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3.税関における水際取締りに係る著作権法の在り方について

個人/団体 意見
個人 海賊版が世界レベルで取引されている現状を改善するためには、輸入行為と合わせて、輸出行為もコントロールするのが実効的だと考えられる。
個人 報道で知るに、音楽CDや映画などでの海賊版の被害は年々拡大しているとのこと。
これらが世界範囲で取引されている現状を改善するためには、輸入行為及び輸出行為もコントロールするのが実効的だと考えられる。
文化の衰退につながる海賊版全廃を強く望みます。
大阪弁護士会 1 輸出及び輸出目的の所持を「みなし侵害行為」とすることについて
ベルヌ条約上、著作権については無方式主義が採用されている。したがって、わが国において著作物として保護されているものについては、多くの第三国において、同様に著作物としての保護が与えられる可能性が高い。しかしながら、一旦、侵害品が海外において頒布されてしまった場合、当該侵害品が、当該第三国において規制の対象となるとしても、これに対し権利を実現することには、相当の経済的負担と困難が予想される。
したがって、「輸出」及び「輸出目的の所持」を「みなし侵害行為」とすることにより、著作権保護の実効性をはかることには十分な意義があると考えられる。

2 「通過」に対する対応の必要性について
日本を仕向け地としない貨物が荷繰りの都合上いったん日本で陸揚げされた後(保税地域に置かれる場合も含む)、日本において通関手続きを経ずに当初の仕向地に向けて運送される行為を、著作権法により規制することは、著作権保護の実効性を確保するという観点から妥当であると考える。
報告書案については、当該行為につき「輸入」又は「輸出」に該当するとしているが、単に運送上の都合で行われた陸揚げが「(物を)引き取ること」を要素とする輸入の要件を満たすかについては疑問の余地もある。仮に、荷繰りの都合上の陸揚げと仕向け地への運送の輸入及び輸出への該当性に疑問の余地があるとすれば、「通過」を具体的に定義したうえで、「みなし侵害行為」とすべきであると考えられる。
個人 報告書案 55P

「輸出」に関する規定を整備することに賛成です。
知的財産立国として国際的な信頼を得るためには海賊盤の輸出についても規制する必要があると思います。
社団法人日本レコード協会 著作権等侵害品の輸出・通過行為についても、税関における水際規制の対象とすべきであると考える。
海賊版問題は全世界レベルで対処すべき問題であり、わが国も著作権等侵害品の世界流通を取り締まるべく、遺漏のないよう法制度を整備することが必要である。
日本知的財産協会デジタルコンテンツ委員会 国境を越えた海賊版の拡散を防止するため、著作権等の侵害に係る「輸入」行為のみならず、「輸出」行為についても取締りを行う国際的必要性が生じており、そのための規定を整備するという検討結果に賛同します。ただし、侵害品でないものの輸出が誤って差し止められることのないよう、ご配慮をお願いします。
日本商品化権協会 著作権侵害物品の製造そのものが違反事項であるのでその輸出行為についても当然侵害行為と位置付けるべきである。「輸出を目的とする所持」についても取締りの対象とされたい。
「模倣品・海賊版拡散防止条約」の提唱国として、我が国を通過するが陸揚げされない侵害品について権利者(国)からアピールがあった場合の対処方法がないのだろうか。又、侵害品が「通過」のため保税地域に陸揚げされ、第三国に移送される場合は、著作権法の解釈で「輸入」「輸出」の行為として対応可能とのことだが一般には殆ど認知されていない。パブリシティを願いたい。
個人 2.検討結果
(55ページ)

著作権等侵害物品の「輸出」を禁止するにあたり、著作権法にわざわざ規定を新設する必要性は感じられない。現行法における、侵害品の頒布・頒布目的所持を禁じるとの規定で充分で
ある。
報告書(案)にある内容で当該品「輸出」を禁止することとなれば、個人が所有する私的複製物等(各種権利制限により適法に作成された複製物)との区別が難しく、実質的に“正規品”以外の複製物を(海外へ移動する際に)携帯できなくなるおそれを感じる。この範囲まで違法化するのは行きすぎだ。

報告書の中では、

○特定少数の者に対する侵害物の譲渡又は貸与の一貫として、海外在住者等への侵害品を譲渡又は貸与する行為
○海外における頒布を目的として、特定少数の海外在住者へ(情を知りつつ)侵害品を譲渡又は貸与する行為
○「頒布」目的で、海外在住者へ侵害品を譲渡又は貸与するために(情を知りつつ)所持する行為
○「頒布(譲渡・貸与)」以外の目的(個人使用目的など)で、海外に侵害物を携帯する行為

──の4つが、現行法では侵害とみなされない又は不明な例として挙げられている。
しかしながら上記4例は、いずれも個人が海外へ私的複製物等を携帯することとの区別が困難であり、また当該品を(頒布に当たらない範囲で)譲渡・貸与すること自体も権利者の利益を侵害するものとは考えにくい。仮に当該「輸出」を禁止した場合に生じる副作用は大きい。
本来の法運用からすれば、著作権侵害物品の生産そのものを取り締まるべきである。結果として著作権侵害物品のマスターとなり得るものであっても、著作物自体がそもそもマスターになり得るという性質を考えて、侵害品生産に使われるとの蓋然性が不確実なままで移動を禁じるのは行きすぎである。

また、仮に当該「輸出」行為をみなし侵害と規定した場合、報告書(案)では「すべての『輸出』行為を対象とすべきではなく、『輸出』行為の目的や態様等について限定をかけることが適当である」と記載されているが、この具体的な「限定」を報告書でもっと明らかにすべきであろう。
法制問題小委員会(第4回・本5月30日)の議事録によれば「現在の頒布というものの内容も、公衆に対しての提供ということで、必ずしも国外に出すものがすべて侵害行為の対象とされているわけでもございませんので、また侵害物について『情を知って』というような要件もございますし、そうした目的や態様等について何らかの限定をかけるということが適当ではないか」との白鳥著作権調査官の発言がある。これでもまだ足りないのではないか。
より詳細に、個人所有の私的複製物等の移動を妨げないような規定が必要ではないかと思われる(国民が理解できるよう明らかにしていくべきである)。
報告書(案)では「輸出」規制に加えて「『輸出』行為の予備行為として侵害に至る蓋然性が高い行為(輸出を目的とする所持)についても取締りの対象とすることが適当である」とも
記載されている。
しかし、「輸出目的所持」を正確に判断することは更に難しいのではないか。「輸出」ですら私的複製物等との区別が困難である上に、「目的所持」となるとそれをどう認定するのか。
事は水際だけでなく、日常生活にも関わってくる部分である。
頒布目的所持の場合には多数の侵害物品を所持することが要件となるため、個人の私的複製物等の所有が問題となることは少ない(まだしも多数所持と頒布が結びつく蓋然性が高い)。
それに比して「輸出目的」となると、必ずしも多数の所持がなくても規制できるため取締りの範囲が広くなることも考えられ、単純所持にまで規制の及ぶおそれがある。
従来の頒布目的所持で対応した方が明らかな著作権侵害に対処できる。
日本弁理士会 1「輸出」行為を、取り締まりの対象とすることについて賛成します。
「輸出」は、国内の産業活動が反映する行為であり、輸出行為を監視することにより国内の産業活動における著作権侵害行為を有効に取り締まることができるものと思われます。国内の産業活動における著作権の侵害行為は、「複製」行為や「譲渡」行為にあたり直接的に権利行使することができるものの、「輸出」行為は侵害物品を取り締まることができる最後の砦となりえるものであり、また、実際に税関に侵害品が集中するという侵害品の物の流れをかんがみれば、著作権の侵害行為を規制するうえで実効を期待できると思われます。
また、わが国の著作物を保護する観点からも、一部のアジア諸国から輸出される模倣品による被害が深刻化していることをかんがみれば、侵害品の輸出の取り締まりはすべての国で行うべきものであり、日本が率先して対応する姿勢を示すことが重要だと考えます。

2法律の規定については、「輸出」及び「輸出のために所持する行為」を「みなし侵害」規定(113条)で規制することに賛成します。
今年改正となった特許法、意匠法等においては、「輸出」行為を権利対象たる「実施」の一態様として規定しましたが(特許法2条1項3号、意匠法2条1項3号)、これと同様に「輸出」を権利の一態様とすることは望ましくないと考えます。著作権法の支分権(21条〜28条)はライセンス等の権利譲渡や許諾の根拠となっており、「輸出に関する権利」を新設して対応すると既存の「複製権」や「譲渡権」と権利内容としてオーバーラップすることとなるためです。よって、「輸出」を「頒布」と、および「輸出のために所持する行為」を「頒布のために所持する行為」を対応させて、みなし侵害行為として規定する案に賛成いたします。

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