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著作権分科会 契約・流通小委員会(第3回)議事録

1. 日時 平成16年11月11日(木曜日)14時〜16時

2. 場所 経済産業省別館10階1020会議室

3. 出席者
委員)
荒川,池田,石井,上原,金原,児玉,駒井,佐々木,椎名,菅原,瀬尾,寺島,土肥,生野,松田,三田,村上,森田の各委員

文化庁)
加茂川次長、森口長官官房審議官、吉川著作権課長,川瀬著作物流通推進室長,溝口著作物流通推進室室長補佐,ほか関係者

4. 議事次第
 開会
 議事
(1)   著作権等管理事業法の見直し等について
(2)   その他
 閉会

5. 資料
資料1   著作権等管理事業法の見直しに関する検討課題
     
参考1   文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会(第2回)議事録
(※第2回議事録へのリンク)

6. 議事内容
 

【土肥主査】
 それでは,定刻になっております。ただいまから文化審議会著作権分科会「契約・流通小委員会」平成16年度第3回を開催いたします。議事に入ります前に,本日の会議の公開について決定したいと存じます。すでに,傍聴者の方にはご入場をいただいておるところでございますけれども,予定されておる議事内容をみますと,格別非公開とするにはおよばないと思われますので,公開の扱いとしてよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】
 ありがとうございます。それでは,本日の議事は公開といたします。議事に移ります。はじめに,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 それでは,議事次第の下のところに「配布資料一覧」と書いてございます。資料の1としましては,著作権等管理事業法の見直しに関する検討課題。本日の資料はこれ1点のみでございます。それから,参考1としまして,第2回の議事録を付けております。それから,委員の皆さまの手元には,緑色のファイルで意見募集しました結果の個表の意見,それからアタマのところに資料2と付いておりますけれども,これは前回の小委員会で配布した資料でございまして,事務局でまとめました整理表をつけております。それから,ピンクのファイルにつきましては,「権利の集中管理小委員会」の報告書,それから専門委員会の中間まとめというものを,手元に置かせていただいております。以上でございます。

【土肥主査】
 配布資料よろしゅうございますね。本日の議題は,「著作権等管理事業法の見直し等について」の検討の第2回目でございます。前回,著作権等管理事業法の施行状況等に関する意見募集の結果を踏まえ,著作権等管理事業法の見直し等について,各委員からご意見をいただきました。本日は,事務局において前回の議論の内容,および追加でいただいたご意見を踏まえて,著作権管理事業法の見直し等に関する論点を整理し,本委員会において検討すべき検討課題をまとめておりますので,まず事務局からこの点についての説明を受けたのち,各課題について具体的な検討を行ってまいりたいと存じます。
 それでは事務局から説明をお願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 それでは,資料1をご覧いただきたいと思います。これは前回の小委員会での議論と,それからその後,委員の方々からいただいた意見を元に,項番1の規制の対象となる事業の範囲,2の登録手続と指導監督,3の管理事業者に対する規制,それから4の使用料規程関係,協議・裁定制度,それから5のその他にということに,区分・整理し直したものでございます。各々の四角の枠内は,検討課題,その下にいくつか丸を書いておりますけれども,これは課題に対する視点,法制定時の論点などを簡単にまとめてございます。それでは項番1から,追ってご説明したいと思います。
 (1)は,規制対象を拡大する必要があるかということでございますけれども,これは前回の資料…グリーンのファイルに,めくっていただきますと2枚目にございます。これにつきましては,現行法の規制対象は,著作物の利用の態様に関わらず,不特定または特定多数の著作者から委託を受けて,それら委託者のために一任型の著作権管理を行う事業を対象としてございます。著作権管理委託契約に当たらないものとしまして,2つございます。1つ目が,委託者が使用料の額を決定する場合,それから2つ目が,受託者が第三者に委託者の許諾の意思表示を伝達するに過ぎない場合。この2点につきましては規制の対象外としておりますけれども,許諾条件のなかで最も重要な使用料の額に決定につきまして,委託者に留保されている,いわゆる非一任型の管理まで規制対象を広げるかどうかということでございますけれども,当時議論された考えを覆すほどの状況の変化や問題があるかということでございます。
 ここのところ,報告書にございますけれども,ピンクのファイルをご覧いただきまして,報告書の12ページをご覧いただきますと,規制対象の考え方をまとめてございます。
それから(2)の参入制限を設ける必要はあるのか,ということでございますけれども,これも同じく前回の資料,グリーンのファイルでは2枚めくっていただいたところにございます。これは,当時の権利の集中管理小委員会の中間まとめというものがございますけれども,中間まとめでは39ページをご覧いただきたいと思いますが,この中間まとめによりますと,音楽の演奏,上映,放送,有線放送および貸与,論文等の複写などの分野においては,管理対象者が全国に及んでおり,かつ利用者数が多数であること,それから著作物を大量に利用するにも関わらず,事前に個別許諾を求めることが事実上不可能であることから,包括許諾方式による管理にならざるを得ないこと。また事後におきましても,著作物ごとの利用実態を詳細に把握することが事実上困難である場合が多いことから,サンプリング調査による使用料の分配とならざるを得ない,ということなどの特徴が挙げられているということでございます。
このようなことから,これらの分野におきましては,契約交渉のための人件費ですとか,事務所の開設費,維持費,交通費などの経費が膨大になること,それから使用料の分配に当たっては,一定の分配精度を確保した上で,公正な分配を行なう経費も必要になるなど,他の分野に比べて,人的・組織的基礎,それから経理的基礎などにおいて,より高い水準の能力や条件整備が要求されるため,単一の,またはごく少数の団体により集中管理されるほうが効果的かつ効率的な管理が実現でき,権利者や利用者双方にとって有益であることが考えられるので,その規制にあたっては,他の分野と異なる基準を定めたり,異なる規制方法にするなど,参入要件を厳しくすべきである,というように中間まとめではまとめております。
しかしながら,報告書の19ページをご覧いただきたいと思いますけれども,報告書では,資料にもありますとおり,中間まとめの内容を尊重しつつも,これをもって法律上一般の分野に対する規制より厳しい規制をもって参入制限することはないと結論付けておりますので,当時の検討を変更すべき状況の変化が認められるのかということでございます。
それから資料1を一枚おめくりいただきますと,2の登録手続と指導監督でございます。(1)でございますけれども,登録要件を強化する必要はあるのかというこの課題につきましては,前回の資料では4ページ目にございます。これも,中間まとめでは42ページに,関連部分が記載してございます。報告書では18ページになってございます。
現行法では,著作者の選択の自由の尊重という観点から,著作権管理事業者の新規参入の機会を認めるということとともに,著作者と利用者の保護の観点から,公正・妥当な業務遂行を確保するため,必要最小限度の国の関与を認めるとして,登録制度を導入しているというわけでございます。言い換えますとより緩やかな,最低限度の審査機能を主務官庁に与えるということでございます。
登録拒否要件としましては,6項目ございまして,1.法人でないもの,2.他の管理事業者の名称と同一,または誤認される恐れのある名称を用いようとする法人,3.登録取消しの日から5年を経過していない法人,4.管理事業法または著作権法に違反して,罰金刑を受けてまだ刑の執行の終了または免除の日から5年を経過していない法人,5.役員の所定の欠格事由がある法人,6.著作権等管理事業を遂行するため必要と認められる基準に適合する財産的基礎を有しない法人ということが,この6つが登録拒否要件となっております。
現行法の登録制度を維持する限り,申請者の実態に踏み込んだ審査をできないということ,登録時または登録から一定期間内に,管理委託契約約款および使用料規程の提出を義務化すべきという意見がございましたが,管理委託契約約款,または使用料規程の届け出がなければ,実質的に管理事業ができないということでございますので,問題は生じていないのではないか,ということでございます。また,管理事業者は登録後1年以上管理事業を実施していなければ,登録を取り消すことができるということになっておりますけれども,その運用の厳格化で対応できないかということでございます。
それから,(2)の指導監督の強化についてどのように考えるのか,ということでございますが,これは前回の資料では5ページ目に記載してございます。文化庁は,報告徴収,立入検査,業務改善命令,登録の取消し等により指導監督を強化すべきとのご意見が多くあったということがございますけれども,報告徴収と立入検査については,今年度から実施していくということを,文化庁では予定してございます。
それから,もう1枚おめくりいただきますと,管理事業者に対する規制ということで,(1)は管理事業者が,非一任型の管理事業を営むことを制限する必要はあるのか,ということでございます。ここにつきましては,前回の資料ですと2ページ目にございます。管理事業者が,使用料を決定できる作品とそうでない作品が並行して行なわれると,一つの管理事業者のなかで作品ごとに使用料が異なるケースが発生し,利用者に不信感が生じやすいという意見がございました。しかしながら,一任型と非一任型の両方を管理するということは,従来からも行なわれていることでございまして,分離することが委託者の保護になるか否かということも考慮すべき,ということでございます。
それから,(2)でございますが,管理事業者の兼業や,役員の兼職を規制する必要はあるのか,ということでございます。これにつきましては,前回の資料では最後から2枚目でございます。管理事業者は,公益法人その他の非営利法人の場合,当該団体の役員を選任したり,事業を決定すること,法人取引との利益相反事項の禁止などの法的規制から,これらの問題は生じないと考えられます。しかしながら,株式会社などにも参入を認めるということになりますと,役員の選任や事業の決定は,原則として委託者にしか及ばないということになります。中間まとめでは,48ページのカのところでございますが,権利者および利用者の保護の観点から,公正かつ適正な業務が確保されるよう,集中管理を行っている権利を競合する利用企業の役員との兼職や,事業の兼業を法律上制限することが適当であるとまとめられております。
しかしながら,報告書では23ページでございますが,委託者について,管理委託契約約款に関する各種の義務付け,利用者については,管理事業者に応諾義務を課し,使用料の設定については利用者団体等の関与を認める制度を採用するなどの措置によりまして,管理事業者の不当な権利行使には一定の歯止めがかけられているため,法令上制限することは適当でないというふうに結論づけられております。以上のようなことから,当時の検討を覆す状況の変化は見られるのかということでございます。
(3)は,届出事項の変更があった場合の変更届出の期限を延長する必要はあるのか,ということでございます。これは前回の資料では,5ページ目でございます。現在,人格のない社団の場合には,登記等の謄本または抄本ではなくて,これに代わる書面を資料として届けることになっておりますけれども,法人の場合でも,これに代わる書面で対応するということで,実質的にその期間内で対応できるのではないかということでございます。
 それから1枚おめくりいただきまして,(4)でございますけれども,(4)は管理事業に際し得た利用者からの情報に対する守秘義務を定める必要はあるのか,ということでございます。これは前回の資料でいきますと,最後から2枚目でございます。利用者から得た情報には,営業秘密に該当するため,管理事業者に守秘義務を課すことを法律で規制してほしい,という意見がございました。これにつきましては,不正競争防止法上の「営業秘密の保護」など他の法律などで保護できないか。また契約の問題で解決できないかということでございます。
 (5)は,管理している著作物等に関する情報等の提供について,努力義務から罰則を伴う義務とする必要はあるのか,ということでございます。これにつきましては,前回の資料では最後から5枚目に記載してございます。著作権等の管理事業への参入が容易になりますと,同一の著作物等の分野において複数の管理事業者が管理事業を行なうということが想定され,それらの管理事業者の間に競争が生じることによって,利用者に対するサービスが向上されることが期待される反面,利用者にとってはどの管理事業者がどのような著作物の,どのような利用方法を取り扱っているかというニーズが高まるということになります。このようなことから,利用者側のニーズに応えるために,管理事業者に対して,その取り扱っている著作物等に関する情報を提供する協力義務を課すということにしたものでございます。しかしながら,管理事業者間に,人的・物的資源などの差が見られるということもございまして,一律に提供義務を課すことは難しいと予想されておりましたので,努力義務ということになったということでございます。制定当時の予想を超える何か状況の変化があるのか,また,法改正の必要がないにしても,情報提供の促進を求める意見というのは,たくさんございましたので,運用上の問題として対応できると考えますけれども,いかがでしょうかということでございます。
 (6)につきましては,著作物等の管理権限に関する情報の提供の義務について,義務化する必要はあるのか,ということでございますけれども,これについては前回の資料では,最後から5枚目でございます。管理事業者が,委託者または利用者の求めに応じて管理権限に関する情報提供を行なうというのは当然のこととして考えておりますけれども,あえて制度上義務付ける必要はあるのか,ということでございます。このことにつきましては,管理事業固有の問題ではなくて,他の分野においても同様のことと考えられると思っております。
 それから(7)につきましては,管理委託契約約款及び使用料規程の公示について,インターネットによる公示を義務付ける必要はあるのか,ということでございます。これにつきまsしては,前回の資料では,最後から5枚目でございます。さきほどの(5),または(6)とも関連しますけれども,小規模な管理事業者で,インターネットによる公示をするためには相応の経費がかかるということから,義務付けにより過度な負担になるということも考えられるので,管理事業者では対応できない場合には,文化庁ホームページで管理事業者に関する情報提供を,これは現在でもやっておりますが,そこに管理委託契約約款や使用料規程を追加して情報提供するということで対応できると思っておりますけれども,いかがでしょうかということでございます。
 それから,もう1枚めくっていただきまして,4の使用料規程および協議裁定制度でございます。これは,(1)は,使用料規程の制定または変更時における利用者からの意見聴取を努力義務ではなく,罰則を伴う義務とする必要はあるのかということでございます。これにつきましては,前回の資料では10ページ目でございます。これは旧法におきましても,法令上規定されてはおりませんが,実態として,著作権管理団体と利用者団体との協議を通じて使用料に関するルールが形成されていることが,長年の慣行として行なわれてまいりました。利用者の保護を図り,著作物の利用の円滑化を図るという観点から,すべての管理事業者について使用料規程を定めるとき,または変更するときには,利用者または利用者団体から,あらかじめ意見を聴取するように努めなければならないということにされております。
 ここで努力義務としておりますのは,管理事業者のなかには,小規模で利用者への影響力が極めて小さいものもいることが想定されることや,使用料規程の内容に対する意見を申し述べることができる利用者または利用者団体が存在しないという場合も想定されることなどを踏まえて努力義務というふうにしているものでございます。これら,当時の検討状況を覆す何か状況の変化はあるのか,ということでございます。
 (2)の使用料規程に係る協議・裁定制度について改善すべき点はあるか,ということでございますけれども,これは前回の資料では11ページ目に記載されているところでございます。利用区分につきましては,基本的には管理事業者の使用料規程における利用区分ごとに判断して行なわれるものでございますが,その利用区分における著作物等の利用の状況から見て,届けられた使用料規程の利用区分をより細分化することが合理的であると,文化庁長官が判断した場合には,細分化することも可能であるということになっておりますので,運用で対応できるというふうに考えておりますけれどもいかがでしょうか,ということでございます。
 (3)の包括使用料のあり方についてでございます。著作物を大量に利用するにも関わらず,事前に個別許諾を求めることが事実上難しいという場合,包括許諾方式を採用しているわけでございますが,規制緩和によって同一分野に複数の管理事業者が参入してくるということは,法制定時にも当然予想されていたということでございます。
 それから1枚おめくりいただきまして,最後にその他ということで,その他制度上,運用上見直すべき点はあるかということでございますが,さきほどの1から4以外までの項目で,何か制度上,運用上見直すべき点はあるかということで,その他ということであげております。
 以上でございます。

【土肥主査】
 ありがとうございました。それでは,本日はですね,今ご紹介があった資料の1,この検討課題に示された順番に従いまして,「規制の対象となる事業の範囲」から順に検討をしてまいりたいと存じます。さきほど,事務局から説明がございましたけれども,現在,一任型を規制の対象としておりますが,これを非一任型の規制まで拡大する必要があるのかないのか,さきほどの説明によりますと,個別管理,こういったものはその対象にはしない。そういうことで,まとめられたものでございます。したがいまして,個別管理としてできるようなものは外すというのが,従来の経緯であったかというふうに思いますが,この点についてご意見をいただけますでしょうか。はい,三田委員。

【三田委員】
 ここに書かれてありますように,著作者自らが自分のことを管理すると,いうような場合は除外されるべきであろうと思いますけれども,現にですね,何十人もの著作者から委託を受けて管理をしている,民間業者が存在しております。こういう業者はすべて非一任型である,ということで文化庁に登録をしておりません。著作権の管理の場合ですね,例えば映画の原作等,一つひとつどういうシナリオになるのかとか,どういう監督がやるのかだとか,個別の条件が異なる場合にはこれは非一任型でやるしかないと思うんですけれども。例えば,大学入試問題集のようなものがあります。この場合は,ある大学が入試問題にある作品を使いますと,その文題集を出す出版業者はその作品を使わざるを得ないんですね。こういうものについて,非一任型ということで,たとえば使用料を高くとるとか,場合によっては使用を拒否するというようなことも現に起こっております。
こういう業者は,値段というものが決まっておりませんので,できるだけ高くとりますよ,ということで,著作者のなかにはそういうところに委託をされる,という方もいらっしゃいます。こういう状態を放置しておきますと,文化庁に登録をして,ちゃんと値段を公示して適正な管理手数料をとっているそういうところがですね,競争をしなければいけない,ということになりますと,こういう非一任型であるがゆえに,登録もしなくていいと,値段も掲げなくていい,というような業者と競争せざるを得ないというのは,公平性に欠く状況である,というふうに言えるのではないかと思います。これについては,なんらかの規制が必要ではないかというふうに考えます。以上です。

【土肥主査】
 はいありがとうございました。今三田委員のおっしゃったようなご意見を踏まえて,他の委員におかれましてなにか同じ方向で,あるいは別の観点からご指摘ございますでしょうか。椎名委員お願いします。

【椎名委員】
 今おっしゃった場合というのは,民間企業のようなものが,そういった届出しないでいいというところで,非常に格差が生じてしまっているというようなことだと理解しましたが,自己管理と同一であるという実態ではないわけですよね。こないだ実演家に絡んで出ていた問題なんですが,私ども隣接権センターで行なうべき一任型の業務処理と,音事協さんで行っている非一任型の業務処理というのが,明確に区分けできるという状況ができてきたことをお話しして,非一任型の業務処理を管理対象とすべきではないという意見を申し上げたんですが,それはまさしく自己管理と同一視できる形であるがゆえに管理すべきではない,というふうに思うわけです。ここで,三田委員がおっしゃっていたのと若干趣が違うのかなというところで,いちがいに,非一任型の業務処理を対象にするということであると,ちょっと実演家のほうは困ってしまったなというふうに思います。

【土肥主査】
 ありがとうございました。さらにご意見ございますでしょうか。今おっしゃっておられるところの,非一任型のものも契約対象のなかに含まれる,というもののなかには,実態的にいろんなものがありそうな感じがするんですけれども,ご意見としては,これを全部含めると,こういうのが三田委員ですか。それとも実態を精査したうえで,なにか考えたいとこういうことですか,どちらでしょうか。

【三田委員】
 これは,利用者の側から考えた場合にですね,非一任型で結構ですというような種目もあると思います。一方で,業者の側から考えて,これは一括許諾という形でやってほしいと言われるものがあるかと思います。今例にあげたのは,大学入試問題集とありますが,他にも,教科書準拠ドリルというものがあります。これは作者のほうから拒否をされてしまいますと,まったく問題集ができなくなってしまうというようなものであります。こういうものについては,なにか一定の規制をかける必要があるんじではないかと。利用の必要上ですね,規制の対象にすべきものがいくつかあるのではないかなと。すべて,非一任型のものを規制してくださいということではありません。

【土肥主査】
 はい,わかりました。この点についてご意見ございますでしょうか。他の。それでは,瀬尾委員お願いいたします。

【瀬尾委員】
 写真の分野では,フィルムライブラリーという業務形態がございまして,そこにフィルムを預けて利用していただくという形態がかなり一般的にございます。その場合に,非一任型であるということで登録業者になっておられない業者さんかなりたくさんいらっしゃいます。そういうことを踏まえたときに,もしこれをすべて含んでしまうとすると,かなり業態自体に大きな影響を及ぼすことが考えられます。その場合に,かなり小さな規模のいわゆる会社とか企業になると,この要件を満たして運用することがかなり難しいのではないかというふうに考えます。
その場合に,当然業界自体が縮小,もしくは淘汰されてしまうようなことになると,利用…いわゆる流通の推進に対しては,非常に妨げになるような気がいたします。要は,小規模販売店がどんどん少なくなってしまうという状況も,考えられるのではないか。逆に,非一任型と一任型との区別というのは今のままにしておいて,逆に非一任型に対してもなんらかの定義を設けていくというような,ちょっと別の次元での考え方をしたほうがよいのではないかと思います。全般的に含めてしまうとすると,かなり影響が大きいので,現時点では,全部を含めた,非一任型も含めた管理事業法というのは,まだ時期尚早であるというふうに私は考えます。以上です。

【土肥主査】
 さきほど,池田委員が先に手を挙げられましたので,寺島委員はそのあとにお願いいたします。

【池田委員】
 前回の委員会で,私は非一任型も法の下で管理するべきだと申し上げました。それは今の三田委員のご意見にも重なるんですけれども,非一任型ということで,実際には一任型の業態と似たような事業を行なっているにも関わらず,そういった隠れ蓑に非一任型というものがなってしまうのではないかという懸念がある。実際がそうであるとは申しませんけれども,そういう可能性がある。であれば,非一任型と一任型が,明確に分かれるように,外形的に見てこれは非一任型,これは一任型であるというふうに,事業者自体が公表できるような,するような義務を課すとか,そういったことでも対応はできるのかと思いますけれども,われわれが日常的に業務やっておりまして,非一任型なのか一任型なのかというのは,わからないという部分があります。その部分を解消する必要があるのではないか,と思っております。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございました。お待たせしました。寺島委員。

【寺島委員】
 わたくしこの前も聞いていて思ったんですけれども,要するに,去年でしたっけ,忘れちゃいましたけれども。JASRAC(ジャスラック)さんの複製権のところは,他のあれも認めるみたいな形になりましたよね。世の中は,そういうふうになんか規制しろ,しろとおっしゃるけど,できるのかなって管理事業法一つ作ったら,なんでもかんでも規制できるのかなってわたし,たいへん疑問です。それからこの前のときに,確か佐々木委員が,JASRAC(ジャスラック)さんのほかの団体ができたとかおっしゃったけれど,あれは皆さんが作れって言ったからできたんですよね。なに言ってたんだって,私,あきれちゃった。

【佐々木委員】
 私,作れって言ってませんから。

【寺島委員】
 あ,そうですか。

【土肥主査】
 ちょっと待ってくださいね,よろしゅうございますか。それでは生野委員お願いいたします。

【生野委員】
 さきほど,池田委員のほうから,非一任型を隠れ蓑にしてうんぬん…というようなご発言があったかと思うんですが,それは一任型と非一任型の定義をはっきりすればいいだけの話であって,それをもって規制対象にという考えにはつながらないと思います。そもそも,著作権等管理事業法がなんでできたのかというと,規制緩和を目的に,いままでの許可制…いわゆる事前の規制から事後の規制という趣旨でできた法律ですね。規制強化という声が非常に多いのに,私もちょっとびっくりしてるんですけれども。いずれにしても非一任型まで規制対象にするということであれば,権利者が個別的に条件を決めたいと言ってるわけですから,じゃ自分でやりますよという,事業者に預けないで自分でやりますよという話になるだけで,逆に利用者にとって使い勝手が悪くなるのかなと思います。非一任型に関しての規制は,基本的にやるべきではないと思います。

【土肥主査】
 ありがとうございます。もう一回ですか。じゃ続けてどうぞ。

【寺島委員】
 すいません。わたくしね,それはそうなったら団体としては結構ですよ。それからうちは,今預かっている連盟員は誰も反対しないと思います。やっぱり連盟でやるほうがいい,とみんな思ってますからね。だから,反対しないと思います。だからできりゃいいですよ,そんなこと。だけどわたくしが言っているのは,できるのかっていうことを言ってるんです。団体としてというか,うちの著作者としても別に反対するところはありませんけれども,脚本家に関しては。だけれどそんなことができるんですか,ということを言っているんだということです。

【土肥主査】
 はい。はい,椎名委員お願いします。

【椎名委員】
 生野委員のご発言にもちょっとかぶるんですが,映像実演に関することということで池田委員からご発言があったと記憶しておるんですが,基本的に一任型,非一任型どちらもですね,利用の円滑化を図る,それから可能な限り集中的に管理をしていくことで利用者さんの利便性を図る,という考え方で実演家の関連団体も動いています。それで,事実上規制を強化することでどういうことが起きるかと申し上げますと,結局事業者単位の個別の管理になる。放送事業者さんが,それぞれの事務所に直接,何十件も何百件も許諾の申請を出さなければならない。そういった状況は,やっぱり管理事業法の精神に逆行するものだと思うんですね。そういうことからやはり,非一任型を管理の対象とすることには反対いたします。

【土肥主査】
 それじゃ,石井委員お願いいたします。

【石井委員】
 非一任型の問題につきまして,さきほど生野委員からもありましたように,なんでもかんでも非一任型も含めてしまうということについては,いろいろな弊害があるかと思ってますが,ただ確かにそれで個人企業に近いところまで含めるというのはいかがなものかという感じもします。ただ問題はですね,かなり大規模な非一任型のところについて,必ずしも自己管理と同視しうるのかどうかというところで,こういう問題が今現在出てきているのではないかと,そういうふうに思われます。それはある面,非一任,一任の定義をきちっとすればいいというところかもしれませんけれども,それとあわせて自己管理とどこまで言えるのか,という問題があるのではないかと思います。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございました。管理事業法はもともと,どなたかもおっしゃいましたように,規制の緩和と,これからスタートしているところでございますので,できるだけ規制を加える,強化するということはないほうがいいんだろうと思いますが。冒頭三田委員がおっしゃいましたけれども,大学の入試問題等の問題というのは,これはもう少し別の観点からも考えられましょうね。つまり,そういうものを,もともと持っている著作権者が許諾をしない,管理を委ねないと言えばそれでまた同じ話でございまして,そういうものを外に出す場合に,そもそもそういう著作物の利用の仕方がどこまでできるのか,そういう管理事業法と別の観点からも考えていいような話だと思います。それから村上委員,なんかここでお話しをいただけるのでしょうか。

【村上委員】
 よろしいですか。アメリカの場合だと,著作権管理団体が2社とか何社かある分野が多いと思います。それでも常に包括的な著作権の集中管理団体というのは,アメリカ反トラスト法上違法かどうかというのは大きな議論になって最高裁にあがっています。私の記憶が確かなら,許容される理由というものは,全部強制的にやっているのではなく,非一任型であって,著作権者は個別にも許諾できるし,一任でない形で認められる,そういう形の体制になっているんで,例えば放送局その他としては,直接個人から許可を求めてもいいし,また許諾団体から許可を求めてもいいんであるから,管理団体はあんまり問題ないという,そういう感じの説明になっています。自己管理という非一任の考え方は維持するべきであって,例外として一任型の包括ライセンスが認められているのだからそれを規制していくということで良いと思います。それから,著作権管理団体をいくつか並存させることで多様性をもたせるという意味では,たぶん広い選択肢をもたせたほうが法の精神には合致しているのではないかと思います。あとは三田委員がいうように,個別具体的に議論する必要があるという問題というのは,あるんだと思いますが,それと制度全体の話とは分けて考えた方がいいのではないかと思います。

【土肥主査】
 ありがとうございます。村上委員がおっしゃっている…はい,じゃちょっと次の話にもつながるんだろうと思いますけれども,上原委員がその前にご意見ございますので。

【上原委員】
 すいません,変なとこで手を挙げて。いろんな観点が出てくるところだと思っておりますが,三田先生のお話も,実際の部分のところとしていろいろ問題があるところというのは理解するところでありますが,逆に著作権の根本というのは,著作権者が自らの著作物を自由にどうするか決められる,というところにあるわけでありまして,それは管理事業法の運営を考えていくなかで,あまり規制を強化するという話へいってしまいますと,もともと著作権の範囲のなかで,著作権等管理事業法ということでやっているものがですね,本来の著作権法の本旨とずれてくる部分になってしまうことにもなりかねない,という大根本問題があろうかと思いますので,そことの,基本的なそういう問題との,現実とのいったりきたりをしながら,果たして制度としてはどう設計すべきか,というふうに考えていかないといけないんじゃないかと感じましたので,そのことだけ触れさせていただきます。
 そういう意味から言うと,非一任型をどう考えるかというのは,必ずしもストレートに,ちょっと問題があるから規制対象に入れちゃおうというふうにはならないんじゃないか,というふうに思っております。

【土肥主査】
 ありがとうございます。ご意見いただきましたけれども,今出ている問題とともに,非一任型と一任型という線の引き方の問題として,まずどういう,非一任型というところがですね,外れているのかという勉強の仕方ももう一つあるんだろうと思います。それから,運営の実態のなかでおそらく非一任型であると称しても,一任型のような実態と言いますかね,そういうようなことをやっておられるというような実態ももしかしたらあるのかもしれません。つまり,そういういろんな実態のところをもう少し勉強する必要があるのだろうと思います。あるのだろうと思いますけれども,この委員会において規制の対象となる範囲として,直ちに,現在の規制を緩和してきて管理事業法を動かしている,この基本的な立場を変える必要は今直ちにはないんじゃないか。だからおそらくこれは,今後こういう委員会の議論のまとめのところに入っていくんだろうと思うんですけれども,やっぱり実態の勉強は継続していく必要があろう,というふうに思います。そこで問題が大きくなってくる,あるいは顕在化してくる,そこでもう一度考えるということでよろしいのではないかと思います。
 それから,村上委員もおっしゃったわけですけれども,1に関してカルテル法上の問題の話もおっしゃっておられるわけですが,これは(2)についても同じような問題が出るんだろうと思います。この規制の対象となる事業の範囲の問題としまして,むろん(1)も,もちろんOKなんですけれども,(2)の一元化の問題,この問題についてもあわせてご議論いただければと思います。いかがでしょうか,一元化の問題ですね。
 参入制限を設ける必要はあるのか。出版物の複写や音楽の演奏等の分野における管理事業者の一元化について,ご意見をいただいているところでございます。金原委員。

【金原委員】
 もうこれは,利用者のことを考えるという一言に尽きるのではないかと思います。たまたま出版物のことで入っておりますが,別に出版物に限らず,利用者は,どの著作物がどの団体に委託されているかということは,通常あまりわからない。あとで管理している著作物の情報公開の話は出てくると思いますけれども,そういう情報はあったとしても,やはり利用者は,一つの著作物の種類,出版物なら出版物,音楽なら音楽,というものについてどこに許諾を求めればいいのかということが,わからない状態にはできるだけしないほうがいい。そういう意味では,一元化をできるだけ図るべきである。
 ただしそこで,さきほど村上委員のお話もありましたけれども,一箇所に独占するようなそういう状況にあってはならない。管理事業法の精神からいって,やはりたくさんの管理事業者ができるということは目的にかなうことだと思いますので,それを阻害しないことです。つまりどういうことかと言うと,一つの著作物の種類について,一元化を図った上で,一元化されているものがいくつか存在すると。そういう状況が好ましいということではないかな,というふうに思います。

【土肥主査】
 一元化されている状態で,事業者としては多元的ということですか。

【金原委員】
 一元化された事業者がたくさん存在すると。たくさんというか複数,で,管理事業者間で競争するということが,

【土肥主査】
 同一の著作物の分野において。

【金原委員】
 そうですね,いちばん好ましい状況ではないかと。

【土肥主査】
 ちょっと待ってくださいね。瀬尾委員どうぞ。

【瀬尾委員】
 今の一元化の問題についてなんですけれども,基本的に,やはり競争原理を,この著作物の世界に持ち込むという精神が,この法にはあるというふうに思いますけれども,利用者に対して考えると,利用者というのは一元的であるほうが,当然便利なんですよね。一箇所ですべてが買えるという方式ですよね。すると,たくさんの業者を競争状態にするということと,消費者の利便性ということはもともと矛盾してる部分があるんではないかと。ただ,これは両方とも正しいのではないか,と私は思います。というのは,今この法のなかで実際に,実務を行なう上でインフラが整っていないのではないかという,それが一番私は問題なのではないかと思います。結局,これは例えばネット上で一元的な検索窓口があれば,そしてそこにすべてが参加する義務を負えば,そこのところで著作物のユーザーから見た一元的な管理が行なわれていると。ただ,バッググラウンドで動いている業者自体は競争状態にあると。どの統一検索システムのような,そういうふうないわゆる基本的にこの状況を打破するために必要なシステムが,現在構築されていないから,前に戻ってしまうような議論になったりとか,さらに現在の競争だけで利用者に不便をかけることになってしまったりすると。われわれはこの法だけではなくて,運用上の,この法を実施するにあたって必要なインフラをある程度視野に入れてこの問題を検討しないと,法だけでは私は検討できないように思います。
ただ方法としては,これはやはり一元化,この法の下でしめてしまうのではなくて,ここでは多様性をもたせて多種の団体が競合していく状態が望ましい。ですので,これは一元化を行なうべきではない。ほかの方法で,利用者の利便を図っていただくというふうに思います。

【土肥主査】
 お二人の委員のおっしゃっているのは,ある意味,共通しているわけですよね。つまり,利用者の観点から見たときに,利用しやすいシステムが望ましいとこうおっしゃっているわけです,お二人ともですね。それは非常に重要な観点でありまして,どこにいってもできるようにするのか,あるいはそうではなしに,多元的は多元的なんだけれども,例えば情報の完全性なり,あるいはそういうシステム,インフラを作って,そこで可能にするか,とこういうことですよね。それで利用者としては,ある著作物を利用するときに迷わないでもすむ,という状況が出てくる。そういうことを考えてほしいというご意見で,それはほんとにユーザーフレンドリー,そこをおっしゃっている点では私も同感なんですけれども。
 そもそもこの,そういう状況があることを十二分に了解しつつ,この管理事業法を構築するときの中間まとめなり,いろんな議論が行なわれていたはずであります。その両方のプラスマイナスを十分了解したうえで,こういうですね,競争を促進するような,一元的でない多元的なシステムということになっているんですけれども,そこを変えるほうがやっぱりよろしいんですかね。それとも,そこは規制緩和の,そもそも管理事業法の法の下の立法主旨を尊重しつつ,そのなかでユーザーフレンドリーな仕組みを考えるというのがよろしいんですかね。そこのところでご意見を。村上委員がさきほどおっしゃったんですけれど,寺島委員が先に手を…あげでしたね,違います?

【寺島委員】
 つまり,おっしゃってることわかりますけどね,著作物にもよるし,使われ方にもよるし,なんかそれを画一的に言われても,とても困るんですね。例えば脚本で言いましたら,かなりもううちとシナリオ作協さんでほとんど,90%台おさえてますから出来ますけれども,なんか皆さんの議論聞いてますとね,なんか空中楼閣な話をしてらっしゃるような感じがしないでもないんですね。

【土肥主査】
 はい。じゃ金原委員お願いします。

【金原委員】
 私が,さきほど申し上げた意見はですね,この著作権等管理事業法のなかで,制度として一元化を強制すべきだとか,あるいは制度の運用のなかで一元化の方向に持ってこうとか,そういうことが必要だと言っているわけではないんです。むしろこれは,管理事業者間が自ら考えるべきことであろう。そのなかで,委託が進んで利用者の利便性を高めることは,管理事業者間で自ら考えるべきことであって,むしろこのテーマは,この管理事業法の見直しのなかで議論しても仕方のないことではないかなと。運用のなかで,自らわれわれが考えるべきことであろう,というふうに思います。

【土肥主査】
 はい。村上委員お願いいたします。

【村上委員】
 基本的に今のご意見と同じような意見です。いろんな著作権をすべてカバーする制度ですので,私はできる限り競争を促進して自由に競争できる体制にする必要があると思います。今おっしゃられたことで,何が問題かというと,仮に,今できている管理団体間で特定の著作権について仲良く同じ料率なり同じ方法なりで,一緒になってやりましょうという,個別案件ごとにできるのならば,これはカルテルに近い話になりますけれども,これはケースバイケースでその違法性を判断すればいい。例えば,パテントの世界ならばパテントプールという,新製品の開発や普及で特許紛争を避けるためにどうしても必要であるという場合には,パテント料率を一定のものに権利者が共同して決めることが許される場合があるのですが,ただそれは一般的に認めるかという話ではないんです。特定の著作権の絡む新しい製品を開発する場合に,そういう必然性があるならば,例えば著作権管理団体のいくつかが協力し合って,関係する著作権をだしあって,それを各団体が自発的にそういうことに取り組んでいいのか悪いのかというと,これは基本的なカルテル系の話になるんですが,これは本当に必要性があるならば,それは個別に認めてやればいい。ただし,利用者の便宜のために都合がいいからということで,一般論で広く認めるというのは,やりすぎじゃないかという気がします。
それともう一つ同じ議論があって,自分の意志じゃなくて,仮に非常に重要な著作権で,絶対に許諾しないと頑張る人間がいた場合に,適正な使用料で強制的に使わせるようなシステムまで創るかというのは,これはいわゆる強制実施規制とかと言われている話であって,そういう場合に必要性があるならば,それは個別にそういうことができるようなシステムを考えればいい話であって,制度全体をいじってしまう問題ではないんだと思います。むしろ,個別に対応する事を考えるべきでないか。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございました。この点,一元化の問題ですね,金原委員もおっしゃったように,一分野,同一分野,一団体,そういう意味ではない。この問題を法律上どうこうというのは,おっしゃるように難しいんだと思いますますね。またカルテル法上の問題も,村上委員がおっしゃるようにある,ということのようでございますので,どうしましょうね,この問題の扱いといたしましては。要するに利用者の観点から言えば,どの団体がどういう著作物を管理しておいでになるのか。それがはっきりしている,ということは無論重要なことでございますので,この法律のシステムのなかでは,情報の関連性のところでやろうというふうにきているんではないかと思っているんですけども。どうしましょうか。このユーザーフレンドリーな仕組みがどういう形が望ましいのかという点について,今ここでこの議論を進めていくのか,あるいはですね,情報の透明性との関係でもう一度議論していただくということでよろしければ,この規制の対象となる事業の範囲についての検討を,ひとまず預からせていただきますけれども,よろしゅうございますか。はい,ありがとうございました。
 それでは1枚めくっていただきまして,登録手続と指導監督のところでございます。適格性を欠くと思われる管理事業者への対応を,登録要件,入り口のところできちんとしていただくというお話し,それから(2)のところでは,途中できちんとやってください,こういうことですね。さきほどの事務局の説明にございましたけれども,確かに他人の財産を管理する能力がないものについて登録を認める,それは確かに主旨に反するんだろうと思います。そういう観点から見たときに,現在の登録要件の規定の仕方が適切なのかどうか。ここをひとつ検討しておいていいんだろうと思いますし,それから登録された事業者に対し,事後ですね,きちんと法律上認められた指導監督,そういうものがなされているかどうか。これはユーザーとの関係もございますから,きちんと厳正にされる必要があろうかと思います。ただ事務局からすると,この点については今年度,今年度というのは3月までという意味ですね,3月まで。12月までではないんですけれども,今年度には,報告徴収,立入,こういったものをきちんとやる,こういうことになっている,こういうご紹介ありました。どうぞ,ご意見ございましたらお出しいただければと思います。佐々木委員お願いいたします。

【佐々木委員】
 この問題はですね,当初からございまして,やはり今ご紹介がありましたとおり,本当に著作権管理業務をやれるノウハウなり,それから実態があって登録するということであれば,もちろんよろしいわけでけれども,今までの経緯を見ますと,必ずしもそういう業者ばかりではない,というのが残念な結果なわけでございますね。なおかつ,一定期間内の管理委託契約約款や使用料規程の提出をしない,してないなかで支払いの義務がある,もしくは契約すべきだ,という営業活動までやっている。というような実態がございまして,実際,われわれやはり事業者からすると,もう少しこういった事前の形式審査とはいえ,もう少し厳格化できないかというのが希望でございます。特に,運用の厳格化で対応できないかということでございますが,じゃあ具体的にどういうふうに対応するのか,ということが明確にならない限り,やはり利用者が安心して契約ができる管理事業者かどうかの実態が伴わない部分が生じてしまうんではないかと,感じております。
 利用者団体といたしましても,この事業者といたしましても,やはり具体的に著作権管理ができる実態を伴った事業者が,登録制度によって事業を開始するという,単に形式的なことでなく,実態が伴った制度にしていただかないと,今後も混乱が続くのではないかと危惧しております。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございます。今ちょうど,佐々木委員のほうから,運用できちんとやるというふうにおっしゃるけれども,そこは大丈夫か,というご意見出ておりますので,その点について事務局から何かお願いできますか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 今主査のほうからもお話しがございましたように,指導監督の実施につきましては,今年度から指導監督のマニュアルも整備しながら,できるだけ適格性のない業者については排除していこうと思っております。例えば,報告徴収については,今年の3月決算の事業者からは既にいただいております。また,立入検査のほうも,いわゆる定期的な立入検査につきましては,年度ごとに対象者を決めて,相手の事業所を訪問して,法定の書類が整っているかとか,業務が円滑に行なわれているかについて,検査を実施したいと思っており,現在準備中です。
 それから,事業の取消しについては,実はまだ施行間もないわけでして,使用料規程,管理委託契約約款の未届事業者につきましては連絡をとって指導をしております。ただ,現在,連絡が取れない業者が一件ありまして,それにつきましては,取消しの方向で作業を進めている最中です。したがって,指導監督については,文化庁に与えられた権限により適切に対応していきたい,と思っております。
 また,登録の実施ですけれども,確かに今ご意見がありましたように,実態を伴う業者というものの参入が望ましいわけですが,この資料にも書いてますように,登録というのは形式審査ですので,審査に当たっては,実態に踏み込んで審査をしないということですので,正直言いまして,厳格な審査というのは,少なくとも登録制度を維持する限りは制度的には難しいのではないか,と思っております。したがって,例えばここにも書いてますように,登録拒否要件を,現行の要件に何か追加する必要があるのかどうかという問題はありますが,例えば実態に踏み込んで適格性があるかどうかということまで審査をすることは,少なくとも今の制度ではできないと考えております。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございました。それでは駒井委員お願いいたします。

【駒井委員】
 この登録要件の件だけで,議論をするということになるといろんな問題が出てくるというふうに思います。登録制度というのは,一ついいメリットがあるわけですから,その部分を生かしながら,今われわれが抱えている問題をどう解決していくか,ということになろうかと思います。したがいまして,この点と指導強化,それから著作物の公開を努力から義務にするかというものが,みんなミックスされて議論されるべきだというふうに思いますので,登録要件を強化するべきかどうかと言われると,ちょっと意見が少なくなるかと思いますんで,ですからせっかく登録で誰でも参入できるという門戸を開いた,そこまではわれわれ権利者もみんなも賛同する。それがいかにうまく運用するかを,これからみんなでいろんな要件を付けていきたい。今,川瀬さんがおっしゃられたように,これからおやりになるところですから,その際に,前回も出ましたけれどもいろんな規程,それからいろんな著作物の開示そのものも登録と同時に行なうとか,いう部分をプラスしていくことによって,より権利者も利用者も安心できる側面があろうかと思います。ですからできれば,いくつかをミックスしてご議論いただければ,というふうに考えます。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございました。今駒井委員おっしゃったように,形式審査で登録というシステムにしているわけで,そこを維持する限りなかなか入り口のところで振り分けをすることは難しい。なかのところできちんと厳正に対応すると,こういうふうにおっしゃっていただいておるわけであります。著作権課もそういう覚悟をたった今,披瀝されたところでございます。したがって,この2ポツの登録手続,指導監督の点につきましては,基本的には登録手続きというそういう仕組みを今後とも維持するけれども,中の点については,現行管理事業法認められておる,こういう十九条以下の指導監督をする,そういう手段を厳正に行使していく。そういうことで,問題は,ユーザーと管理事業者のスムーズな業務が行なわれ,著作物の利用が適正に行なわれる,そういうところに目的があろうかと思いますので,駒井委員のおっしゃっていただいたように,他の問題と連動させながら考えさせていただきたいと思います。
そういう意味で,一応その2ポツのところはまとめさせていただいて,順番として今度は3ポツが出てまいりますけれども,管理事業者に対する規制とかこういう,順番でいきますとそこも出てくるわけですので,これも簡単に,ようするにここの(4)からですかね,(3)のところもこれは問題になるところでございますね。そうすると,3ポツ,管理事業に対する規制として,「(1)管理事業者が,非一任型の管理事業を営むことを制限する必要はあるのか」。これ規制緩和ということでございますので,従来よりも厳しくするということをお求めになっているわけですか。これ,ご意見ございましたっけ。3ポツの(1)で,管理事業者が,非一任型の管理事業を営むことを制限する必要がある,というご意見かと思いますけれども,これはなにかご意見ございますか。よろしゅうございますか。例えばね…あ,そうですか,三田委員お願いいたします。

【三田委員】
 この問題提起は,どういう主旨のものかよくわからないのですけれども,さきほども申しましたように,種目によっては非一任型でやらねばならないものが必ずあるわけですね。一方で,一任型の管理をやっている管理事業者が,同時に非一任型の事業をやるということは,実態からしても必要なことでありますので,これ全部だめだというふうに言われても困る,ということが言えるだろうと思います。それから,さきほどの話を蒸し返すようなんですけれども,登録とか指導強化をあまりにやりすぎますと,登録することのメリットがなくなってくるという,結局登録しないでも,さきほど言いましたように,非一任型ということにしておけば管理ができるわけですね。そうすると,わざわざ登録する必要があるのかと,いうことになってくると思うんです。ですから,なんかこう参入を制限するということにしてしまいますと,結局登録をして参入してくれる事業者が減ってしまって,結局は管理事業というものが,闇のところで野放し状態になってしまうという可能性もあるのではないかなと。だから,これいたずらに規制を強化するということに対しては慎重にあるべきだろう,というふうに思います。逆に文化庁さんにはですね,登録していない業者の実態を調査したうえで,登録すべき業者がありましたらば,登録するようにというお誘いをやっていただければなというふうに思います。以上です。

【土肥主査】
 一応,今この委員会においてご要望があったんですけれども,これ,なにか今の段階でおっしゃっておかれる必要ありますか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 三田委員のおっしゃることは,当然のことだと思いますので,現在においても,外部から情報提供があれば照会をしたりしております。また一任型と非一任型でどういう仕分けをするのかということも,私どもとしてもよく説明をしていきたいと思っています。具体的には,非一任型でやるためには,完全に利用者というか,権利者の意思によって使用料の額が決定されるということですから,原則としては利用の都度,使用料を決めることが必要です。権利者が決めるということですので,たとえば権利委託の際に,松竹梅の三種類のなかから選ばせるとか,一定の幅のなかで選ばせるとか,そういうようなことになりますと,一任型の可能性が出てくるので,一任型と非一任方の業務の仕分けについては,毎年3月に,管理事業者に対し講習会を開いておりますので,そういったなかで私のほうからも広報に努めてまいりたいと。また,インターネット等を通じた広報にも力を入れていきたい,と思っております。

【土肥主査】
 ありがとうございました。2のところはそういう扱いに…はい,佐々木委員。

【佐々木委員】
 この問題で,私も前回発言させていただいたのでちょっと補足的する責任があるかと思いますが,これは規制の強化ということではなくて,特定の著作物が言わば市場原理で非一任型でやりますと,いうようなことを管理事業者のほうで通知をいたしまして,それでは事業者としては使いにくいですねっていうような問題提起をする,「じゃ一任型でやります」みたいな,なんなんだこれは,ということなんですね。ようするに,事業者のカテゴリを,非一任型・一任型で厳格にするのではなくて,やっぱり運用上こういう誤解を生むような管理をすることにモラルの問題も含めて,やはり利用者にもっと透明な許諾管理をしていただきたいということでありまして,著作物はやはりある一定期間,安心して使える環境が必要ですから,なんですか,例えは悪いんですが生鮮食料品みたいにして,今日は一任,明日は非一任にしますとか,そういうふうに乱暴な運用をされては,安心して著作物を利用できないということになるもんですから,そういった意味で一任型の事業と非一任型事業を厳格に,窓口もしくは運用上分ける必要がある,ということを申し上げているわけです。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございます。続いて椎名委員お願いします。

【椎名委員】
 一任型,非一任型の話にまた戻っちゃったんですが。一任型と非一任型を分けるというのは,やはり厳然とした事実としてあるのは,一任してますという委任状を書くかどうか,という違いですよね。例えば,これをどうしましょうか,値段どうしましょうかという毎回同じような問い合わせがあって,「百円でお願いします」と答えて,その次には「前回と同じでいいですよ」と答えて,それが千回あったとしても,業務が簡略化できるとしても,委任する側が委任状を書きたくなかったとしたら,やっぱり非一任型なんですよね。ようするに,全部を委任してしまうリスクを避けたいと委託者が考えるならば,非一任でしか業務が出来ない,という厳然たる事実があります。そこで明快な議論になっていくんではないか,というふうに思います。

【土肥主査】
 はい,寺島委員,挙手ありましたのでお願いいたします。

【寺島委員】
 今おっしゃったことでいいんですけれども,なんか,うちはもちろん一任型でやっていますけれど,使い方によって,ほんとにあまりにも多様だから困っちゃうんですよ。それでそういうときは,理事会にかけてもおそらくね,例えばですよ,アニメの脚本,これはかなりたくさんあるんですけどね,なんでしたっけ,パチンコでどう使われているか私知りませんけどね,パチンコ入れると何か知らないけどアニメがばっと出てね,そして玉が出るのかなんか知りませんけれど,そういう使い方もあったりなんかするんですよ。それでそれをね,いくらにしますかって著作権委員会とか理事会にかけても,困っちゃうと思うんですよ,皆さん。それから,無茶苦茶なこと言われたってこっちも取れませんからね。ですから正直言って,きのうも私理事会のときにアニメを書いている人に言ったんですけど,パチンコじゃありませんけどね,この件に関して動画委員会を開くべきだと思いますけれども,開いてもきっと皆さんお困りでしょうねと。だから,事務局にお任せいただけますかと言ったら,動画部長が「任せる」って言ってくれたんですよ。
 それで実際に,どうするかといったら,使用者側と話してもこっちだって事務局だって,これはいくらです,という基準なんて出てきませんよ。だからね,甚だね,そういうやり方いいのかなと思うんだけれど,一体いくらお払いになれますかと聞くんです,うちでは。そういう言い方がいいとは思いませんよ。だけどね,聞くんです。そして向こうが,これぐらい払いますっておっしゃったら,それはほかのものやなんかと比べてちょっと安すぎるんだったら,もう少し考えてくださいとか。あなたのご商売は,どのくらいそのことで儲かるんですか,それじゃそのパーセンテージを,何%いただきますと。こういう話するしかないんですね。ですから正直言って,さっきから皆さん言ってらっしゃるの聞いてて,結構だけれど一任型でやっていたって,ものによっては作家のね,そして必ず聞くんです,そういう場合は。これくらい取れますけれどもいいですかって聞くんです,うちでは。ですからなんか,それは一任型でスパッといけばいいし,いいですけれどね,そう簡単にいかないんですよね。

【土肥主査】
 もちろん佐々木委員も,寺島委員がおっしゃっるような,そういう分野でおっしゃっているんではないと思うんですけれども。この問題は確かに,契約で対応できるところとそうでないところと,おそらくあるんだろうと思うんですが,佐々木委員のおっしゃってるのは,たぶん契約ではもうできないような,そういう業務上に障害が生じていく恐れがあるという,そういうご指摘ですか。そこを制限をしても事態はどうなりますかね,変わりますか。

【佐々木委員】
 ですから,さきほどお話したように,規制の強化とかそういう形ではないわけなんですね。これはやはり管理事業者のモラルの問題に相当関わっていることでありますので,運用上,例えばそういった利用者が混乱するような管理事業について,指導監督のなかでできるんではないかと思うんですね。また,利用者と権利者とのいわゆるコミュニケーションのなかでも,もちろん解決はできると思いますが,やはり非一任と一任をある程度厳格に管理事業として運用していただければ,混乱しないわけですから。要は,利用者が一任だと思っていたら,知らないうちに非一任で,別な請求書がきてしまったということが,ないようにしなければならない。要するに今われわれは,大量の著作物を利用させていただくビジネスというものが一般に広がっているわけですから,そうすると一つひとつの著作物に関して時間をかけて確認しながらという,もちろん利用の場合はそういう責任はあると思うんですが,日常業務のなかで,大量の著作物を毎日毎日ですね,今日はこの著作物はどうなっていると確認しながら仕事しているわけじゃございませんので,やはり管理事業者としては利用者が混乱しないように努めなければならないというような部分について,運用上もしくは指導監督上,きちんと厳格にしていただければ防げる問題であろうと,そういうふうに考えております。

【土肥主査】
 そういう,業務上支障を生ずるような問題につきましては,平常的なさまざまな団体の,こういう場もそうでしょうけれども,コミュニケーションの場を通じて,そもそもそういう混乱が生じないような仕組みが望ましいなと思います。
 それで,この点についてまだまだご議論あるのかもしれませんけれども,別にしめるわけではないんですが,兼業や役員の兼職を規制する必要があるかどうか,こういう点も出ておりまして,これはかなり皆さんご意見あるんじゃないかと思うんですけれども。この管理事業者の兼業とか役員の兼職を規制する必要があるかどうか。もちろんこういうことでは,管理事業法の適正な運営ができないのではないか,公平適切な集中管理の実施が危ういのではないか,こういうことをおっしゃっているのはないかと思うんですけれども。これについて,ご意見いただけますでしょうか。はい,村上委員。

【村上委員】
 意見というより質問なんですが,管理事業法上,管理事業者というのは,持株会社を頭において,業界別にその下にいくつも管理会社を設けるというか,もしくは親子会社方式で,同一資本のもとにいくつもの管理会社を傘下におさめるというか,そういうことは管理事業法上はいくらでもやっていいということを前提にして考えていいのか,それともある程度独立したものが管理事業者であるべきだというのが法の建て前になっているのか,という点です。

【土肥主査】
 後者かと思ったんですけど,どうぞ今の点を。

【川瀬著作物流通推進室長】
 法律を作るときには,そういうことはあまり想定していなくて,今後どうするかという話はともかくとして,今の法律の体系では,そういった最初言われた形態のものでも問題はなく,個別の会社が独立した法人であれば,登録できるということです。

【土肥主査】
 これはこのご意見はあれですよね。おそらくこういう兼業や兼職が許されていると,管理事業の適切な運営ができないのではないか。そういう趣旨だと思うんですけれども,実態的にそういう恐れということをお感じになるような,上原委員,ございますでしょうか。

【上原委員】
 私のとこじゃないのであれなんですが,ここから出てくることとして,今川瀬さんからお話しありましたように,私もこの法律の立法時からいろいろと関与してきましたが,確かに想定していなかったことだと思うんですね。村上先生がさっきおっしゃったんですが,実際の例がちょうどよく出ていますが,「出版社が出版を行なう一方で,二次利用について一任型の管理事業を行なう」と書いていることについて,何を想定して出しているかというと,例えば出版社が,何人かの作家さんを抱えていて,例えば漫画雑誌や週刊雑誌の,駆け出しのジャーナリストであったり,あるいは漫画家であったりというような人たちに,非常に強力な媒体を持っている雑誌などに連載を書かせると、それによって,本人は地位を築いていくことができるんですね。そういうときに,兼業を行っていると,じゃおまえをここで書かせてやる代わりに,おまえは全部一任型で私のところに権利をよこしなさい,とというようなことが起こると,実態としてこの法が想定していないことが起こって困るんじゃないかというようなことが,おそらくここに入っているんだと思います。
 あるいは,別の法人を作っても同じことで,私のところでこういうふうなことを…今別に雑誌の話をしておりますが,それだけじゃなくわかりやすく言っているだけで,そういう業界が悪いと言っているわけでは全然ありませんが,そういうようなやり方で例えば別法人だったらここに預けないとだめだよということをやってしまう。ということになるのは,別に私は管理事業法で規制されていなくても,独占禁止法のほうで相当きちんと,こういうようなところの問題点は,カバーできるんではないかと思っているんですが,どうでしょうか。

【土肥主査】
 まさに,そういうことなんでしょうね。つまり今のような例でいうと,利用者の立場で契約しながら,管理事業者の代表者として許諾を与えると,そういう仕組みのことを言っているわけでしょうね…はい,どうぞ。

【瀬尾委員】
 いま上原委員からのお話し,非常に現実的に起こりつつあることで,これは今回の著作権等管理事業法とは関係のないことなので,私は出しておりませんでしたけれども。実際,非常に優越的な地位にあるクライアントが,個人である権利者に対して,不平等な契約を押し付ける,または強制する。要するに仕事をやるからこの契約書にサインしろ,サインをしないのならこの契約はやらないというふうな,非常に不平等な,立場の強い弱い,強弱によって非常に不平等な契約を行っているという問題はございます。ただ,それはございますが,これは著作権等管理事業法のなかで構造的に起こるものであるかというと,まったく別の次元の問題であるというふうに私は考えます。これは著作権等管理事業法で,この兼業を禁止して,今おっしゃられたような事態を回避できるかというと,私は効果は甚だ薄い,もしくはかなり効果がないというふうに思います。
 ですので,私はこの問題は非常に重要なので提案していきたいと思いますが,この管理事業法のなかでは,それを盛り込むべきではなく,管理事業に関してのみの事項で,私はこれで十分ではないないかなと。その問題を提起したものから見て,そういうふうに感じます。

【土肥主査】
 はい,ありがとうございました。この点についてご意見ございますか。三田委員お願いします。

【三田委員】
 現在,すでに多くの出版社が管理事業をやっています。ただこれすべて非一任型ということで,やっているわけですね。ですから,管理事業法では一任型しか対象にしないんで,管理事業法だけでこれを厳しく規制しても,まったく無意味であろうというふうに思います。

【寺島委員】
 三田さんおっしゃるとおりなんですね。書協さんとか雑協さんはちょっとわかんないんですけど,出していらっしゃる統一契約の,確か4条だと思いますけどね,すべての二次使用は出版社に権利を預けると書いてあるんですよ。だからわれわれは,連盟員にそれはだめよと。そこは,契約するときは線引いて判子押して契約しなさいって言うんですね。ですから,正直言って,私も管理事業法でカバーできるかどうかはわかりませんけれど,その意味ではかなり申し訳ないですけれど,出版社に対しては強いあれを持っております。だって書協さんが出している統一契約で4条であるんですから。だからひたすら,あそこは線引いて判子押しなさいって言うだけです。

【土肥主査】
 はい。おっしゃるように契約の問題ということでは,民法上の問題はもちろんありましょうけれども,管理事業法として,特段この問題について検討するという必要はないという了解でいかせていただきたいと思います。はい,村上委員。

【村上委員】
 今の問題は,一般法である独占禁止法でどこまでできるということですね。一般論として,仮に競争関係にある管理事業者間において,役員兼業とか,もしくは吸収合併的な株式取得で一体化して市場で高いシェアを持つ,あるいは競争相手がなくなるとか,そういうふうな状況の場合には,一般法である独占禁止法でも規制できる。そういう解釈でいいかと思います。

【土肥主査】
 はい。ありがとうございました。それで(3)なんですけれども,これは法改正に響く話だろうと思うんですけれども,登記事項の変更があった場合には変更届出の期限を延長してほしいというご意見がありました。これは到底,法律上認められた期間では間に合わないし,かつ刑事罰もある。こういう確かご意見だったと思いますけれども。運用で対応できるのではないかということで,施行規則8条第2項の解釈を改めて,登記等謄本または抄本ではなくて,これに代わる書面でよろしいという取扱いをさせてほしいというこういうことのようでございますけれども。これご意見,生野委員がおだしになったんですか。よろしゅうございますか。ほかの委員の方で,この点についてなにかございますでしょうか。なければ運用上の問題ということでやらせていただきます。
 それで,まだ3ポツの話でちょっと遅いんですけれども,(4),このあたりからいろいろ問題出てまいりますけれども,さきほどからの情報の問題ですね,(4),これは守秘義務を定める必要があるか。(5)はですね,これも情報の問題でありまして,著作物の利用等の情報の提供について,ここをきちんと義務化する必要があるかどうか。それから,(6)では,管理権限に関する情報の提供について義務化する必要があるのかどうか。これは,こっちのほうは,ユーザーに対する情報の透明性といいますか,完全性と言いますかね,そちらのほうの話になります。そうすると(6)(7)は次の,先に送ったほうがよくて,先に(4)(5)というところでご議論いただきたいと思いますが。そもそも管理事業に際して得た利用者からの情報について,おそらく利用者から情報を出したところ,管理事業者がそれを何かに使ったとか,そういうことなんだろうと思いますけれども,それから(5)のほう,ご意見ございますか,この点について。金原委員お願いいたします。

【金原委員】
 (4)の問題ですが,われわれもときどき利用者の立場になるわけで,特に業務上使う場合は,特に守秘義務を管理事業者に課したいという気持ちはあります。そのような状況から考えると,(4)の,特に特定著作物を何に利用したのか,ということは,管理事業者に対する通知する,あるいはそれに対する使用料を払うという意味において,報告する義務があるでしょうが,管理事業者がそれを外にオープンにする必要性も必然性は私はないと思いますので,こういった守秘義務は当然のこととして課すべきでだろうというふうに思います。

【土肥主査】
 課すということなんですけれども,「課す」というのは,管理事業法のなかで明文の規定を起こして書くということになるんですか,それともそういう義務はあることは確認されるべきであるということなんでしょうか。

【金原委員】
 後者です。

【土肥主査】
 はい。佐々木委員。

【佐々木委員】
 この問題は,われわれのネット配信関係の事業者のなかからも相当出ておりまして,さきほどの兼業や役員の兼職を規制する必要があるかないかにも関わってくるわけございますけれども,われわれが提出する情報というのは,非常に営業情報として貴重な情報があるわけでございます。例えば,サービスの売上であるとか,ダウンロード数であるとか,といったことも含めまして,やはりたいへん貴重な情報でございますので,やはりこれは不正競争防止法でどこまでカバーできるのかちょっとわからないんですが,現実的にはわからないんですが,やはり,管理事業者としてですね,守秘義務があることは明確にしていただいたほうが,わかりやすくていいんではないか,というふうに思うわけでございます。

【土肥主査】
 わかりました。すみません,さきほどちょっと(4)と(5)を一緒にと申し上げましたけれども,これは(5)が(6)以下と同じくくりで,暑くてちょっとボーっとしておりまして失礼しました。(4)だけのお話として承りたいと存じます。
 それで,今のようなご意見なんですけれども,これはどちらかというと,利用者からの要望という形で出ておるわけでございますが,管理事業者からの観点からはいかがでしょうか。じゃ寺島委員。

【寺島委員】
 守秘義務といったって,うちなんか許諾したものを全部ニュースで出してます。だってそれしか,全体には何が使われて,それはきちんと連盟が使用料をとってあげてるんだってことわかりませんから。だからね,守秘義務ってどこまでを言ってらっしゃるんですか。そしてなんのために,守秘義務が必要なのか,私全然わからない。

【土肥主査】
 脚本の場合はおそらくそうなんでしょうね。はい,じゃ,菅原委員。

【菅原委員】
 私どもは当然に,改めて定めるまでもなく,重要な,貴重なビジネス情報というのは守秘義務がある,というふうには思っております。先生今おっしゃっていたのは,つまり著作物の題名であるとか,そういうのは構わないんですけれども,例えばいくら売れたとか,そういうものが著作物の利用の内容によって全部報告があります。そういうものを受けたからといって,なにかオープンにするというのは,これ当然してはならないことであろう,とそういうふうに思います。それを,あらためて管理事業法上で,さらに規制するかどうかというのは,また別のことなんでしょうけれども。それ以前の取引の問題としてすべき内容,というふうには考えております。 

【土肥主査】
 荒川委員。

【荒川委員】
 私ども,世にいう第2JASRAC(ジャスラック)というか,いわゆる音楽分野における管理事業を行っておるわけですが,確かに佐々木委員がおっしゃられるように,非常に各事業者さんにとって,貴重な情報というのを日々頂戴しておりまして,われわれも非常にそこのところには厳しく取り組んでおるつもりであります。例えば,今菅原委員のほうからもございましたけれども,取引に際して,というところからいきますと,私ども利用者さんと許諾契約を結ぶ際に頂戴したこういう情報については,これこれこういう意図に限って,例えば私どもが著作者さんに対してお支払いする計算に供するため,などのいわゆる分野とか内容に限って,この目的のみに使います。ということを契約のなかにおりこんでおりまして,そういったところでわれわれ厳粛に取り組んでいるというわけなんですけれども。
例えばさきほどの,非一任・一任という議論のところでも,そうでしたけれども,やはりこれは事業者としてのモラルの問題と,運用上の問題。あまりにモラルを著しく,客観的に見た場合に著しく欠いている場合というのは,できるだけ指導監督強化みたいなところでうまく対応できればいいのではないかなと。そのことによって,法そのものに手を加えるということまでは必要ないんじゃないか,というふうに考えております。

【土肥主査】
 はい,松田委員。

【松田委員】
 不正競争防止法上の法律によって対処できるか,ということも書かれておりますけれども,今ここで発表なさるような方々が,管理者として利用者の情報をきちっと守っていないわけがないわけで,問題は守らないような管理者がいてもいいのかというようなことなんだろうと私は思いますね。法律に書くまでもないかもしれませんが,管理事業者としては,今ご指摘のあったような範囲内で秘密を守りますよということを,利用者のほうに,使用料規程と同等のものとして公示するようなこと,これは求めてもいいのではないかな,というふうに思います。そうすれば,利用者と管理者の間で許諾契約が結ばれたときに,それに付随したものとして守秘義務があるんだということを,権利者のほうが,利用者のほうが言えることになりますので。万一漏れた場合は,それを根拠にして不正競争防止法…もちろんその他もろもろの要件があるんですが,いちばん先にこの要件がないといけないものですから,不正競争防止法上の差し止め請求権等を行使できる,一要件を備えることができるんではないかなと思います。

【土肥主査】
 松田委員がおっしゃっている,不競法上の営業秘密としての保護を受けるための要件として,契約上付随的な義務の一つとして,利用許諾契約およびなんらかの契約上の義務の一つとしてそれを設けておく,ということですね。

【松田委員】
 漠然とモラルとして守るべきだ,というふうには不正競争防止法は思いません。

【土肥主査】
 もちろんそうなんですけれども,一般に契約という場合,当然そういう付随的な義務は,森田委員にお尋ねすればいいんだろうと思うんですけれども,当然そういう利用許諾契約に伴う義務というもののなかに,そういう情報を目的外に利用するということは契約違反,当然そういうことですよね。そういうことではない?

【森田委員】
 そういうことですね。

【土肥主査】
 ちょっとご意見をいただきたい。

【森田委員】
 不競法上の営業秘密の要件に当たれば,不競法が発動しますし,それから当事者間では契約で定めがあれば,サンクションが発動されますから,それで十分であれば,十分対応できるということになるかと思うんですけど,そこが十分なのかどうか,実際実効的かどうかというあたりの議論が必要になるのだと思いますけれども,そこがなにしろよくわかりませんで,不正競争防止法の営業秘密ですべてカバーされるとは私は思わないものですから,そうすると契約で足りない部分はやっていくとか。それで実際実効的な手段がとれるかどうかというあたりの,実態の問題だと思います。そのあたりについてもう少し教えていただければと思います。

【土肥主査】
 はい。今,実際,現在どういう,まだ3年ですから,現実にそういう深刻な状況があるのか,あるいはどうも懸念されるという段階なのか,そのあたりちょっとご意見いただけますですかね。マイクお願いします。

【佐々木委員】
 2ポツの,登録制度を維持する限りというところで議論が出ましたけど。管理事業法の参入が非常に緩やかになって,それはそれで規制緩和の方針に基づき,いいわけでございますけれども。そう考えますと,従来私どもが著作権の管理事業者に期待しているモラルの高さなり,管理能力の高さというものが期待できない場合がありまして,例えば,そういった業界の営業情報をとるためにわざわざ会社起こして,ということだって,考えすぎでございますけれどもね,たいへん競争の激しい事業のなかでは,そういったものも貴重な情報源でございますので。もちろん,具体的にじゃそういった事件があって係争その他というわけではございませんが,やはりここは著作権等管理事業法が健全に運営され,発展するためには,やはり管理事業者に,守秘義務があるということを明確に認識していただくような,制度上の規程なり運用なりが必要であろうと。それがですね,指導監督や,もしくは取消しを含めたいろいろな,この法律の運用の重要なポイントになっておるんだ,ということは,やはり新規参入の管理事業者に対して認識していただかなきゃならない,というようなことです。

【土肥主査】
 はい,松田委員。

【松田委員】
 今佐々木委員が言われたことで,実は秘密…利用者から提供される秘密が2つあるなというふうに思ったもので。先ほどから議論しておりました取引データ,申告する分ですね。これも極めて重要な秘密だと思うんですね。秘密にしてもらいたいものだと思うんですね。もう一つあるんですね。管理事業者にアクセスして,こういうコンテンツありますかと,私どもこういう事業を始めたい,プロトコル??でこういう事業を始めたいんですけれども,取引条件どうなりますか,という打診が来た段階で,利用者が次のビジネス何をやるかという情報を手にしちゃうんですね。この情報がですね,契約が結ばれておりませんので,契約条項のなかで先ほど言われたような,秘密を守りますよと言われても,これ対象にならないんです。だからここまで守らなきゃいけないというのであれば,本法においてなんらかの対処が必要になるんだろう,というふうに思います。
そういう利用者の立場として,管理者との関係でどういうことを,ビジネスの過程で段階的にあるかということを,利用者の立場でもっと発言してもらったほうが私いいんじゃないかなと思います。

【土肥主査】
 はい。じゃ児玉委員お願いします。

【児玉委員】
 利用者の立場ですけれども,確かに懸念があるかって言うと,今のパッケージとか免許を受けた電波で流通している段階では,あんまり懸念はないように思うんですけれども。やっぱりブロードバンドで流通するようになると,いろいろな意味で秘密が漏洩する危険があると思います。ただですね,これは私自身の経験ですけれども,私自身かなり長い年月,ハードウェアの世界で仕事をしましたけれども,ハードウェアの世界では,どこから仕入れていくらで買ったかとか,あるいはどういう材料を買ったかとか,これが漏れたらばたいへんな問題で,ペナルティ考えなきゃいけないということなんですけれども,コンテンツの場合は,ある程度買うものが決まっているわけですよね。逆に言うと,今私の場合は二次利用ということで,前回も発言いたしましたけれども,買い手側が売り手を選べないというおおきな問題があるわけです。そういうことから考えますと,コンテンツという商品の性質上,要するに契約上というか,わざわざ法律で定めて義務を課すほどのことではなくてもいいんじゃないかな,というふうに思います。当然,関連法なり契約もあるわけですから,その範囲で,さきほどからJASRAC(ジャスラック)さんもそういうふうにおっしゃってられますけども,その範囲で守られれば,特別にこの管理事業法のなかで守秘義務を法律で定めるほどのことでもなくていいんじゃないかなと思います。

【土肥主査】
 はい。このレポートに書いてある,仮に不正競防止法の保護を受けられるとすれば,それは非常に強い保護でありますので,それは実態的に懸念されているような自体は相当程度担保できるんだろうと思うんですけれども。やっぱり今取引データとか,いろいろおっしゃっていただいたんですけれども,やはりもう少し,ここで問題となる情報についてもう少し研究をしてみる必要が,当然あるんだろうと思います。
 それで今おっしゃっていただいたようなところを受けて,どうしましょう,さらに研究をしてみる。それで今おっしゃっていただいたような,契約上の対応とかですね,場合によっては不競法の対応とか,そういうところで漏れるようなことがあれば,これはきちんと管理事業法のなかで考えさせていただく,というか考えてみる,こういうこともありえるんじゃないかと思います。いずれにしても,もう少し研究してみたいと思います。
それで,先ほど紹介しながらこれ,終わると困るんですけれども,(5)(6)(7),これ一括して情報の話でございます。時間としてはあんまりないんですけれども,(5)(6)(7)を一括してですね,情報の透明性,提供義務,こういう話ですね。あるいはインターネット上でこういう情報を公示する,そういう義務。こういう情報…これ非常に大事なことだと思います。ご意見をいただきたいと思います。はい,佐々木委員。

【佐々木委員】
 個々に,(5)(6)(7),非常に重要な,利用者からするとたいへん重要なことでございますが,特に最近の大きな事例では,やはり海外著作物に関しては,われわれ確認のしようもないものですから,卑近な例では,われわれ私もそうですけど,わざわざ韓国まで調べに行く,という非常にコストも時間もかかるようなことをさせられているわけでございまして,やはりこういった著作物の管理権限に関わる情報の提供に関しては,やはりある一定の著作物に関しては,かなりの確度の高い情報を開示していただかないと,われわれの利用者リスクというものを,きちんと管理できないんではないかと。日本国内の著作物に関しては,管理事業者の方々と私どもの信頼関係や長年の慣行で,あまりこういったトラブルはない。皆無とは言いませんが,ないと思うんですが,今後こういった著作物の管理がオープン化されて,海外の著作物も大量に出回ってくると,やはりそういったことに対してわれわれがきちんと正確な情報を得ないと,やはりリスクが大きい。場合によってはいろいろな訴訟の問題も含めて,多大なリスクを負わなきゃいけないということが実態として出てきているのではないかと思います。そういった意味で,ここはかなり議論をいただきまして,問題点を整理し,解決の方向を見つけていただければというふうに思っております。

【土肥主査】
 はい。もちろん,今日の時間のなかでということではございませんで,次回,いろいろ足りない部分については,検討させていただきますので。はい,寺島委員どうぞ。

【寺島委員】
 なんかね,利用者側はなんだろうと私なんか思いますね。つまり,利用者からの情報に対する守秘義務を決めろって言われたって,管理事業団体はガラス張りでやるんですからね。なんか情報に対する守秘義務って,使用料とかなんかの場合のガラス張りでやるところは守秘義務なんて言われたって困りますし。それから4番目です。情報の提供について,努力義務から罰則を伴う義務とするってなんでだと,正直思いますよ。ご冗談でしょ,と私なんか思うんです。利用者の方もなんかご意見…

【土肥主査】
 はい。隣の方が先に手をあげられたもんですから,椎名委員お願いいたします。

【椎名委員】
 著作物等に関する情報に限らずですね,今利用者団体さんのほうからも,管理事業者の情報を利用したり,利用者団体さんのほうの情報を利用したり,そういう相互利用のことをみなさん発言されてるんですが,そういうことを研究するいろんな場所があって,どういう情報が的確に提供されれば有機的に絡み合うのかっていうようなことを,今やっている最中なんで。逆に言うと公開すべき情報がなんなのかって,一元的には今決められないと思うんですね。ここで法律で罰則を伴う義務にするよりは,もうちょっと様子を見て,そういった進行状況に合わせて考えていくべきだと思います。
 それと,情報の提供というのは,さっき一元化のところで話が出たんですが,むしろ管理事業者が自らどういうものを出していくか,ということに関して競争していく。いい情報を出していい,流れのパスを掴んだ事業者が,やっぱり流行っていくんだと思うんですね。そういった部分もあるんで,やっぱり一元的に罰則強化,義務化するということには反対でございます。

【土肥主査】
 はい,児玉委員お願いします。

【児玉委員】
 申し訳ございません。私自身,時間があまりなくなっちゃったもんで,今4ポツのところに入っちゃったみたいですんで。

【土肥主査】
 いや,まだ入っていません。

【児玉委員】
 若干先に進んでしまう発言になるかと思うんですけれども。今回のこのまとめを見ていますと,規制ですとか制限ですとか,そういったものを強化するかどうかというようなことで,いろいろ検討が進められているわけでございますけれども,前回私が発言させていただきましたように,映画の二次利用という立場で見ますと,われわれ利用者は売り手を選べないという,そういうスタンスになっています。このコンテンツの流通,あるいは著作物の流通というのが,決してフリーマーケットではない,という大きな位置付けをご考慮いただきたいと思うのです。著作権等管理事業法については,いわゆる自由競争の原理を働かせる,というふうに仕組まれている制度ですけれども,われわれの場合,どうしても自由が働かないです。
そういう意味から,ある程度の管理的な市場ということを考慮していただいて,協議だとか交渉というのが,ある程度優位的位置と不利な位置とがあるということを考えていただいて,そういうところに,ある程度の規制ないしは制限というのを,管理事業者の方に施すというようなことを考えていただきたいと思います。ただ,法の原理からして,規制を強化するとか,あるいは制限を強化するというと,これはやはり私は正しい方向ではないと思います。そういう点から見ますと,例えば裁定制度ですとか,あるいは監督指導ですとか,こういう実際の実務の面においてこの管理事業法が利用しやすい,そういう法律になる方向で改訂の検討をしていただきたいというふうに思います。

【土肥主査】
 児玉委員が,ご懸念なさっているようなところは,まだ進んでおりませんけれども,次回の委員会のなかでも十分また検討してさせていただきたいと思っております。
 本日,3ポツの(5)(6)(7)あたりのところ,また十分議論をしておらない。ここは非常に重要なところだと思いますので,次回,ここの議論を続けて検討したいと思います。時間が現在来ておりますので,途中ではございますけれども,この第3回の契約・流通小委員会を終わらせていただきたいと思っておりす。本日は,どうもありがとうございました。熱心な議論を頂戴いたしまして,暑く御礼を申し上げたいと思います。最後に事務局から,連絡事項ございますでしょうか。お願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 次回は12月13日月曜日14時から,ここと同じ経済産業省別館1020会議室にて開催いたします。委員の各位には,またあらためてご連絡いたします。本日は本当に長時間にわたりありがとうございました。

(了)


(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)

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