第7節 その他の検討事項

個人・団体名 意見
社団法人日本ケーブルテレビ連盟  平成18年1月の文化審議会著作権分科会報告書において「デジタル対応ワーキングチーム関係」での課題として、「著作権法の支分権の対象ではない“単なる視聴行為”をコントロールする技術的手段の回避を制度的に防止することは……今後も技術動向に注視しつつ引き続き慎重に検討し、平成19年を目途に結論を得るべきものとした」(法制問題小委員会第6回議事録より)とあります。
 現在では当初想定していなかった手段により有線放送の有料番組のスクランブルを解除する機器(所謂“違法チューナー”)をインターネットオークションから購入し、有線放送事業者との契約なしに、有料放送を“ただ見”して録音録画する行為が発生しています。
 この“違法チューナー”は不正競争防止法第2条11項で「技術的制限手段の回避を行う機器として、その輸入・販売等については差止請求権及び損害賠償権が認められておりますが、著作権法上の解釈では「このケーブルテレビや衛星放送のスクランブルを解除する行為」は“技術的保護手段”には該当せず“単なる視聴行為”であるとし、かつアクセスコントロールの規制に関わることから著作権法による措置はございません。
 しかしながらこの行為は、視聴者とケーブルテレビ事業者間の契約が存在しないことから、有線放送事業者が視聴者から得る受信料、番組供給事業者(委託放送事業者)が有線放送事業者から得る番組購入費、及び著作者が得る著作権使用料の全てが逸失することとなり、著しい経済的不利益が生じています。(不法受信対策協議会 推定値:年間100億円強)
 また、デジタル放送においても、浮遊B-CASカードによりスクランブルのみを解除し、コピーガードには反応しないで、地上デジタル・BSデジタル放送を視聴及び録画できる所謂“無反応デジタルアダプター”も登場しています。
 以上のことから、本件についての継続検討を行い、伝送されるコンテンツを財物と見なし、通信・放送法制の抜本的再編にあたって、不正視聴・不正利用を取り締まる規定の検討をお願い申しあげます。
日本知的財産協会  その他残された各課題は、それぞれ重要なテーマであり、今後慎重に検討を行っていただきたい。
 特に、「機器利用時・通信過程における一時的固定」及び「私的使用目的の複製の見直し」については、著作物の使用または利用実態を適切に踏まえたうえで、実態から乖離した、一般社会や産業界に悪影響を及ぼすおそれを生じるような結論を導くことのないよう、ご留意いただきたい。また、これらの課題の検討にあたっては、米国著作権法におけるフェア・ユースのような一般的権利制限規定の導入も含めた、広い視点での検討を行っていただきたい。

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