間の交流を促進することを目的として開催されている「日中韓文化コンテンツ産業フォーラム」を一層有効活用するべきである。
他方、アジア各地の事業者からは日本コンテンツ産業に対して大きな期待が寄せられていることもまた事実である。要請されている点としては、研修事業等の人材育成、優良コンテンツ提供による市場形成、流通網等の市場環境整備、マーケティング手法の移転などがあげられる。特に研修事業については、入国管理や査証発行などの制度面、先方が求める技術・ノウハウの供与といった内容面の双方に関して受入れ体制を整備していくべきである。
(2)提言
−提言
現地産業との共生を視野に入れた国際展開−
○
日本コンテンツの国際展開を推進するうえでは、アジア各地におけるコンテンツ産業の振興と発展を支援していくべきである。
○
研修事業等人材育成、優良コンテンツ提供による市場形成、流通網等の市場環境整備、マーケティング手法の移転など現地企業の要請に応じたきめ細かい対応について、業界団体が取り組むとともに、政府は必要な支援を行う必要がある。
○
毎年開催されている日中韓文化コンテンツ産業フォーラムを活用し、政府間、業界間の情報交換に加え、人材交流・育成及び共同制作投資など相互交流の促進を図ることが必要である。
例)
アジアからの受入れ研修事業
・
ゲーム事業者はAOTSの仕組みを活用して海外からのゲームクリエーター受入れ研修を実施
例)
アジア各事業者からの日本コンテンツ産業に対する期待
・
日本の良質なマンガを活用することによる雑誌・単行本市場の拡大
・
日本のコンテンツによる現地クリエーターのレベル向上
・
コンテンツの制作・事業展開におけるノウハウの移転
・
ゲームや出版物などの流通網整備に関するノウハウの移転
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