.私的録音録画補償金の見直しについて3 検討結果本小委員会においては、本年2月、補償金制度に関し、著作権分科会「著作権制度に関する今後の検討課題」が示した各課題について検討を開始したが、検討の過程において現在の補償金制度が抱えるさまざまな問題点が指摘された。したがってこの報告においては、まずは、この制度がこれまでわが国において果たしてきた役割や意義とあわせて、指摘された問題点等について述べることとし、それを踏まえたうえで、著作権分科会の示した各項目についての検討結果その他を記すこととしたい。 (1)補償金制度の意義 平成4年に導入されたわが国の補償金制度については、現在様々な問題が指摘されているものの、私的録音録画が一般的に自由とされ(15)かつ実際にデジタルによる録音録画が広範に行われている現状(16)の下で、これまで一定の機能を果たしてきた。 (2)補償金制度を巡る諸課題 他方、本小委員会においては、補償金制度の制度上あるいは運用上の問題や、制度の前提となっている状況の変化等について、以下のとおり指摘されたところである。 (15)ただし、平成11年の著作権法改正により、私的使用のためであっても「技術的保護手段を回避しておこなう複製」は「自由」ではなくなった。 (16)脚注14の法改正や技術の進展によりDRMは様々な分野において普及しつつあるが、CDについては、MDへの複製を一世代のみに限定するDRM(SCMS方式)はMD機器に広く普及されているが、汎用機からCD‐Rへの複製に対しては、DVD、音楽配信、デジタル放送の場合と異なり、いまだ本格的にDRMが採用される状況にいたっていない(表「デジタル環境下における主なDRMの例」参照) ○指摘された制度上の問題点
○指摘された運用上の問題点
○現在の補償金制度の前提となる状況の変化
(17)もっとも、DRMの普及については、その社会的なコストがどの程度か見極める必要があると共に、ユーザーのプライバシー保護が十分である必要がある。 (3)検討の結果 以上のような、補償金制度の導入の経緯や意義、さらに問題点の指摘を踏まえ、本小委員会としては以下の結論を得た。 ○著作権分科会が示した各検討事項について
(18)著作権法第30条第2項は、機器と媒体を分離して規定しているが、機器や媒体の指定は、国民の権利・義務に直接関連する事項であることから、条文は厳格に解釈する必要があり、現在の条文で想定されていない「内蔵型」指定をするためには、法律の規定ぶりを変更する必要がある。 (19)現在販売されている「内蔵型」機器については、パソコンは別として他の機器への直接の複製が不可能となっているものが多く、また、私的複製の対価はレンタルや配信サービスを受ける際の料金に織り込み済みであるとの意見もあり、これを補償金の対象とすることについて、各方面の理解を得るには至っていない。
○私的録音録画補償金制度の課題について ア.私的録音・録画についての抜本的な見直し
イ.現在の制度の運用上の改善
|
Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology