ここからサイトの主なメニューです
著作権分科会 法制問題小委員会(第10回)議事録

1   日時   平成17年12月1日(木曜日) 9時30分〜10時

2   場所   経済産業省別館10階 1020会議室

3   出席者
(委員)
  市川、大渕、加藤、小泉、里中、末吉、茶園、土肥、苗村、中山、浜野、前田、松田、村上、山地の各委員
(文化庁)
  加茂川次長、甲野著作権課長、池原国際課長ほか関係者

4   議事次第
1   開会
2   議事
(1) 「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 報告書(案)」について
(2) その他
3   閉会

5   配付資料

  文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 報告書(案)

参考資料1   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第9回)議事録
(※第9回議事録へリンク)
参考資料2   文化審議会著作権分科会法制問題小委員会検討経過

6   議事内容
 

(中山主査) それでは時間でございますので、只今から、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第10回を開催いたします。本日は御多用中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 いつもと同じなのですけれども、議事に入ります前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするに及ばないと考えられますので、すでに傍聴者の方々には御入場をしていただいているところでございますけれども、その点、よろしゅうございましょうか。

〔異議なしの声あり〕

 ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方々にはそのまま傍聴をしていただきたいと思います。
 それでは議事に入ります前に、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

(白鳥著作権調査官) 議事次第の1枚紙の中段以下に配付資料の一覧がございますが、本日の配付資料といたしましては「法制問題小委員会 報告書(案)」という資料1点のみでございます。なお、参考資料といたしまして、前回第9回の議事録と、これまでの法制問題小委員会の検討経過の資料がございます。
 不足等ございませんでしょうか。それでは、よろしくお願いいたします。

(中山主査) はい。本日は、11月11日に御議論いたしました「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 報告書(案)」につきまして、引き続き検討して、本日の小委員会で報告書を取りまとめたいと思います。
 まず、事務局から、前回の修正点を中心に「報告書(案)」を説明していただいた後に、「権利制限規定の見直し」について、「私的録音録画補償金の見直し」について、「デジタル対応」、「契約・利用」、「司法救済」の各ワーキングチームの検討結果、「裁定制度の在り方」の順番で、意見の交換をしていただきたいと思います。
 それでは、まず事務局から、「報告書(案)」の説明をお願いいたします。

(甲野著作権課長) それでは、御説明をさせていただきます。前回の小委員会におきまして、各委員から御意見を頂戴したわけでございますけれども、それらを踏まえまして、本日案を作らせていただきましたので、それを御説明させていただきます。
 まず、14ページをお開けいただきたいと思います。「薬事行政に係る権利制限について」の部分でございますけれども、14ページの最後の段落の半ばの「したがって」以下の部分でございますが、ここの部分につきましては、前回の「報告書(案)」では、「したがって、当面は、構築されているシステムが利用料の徴収の観点から有効に機能していくか注視することとするが、関係者の最大限の努力の下にあってもなお、著作権処理の適正化が行われない場合には、医薬品等の適正使用に必要な情報提供の複写の実態を十分踏まえた上で、著作権者等への影響を勘案して、適切な措置について検討を行うことが適当である。」という書きぶりでございました。
 これに対しましては前回、各委員から、「是非とも継続検討していただきたい」、「システムが機能するかどうかは検証が必要である」、あるいは「どういう要件だったら権利制限を認めても良いのか継続検討すべきではないか」、このような意見が出されましたところから、今回、全体の構成を若干直した上で、最後の段落でございますが、「適切な措置について引き続き検討を行うことが適当である」という表現を入れたところでございます。
 続きまして、52ページをお開けいただければと思います。「私的録音録画補償金の見直しについて」の部分でございます。ここの二重徴収についての問題でございますが、位置をどうするかという問題もございましたけれども、それは直してございます。それとともに、二重徴収に当たるとする意見のところに修正を今回加えさせていただきました。
 従来の表現では、二重徴収に当たるとする意見、ここのところは「消費者に一定の限度で複製を認める場合には、その料金には事実上その複製の対価が含まれると考えるのが適切であり、やはり『補償金』との『二重徴収』にあたる」という表現でございましたが、これにつきましては、やはり「『消費者が対価を払っている場合には』というふうに変えた方が良いのではないか」、あるいは「いずれにせよこの文章では非常に理解が難しい、ないしは誤解されても仕方がない」、「言葉をもう少しリファインしたらどうか」という御意見がございました。
 そこでもう1度見直しをいたしまして、ここにありますように「ユーザーの複製を前提とした配信サービスにおけるビジネスモデルにかんがみると、配信サービスの対価を徴収した上で、『補償金』を徴収することは『二重徴収』に当たる」という形で理解しやすい形に直させていただいたところでございます。
 続きまして、3点目でございます。「私的録音録画補償金制度の課題について」という55ページのところをお開けいただければと思います。ここのところにつきましては、いくつかの点につきまして御意見を賜ったところでございます。
 まず、第1番目でございますけれども、アの抜本的な見直しのところのポツの2番目でございます。その下から2行目のところでございますけれども、従来の書き方ですと「補償金制度に関してもその存否や他の措置の導入も視野に入れ、抜本的な検討を行うべきであると考える」ということでございましたが、これに対しまして、「8月の『審議の経過』の中には縮小廃止の是否も含めたという形で書かれているのではないか、そこのところの表現を引き継ぐのもある意味で妥当ではないか」、このような意見がございました。
 そこでどのような形にするか検討させていただいたところでございますが、「審議の経過」におきましては、「廃止」という言葉は、「縮小・廃止」という言葉としてあったわけでございますけれども、縮小に関しましては廃止を前提とした前の段階的な縮小という位置付けがされているわけでございまして、縮小自体に大きな意味があるということではございませんので、まずここのところは単純に「廃止」と書くとともに、また廃止という方向のみが書かれているわけではなく、「骨組みの見直し」、このようなことも視野に入れるということが書いてございました。
 したがいまして、8月の「審議の経過」全体をうまく踏まえるという趣旨で、この表現につきましては、「その廃止や骨組みの見直し、更には」という形に今回案を作らせていただいたところでございます。
 それから2番目の修正点でございますけれども、3番目のポツ以下のところでございます。前回はこの部分につきましては、どのような形で検討すべきかという点について説明ぶりがあったところでございました。「関係者が参加した形での検討がなされる必要がある。したがって、本小委員会とは別の検討の場を設けることが適切であり、そこでの検討を踏まえて法制面からの検討を本小委員会において行うべきであると考える」という表現がございましたし、また「本小委員会のワーキングチームにおける検討とも十分連携をとる必要がある」、こうした表現があったわけでございます。
 これに対しましては、「それぞれの小委員会、委員会との関連がどういうことなのか」等々、様々な意見が出されたところでございます。しかしながら、どういう体制で行うかにつきましては、役所の側からどういう形でお願いするかということにも関連することであること、また小委員会で議論して決めるということよりも、むしろその上の分科会レベルの話であるということもございます。
 そうしたことから、今後分科会の野村先生あるいは中山先生とも相談をしながら適切な考え方で決めた方が良いわけでございますので、この場で決めるということではなく、この中の表現はその部分は削らせていただきました。
 それから、今後、私的録音録画補償金制度について、どのような点に留意すべきかというところ、アの最後のポツのローマ数字の(1)のところでございますが、ここのところにつきましては、従来は「今後も国際条約や」という形で、「大きな留意を払いながら」というふうに記述してございましたけれども、「やはり国際的な動向との関連というのが重要ではないか」という御意見が出されたところでございました。
 したがいまして、ここのところには、今回の報告書案では、「今後も国際条約や国際的な動向との関連に大きな留意を払いながら」という形で、その文言を挿入したところでございます。
 それから、あともう1点の改正点でございますけれども、同じ部分のローマ数字の(2)の部分でございます。「ユーザーのプライバシー保護の件につきましては、これは音楽に限らず一般的に言えることなので、必ずしも必要なのかどうか」という御意見も賜ったところでございました。ここのところにはいろいろ議論もあったわけでございますが、最終的には「『留意して』ということでどうか」というような御意見も出されたことも踏まえまして、ここの表現ぶりは「ユーザーのプライバシー保護にも十分留意しなければならない」、このような書き方でまとめさせていただいたところでございます。
 以上、修正を施した点につきまして、御説明をさせていただきました。その他の部分につきましては、図等に若干変更はございますけれども、本文につきましては全て前回のとおりとなっているところでございます。以上でございます。

(中山主査) はい、ありがとうございました。それでは、早速意見交換に移りたいと思います。
 まず、初めに「権利制限の見直し」につきまして、御意見を頂戴したいと思います。何か御発言のある方はお願いをいたします。よろしゅうございますか。どうぞ、苗村委員。

(苗村委員) 非常に小さなテニヲハで恐縮です。52ページ、先ほどたまたま修正をした部分の御説明をいただいた部分ですが、(注)の中に「二重徴収に当たらない」とする意見と「当たる」とする意見がありますが、「当たらない」とする意見の2行目で、「ダウンロードに際しての複製」の後、多分「に」が抜けているのだと思います。
 それから、その次の「二重徴収に当たる」とする意見で、これは意味は分かるのですが、少し表現を変えていただいた方が誤解が少ないと思いました。2行目で「徴収した上で『補償金』を徴収する」と書いてあるのは、「徴収する他に『補償金』を徴収する」と書いた方が良いのではないかと思います。
 といいますのも、実はこの問題は大変面白いので、私がたまたまこの関係の授業を担当している2つの大学で、この「審議の経過」を読ませて、この部分について特に意見を書かせたら、学生がかなり勘違いをしていまして、要するに「後で補償金を取られるのか」という意味で意見を書いてきたのが非常に多いのです。あえて「した上で」というと、何か過去形になっているということは、後から取るという意味合いにどうも誤解されてしまう可能性があるので、あくまでも事前に取るということが前に書いてあるのですが、二重徴収というのは、補償金を前払いにして後でダウンロードするごとに取るという意味だと思いますので、単に「した上で」と書かないで、「する他に」と書いたら、同じことだと思うのですが、テニヲハとして正しいのではないかと思います。以上です。

(中山主査) 最初のダウンロードに際しての複製、これは確かに「に」が入った方がよろしいですね。これは単なるミスです。次は「徴収した上で『補償金』を徴収する」というと、これは事後的に徴収するように見えてしまう。つまり、機械に課しているようには見えない。この点はどういたしましょうか。私は制度を知った上で読んでいるせいか、全然誤解はしなかったのですけれども。

(甲野著作権課長) 御意見を踏まえまして、修正についてはまた、主査とも相談させていただきたいと思います。

(中山主査) では、そこは意味は全く同じですので、修文の方はお任せいただければと思います。他に御意見ございますでしょうか。
 それでは引き続きまして、「私的録音録画補償金の見直し」につきまして、御意見を頂戴したいと思います。この点はいかがでしょうか。かなり議論をした問題ですので、この点もよろしゅうございますか。
 よろしいですね。それでは、この点も了承したことにいたしまして、引き続きまして、「デジタル対応」、「契約・利用」、「司法救済」の各ワーキングチームの結果につきまして、御意見を頂戴したいと思います。この点はいかがでございましょうか。
 かなり大部ですけれども、事前にお読みいただいているところでございますので、この点もよろしゅうございますか。
 それでは引き続きまして、「裁定制度の在り方」につきまして、御意見を頂戴したいと思います。この点はいかがでしょうか。
 それでは全体を通してで結構でございますけれども、何かまた問題点がございましたら、御意見ございましたら、頂戴したいと思います。
 よろしいでしょうか。では茶園委員、どうぞ。

(茶園委員) 報告書自体のことではないのですけれども、権利制限の中で、例えば薬事に関わるものは継続検討するとされており、また図書館等に関しましても今後何か具体的な提案が出た段階でまた検討するとされていますが、これはこの報告書ができた後で、この小委員会においてそういった情報が出されて、それに基づいて検討を続けるというように理解してよろしいのでしょうか。

(甲野著作権課長) まだ検討途中ということでまとめられたわけでございますので、「引き続き課題を待って」というものにつきましては、課題を出していただいた上で、それについてどうこうということをやらなければいけませんし、「引き続き」というふうにはっきり明記されているものにつきましては、引き続きやはり検討をお願いしたいと思っております。これは来年以降でございますけれども、その節にはまたよろしくお願いしたいと思います。

(中山主査) はい、そういうことでよろしいですか。他に御意見等ございましたら。
 よろしゅうございましょうか。大幅な修正意見がなかったようで、苗村先生の御意見が出まして、そこだけは文章を検討させていただきましたけれども、全体としてこれで御了承いただいたということにしてよろしゅうございましょうか。

〔異議なしの声あり〕

 はい、ありがとうございます。それでは後日、事務局より(案)をお取りしたものを、各委員に改めてお送りするということで、それでよろしいですね。先程の苗村先生の部分だけなのですけれども、もう1度お送りするということで。そこは取扱いはどうしましょうか。あの1行だけで、これをまた全部送るというのは大変だと思うのですが。

(甲野著作権課長) 最終的に確認できるものを、やはり各委員の先生方にはお送りをさせていただきたいと思います。メールの形か、あるいは印刷物かは少し考えさせていただきます。

(中山主査) では、その辺りの手段はお任せするといたしまして、一応これで御了承いただいたものとして扱わせていただきたいと思います。
 なお、この報告書につきましては、来年1月に予定しております著作権分科会において、私から報告をいたしまして、分科会において御審議をいただいた上で公表をするということになっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
 それでは報告書を取りまとめるに当たりまして、事務局から一言御あいさつを頂戴できればと思います。

(加茂川文化庁次長) それでは、事務局を代表して御礼のあいさつを申し上げたいと思います。
 本小委員会におかれましては、今年の2月の末からだったと思いますけれども、10回にわたりまして大変熱心な御審議をいただきましたことを、中山主査はもちろんでございますけれども、各委員の御努力と御尽力に心から御礼を申し上げたいと思います。
 改めて申す必要もないかもしれませんが、この10回の審議を通じて、権利制限の見直し、それから私的録音録画補償金制度の問題、ワーキングチームではデジタル対応、契約・利用、司法救済、そして裁定制度に至るまで、幅広い課題について御審議をいただきました。また、今日最終チェックをしていただきましたが、おまとめいただいた報告書にはそれらの課題について大変貴重な御提言をいただいたわけでございます。
 私ども事務局といたしましては、この報告を重く受け止めさせていただきまして、例えば法律の改正が必要になる事項もあるわけでございますから、そういった課題につきましては、速やかにその機会を求めて、適切な対応ができるような努力を重ねてまいりたいと思っておりますし、また報告書の中には引き続き検討すべきとおまとめいただいたこともございますので、これについても今後適切な対応をしてまいりたいと、こう思っているわけでございます。
 いずれにしましても10回にわたる会議について、各委員の皆様方にお忙しい中にもかかわらず、並々ならぬ御努力、御尽力をいただきましたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。
 今回は今期の最後になるわけでございますが、1つお願いがございますのは、当初予定されました課題については幅広く御審議をいただいておまとめいただいたわけでございますが、急に御審議を賜らなければならない、または御相談しなければならない案件が起きました際には、主査に御相談の上に、また皆様方の御協力をお願いすることもあるかもしれませんので、そこはお含みおきを願えれば大変ありがたいと思います。
 大変言葉が足りませんけれども、御礼のあいさつに代えさせていただきます。本当にありがとうございました。

(中山主査) それでは一言私から、御礼の言葉を申し上げたいと思います。10回にわたる審議で、しかも普通の審議会と違って1回3時間という長丁場の審議をお願いいたしまして、誠にありがとうございました。特にシリアスな問題である補償金、これにつきましては慎重な検討を頂戴したわけであります。
 この問題はどのような結論になろうとも将来に大きな宿題を残すという、そういう大きな問題でございまして、今後も皆様方の御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 それから、各ワーキングチームですけれども、これは非常に熱心に検討していただきまして、立派なリポートを出していただきました。前分科会長の斎藤先生からは、昭和40年代の審議会の報告書は立派なものが多かったけれども、最近は質量ともに低下しているという厳しいお言葉を頂戴いたしましたけれども、今回のワーキングチームのリポートのおかげで、40年代に勝るとも劣らない立派な報告書ができたのではないかと考えております。ワーキングチームの方々には本当にありがとうございました。
 今日で今期の小委員会は終了でございますけれども、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、本日の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。


(文化庁長官官房著作権課)

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ