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資料2

著作権等管理事業法の見直しに関する報告書への意見

日本文藝家協会常務理事/三田誠広


 著作権の管理事業に関して、当面、最も大きな問題だと思われるのは、「非一任型」の管理事業が文化庁に登録する義務がなく、いかなる規制も受けないという事態であろうと思われる。現に二百人以上の作家の管理を担当し、議員会館で国会議員を集めて説明会まで開いている(3月11日「知的財産権を守る議員の会」)民間業者が、「非一任型」であるとして登録をまぬかれ、不当な使用料を要求したり、使用を拒否したりして、利用者の間から苦情が出ている現況がある。これに対しては、早急に何らかの法的規制をかける提案がなされるべきであろう。
 今回の報告書では、「同法第29条により罰則の対象となる」と指摘されているが、この29条の対象となるのは、「第3条の規定」の対象者であり、その「第3条」は、「第2条」の「委託者が使用料の額を決定することとされているもの以外」を対象としているのであるから、結局のところ、「第29条」では、「非一任型」の業者に規制を加えることは難しいというべきであろう。「非一任型」の要件が「使用料の額の決定」に関わっている限り、「誰が使用料を決定したか」を業務の細部に立ち入って調査し糾弾することは実質的には不可能だと考えられるからである。
 確かに個人的な代理人にまで登録を義務づけるのは現実的ではないが、例えば業務の内容が「非一任型」であっても、一定数以上の委託者をかかえて業務を営んでいる業者については、登録を義務づける、といった法改正は可能ではないだろうか。この場合に、出版契約書によって二次利用の管理斡旋を担当することを規定している多くの出版社にまで登録の義務が生じることになっては、かえって混乱が生じることになるが、多くの場合、出版契約書によって排他的独占権が設定されるのは、「複製権」と「複製の譲渡権」に限られており、書協が配布している出版契約書の雛形においても、二次利用については排他的独占権は設定されていない。
 従って、「非一任型であっても独占的に委託を受けた著作者が一定数(例えば10人程度)以上ある業者」については「登録を義務づける」といった法改正が検討されるべきではないかと考える。


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