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著作権分科会 契約・流通小委員会(第2回)議事録

1.日時: 平成17年4月26日(火曜日)13時30分〜15時30分

2.場所: 経済産業省別館10階1020会議室

3.出席者:
(委員)
荒川、池田、石井、上原、金原、児玉、駒井、佐々木、椎名、菅原、瀬尾、関口、寺島、土肥、生野、松田、村上、森田の各委員、野村分科会長
(文化庁)
加茂川文化庁次長、辰野文化庁長官官房審議官、吉川文化庁著作権課長、川瀬著作物流通推進室長、木村著作物流通推進室室長補佐、ほか関係者

4 議事次第
 1. 開会
 2. 議事
(1) 著作権等管理事業法の見直し等について
(2) その他
 3. 閉会

5 資料
 資料1   著作権等管理事業法の見直しに関する報告書(案)
 資料2   著作権等管理事業法の見直しに関する報告書への意見(三田委員)
 参考資料   映像コンテンツのブロードバンド配信に関する著作権関係団体と利用者団体協議会との合意について(平成17年3月23日付,社団法人日本経済団体連合会,ブロードバンドコンテンツ流通研究会発表資料)
(※経団連ホームページへリンク)


議事内容
  (土肥主査) それでは定刻になりましたので、若干まだお見えになっていない方もおいでになるということですけれども、おいおいおいでになると思いますので、ただいまから文化審議会著作権分科会、契約・流通小委員会第二回の委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、本日の会議の公開について決定したいと思います。すでに傍聴者の方には入場していただいているところでございますけれども、本日予定されております議事内容を見ますと非公開とするには及ばない、そういう内容と思われますので公開としてよろしいでしょうか。
  (「異議なし」の声あり)
   ありがとうございました。それでは本日の議事は公開といたします。
 早速ですけれども、議事に移ります。はじめに、事務局で人事異動が3件ほどございますので報告をお願いいたします。

  (川瀬室長) それではご報告をさせていただきます。4月1日付けで人事異動がございました。まず長官官房審議官でございますけれども、辰野が就任しております。なお、前任の森口は文部科学省大臣官房審議官に転出しております。また同日付で著作物流通推進室室長補佐に木村が就任しております。なお、前任の溝口は日本学生支援機構情報部情報システム主幹に転出しております。以上でございます

  (土肥主査) ありがとうございました。では次に事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

  (木村補佐) はい。恐れ入ります、本日配布しております資料を確認願います。本日配布しております資料3点ございまして、…座ったままで失礼いたします。資料1ですが、「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書(案)」です。22ページものになっています。次に資料2でございます。一枚ものでございますが、「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書への意見」ということで、本日欠席でございますが、三田委員からの意見書でございます。最後に参考資料といたしまして、日本経団連ブロードバンド・コンテンツ流通研究会様のほうで、17年3月23日付で報道発表された資料ですが、「映像コンテンツのブロードバンド配信に関する著作権関係団体と利用者団体協議会との合意について」という資料でございます。以上でございますが、不足等ございませんでしょうか。どうもありがとうございます。

  (土肥主査) どうもありがとうございました。本日の議題は、「著作権等管理事業法の見直し等について」の検討の第2回目でございます。前回の議論におきまして、報告書案の1〜3までを議論しておるところでございます。委員各位におかれましては、前回の審議で出されたご意見を踏まえ修正いたしました報告書案を、事務局を通じて事前に送付をいたしているところでございます。また、本日ご欠席の三田委員からは資料2のご意見を頂戴しております。それでは、事務局から資料1の報告書案と資料2の説明をお願いいたします。

  (木村補佐) 恐れ入ります。本日配布資料の1をご覧ください。この資料につきましては、第1回の契約・流通小委員会の意見を踏まえまして修正案を盛り込んだものでございます。修正案につきましては、その記述部分について朱書きで明示し訂正、また追加記述をさせていただいております。またこの修正案につきましては、事前に各委員に送付させてもらっておりまして、すでにご覧になっているものと一緒のものでございます。
 それでは、修正箇所につきまして説明をさせていただきます。最初に資料1の8ページ目をご覧ください。ここの記述の部分ですが、ウの検討結果、これは「3の著作権等管理事業法見直しに関する検討課題と検討結果について」のなかの(1)規制の対象となる事業の範囲の1非一任型の管理事業に対する規制について、その検討の結果でございます。このなかの上から数行目のところに、4として注釈の番号が入ってございますが、前回この「使用料が明確でなく、利用者が不便を被っており…」という部分につきまして、その具体例等を含めまして指摘がございましたので、下記部分に注釈としてその部分を加えさせていただきました。もっとも下のところに、教科書準拠の学習参考書、また大学入試問題集に関しての例示等を記述させてもらっています。
 続きまして、9ページをご覧ください。このように一部の分野でその弊害が現れている、という指摘がございましたので、それを記述するとともに、この非一任型の管理につきまして、過去の状況についても記述を加えさせてもらっております。それが最初のマルの2つ目の点のところでございますが、「非一任型の管理については、仲介業務法の時代から慎重に対応する必要があること」、ここの部分を書き加えさせてもらっております。またこの記述の部分につきましては、過去の状況につきまして、5としてもっとも下のところに注釈部分を加えさせていただきました。これは過去事実上規制されていなかったことにつきまして、そのときの状況等を含めまして説明をさせていただいております。
 また、もとのところに戻っていただきますが、最初の3つ目の点以下でございますけれども、ここの表現につきまして、適切な表現をされたいというご意見がございましたので、「かえって円滑な利用を阻害する可能性もあるので」ということで記述を修正させてもらっています。
 続いて真ん中あたりになりますが、この白マル以降でございますけれども、前回の審議のなかで、一任型か非一任型による管理なのかが判断しにくいという意見等がございまして、これについて具体的なものを出しながら関係者の方々に説明することも必要だろう、という意見も出ておりまして、ここの記述部分を書き加えております。「利用者側から事業者の業務の実態に照らして…」から始まりまして、「…事業者側および利用者側に提供していく必要があると考える」という部分でございます。
 次に10ページ目になりますが、ここは2の「特定分野における管理事業者の一元化について」、その検討結果の部分でございます。ウの検討結果の最初のマルの部分でございますが、ここにつきましては演奏権の管理について現状をよく確認して記載をしてほしいという意見がございますので、確認したうえで現在、演奏権の管理について管理事業を行っているのが、日本音楽著作権協会だけでしたので、そのような記述ぶりに修正をさせてもらっています。
 続いて飛びまして、今度は13ページ目になります。ここは(3)の管理事業者に対する規制、これに関係する議題、事項のなかの3としまして、管理事業者の守秘義務についての部分でございます。このなかの検討の結果についてです。ここで二つ目のマルの部分ですが、尚書き以降、これを削除しております。これは前回の検討のなかでも、これまでの検討のなかで個人情報のことにつきまして、特に問題になっていなかったのではないかという意見がございまして、この部分は落とさせていただきました。
 続いて14ページになります。ここは、4の管理している著作物等に関する情報提供についてその検討結果でございますが、ここの記述の仕方についてですけれども、これまでの検討の中では、あらゆる著作物等のあらゆる利用区分において、個々の著作物レベルの情報提供が必ずしも必要ではないというのが、これまでの検討の中で合意されておったんではないかという意見もございまして、表現の仕方を訂正し、著作物等の利用区分や管理事業者の管理方法等に応じて、情報提供が必要かどうかというような書きぶりに変更すべきではないかという意見がございまして、それもありましてこのように訂正させてもらっております。「著作物等や利用区分の特性、管理事業者の管理方法等に応じ、どの程度の情報提供が必要かなどについては」というような記述に訂正しております。
 続きまして15ページになります。ここは、5の管理権限の開示義務についての検討の結果の部分でございます。ウの検討の結果の2つ目のマルの部分でございますが、ここの部分につきましては、代替性のない著作物の利用に関していろいろ意見ございまして、映像作品等に使われている著作物等の利用について、その例示等を加えて記述させてもらっています。また、たとえば映像作品に使われている原作以降「……円滑な利用が阻害される可能性があるとの意見もある、したがって…」という部分を書き加えております。 
 続いて16ページの部分になりますが、ここは6の管理委託契約約款、使用料規程のインターネット公示についてに関する記述の部分です。ここの検討の結果につきましてですが、まず最初のマルの部分、「管理事業法は…」以降ですが、この三行については削除させてもらっております。これは前回の検討のなかでも、「経済的負担の問題があるので制度改正までは必要ない」というのが適切な表現ではありませんので、こういった部分については削除しております。これに関係しましては、2つ目のマルの最後の記述の部分になりますけれども、「情報伝達手段の開発普及は…制度改正は必要ないと考える」の部分ですが、ここの部分につきましては、インターネットに限定するのではなく、どういう媒体を使って公示するのかまで法律で規制するのは不適当ではないかという意見もございまして、このような表現ぶりに変えております。あと2つ目のマルの下から3つ目のところですね、「文化庁もその方向で強く指導助言すべきである」の部分でございますが、前回の検討のなかでは、インターネット公示の改善等について、場合によったら命ずるくらいまで必要なんではないかという意見もあったわけなんですが、それもなかなか業務改善命令まではいかがなものかというようなこともございまして、このように「強く指導助言をすべきである」というような表現ぶりにさせていただきました。
 3つ目の尚書き以降のところでございます。ここは、「また、これに関連して…」の記述の部分ですけれども、前回の検討のなかでも、現在は事業者の存在だけが確認できる一覧表程度ものしか公開されていないようなところもありまして、もっとさまざまな情報を積極的に公表することが必要じゃないかという意見がありまして、そのことをこの記述の部分で書き加えております。
 あと16ページの(4)以下の部分でございますが、(4)の使用料規程、協議、裁定制度、1使用料規程の制定、変更時の意見聴取の義務化についての、アの現行制度の概要の部分です。ここについて「しかしながら…」以降の記述の部分ですが、修正前というのは、使用料というのは原価に相当するものがない、というような記述になっておりましたが、このような記述というのは必ずしも適当ではない、違和感があるというようなこともございまして、「使用料に原価がよくわからないものが多い」というふうに記述を変更しております。
 さらに、ページめくっていただきまして18ページでございます。18ページには、2の指定管理事業者の使用料規程に関する協議・裁定制度について、検討の結果の部分ですが、このなかのマルのウの検討結果の三つ目のマルの記述の部分です。「また、利用者側にはさまざまな意見があると思われるが、それらの意見を集約し、利用者側として一つの意見にまとめるよう努力することも、利用者代表に課せられた義務である」というような記述の部分ですが、ここの部分については前回の会議のなかで、最初から意見がまとまっていないといけない、というふうに誤解をされないような書きぶりに配慮していただきたいということもございまして、「…よう努力する」ということを書き加えてあります。
 報告書案の修正部分については、以上でございます。
 次に資料の2でございますが、本日欠席でございますが、三田委員より見直しに関する報告書への意見というものが提出されております。著作権等管理事業法に関して、非一任型の管理事業についての規制等についての検討ですね、これについての意見がこの中に出ています。以上でございます。

  (土肥主査) はい、ありがとうございました。この前回、報告書案の1〜3まで議論いただきまして、今回事務局から修正案が示されておるわけですけれども、前回ご発言がありました委員におかれましては、今回の訂正後の報告書案でございますが、これについてご意見ございましたらいただけたらと思いますが。じゃ上原委員どうぞ。

  (上原委員) 15ページのところでございますが、ここは何箇所か可能性のあるなかで、どこかのところでうまく代替性があまりないということをお入れいただきたいという話をして、それを入れていただいたところだと思います。ただ、この例は、非常にある意味ではわかりやすい例ではあるんですが、逆にいうと極めて特殊な例と言うか、極めてとは言わないにしても特殊な例ですので、こういう例に限られてのみ代替性が低いのかというふうに誤解される恐れがあるのではないか、というふうに思っておりまして、基本的には著作物等におきましては、一般的に代替性が非常に低いということが特徴としてあると思うんで、代替が利かない、今流行っている音楽を使いたいというときに、その許諾が得られなかったら、それは替わりに誰かのものを持ってきて済むということにはならない。あるいはあるドラマで原作を使用するときに、その人の作品でない別の人の作品でなんでも、極端な話、時代劇でもいいのかっていったらそうはならない、ということになりますので、ちょっとこの書き方だとこうした使い方の例だけ代替性が低いというように勘違いされる恐れがありますので、一般的に代替性が低いということをきちんとわかるようにしてほしい。たとえば、この「また」のあとに、「著作物等については一般的に代替性が低いという特徴がある。」として、「例えば」をもうとってしまっていただいて、そのあと「映像作品に使われている……との意見もある。」というふうに続けてていただいたら、一般的な部分と極めてわかりやすい例とが出ていいのではないかと思いまして、そういうふうにお考えいただいたらというものが一点ございます。

  (寺島委員) 基本的にない、と思いますけれども。

  (土肥主査) ない。委員のなかにおかれましては、さまざまご意見あるんだろうと思いますけれども、先生の場合、ないわけですね。

  (寺島委員) ないです。

  (土肥主査) ほかの委員におかれましてはいかがでしょうか。

  (児玉委員) 私もない、ということを説明するのですけれども。一般的な、一時的な使い方で代替がある、ないというようなものではなくて、私どもがこの管理事業法のもとでいろいろ実際に権利処理をしている世界では、例えば私達のように映像の二次利用の場合は、もうこれは完全に代替性がないというか、売り手を選べないといえます。だから、そういう意味で、利用区分や業態によって代替性がなくなるということが非常に多いと思います。

  (土肥主査) はい。瀬尾委員。

  (瀬尾委員) 基本的にはないと思うんですけれども。ただこれは、ほんとに場合によって、ということだと思うんですね。絶対に代替性がないという場合が非常に多いと言えると思いますけれども、まったく代替性がないと言い切って…例えば写真で富士山の写真が使いたいといったときに、この写真じゃないとだめだという場合ももちろんありますけれども、なんか富士山の写真とか、なんか南の島のイメージとか、そういうものを欲している場合には、写真分野で考えてみると代替性はある、というふうに思います。ですから、一般的な著作物として代替性がないものであると限定してしまうんではなくて、代替性がない場合が非常に多いとか、代替性がない場合が多いとか、ケースであるということを明示しないと、著作物として括ってしまうのは語弊があるというふうに考えます。

  (土肥主査) はい、ありがとうございました。ほかにご意見ございますか。それでは池田委員お願いします。

  (池田委員) 代替性につきましては、今のお話のとおり、ないもののほうが多い。ないものが多い一方で、必ずしもないかというと、替わるものもあると。ですから、これは著作物において、いろんなケースがあると思いますが、総じて代替性が低いと。たとえば映像作品に使われている音楽におきましては、例えば外国楽曲の場合は二次利用が非常に難しゅうございますので、この場合は差し替えるということをやむを得ずすることがあります。それは、ですから代替性があるにはあるんですが、しかしこれはあくまでも本来望んでいたことではなくて、やむを得ずやらねばならないことですので、代替性はある分野において、今瀬尾委員おっしゃったように、例えば写真においてはテーマによって代替性あるものもありますけれども、極めて代替性が低いのが一般的である、というふうに考えております。

  (土肥主査) ありがとうございます。委員のご意見を頂戴しておりますけれども、今原案では、まさに原則として代替性がないというところをきちんと言っておるところでございまして、しかも瀬尾委員がおっしゃるように写真等については、必ずしもそう言えない側面もある。だからおそらく、ものによるんだろう、コンテンツによるんだろうと思いますが、上原委員いかがでございますかね。こういう事例ではまずいと、それがご意見でしょうか。それとも、こういうふうな明確な代替性がないケースを例示して、本委員会の案とすることについてご賛成いただけないかどうか、そこのところなんですけど。

  (上原委員) 私が申し上げたのは、この逆にいうと、きわめてわかりやすい例だけが一つ出ているということによって、今各委員からご意見がありましたように、一般的に代替性がないことが多いということがかえって薄れてしまうということで、ここに原則として代替性がないという言葉が出ていますが、あくまでたとえば映像作品に使われている原作、脚本、実演等については原則として代替性がないということであって、著作物等一般について原則として代替性がないとか低いとか、そういうケースが多いということを書いてあるわけではありませんので、例に閉じこもってしまうと、今各委員からお話があった、一般的に代替性が少ないケースが多いということが明確に出てこないと思いますので、私としましては、代替性がないということではなくて、一般的に代替性が低いというのが特徴である、というような言い方で申し上げたと思いますが、一般的に低いとか、あるいはないケースが多いとか、そういうような一般的な部分をどこかで書き込んでいただきたいな、というふうに思っているところでございます。

  (土肥主査) わかりました。この点についてはそういうご意見を頂戴しておくということだと思います。他の点についてはいかがでしょうか。佐々木委員お願いします。

  (佐々木委員) 20ページなんですが、マルの4つ目なんですが、「なお、この問題について、管理事業者間で使用料額の調整を行うことを求める意見もあるが、そのような調整は独禁法での問題があると考えられているので適当ではないと考える」ってことなんですけど、一般的にそうかなと思うんですが、具体的にたとえば公取とこの問題について話し合ったりとか調整したとか、そういう実質的なことがあってこういう記述になっているんでしょうか。それとも、そういう可能性があるということなんでしょうか。

  (土肥主査) 今佐々木委員から、4のところのその他に入ってご議論があるわけですけれども、せっかくでございますから、当初のご提案では前回議論をしていただいた1〜3まで、そこの修正を中心にご議論いただきたいと思ったんですけれども、今佐々木委員は4のその他のところ、最後のところからお出しになっていますので、全体についての議論というご提案だろうと思います。したがいまして、4も含めてということだろうと思いますが、今の佐々木委員の質問なんですけれども、これは事務局に対する質問ではないかと思いますが。

  (川瀬室長) 著作権等管理事業法案をつくる際に、指定管理事業者に関するの協議・裁定制度について独禁法の適用上どうするかという問題については、公正取引委員会と話し合いました。そのなかで、独禁法上の問題になる類型、問題にならない類型ということで、担当レベルでは意見交換をしたのですが、その際に、事業者間で使用料の額を調整するというのは問題があろう、という見解をいただいています。なお、今のご質問の件について、特別に協議の場を設けたわけではなくて、指定管理事業者に関する協議・裁定制度の話のなかで、そういうことについても、一般論として意見交換をしたということは事実としてございます。

  (土肥主査) 村上委員お願いします。

  (村上委員) これは独占禁止法で、一般法なので、すでにほかの業界で適用されたルールなり原則に照らしてみるとどう考えるかということで答えるよりしょうがないと思います。基本的には今回は管理事業者というのが何社も競合する形で存在しうるという、そういう形の構成になっていますので、競合しうる可能性がある管理事業者間で、仮に個別の使用料なり、包括的な使用料の額なり、もしくは誰にのみ実施するというようなことまで、お互いに合意するようなことをやった場合には、これは一般法の原則どおり、独占禁止法違反になります。ただ、その内容がどこまでというのは、微妙で、仮に管理事業者間で利用者が使いやすいように、パターンというか広い枠組みを決めたりするような話になると、ケースバイケースみたいな形になります。完全に金額を決めた場合には、これは、原則的には独占禁止法違反になろうかと思います。

  (土肥主査) よろしゅうございますか。

  (佐々木委員) はい。

  (村上委員) 包括ライセンス自体は、独占禁止法上なんら問題ないと思っているわけですが、これに関連する実施慣行についてです、今の管理事業法の解釈からいうと、たとえば私が音楽の著作権者であって、たとえばJASRAC(ジャスラック)さんに包括的な許諾をして、一任型の管理委託をする。それと同時に、他の管理団体に、たとえば個別許諾を専門にやっているような管理団体があり、そこにも同時に管理委託します、もしくは私が個別に、誰か利用者から申し出を受けて個別に実施許諾するということは、現在の法律上可能であるというように私は解釈しているんですが、その解釈でよろしいかどうか。
 もう一回繰り返しますが、仮に一任型の包括実施許諾を専門にやっているような非常に大きな管理団体があり、そこに当然一任型で私の著作権を管理委託します。ただし、そのほかに、さらに別なところで、もっぱら一任型で個別許諾をやっているような管理団体があった場合に、そこにも同時に同じものを管理委託します。もしくは個別に誰か使いたいという人が来た場合に、個別に私のほうで使っていいですよというふうに個別に許諾を与える、そういうことは法制上可能かと思っていますが、そこはそれでよろしいかどうか確認させてもらいたい。

  (土肥主査) どうですか、今の点。

  (川瀬室長) 管理事業法は、権利者のために著作権を管理する方法として、信託と取次と代理を規制していますが、信託の場合には、これは権利が移転してしまいますので、他と同じというわけにはいかないと思いますが。取次と代理につきましては可能でございます。現にたとえば文芸家協会は、委任で交渉やっていますが、たとえば作家の先生が直接交渉をして契約を結ぶということも実態として行われておりますので、特に信託以外であれば、契約の内容にもよりますけれども、原則的は問題ないのではないかと思います。二重に委託することを禁止しているというような特約があれば話は別かもしれませんが、基本的にはそのような特約を設けた約款はございませんので、取次、代理取り引きの場合については、基本的には可能だと思っています。

  (土肥主査) 村上委員、いまのでよろしいのでしょうか。

  (村上委員) 私が聞きたかったのは、まず法制上可能であるかということです。次に、包括ライセンスで非常に数多くの権利者を扱っている管理団体としては、人情としてうちに一任型で管理する以上は、いっさい個別にやってはだめですよという特約をつけたいという契約関係になるので、そういう特約みたいなものがおかれている特約モデルはないですか。今のお話によると、そういう契約条項は今のところないということでよろしいですか。

  (菅原委員) 今の、川瀬室長のほうからご説明ありましたように、法律上の問題と別に今度は契約の中身、仕方というところであろうと思います。現在のJASRAC(ジャスラック)の契約は、信託契約をとっておりますので、そこで指定をされた支分権の範囲はすべてJASRAC(ジャスラック)に移転をいただくということ。したがって、その移転されたものについて他の団体に委託することはないということです。

  (土肥主査) ほかに、全体通して、で結構ですけれども、修正部分について特に前回ご意見いただいた委員、何かございますでしょうか。

  (生野委員) 16ページのインターネットによる管理委託契約約款等の公示に関して、「文化庁もその方向で強く指導助言をすべきである」というこの「強く」というのがどうもすっきりしない。といいますのは、その前の文章で、管理事業者においてもできるだけ…、「できるだけ」努力する必要があると、その期待を語りながら、行政のほうで強い指導というのが、この文章の流れ、つながりのなかでなじむのかどうか。強い行政指導が必要であるならば、制度改正という議論になると思うんですが、最後の行に「制度改正は必要ないと考える」とも書かれている。文章のつながりの点で、この「強い指導」というところがなじまないような感じがするんですが。

  (土肥主査) はいわかりました、ありがとうございました。これは確かに、こういう報告書で強いとか弱いとか、そういう強調の言葉というのが一般的になじむのかというのはあるんですけれども、これ特にお考えがあってこういうふうになっているわけですか。

  (川瀬室長) 前回委員の方から、ある意味ではインターネット公示は当然だと。ただ制度改正までは必要ないだろうと。ただインターネット公示をやらない事業者に対しては、業務改善命令をだすぐらいの指導をするべきだというようなご意見ありましたので、その場では表現は工夫させていただきますということで、私どもも思い悩んだのですが、「強く」という言葉を入れて、前回のご意見をできるだけ反映しようと思ってこのような表現になったわけでありまして、この場でご議論していただきまして、適切な表現に改めるのであれば、改めていただければと思っています。

  (土肥主査) まさにここは、表現の問題なんだろうと思いますので、生野委員のご意見に皆さんご賛成であればここを落とすということになりますけれども。皆さんご意見いかがでしょう、文化庁に強く指導を求めておられないのであれば、落とすということになりますけれども、どうしましょうか。

  (関口委員) このあたり私も前回ですけれども、基本的にこの今の流れのなかでは、各事業者がそういった形で情報を公開していくべきだと思いますので、それが進む方向にぜひとも働きかけていただきたい、という意味ではですね、この「強く」という言葉がちょっとこの場合あまりなじまないのであろうと思いますので、違った言葉でそういった趣旨を盛り込んでいただければいいんではないかと思います。

  (土肥主査) 違った言葉となると、たとえば積極的とかそういうことですかね。強く、で強すぎるということであれば。…そのあたりのところでまた考えさせていただく、ということにしましょうかね。
 それでは、ほかにはいかがでございましょうか。基本的には前回直した部分についてご意見いただくわけですけれども、前後関係つながりが悪くなったりすることももしかしたらあるのかもしれません。そういう点で、お気付きがあれば出していただいて結構でございますし、最終的には今日いただいたご意見をもとに一任していただいて、最終的には私と事務局とで最終的な形にさせていただきたいと思っておりますけれども。できるだけお気付きな点を今日出していただきたい、と思っております。他の直した部分についてご意見ありますでしょうか。よろしいですか。
 その他のところに入っても、よろしゅうございますかね。お気付きであれば、4までの直した部分、3までですか。3までの直した部分になるんですけれども。4以降の部分が残っております。もし訂正した部分についてご意見がなければ、4以降についてご意見をいただければと思います。どうぞ。4はまとめの部分ということですね。4はまとめの部分でございますので、特に慎重にお考えいただきたいと思っておりますけれども。本委員会における提言のマルの4つ目のところに入っておるわけですが、原案ということではこのようになっております。これでよろしいでしょうか。

  (石井委員) これは確認でございますけれども、提言のアのところで、いちばん最後のところ、「ある程度の期間を経た段階で、あらためて制度改正について検討する必要がある」とございますが、これはまた数年経ったところで、このような小委員会や著作権分科会等で議論をして、また報告をまとめるというふうに理解してよろしいでしょうか。

  (土肥主査) その部分なんですけれども、本委員会ではその議論をたぶんしてないだろうと思ってるんですね。現在までの議論の進行のなかで考えておりますところは、こういう部分について、ここにありますように、実態の調査の開始をやると、そしてその調査の検討結果、調査結果を待って、その内容によりあらためて制度改正の検討をする。そういうことで、そういう経時的な要素を入れて、一定の期間をおいてというような認識は持っていなかったんですけれども、本委員会の皆さんのご意見がそういうことであれば、つまり一定期間をおいてからの議論のほうがいいとおっしゃるのであれば、もちろんそういうことになりましょうし、あるいは調査検討結果を待って、その検討結果を見て一定期間をおいてから検討する、あるいは直ちに検討をする、あろうと思います。
 特に、ここにあげられておりますものは、ほとんど多くは情報の開示とかそういったことになっておりますので、どちらかというと市場の透明性を促進させる、そういう要素がたくさん盛り込まれておりますので、おそらく管理事業法が改正されたあと、そういう一定の競争原理が働いたあとで検討するというよりも、競争原理をより一層機能させる観点から、本来ならばこういう問題は早めに手当てをするほうがいいんだろうと思うんですけれども、皆さんのご意見いかがでしょうか。石井委員は、この点について今ご質問があったのは、なにかお考えがあったうえでのご質問じゃないわけですか。

  (石井委員) はい、特には。

  (土肥主査) じゃ、純粋にご質問ということであれば、お尋ねしたいと思いますが。事務局いかがでございましょうか、今の質問の点なんですが。

  (川瀬室長) 私ども原案を作成した者としての心づもりとしましては、やはりこの今回の3年を経過した見直しの段階でいろんなご意見が出てきたのですが、それを見ますと、まだまだ新規参入事業者が参入されてこられて間もない時期でありまして、どちらかというと、問題点だけが噴出して、そういう状況のなかで見直しの議論が始まったということで、意見全体は、規制緩和のリアクションといいますか、規制を強化してほしいというような利用者側からの意見が多かったわけでございます。今、この審議会で実態面でさらに調査をしろというようなご提案をいただいているわけでございますけれども、少し時間をおいて検討したほうがいいんではないかということで、ある程度期間を経た段階でというふうな表現にしたわけでございます。

  (土肥主査) ということのようでございますが、ご意見ございますでしょうか。

  (松田委員) 三田委員がいらっしゃらないんで、三田委員のペーパー読ませていただいて、私も三田委員と大体同じ意見を持っておりまして。ここのアのところにありますような、非一任型の管理事業者の規制、現段階ではこれは、管理事業法の対象にはなっていないわけですが、規制されていないわけですけれども、三田委員の意見では、非一任型の規制がないことから実質的にかなりの量の管理事業をやっているにも関わらず、一任型の団体との競争関係では、圧倒的に有利になっている。すなわちこのペーパーによりますと、200人の作家の管理を担当する荷まで至っていると。そういう事業者も生まれているということがありますので、私もアのなかで特に重要な問題は、非一任型の管理業務をどうするかということが、ある程度の期間を経た段階で検討すべきだろうというふうに考えますので、三田委員の意見を踏まえたうえで、この記述はこのままにしておくのが適当でだろうと考えております。

  (椎名委員) 業界の特殊性というようなことで、文芸関係は、特にそういった必要があるということが出た反面ですね、やはり私は実演のことに関して申し上げたんですが、非一任型を一任型と同様に規制することのデメリットということも出てきたということで、さまざまなところから判断をして、現時点では制度改正は必要ないと結論付けたと思うんですね。その一定期間調査等を経た上であらためて議論をする必要があるという程度の問題で、明示的に制度改正というところまで触れる必要があるのか、という疑問はちょっと感じました。

  (土肥主査) ありがとうございました。アの部分についてなにかほかにご意見ございますでしょうか。松田委員のお考えでは、非一任型の規制の問題ですね。これ従来から出ておるところでございますけれども、委員のお考えでは、ある一定期間経過して、事業者団体相互間のある種の競争原理が働いたのち、落ち着くところに落ち着いた時点で再度検討するというこういう趣旨でしょうか。ほかの問題はいかがでしょうか。他の問題については、ある程度の期間をおかないで検討する必要があるものはないでしょうか。

  (松田委員) ここに記載されているところを見る限りにおいては、いちばん重要なのが非一任型の管理事業の問題であって、それ以外のものについては、私はそんなに緊急性はないのであろうと、それから明確に制度改正が必要かどうか検討すべき段階が必要かどうかについては、特別意見を持っておりません。

  (土肥主査) ありがとうございました。他の委員におかれましては、ここのまとめの部分、そうすると今伺っておりますと基本的にはこの原案、ある程度の期間を経た段階であらためて検討する、こういう基本的な文脈でこのまとめを書く、ことのようですが、そう理解してよろしいですね。

  (上原委員) 基本的に、今の主査のおまとめで結構ですが、今松田委員のほうからお話がありましたので、1点だけ確認的に申し上げさせていただきたいのは、利用者の立場から言いますと、管理事業者さんの情報提供、および管理権限の開示義務を望むというのは、実際に日常的に作業していくなかでは、極めて重要なファクターだと思っておりますので、そういうファクターも重要であると私としては思っているということです。これは別にこのなかに書いていただく必要はないのですが。松田委員のご意見ありましたので、そういう意見もあるということだけ言わさせていただきます。

  (土肥主査) 個人的には、今のような意見が強いのかなと思ってたんですけれども、そうでもないということで少し驚いたんですが、じゃ上原委員も強くおっしゃるわけでもないようですから、原案の方向で報告書はまとめるということでよろしいですね。
 ほかの部分はいかがでしょうか。…だいたいこういうところになりますかね。全体通して最後ですけれども、ここは言っておくべきだったというようなことがもしございましたら、手短に一つお話しいただいて結構かと思いますが。はい、瀬尾委員。

  (瀬尾委員) これは付け加えで、今回の報告のなかに入ってくる事項ではないのかもしれませんが、先ほどのインターネットの公示というところについて、ちょっと申し上げておきたいことは、やはり今情報がアナログで収集されている場合が多いんですが、インターネットの公示ということは、逆にそういった著作権情報とかそういう重要なデータというものがデジタル化されるという意味合いも持っている、と私は考えております。ですから今後、この競争原理を導入しにくい著作物という分野で、競争原理をこの法律によって導入していくと、こういう試みをしていくなかで、解決策はやはりネットとか新しいテクノロジーだというふうに思ってます。となると、すべてのデータが整理されてデジタル化されることは、かなり重要であり、かつ前提になるというふうに思いますので、インターネットの公示というのは、今回「強く」という表現についての議論があったと思いますけれども、私はこの矛盾した方向性を解決していくのは、新しいテクノロジーであり、この開示ということがその一つの証なのではないかと、そういうような認識。ただ単に知らせるための開示ではないと、別の意味もあるという部分も重要なのではないかと私は思います。以上でございます。

  (土肥主査) はい、ありがとうございます。ほかにございますか。ないようでございますので、今回の著作権等管理事業法の見直しに関する報告書に関しましては、本日ご意見を頂戴した部分を含め、1〜3までの部分につきましてはもう二度やりましたので、最終的にはさらにご意見がでたところについては、私と事務局で検討させていただきますが、4の部分についても皆さんご意見がないと、特に基本的にはこの内容でいいとおっしゃるわけでございますので、この部分についても私のほうに一任していただいてよろしゅうございますね。

  (「異議なし」の声あり) 

  (土肥主査) はい、ありがとうございました。それではそのようにさせていただいて、最終的には、これは次回の文化審議会著作権分科会におきまして、私から報告をいたしまして、分科会の了解を得られましたら、分科会名で公表することにいたします。よろしゅうございますね。
 それでは、予定されております審議時間はまだ残っておりますので、著作物等の流通に係る最近の動向について自由な意見交換を行いたいと存じます。先月23日、日本経団連ブロードバンドコンテンツ流通研究会が、本日配布いただいております参考資料について、ある成果を得ており、報道発表があるようでございます。放送番組のブロードバンド配信につきましては、過去の本小委員会においても若干議論があったところでございますし、関係の委員もいらっしゃいますので、本件につきまして、佐々木委員からこれについてご紹介いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

  (佐々木委員) それでは参考資料にもとづきまして、簡単に説明させていただきます。日本経済団体連合会におきまして、ブロードバンドコンテンツ流通研究会ができました背景につきましては、その2ページ目のところを見ていただきますと、参考1というところに趣旨が載っております。2002年の2月にこの研究会が設立されたわけでございますけど、当時の状況を顧みますと、日本においても高速ネットワークによるインフラを整備していくということが国家戦略となりまして、当時はまだブロードバンドが一千万いかない状況だったわけですが、最近の状況では3千万を超えるネットインフラが整備されまして、そういった意味ではどちらかというとブロードバンドに関して後進国だった日本が、現在では先進国となっているという状況を見ますと、こういった経団連の意図がある程度理解されるわけであります。
 2002年2月から、このペーパーにありますような参加団体によりまして、約一年間、いろいろな勉強会が行われました。特にブロードバンドというインフラのもとで、どういうサービスが行われるのか、どういう問題点があるのかということは、まだ具体的にビジネスモデルがないなかで、いろいろ勉強しなければいけないという状況でありましたので、いろいろなゲストに来ていただいたりして、相当数の回数の勉強会を行ったわけであります。その結果がですね、2003年6月に中間とりまとめということになりまして、勉強会をやった結果、そういった中間とりまとめという形で、今後正規に利用許諾がなされた良質なコンテンツが流通する健全な市場を形成していく必要があると。
 当時、今もある程度問題になっておりますが、やはり違法に映像作品等がネット配信されるという状況があったわけでございまして、やはり正規な利用許諾がなされたコンテンツが流通されなければならないと。それから2番目といたしましては、通信インフラの整備に伴いまして、一般ユーザーの良質なコンテンツへの需要が高まるのではないか、というふうな期待感がありまして、そのなかで著作権等の利用許諾を迅速かつ簡易に行うことができる環境を整備するにはどうしたらいいかということを、権利者と利用者が取り組む必要があると。3つ目といたしましては、市場の早期立ち上げには、違法コピーの防止とか、技術的保護手段の確立とか、特に今もまだ解決していない配信コストとか、あらゆる問題に対して課題があります、というようなことが中間まとめで合意されまして。
 その後、具体的にじゃビジネスとして成立しうる条件下でコンテンツが流れるために、暫定的な使用料率を決める必要があるんではないか、ということになりまして、2年ほどかけていろいろ権利者団体の皆さんと、利用者とが話し合いを持ちまして、3月に一応の合意を得たということでございます。ただしこれは、あくまでも2006年3月末までの暫定ということで、この間にやはり正常なビジネスが行われる環境をですね、われわれ関係者のみならず、いろいろなキャリアであるとかプロバイダーであるとか、すべての関係者が取り組まなきゃいけない課題ではないかと思っております。
 そういった意味で、最近はブロードバンドのネットワークを利用したビデオオンデマンドサービスなんかも増えてきておるんですが、本当にこれが一般のユーザーが求めるサービスとして発展するかどうか、今年一年推移をみていかなければいけないんじゃないかということでございます。その意味でこの合意は、たいへん画期的な合意ではなかったかと思います。
 ご承知のとおり、いろいろな国では、こういったサービスに伴ういろいろなトラブルが起こっておりますので、日本においては、こういった整然とした整備がなされたということは誇るべきことではないかというふうに思います。簡単でございますがそういう報告です。

  (土肥主査) 寺島委員どうぞ。

  (寺島委員) 佐々木さんが今おっしゃったことに、別に反対する気はありませんけれど、正直言ってインターネットっていうのはね、ほんとにわれわれにとっては困ったものだと思っております。交換ファイルなんていうのはね、正規に出ているものよりはるかに多くでているんですから。そして、実はこの前私びっくりしたんだけど、国会図書館が今インターネットを使ってやりたいという会議があって、もちろんこれは映像に関しては、海賊版も多いことだし、国会図書館はもうやらない。それで活字だけなんですよ。ところが文芸家協会さんの事務局の方が、司馬遼太郎さんの作品なんかの海賊版がものすごく出て行くとおっしゃったんです。そして国会図書館は、ひたすらね、そういうものについては外せといえば外しますと言っただけですよ。ですから、あたしね、このインターネットの海賊の問題っていうのは、もうどうしたらいいのかなと思って。
 私ども映像に関わる団体は、現在、放送を録画されるんですからね、簡単に。ガードがかかっていませんから。2011年に、放送がみんなデジタル化しますから。私は正直言って、上原委員にも申し上げたことがあるかもしれないけれど、デジタル化したら大丈夫ですね、海賊版出ませんねっていうと返事なさらないから不安になるんだけれど。でも今はもうしょうがないから、2011年にデジタル化するまでの我慢だというふうに、正直思ってる。もうほんとにひどい状態です。映像に関しては、そこに一縷の望みをかけておりますけれど。ほんとにひどい状態です。

  (佐々木委員) 私、電子出版に関しても、いろいろプロジェクトやっておりまして、電子出版におきましても音楽と同じようにですね、カプセル化いたしまして、一定の期間だけ読めるようにするというサービスがもうなされておりますので、図書館等においてもそういった方式できちんとですね、権利保護をした仕組みでやはりやられるべきじゃないかという意見を持っております。民間の企業といたしましては、そういったレンタル方式というんですかね、そういった方式で一週間なら一週間だけ本が読めるかわりに、一般の本より安くするとかですね、もしくは一般の本が絶版、廃盤した場合に、電子化してそういう形で読んでいただくということに取り組んでおりますので、例えば著作権が切れたものにおいても、きちんとそういった仕組みでやはりやるべきだろうと。著作権が切れているからといってコピーなんでもいいというようなことは、やはり、公共的な仕組みのなかでは、社会的な仕組みのなかではやはりやるべきではない、というふうに僕は思います。

  (土肥主査) はい、ありがとうございます。児玉委員ももしご発言があれば一言いただけますか。

  (児玉委員) われわれも今、寺島委員と同じように、インターネットっていうのは、映像の著作物を管理している者からみると恐ろしいものであってこわいものです。同時に、基本的に現代のインターネット上では、われわれ映画ですとか、アニメーションですとか、そういうストーリー性のある娯楽著作物については、まだインターネット上に流通させてビジネスになるという理解にはなっていない状態でございます。したがって、やはり基本的には寺島委員ご指摘のとおり、インターネット上でもっと安全にコンテンツが流通できるような環境が整うまでは、やはり基本的には、パッケージないしは放送等によるコンテンツの流通ということを中心に進めていきたい、というふうに思っています。将来インターネット上で流通ができる段階には、やはり適切な権利処理ができるように管理事業法のもとで流通をさせていきたいと思います。

  (土肥主査) もしこの点についてご質問等ございましたら、いい機会ですので。村上委員どうぞ。

  (村上委員) 一番はじめのところで、放送局制作のテレビドラマのブロード配信をする場合と書いてありますが、これはテレビドラマのブロードバンド配信については、とにかく放送局が関連著作権を一元管理することを約束したということで、ということで了解してよろしいわけでしょうか。

  (上原委員) まったくそういうことではありません。逆に、いちばん典型的にわかりやすいものを取り上げて、その典型例として暫定を決めていこうという話がされたということでありまして、テレビドラマの著作権がどこに一元化されているかというというのは、それぞれのドラマによって違います。ただ一般的なビジネス傾向として、最近ドラマはできるだけ、テレビ局が一元化して扱おうという傾向にあることは事実ですが、100パーセントそうであるとか、それが決まりごとになっているとかいうことではございませんで、むしろドラマというものが、こういう流通を考えたときに、いちばん典型的にものを考えやすいものだということで、これが出ている。つまりバラエティでありますとか、あるいはドキュメンタリーでありますとか、そういう番組でありますと、権利者の要素というのは減ってきて、パターン化してものを考えるのにわかりにくいという面もありますし、また娯楽という点ではドラマというものがいちばん見えやすいものであろう、というようなところから出てるというものでございまして。権利の一元化というところにメインがあったということではない、というふうにお考えいただきたい。

  (土肥主査) ありがとうございました。村上委員よろしゅうございますか。ほかにありますか。松田委員。

  (松田委員) ついでに質問させてもらいますが、この情報料収入というのは、送信して有料である場合には、その有料の全部ですかね。その2.8パーセントとか1.35パーセント、これを配付するとこういうことになりますかね。だとして、音楽だけは広告料収入もプラスされるということになっているんですけど、これはどういうことなのかなと。広告料収入が入る場合には無料なのではないかなと思うんですけど。

  (土肥主査) これはどなたにお答えいただくのでしょうか。

  (菅原委員) JASRAC(ジャスラック)の場合には、認可規定以降、今届け出規定になっていますけども、ストリーム配信は情報料及び広告収入をベースとして、それの一定率という規定になっております。それでモデルとして、有料で配信するということが前提で情報料ということがありますが、同時にバナー広告等でそのサイトを広告で運営しているという場合があるんです。もともと規定の考え方で、事業にあたっての収入全体を評価する、ということでその二つの収入を並べている。ですから例えばペイチャンネルテレビのように広告が全くなくて情報料だけであれば、当然情報料の、この場合であれば1.35という計算になっています、いう意味です。

  (土肥主査) はい、寺島委員。

  (寺島委員) インターネットのことなんですけれどね、私どもがお話をつけたのは、アニメだけだと内心思っています。なぜなら、放送番組をインターネットにのせてどうなるか、トレソーラというのを東京キー局が一緒に始められたのです。で、インターネットに乗せたのですけど、古い番組をきれいにしてのせたって、かつてただで見たものをですよ、時間が経ってお金出す人がいるのかって思ってますから。案の定トレソーラの収入は、著作権使用料を入れないでかかった費用の10分の1、もちろん著作権使用料は安くしてあげましたし、著作権使用料なんか入れないでただインターネットにのせるということだけで、入ったお金が10分の1だったのです、かかった費用の。それで去年3カ月、今年3カ月やって、第3回の試運転といいますか、施行の計画はありません。だって、かかった費用の10分の1ですから、入ったのが。無理なんですよ。古い番組を一生懸命お金かけてきれいにして出したって、かつてただで見れたものをお金払って見るなんていうのは稀有な人だって私思いますよ。
 今は、ひとつだけこれも安いお金だと思いますけれども、テレビじゃなくてラジオでね、“小沢昭一的こころ”、あれはインターネットにのってますし、安いお金でしょうけれど、おやめにならないところを見ると、それなりに、局もいいと思ってらっしゃるんだと思いますけどね。テレビドラマなんかできっこないって思ってます。

  (池田委員) 私どもテレビ東京は、トレソーラには参加していませんけれども、確かにトレソーラさんの実験というのは、なかなか厳しいものがあったというふうに伺っています。けれども、ただインフラの部分で、非常にやはりハードルが高かったということがございます。これは日々、どんどんどんどん改善されていますし、そんなに遠くない将来にはきっと明るい未来もあるのではないかなと、放送事業者としては思っている部分があります。確かに無料で最初に放送して、それをあとでお金を出してというのは、なかなか厳しいビジネスモデルかもしれませんけれども、実際にはビデオ・DVD等にしてそれが非常に売れるということもございますので、必ずしもこれがまったくないということではない。ただ、現時点では非常にインフラの部分でハードルが高いんであろうなというふうに考えております。
 それから、先ほどの村上委員のご質問に、上原委員のご意見の補足ではございませんけれども、利用者団体協議会ではまずいちばん最初に難しいものからやろうというところから、放送局が制作したテレビ番組、ドラマに限って数字を決めようということがございました。といいますのは、特に映像実演の部分につきましては、たとえば劇場用の映画の場合は、法律上実演家の方の権利はないというふうになっておりますけれども、局制作の番組については実演家さんの権利は生きておりますので、そのへんの処理もある。ということで、非常にコンテンツのなかではいちばんハードルの高いものからチャレンジをしようということが一つございます。

  (土肥主査) ありがとうございました。はい、どうぞ椎名委員。

  (椎名委員) もともとこの合意にあたって、トレソーラというのは具体的に名前が挙がっていたんですが、それ以外にとりたててあるビジネスキームを想定して話が進行したわけではなくて、利用者団体協議会の考える概念のなかでの利用料率だったらどういうふうになるか、ということで、しかも年次を区切った暫定的な合意ということで合意されたものです。したがいまして、さっきJASRAC(ジャスラック)さんが広告料収入ということを加味されたということが出たんですが、今後の話として、たとえばインターネット上でいろんな著作物を配信する際に、必ずしも情報料という課金の仕方ではなくて、クローズドの会費制をとって取り放題、みたいなシステムもありまして、そのなかでは当然サイレント会員というものも発生しまして、実際会員登録をしたとしてもダウンロードなさらないユーザーがいっぱいいて、そこでビジネススキームが成り立っているということがあります。
 われわれ実演家は、ちょっとアメリカの事例を調べたんですが、デジタル著作権法に基づいて実演家の権利を処理しております「サウンド・エクスチェンジ」では、その会費収入からの一定の割合の配分も受けるというふうなビジネススキームもあるというふうに聞いています。この暫定合意は暫定合意として、今後そういった視野からも使用料率を考えていくということも実演家は考えております。

  (荒川委員) このテレビドラマをブロードバンド配信するというところにおける暫定合というのは、非常に一つの大きなポイントだというふうには認識しておるわけですけれども、たとえば私どもジャパン・ライツ・クリアランスでは、ある音楽著作物に関しまして、録音権、それからインタラクティブ配信、というところにのみ限って、その支分権のみに限って管理しておりまして、私どもにその二つを委託してくださっている権利者の方のほとんどは、残りの演奏権であったり、放送、それからカラオケであったり、そういったところに関してはJASRAC(ジャスラック)さんのほうに信託をしているというような形で、両方あわせてすべての支分権をカバーするようなスタイルで、ある部分協調しあいながら、ある部分競争させていただいている、というような状況があるわけですけれども。
 たとえば放送ということに関していいますと、基本的にJASRAC(ジャスラック)さんの包括的な許諾のもとで制作されるコンテンツがほとんどであろうというときに、そのなかにたとえば我々のほうに、インタラクティブ配信に関しては預けているという曲が放送に使われた、という場合、放送に関してはJASRAC(ジャスラック)さんのほうで徴収していただいておりますが、そこで作られたものが二次的に今度はインタラクティブ配信というところにおちてきたときに、そこの部分の許諾の関係、それから徴収の関係というのは果たしてどうなるんだろうかということに関しては、今後非常に議論が必要になってくるのではないかと。今回に関しては、ストリーミングということなので、どこで放送と通信の線引きをするのかということが非常に見えづらいわけですけれども、これがオンデマンドになりました。ダウンロードで販売されました。ということになってきたときに、じゃこれは放送の二次使用ということで、放送側の一次許諾の部分の、一次的な包括許諾の部分ですべて処理がなされているというふうに考えるのには、ちょっと無理が出てくるんじゃないかというような部分もあわせてあぶりだしている、というふうに認識はしております。

  (菅原委員) 補足的に説明させていただきます。荒川委員おっしゃったとおりのことでございまして、これは利用者の方とのお話のなかでも、放送の場合にはJASRAC(ジャスラック)管理があるけれども、インタラクティブになったときには、別の管理事業者の楽曲の場合にはそちらの許諾をとっていただく。もともとのコンテンツがどうこうではなくて、それに入っている楽曲がどこで使われるかということによって管理の範疇が違ってくる、ということは明確にしております。したがいまして、ここのたとえば暫定合意の料率につきましては、あくまでもJASRAC(ジャスラック)の規定を運用の料率であって、他の事業者の方は、まったく違う率を設定されるということはあるんだろうと考えています。そこは、基本的には明確に分かれているところです。

  (石井委員) 今回の暫定合意に関しては、説明いただいた佐々木委員はじめ権利者の方も含めてたいへんなご苦労だったと思います。感謝申し上げたいと思います。そのうえで申し上げますけれども、私どもNHKとしても、ビデオオンデマンドという形式でいくつかブロードバンドに提供しているんですけれども、そちらのほうから見ますと、これはあらためて一つのスタートラインであって、これから実際にはいろいろな交渉といいますか、そういうものが続いていくと考えられるのはないかと思います。一つは今議論がありましたように、放送とそれからその他の利用について管理団体が違うということもあるだろうし、それから有力な権利者団体と言われているところには、必ずしもこの合意というものに従わない、ということをすでに明言していらっしゃるところもあるようでございます。それでも、私どもにとって非常に大きな一つの指標ということになるとは思いますけれども、ブロードバンドの一層の配信に向けてはですね、今までどおりいろいろな、権利クリアランスの仕事、業務というのは続いていくのではないか、というふうに考えております。

  (土肥主査) ありがとうございました。どうぞ、上原委員。

  (上原委員) 荒川委員に一点確認するんですが、合意のことで先ほどこれストリーミングだからというお話がありましたが、日本の著作権法の少なくとも送信可能化権を読む限りにおいては、ストリーミングであろうと、オンデマンドであろうと、インターネットのうえで配信する限りにおいては、インターネット配信の送信可能化権が働いておりますので、荒川さんのところがお預かりになっているのがインタラクティブ配信という、ちょっと支分権とは違うお言葉をお使いになりましたので、そこの意味がよくわかりませんが、送信可能化権、あるいは送信可能化権を含んだところの公衆送信権、有線放送を除く、という形でお預かりになっているんであれば、当然そこの部分については、最初に放送番組として作った作品をインターネット上流す際において送信可能化権のクリア、あるいは公衆送信権のクリアを荒川さんのほうがお預かりであればそちらでするべきだろう、というふうに理解しておりますが、そういう整理でよろしいでしょうか。

  (荒川委員) すいません、先ほどちょっと言葉足らずのところがあったんですけれども、まさに今上原委員のご指摘があったとおり、ここの部分に関しては、私どもの管理著作物が含まれている場合には、こちらのほうで許諾をさせていただくということを、もちろん大原則として考えております。ただ、現状やはり、どの著作物がどの管理団体で、どういうコンディションでどういう契約期間で管理されているということに関しての、いわゆる…なんていうんでしょう、そこの部分の情報について非常にわかりづらい、そんな状況があるなかで、我々としていちばん避けなければいけないのは、ジャパン・ライツ・クリアランツが管理しているものが入っているから権利の許諾が面倒くさいからやめてしまえ、というようなことになってしまう。これは本当に、本末転倒な話だというふうに考えておりますので、なにがいちばん利用者さんにとって、それから権利者にとって合理的でかつ、もっともお互いの利益になるのか、ということを考えるための、話し合うための場というものを、今後必要となってくるのではないか、というふうに考えているというところです。すいません、ちょっと先ほどは言葉足らずだったんですが、そのように認識しております。

  (土肥主査) はい、ありがとうございます。佐々木さん、三年間たいへんご苦労だったと思うんですけれども、まだまだ今後も、この問題相当ご議論される必要がありましょうね。当面、一年間暫定合意でやっていかれるということ。
  (佐々木委員) 先ほど申し上げましたとおり、やはりこの新しい時代に対応するにあたって、とりあえず権利者の皆さんのご協力いただいて、とりあえず一年間運用してみようと。そのなかで、いろいろ見えてくるものがあると思いますので、一方的にビジネスモデルだけの問題なのか、権利だけの問題なのか、インフラの問題なのか、やはり総合的に推移を見守りながら、再び権利者の皆さんとまた話し合うと。そういう意味では、期限を区切ったほうがいいだろう、とそういうことだったと思います。

  (土肥主査) はい、ありがとうございました。本日用意しておりますところの議題および意見交換というテーマは、以上でございます。文化審議会著作権分科会の第二回契約・流通小委員会を終わるにあたりまして、本日は、野村分科会長に同席をしていただいております。それで、一応本委員会における報告書案が固まっておりますので、この時点で一言いただければと思っております。

  (野村委員) 契約・流通小委員会の皆さんに、熱心なご議論いただきましてどうもありがとうございました。分科会長としてもお礼を申し上げたいと思います。
 技術が次々発達して新しい利用法が出てくると、どうしてもそのあいだで、権利者と利用者との間での利害調整というのが必要になるということで、これはもういたちごっこというと表現が悪いですけれども、無限に続いていくということだろうと思うんですが、その背後にあるのが、著作権の範囲といいますか、あるいは権利制限の範囲という、その権利というものがどこまで主張できるのかっていうそのへんが明確になっているようで、必ずしも完全にクリアではないというのが、非常に大きいのではないかと個人的には思っておりますが。法制小委員会のほうでも、この問題はおそらくこれからの議論の対象になると思いますので、そちらのほうの議論をまた取り入れて議論を続けていただければと思っております。
 それからもう一つ、利用の促進という観点からしますと、これも全く個人的な意見なんですけれども、使用料の定め方というので、利用者側のビジネスモデルがある程度規定されているというところがちょっとあるんじゃないかと。複数の管理事業者が、いろいろな使用料の定め方を提示してそのなかでビジネスモデルがいろいろ可能になれば、非常にいいのではないかというふうに思っておりますが。これも、今後の業界の発展しだいだというふうに思っておりますが。
 ま、そんなところでお許しいただければと思います。

  (土肥主査) どうもありがとうございました。それではこれをもちまして、第二回の契約・流通小委員会を終わらせていただきたいと存じます。最後に事務局から連絡事項がありますでしょう。それをお願いいたします。

  (木村補佐) 次回、第三回の契約・流通小委員会でございますが、6月23日木曜日、10時30分〜12時30分までの開催を予定しております。会場は現在未定でございますので、わかり次第またご連絡を差し上げたいと思っております。次回の議題でございますが、審議スケジュールにしたがいまして、裁定制度について、これを審議予定としております。よろしくお願いします。本日はありがとうございました。

  (土肥主査) どうもありがとうございました。

  〔了〕


(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)

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