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資料4

権利制限を巡る課題に関する審議等の進捗状況

要望のあった権利制限事項 過去の審議等の進捗状況 現在の進捗状況
1. 特許審査手続きに係る権利制限
1  非特許文献を出願人に送付するための審査官による複製
 
  平成18年法改正により措置済み。
 
2  審査官からの書類提出の求めに応じるための非特許文献の出願人による複製
  平成18年法改正により措置済み。
3  特許庁への先行技術文献(非特許文献)の提出による情報提供のための複製
  平成18年法改正により措置済み。
4  非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製
  平成18年法改正により措置済み。
2. 薬事行政に係る権利制限
1  承認・再審査・再評価制度において、申請書に研究論文等を添付する必要があるため、研究論文等の複写を作成し、国等に提出すること
 
  平成18年法改正により措置済み。
2  副作用・感染症報告制度・治験副作用報告制度において,期間内に副作用等の発現に係る研究論文等の複写を作成,調査し,国等に提出すること
  平成18年法改正により措置済み。
3  医薬品等の製造販売業者は医薬品等の適正使用に必要な情報を提供するために,関連する研究論文等を複写し,調査し,医療関係者へ頒布・提供すること
  平成18年著作権分科会報告書
 「当面は,関係者の最大限の努力の下,構築されているシステムが利用料の徴収の観点から有効に機能し著作権処理の適正化が行われていくか注視することとするが,医薬品等の適正使用に必要な情報提供の複写の実態を十分踏まえた上で,著作権者等への影響を勘案して,適切な措置について引き続き検討を行うことが適当」
 本件については、現在、製薬企業は有限責任中間法人学術著作権協会と医薬品等の情報を複写し、医薬関係者へ提供することに関して、包括契約を結んでいるが、株式会社日本著作出版権管理システム(以下、「JCLS」という。)とは、非一任型管理によって使用料が高額になっているため、包括契約を結べていない。
 ただ、最近においてJCLSが著作権等管理事業法に基づく一任型管理事業を準備しており、日本製薬団体連合会と一任型管理事業を予定した使用料について協議を重ね、概ね合意をしているところである。
3. 図書館関係の権利制限
1  第31条の「図書館資料」に、他の図書館等から借り受けた図書館資料を含めること
 
  平成18年著作権分科会報告書
 「権利者団体と図書館団体との間の協議における合意の内容・推移を見守ることとし,今後,この合意の下では図書館による複製が必ずしも円滑に行われないとして,なお権利制限の必要有りとされる場合には,その具体的な条件について,現物貸借において扱われている図書館資料や図書館の蔵書の実態などを踏まえて検討することが適当」
 
 本件については、平成18年1月に社団法人日本図書館協会、国立私立大学図書館協力委員会、全国公共図書館協議会と権利者団体は「図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン」を締結し、一定の条件化において、権利者の許諾なく、他の図書館等から借り受けた図書館資料の一部分を複製することができることになったところである。
2  図書館等の間においてファクシミリ、電子メール等を利用して、著作物の複製物を送付すること
  平成18年著作権分科会報告書
 「上記の点(具体的問題点の整理)を踏まえた、図書館関係者による具体的な提案が得られた段階で,権利者団体及び図書館関係者間の協議の状況も踏まえつつ検討することが適当」
 本件については、図書館関係者と権利者団体間において協議が進捗していない。
3  図書館等において、調査研究の目的でインターネット上の情報をプリントアウトすること
  平成18年著作権分科会報告書
 「図書館等のみならず一般的にどのように提供されているのか,現行法の枠組みで十分であるか否か,どのような手法により対応することが適切か等について,今後必要に応じ検討することが適当」
 本件については、関係者間からの異論がほとんどないことから、図書館関係者から再検討の要請があったところである。
4  「再生手段」の入手が困難である図書館資料を保存のため例外的に許諾を得ずに複製すること
  平成18年著作権分科会報告書
 「現行法の枠組みや権利処理の取組により,どこまで対処が可能であるかの限界や,どのような場合に対処可能であるかの判断基準について,今後必要に応じ検討することが適当」
 本件については、図書館関係者と権利者団体間における協議において、両当事者間では意見の相違がほとんどないことから、図書館関係者から再検討の要請があったところである。
5  図書館等における、官公庁作成広報資料及び報告書等の全部分の複写による提供
  平成18年著作権分科会報告書
 「今後,「自由利用マーク」等の積極的な活用も含め,著作権処理の運用が適切に行われない場合には,複写の実態を踏まえ,権利制限を行うべき官公庁(国若しくは地方公共団体の機関,独立行政法人又は地方独立行政法人)の対象範囲などについて,必要に応じ検討することが適当」
 本件については、図書館関係者と権利者団体間における協議において、両当事者間では意見の相違が少ないことから、図書館関係者から再検討の要請があったところである。
6  著作権法第37条第3項について,複製の方法を録音に限定しないこと,利用者を視覚障害者に限定しないこと,対象施設を視聴覚障害者情報提供施設等に限定しないこと,視覚障害者を含む読書に障害をもつ人の利用に供するため公表された著作物の公衆送信等を認めること
  平成18年著作権分科会報告書
 「図書館関係者から障害者にとっての権利制限の必要性を十分踏まえた,より具体的で特定された提案を待って権利者団体及び図書館関係者間で行っている協議の状況や,国民全体が均等に,より高いレベルでの文化の享受し得るという観点も踏まえつつ検討することが適当」
 本件については、図書館関係者に聴取したところ、同様の内容について「4.障害者福祉関係の権利制限」で検討することから、併せて検討することが適当であると考える。
 ただし、対象施設を視覚障害者情報提供施設に限定しないことについては、「4.障害者福祉関係の権利制限」において、課題としてあげられていないので、新たに課題として追加する。
4. 障害者福祉関係の権利制限
1  視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者に対し、公表された録音図書の公衆送信をできるようにすること
 
  平成18年法改正により措置済み。
 
2-1  聴覚障害者情報提供施設において,専ら聴覚障害者向けの貸出しの用に供するため,公表された著作物(映像によるもの)に手話や字幕による複製
-2  手話や字幕により複製した著作物(映像によるもの)の公衆送信
  平成18年著作権分科会報告書
 「権利制限の範囲の限定,その必要性の明確化(契約による権利処理の限界),障害者にとっての当該利用の意義など提案者による趣旨の明確化を待って聴力障害者情報文化センターと関係放送局、映画会社、権利者団体との間の契約システムの現状を踏まえた上で、改めて検討することが適当」
 本件については、障害者団体との意見交換を経て、障害者団体から実態・現状を踏まえて、再検討の要請があったところである。
3  聴覚障害者向けの字幕に関する翻案権の制限について,知的障害者や発達障害者等にもわかるように,翻案(要約等)すること
  平成18年著作権分科会報告書
 「権利制限の範囲の限定,その必要性の明確化(契約による権利処理の限界),障害者にとっての当該利用の意義など提案者による趣旨の明確化を待って聴力障害者情報文化センターと関係放送局、映画会社、権利者団体との間の契約システムの現状を踏まえた上で、改めて検討することが適当」
 本件については、障害者団体との意見交換を経て、障害者団体から実態・現状を踏まえて、再検討の要請があったところである。
4  私的使用のための著作物の複製は,当該使用する者が複製できることとされているが,視覚障害者等の者は自ら複製することが不可能であるから,一定の条件を満たす第三者が録音等による形式で複製すること
  平成18年著作権分科会報告書
 「実態を十分踏まえた上で,「私的使用のための複製」の解釈による対応を考えるのか,あるいは,一定の障害者向けのサービスについて特別な権利制限を考えるのか,基本的な方向性に関しての議論を深め,具体的な問題点の整理を行った上で検討することが適当」
 本件については、障害者団体との意見交換を経て、障害者団体から実態・現状を踏まえて、再検討の要請があったところである。
【新規事項】
5  学習障害者のための図書のマルチデイジー化すること
 
(新規事項)
 
 本件については、平成19年1月に、奈良デイジーの会から特別支援教育課宛要望書(参考1−1参照)や、平成19年5月に、自民党政務調査会・特別支援教育小委員会報告(参考1−2参照)に改正の必要性が求められているところである。
6  拡大教科書及び録音図書の利用者の範囲拡大について
(新規事項)  平成19年5月に行われた第3回過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会において、障害者放送協議会著作権委員会より提案(参考2参照)があったところである。
7  著作権法第37条第3項について,対象施設を視聴覚障害者情報提供施設等に限定しないこと,
(新規事項)  前述の「3.図書館関係の権利制限」における課題6を再整理したものである。
5. 学校教育関係の権利制限
1  eラーニングが推進できるように,学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く)の授業の過程で使用する目的の場合には,必要と認められる限度で,授業を受ける者に対して著作物を自動公衆送信(送信可能化を含む)すること
 
  平成18年著作権分科会報告書
 「著作権の保護とのバランスに十分配慮するため,いかに要件を限定しつつ,eラーニングの発展のために必要な措置を組み込むべきかなどについて,教育行政及び学校教育関係者による具体的な提案を待って,検討することが適当」
 
 本件については、現在、学校関係者を中心に検討を行っているところであることから、そこでの検討を踏まえた具体的提案を待つことが適当であると考える。
2  第35条第1項の規定により複製された著作物については,「当該教育機関の教育の過程」においても使用できるようにする(目的外使用ではないこととする)とともに,教育機関内のサーバに蓄積すること
  平成18年著作権分科会報告書
 「教育行政及び学校教育関係者からの,教育機関におけるサーバ蓄積に係る利用についての具体的な実態を踏まえた運用の指針等を含む具体的な提案を待って,改めて検討することが適当」
 本件については、現在、学校関係者を中心に検討を行っているところであることから、そこでの検討を踏まえた具体的提案を待つことが適当であると考える。
3  同一構内における無線LANについても,有線LAN同様,原則として公衆送信にはあたらないこととすること
  平成18年法改正により措置済み。
 
6. その他
 ネットオークションにおいて美術作品等の画像を掲載すること
 
(新規事項)
 
 最近において、平成17年10月に横浜市が税金滞納者から差し押さえた絵画をインターネットオークションで公売する際、画家の許諾を得ないで画像を掲載するのは著作権の侵害にあたるとして問題となった事例や、平成19年5月に、税金滞納者から差し押さえた財産を公売するため、国税庁のオークションサイトにおいて、権利者に無許諾で美術品や宝飾品の写真を掲載するのは著作権の侵害にあたるとして問題となった事例など、ネットオークションにおいて美術作品等の画像を掲載することに対する著作権法の解釈が問題となってきている。


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