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社団法人電子情報通信学会データ工学研究専門委員会  薬事関係、障害者福祉関係、ネットオークション等関係の3項目に関して権利制限の見直しが議論されている。現在、小中高大等の非営利教育機関での複製作成は権利制限に含まれているものの、依然として紙での配付およびデジタルコンテンツでは校内でのWebアクセスのみが対象となっている。認証機能付きでさえ学生が校外から当該コンテンツにアクセスすることは権利制限に含まれていない。欧米との相違およびわが国としての情報化(デジタルコンテンツ)戦略および非営利教育機関での教育の情報化と人材育成の重要性を鑑みれば、今回の権利制限の見直しの対象として非営利教育機関での教材関係も対象に含めるのが適切ではないかと考える。
日本民主主義著作者総連合  民著総連は、情報時代における労働形態において、知識労働者が資本家から搾取されているとの認識の下、この搾取構造をいかに打破し、いかにして知識労働者の幸福が実現するかについて考えてきた。
 しかし、「著作権問題を考える創作者団体協議会」等によって現在進められている著作権保護期間延長を求める動きは、知識労働者に資することは少なく、資本家にとってより有利に働くと考えられる。つまりわれわれがめざす方向とは反対のものであり、知識労働者および利用者の利益を脅かすとともに、知識労働者と資本家の「二極化」を招いている。
 無論、保護期間をさらに延長すべきという要望の根底に流れる知識労働者たちの不満や無念、遺憾な思いは、われわれと共通するものである。創作者すなわち知識労働者の権利や利益の保護が不十分であるとの見解は一致している。しかしながら、繰り返しになるが、われわれは著作権保護期間延長で知識労働者の権利保護が十全になるとは考えていない。むしろ格差が拡大し不利益につながる可能性すらあると考えている。そこで、知識労働者の権利や利益の保護を推進すべく、提案したいのが法人著作規定の撤廃である。
 いわゆる法人著作に関しては、知的労働を行った創作者本人ではなく、その雇用者あるいは制作指揮者に権利が発生することになっている。ここで言う法人著作とは、雇用関係下における職務著作の場合(著作権法第15条)と、映画の著作物の制作に関わる場合(著作権法第16条と29条)である。さらに著作権法116条3項の人格権の移転に関する規定も含む。
 創作活動が企業活動として組織的に行われている現在、職務著作に該当する場面は飛躍的に拡大しているし、映画の著作物もflash等の創作技術発展によって、さらに大きな市場となっている。二つの場合が無視しうるほど特殊な場面であるということはできないだろうし、それらの業態に携わる創作者の立場からみれば権利が奪われ、知識労働者が不当に資本家から搾取されていると言えるのである。このような制度を今もって残しているならば、知識労働者のインセンティヴを著しく低下させ、知識労働者の経済的利益を奪い、生活を脅かすことになる。
 また付記しておくと、こうした法人著作に関する規定は、ベルヌ条約に依拠して著作権制度を設けた諸国の中でも、我が国に特有の制度である。たとえば、フランスやドイツなど大陸法系に連なる諸国では、あくまでも創作者本人に権利が発生し、その権利が雇用契約などの効果によって雇用者に移転したり、使用許諾されるような仕組みが採用されている。著作権がまずもって創作者に発生する場合には、創作者は雇用者や制作指揮者と権利交渉するときに強い立場を得られるから、創作者は自らの望む利益を獲得しうる可能性が高まる。そして前述した国でできていることなのだから日本でもできないわけはないのである。
 以上のような理由から著作権法第15条、第16条、第29条を、創作者本人に有利になるよう改正するように求める。
 さて、ここで法人に著作権を認めないとなると、雇用者あるいは制作指揮者にとって権利交渉が煩雑であり余計な手間がかかるとする向きがあると思う。しかしながら、その主張には説得力がない。複雑な契約を処理する法的あるいは技術的な手段は、まずもって創作者本人の権利保障のために用いることが原則となるべきであり、その上で権利を法人に帰す場合は個別に契約すべきなのである。
 だが、資金源の確保や成果物の分配等の都合から法人が著作物およびその権利を一元管理した方が効率的であり、創作者にとっても効用が高いということも同時に言えるだろう。商用作品の創作活動において制作委員会の名の下に作品を発表する場合も多くあることを鑑みると、出資者の資金に基づいて行われることが有用であろう。これらの投資による創作活動は当然に利益を目的としているのであるから、その場合、法人の権利保護は二階建て制度によって行うことを提案したい。
 二階建て制度とは、既に各方面から提案されている、商用目的の創作物のための著作権法とは全く別の制度のことである。特徴として、登録と同時に商用に適合的な新しい権利が発生し、同時に、著作権法の保護下から外れるということ、そして権利期間を設けて更新を行うようにし、登録及び更新には費用を必要とするが、更新を続ける限りにおいて権利が守られるということがある。
 実質的に法人著作制度と変わらないのではないかとの疑念については、何年かに一度巡って来る登録の度に、創作者本人に権利の確認をすることで払拭できるだろう。たとえ弱い立場にいる知識労働者であっても、不利な条件で結んだ契約を何年かに一度見直すことが可能になる。創作者本人が次第に著名になり交渉力が増加していれば、より有利に契約を結びなおすことがが可能である。すなわち、二階建て制度の登録は、一定年毎にすべての権利が創作者本人に復帰するものとし、再確認をとらなくてはならないものとする。交渉相手たる法人がさらに継続して著作権の譲渡なり使用許諾なりを得ようとする場合には、改めて創作者本人と契約交渉をしなければならないのである。これによって、零細な創作者保護にもつながるのである。
社団法人日本図書館協会

 当協会は長年にわたって,「図書館等において,調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて」として法改正の要望を提出しているところである。
 今回,貴委員会において,本件「検索エンジンの法制上の課題について(pp.45-61)のほか,「いわゆる「間接侵害」に係る課題等について」(pp.71-76)の審議が行われているが,複製行為者が実際に複製機器を操作した者ではなく,複製機器の設置者であると認定されるという前提に立てば,図書館や公民館あるいはネットカフェ等の,端末を設置し情報が提供される場で,利用者や来店者がその端末を使用して複製を行った場合,当該複製行為の位置付けが極めてあいまいなものとなる。
 当該複製行為の位置付けについて,著作権法30条1項に基づく「私的使用のための複製」とし,その複製行為者が図書館や公民館あるいはネットカフェ等であるとするならば,組織・団体が「私的使用のための複製」を行っていることになり,法運用上,種々の問題が生じると思われる。
 また,当該複製行為に使用されるパーソナルコンピュータ等の端末は,著作権法30条1項1号に言う「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」に該当すると考えられるが,附則5条の2にいう「専ら文書又は図画の複製に供するもの」に該当するかは疑問であり,複製行為者を利用者や来店者とした場合であっても,著作権法30条1項に基づく複製とすることには無理があると考えられる。
 さらに,図書館に限定して考えた場合,著作権法31条の「図書館等における複製」の権利制限規定があるが,インターネット情報は同条の「図書館資料」には該当しないであろうことから,当該複製行為の位置付けを著作権法31条に基づくものとすることにも無理がある。
 これらのことから,今や,流通する情報の中で重要な位置をしめるインターネット上の情報の提供に支障をきたしている状況であり,インターネット上の情報に関しては,「検索エンジンの法制上の課題について」(pp.45-61)で挙げられている問題だけではなく,より総合的な検討を願うものである。

 なお,当協会は長年にわたって,「図書館等において,調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすることについて」として法改正の要望を提出しているが,この件についても改めて審議願いたい。
動画コンテンツの永久保存を考える会  そのためには、わが国においてもフェアユース(公正利用)の定義をきちんと定め、利用者が「権利者のビジネスを阻害しない範囲において」コンテンツを自由に批評・引用・加工・二次使用・二次創作できる環境を整えなくてはなりません。
 それこそが「文化的に豊かで成熟した知財大国」の真の姿です。(利用が制限され自由度の低いコンテンツは、評価されるどころか話題に上ることすらありません。)
 それにより、新たな情報家電の販売や配信サービスの創出にも繋がることでしょう。
 ネットでの画像の引用一つ取っても、(書籍一冊分など悪質な事例を除き)コミュニケーションの一方法として容認されるべきです。

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