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文化審議会著作権分科会(第15回)議事録

  日時   平成17年2月28日(月曜日)午後1時30分〜午後2時22分

  場所   霞ヶ関東京會舘35階「シルバースタールーム」

  出席者
(委員)
入江,大林,岡田,加藤さゆり,加藤幹之,角川,金井,神山,後藤,佐藤,里中,瀬尾,大楽,土肥,野村,松田,三田,村上,森,紋谷の各委員
(文化庁
加茂川次長,森口長官官房審議官,吉川著作権課長,池原国際課長
ほか関係者

  議事次第
  開会
  委員及び文化庁出席者紹介
  議事
(1)   文化審議会著作権分科会長の選出について
(2)   文化審議会著作権分科会運営規則等の制定について
(3)   文化庁次長あいさつ
(4)   小委員会の設置等について
(5)   その他
  閉会

  配布資料
資料1 文化審議会著作権分科会委員・専門委員名簿
資料2−1 文化審議会著作権分科会運営規則(案)
資料2−2 文化審議会著作権分科会の議事の公開について(案)
資料3 小委員会の設置について(案)
参考資料1 文化審議会関係法令等
参考資料2ー1 著作権法に関する今後の検討課題(平成17年1月24日文化審議会著作権分科会)
(※文化審議会著作権分科会 諮問・答申へリンク)
参考資料2ー2 「契約・流通小委員会」検討状況報告
平成17年1月24日文化審議会著作権分科会(第14回)配布資料へリンク
参考資料2ー3 「国際小委員会」検討状況報告
平成17年1月24日文化審議会著作権分科会(第14回)配布資料へリンク

部会・小委員会委員名簿

  議事内容

【吉川著作権課長】 それでは、まだ到着されていない委員の先生方もいらっしゃいますけれども、定刻になりましたので始めさせていただきます。
 ただ今から、文化審議会著作権分科会の第15回を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。私は課長の吉川でございます。本日は第5期の文化審議会著作権分科会の最初の会議でございますので、後ほど分科会長を選出していただくこととなりますけれども、それまでの間、私が進行させていただきますので御了承をお願いいたします。
 それでは初めに、委員の御紹介をさせていただきます。配布資料1の名簿の順に御紹介をさせていただきます。石井委員でございますが、本日は御欠席でいらっしゃいます。入江委員でいらっしゃいます。

【入江委員】 入江でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 大林委員は遅れていらっしゃいます。岡田委員でいらっしゃいます。

【岡田委員】 岡田でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】 加藤委員でいらっしゃいます。

【加藤(さ)委員】 加藤でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 加藤委員でいらっしゃいます。

【加藤(幹)委員】 加藤幹之でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 角川委員でございます。

【角川委員】 角川でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】 金井委員でございます。

【金井委員】 金井でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 次の金原委員は御欠席でいらっしゃいます。神山委員でいらっしゃいます。

【神山委員】 神山でございます。

【吉川著作権課長】 後藤委員でいらっしゃいます。

【後藤委員】 後藤です。どうもよろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 次の迫本委員及び佐々木委員は御欠席でいらっしゃいます。佐藤委員でいらっしゃいます。

【佐藤委員】 佐藤でございます。よろしくどうぞ。

【吉川著作権課長】 里中委員でいらっしゃいます。

【里中委員】 里中です。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 次の佐野委員は御欠席でいらっしゃいます。瀬尾委員でいらっしゃいます。

【瀬尾委員】 瀬尾です。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 大楽委員でいらっしゃいます。

【大楽委員】 大楽でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 次の辻本委員及び常世田委員は御欠席でいらっしゃいます。土肥委員でいらっしゃいます。

【土肥委員】 土肥でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 次の永井委員、中山委員は御欠席でいらっしゃいます。野村委員でいらっしゃいます。

【野村委員】 野村でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 松田委員でいらっしゃいます。

【松田委員】 松田です。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 三田委員でいらっしゃいます。

【三田委員】 三田です。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 村上委員でいらっしゃいます。

【村上委員】 村上でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】 森委員でいらっしゃいます。

【森委員】 森でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 紋谷委員でいらっしゃいます。

【紋谷委員】 紋谷でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 ただ今大林委員が御到着になりましたので御紹介いたします。大林委員でいらっしゃいます。

【大林委員】 遅くなりまして申しわけございません。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 多くの皆様方につきましては、委員を昨年に引き続いてお引き受けいただきました。今期もまた、積極的な御議論をお願い申し上げます。
 続きまして、文化庁関係者を紹介させていただきます。
 加茂川文化庁次長でございます。

【加茂川文化庁次長】 よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 森口文化庁長官官房審議官でございます。

【森口文化庁長官官房審議官】 よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 池原国際課長でございます。

【池原国際課長】 よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 川瀬著作物流通推進室長でございます。

【川瀬著作物流通推進室長】 よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 山口著作権調査官でございます。

【山口著作権調査官】 よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは議事の1番、著作権分科会長の選出に移らせていただきます。
 選出方法につきましては、参考資料1の3ページにございますが、分科会に属する委員の互選により選任することとなっております。事務局といたしましては、前期に副分科会長をお務めいただきました野村委員に、分科会長をお願いしてはどうかと存じますけれども、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉川著作権課長】 それでは、御異議がないようでございますので、野村委員を分科会長として選出することで御了承いただきたいと思います。それでは野村委員には大変恐縮でございますが、分科会長席のほうへお移りいただきたいと存じます。また、これからの議事進行につきましては、野村分科会長にお願いいたします。

【野村分科会長】 ただ今選出いただきました野村でございます。私、もともと専門が民法でありまして、著作権法はあまり専門にしておりませんが、昭和60年に、当時の著作権審議会に、文化庁の方から、専門でない人をぜひ委員に入れたいという方針だということでお引き受けしました。それからほぼ20年たちまして、おそらく委員の中で一番長くなってきたのかなと思います。あまりお役に立てるかどうか分かりませんけれども、お引き受けするということにいたしました。
 前期の著作権の分科会では、著作権法に関する検討課題というのをまとめて、これが今後何年間かのこの分科会の大きな宿題になっておりまして、特に今期は、その最初ということで、その成果が問われるということであろうかと思います。ぜひとも皆様の御協力を得て、よりよい結果を出したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それではまず、文化審議会令の第5条第5項の規定に基づきまして、分科会長の代理として、副分科会長を指名したいと思います。私としましては、本日は御都合により御欠席されておりますけれども、中山委員を副分科会長として指名させていただくということにさせていただきたいと思います。
 それではまず、事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

【山口著作権調査官】 本日の配布資料につきましては、議事次第を記載した1枚ものがございまして、その下の部分が資料一覧となっております。内訳は、資料1が委員名簿、2−1が運営規則(案)、2−2が議事公開(案)、3が小委員会の設置(案)となっております。このほか、参考資料1として関係法令等、2−1として前期の分科会で御了承いただきました「著作権法に関する今後の検討課題」、参考資料2−2及び3としまして、契約・流通、国際の両小委員会の前期における検討状況報告となっております。
 以上、お手元を御確認いただければ幸いでございます。

【野村分科会長】 よろしいでしょうか。
 それでは、次に著作権分科会の運営に必要な事項として、文化審議会著作権分科会運営規則と議事の公開の方針を決定したいと思います。資料2−1及び2−2について、事務局から御説明をお願いいたします。

【吉川著作権課長】 まず、資料2−1でございますけれども、運営規則でございます。これは基本的には前期と変わっておりませんので、説明の必要がほとんどないと存じます。
 それから資料2−2でありますけれども、これは議事の公開について定めるものでございます。この根拠は、資料2−1の3ページの第4条第2項の「分科会の会議の公開に関し必要な事項は、別に分科会長が分科会に諮って定める」という規定でございます。
 基本的に、これも前期から大きな変更はございませんが、細かなところで、会議の傍聴、3−(1)、(2)、(3)のそれぞれ「会議開催日の3日前」のところ、これはこれまで「前日」となってございましたけれども、締切日を前日とすると、傍聴希望者への連絡が遅れますので、3日前としております。2日前には、傍聴希望者へ連絡が行くようにと配慮をしたものでございます。この点が主要な変更点でございます。残りは前期の決定と同じ案になっております。
 以上でございます。

【野村分科会長】 それでは、ただ今御説明にありましたように、議事の公開の方針については、前期に議事の内容の公開を一層進める観点から、規則を改めたところでございますが、今期も原則として、一般に公開した形で開催するという案でございます。このことについて、何か御意見ございますでしょうか。
 特に御意見がないということでしたら、原案のとおり、分科会の決定ということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【野村分科会長】 なお、本日、議事の(4)におきましては、小委員会の設置の決定とあわせて、分科会長である私から部会及び小委員会への委員の分属の指名を行うという予定になっております。これは、ただ今決定した議事の公開の方針を参照いたしますと、人事に係る案件というようにも考えられますが、委員の皆様に御審議をいただくという案件ではございませんので、小委員会の設置についての審議とあわせて、私から委員の指名も行うということにして、それも含めて、これ以降の議事を公開により行いたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【野村分科会長】 それでは、これ以後、本日の議事は公開といたします。事務局の方は、傍聴者の入場の誘導をお願いいたします。

(傍聴者入場)

【野村分科会長】 それでは、加茂川文化庁次長からごあいさつをいただきたいと思います。

【加茂川文化庁次長】 失礼をいたします。
 第5期の文化審議会著作権分科会の第1回目の会合でございますので、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、前期から引き続き、あるいは新たに委員になっていただきましたけれども、お忙しい中御就任いただきましたことを、私からも改めて御礼を申し上げたいと思います。
 皆様方、十分御存知のように、政府をあげて、今、知的財産立国に向けた課題に取り組んでおるところでございます。いわゆる知的創造活動の成果について、その保護を図っていくと同時に、利用の促進をする、その調整を図ることが大きな課題になっておりまして、この政府の取組の中でも一つのテーマになってきておるわけでございます。特に私ども文化庁が関係します著作権につきましては、文化発展の基盤である大変大事な要素だと考えておりますところ、この政府の取組の中で、著作権の保護あるいは利用促進との調整をどうしていくかということが、従来にも増して大きな課題になっております。
 これまでも適宜適切に対応してきたと思っておりますが、これもこの分科会における先生方の御審議、あるいは貴重な提言のおかげであると思っておりまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。
 そこで、今期の本分科会でございますが、先ほど野村分科会長からのお話にもございましたように、この1月に、既に「著作権法に関する今後の検討課題」をおまとめいただいておるわけでございます。ここにも示されておりますように、著作権法に関する今後の課題については、いわば問題が山積しておるわけでございまして、関係者の方々からも、検討を深めること、審議の前進が特に強く望まれておるわけでございまして、この会議における検討も、注目されていると思っておるわけでございます。
 皆様方には引き続き検討をお願いすることになりますけれども、お忙しい中、積極的に今後の審議に御参加くださいますように改めてお願いいたしまして、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。それでは次に、文化審議会著作権分科会運営規則第3条第1項、これは資料2−1、2ページにございますが、その規定に基づきまして、小委員会の設置について決定したいと思います。
 今期の小委員会の構成については、資料3に案をお示ししておりますが、これにつきまして事務局から御説明をお願いいたします。

【吉川著作権課長】 それでは資料3を御覧ください。「小委員会の設置について(案)」となっております。
 この1の(1)、(2)、(3)に書いてございます、法制問題小委員会、契約・流通小委員会、国際小委員会を設置していただきたい、こういう案でございます。
 先ほど、分科会長から御説明がございましたけれども、根拠としては、運営規則第3条1項でございまして、「分科会長は特定の事項を審議するため必要があると認めるときは、分科会に小委員会を置くことができる」と、※印をしたところに書いてございますが、このとおりでございます。
 具体的な審議事項は2をごらんいただきたいと存じます。法制問題小委員会におきましては、「著作権法制の在り方」、契約・流通小委員会におきましては、「著作権等管理事業法制の在り方」及び「著作物等の流通を促進するための方策の在り方」、また、国際小委員会におきましては、「国際的ルール作りへの参画の在り方」及び「アジア地域との連携の強化及び海賊版対策の在り方」となっております。
 また、各小委員会の構成でございますが、「著作権分科会長が指名する委員、臨時委員及び専門委員により構成する。なお、著作権分科会長は会議に出席し、随時発言することができるものとする」という提案でございます。
 その他でございますが、「各小委員会における審議の結果は、分科会の議を経て公表するものとする」、また、(2)といたしまして、「議事の手続き、その他各小委員会の運営に関し、必要な事項は、当該小委員会が定める」、以上のような設置に関する御提案でございます。よろしく御審議をお願い申し上げます。

【野村分科会長】 ただ今御説明ありましたように、小委員会の設置については、前期の小委員会と同様に、法制問題小委員会、それから契約・流通小委員会、国際小委員会の三つの小委員会を設置して、前期の小委員会から引き継いだ検討課題について御検討をいただくということでございます。これにつきまして、御意見がございましたらお願いしたいと思います。
 それでは、特に御意見がないということでございますので、小委員会の設置につきましては、資料3のとおり、分科会の決定とさせていただきます。
 使用料部会と小委員会に分属をお願いする委員につきましては、文化審議会令第6条第2項及び文化審議会著作権分科会運営規則第3条第2項の規定によりまして、分科会長が指名するということになっております。そこで、使用料部会及び各小委員会に属すべき委員を記した名簿を事務局に用意していただいておりますので、これから皆様にお配りしたいと思います。それでは事務局の方、よろしくお願いします。

(事務局より資料配布(※名簿へリンク)

【野村分科会長】 それでは、部会、小委員会の委員名簿、皆様のお手元に届きましたでしょうか。
 それでは、その名簿に記載したとおり、委員の分属の指名をさせていただきますので、委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【金井委員】 全員分属になるんですか。分科会の会員は全員どこかに分属するという形になるんですか。

【吉川著作権課長】 必ずしもそうなっているわけではありません。

【金井委員】 どこにも入らない人も出るということですか。

【吉川著作権課長】 はい。従来からそういうケースもあります。

【金井委員】 一応、日本弁護士連合会では、できればどこかの分科会に参加をさせていただきたいという要望を出していたんですけれども。そういうお話は伝わっていなかったのでございましょうか。あるいは。

【吉川著作権課長】 実は、そのようなお話は聞いていなかったわけであります。

【金井委員】 もちろん、要望として日本弁護士連合会から出すということだったんですけれども。

【吉川著作権課長】 そうですか。事務局のほうには伝わっていないということでございます。

【大林委員】 確認なんでございますが、法制問題の小委員会というのは、専門家の方がお集まりいただいて、専門的な見地からということで、当事者がいないということは、ポリシーは変わらないということでよろしゅうございますか。

【吉川著作権課長】 はい。

【野村分科会長】 それは、前期からそういう方針でやっているということでありますし。日弁連のほうはどうしましょう。本日のところはこれで指名させていただいておいて。

【金井委員】 できれば、日弁連、今、こちらの分科会、特に法制問題なんかの議論をフィードバックしたいなという希望がありまして、そういう意味で、希望を出していたわけなんですけれども。

【吉川著作権課長】 その要望自体が文化庁には全く伝わってきていないという点が一つございます。それからもう一つは、これは特に消費者の意見を法制問題の検討に反映させるという観点から、例外的に消費者の団体を代表される加藤委員にはお加わりいただいているんですけれども、あとの方は、基本的に団体を背景とすることなく選出させていただいている方々によって構成されております。したがって、弁護士の先生方は、個人としてお入りいただいているところがございます。基本的には、そのような考え方で構成されております。
 御要望は御要望として、必要に応じ、直接お話をさせていただきたいと存じますが、そのような考え方の下に構成されているということでございます。

【野村分科会長】 それでは、本日のところは、ただ今お配りした名簿のとおりということで、指名させていただくということにしたいと思います。それでは、まだ時間は十分ございますので、御出席の委員の方々から、今後それぞれの小委員会において検討を進めるに当たって留意すべき点などを御自由に御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。はい、どうぞ。角川委員。

【角川委員】 2週間ほど前ですけれども、NHKで「ハウルの動く城」がコピーされたといったニュースが流れたことは、皆さん御記憶だと思います。実は宮崎さんの作品のみならず、角川映画「着信あり2」を含め、邦洋話題作がほとんど網羅されていました。今回の、海賊版が摘発された例を見ますと、シネコンにビデオを持ち込んで、それで固定したビデオで撮影しているのが特徴だったんじゃないかと思います。画像は揺れていないんですけれども、観客の動く姿が映っておりました。
 現状、映画館で海賊版を頒布する目的で撮影しているのを取り締まるというのが、著作権法は、まだなかなか根拠が弱いということだと思っております。
 DVDパッケージの海賊版の取締りにつきましては、レンタルショップ、あるいはセルビデオ店で、海賊版を展示している段階で、警察の方々に取り締まっていただいているという現状がございます。映画関係者として申し上げれば、ちょっと類似しているというふうに感じておりまして、映画館で明らかに海賊版頒布を目的に撮影しているということがありましたら、それを取り締まることができることを規定していただきたいなという希望があります。

【野村分科会長】 何かこれについて関連して御発言ございますか。松田委員、どうぞ。

【松田委員】 シネコンでビデオを固定して撮っている状態であれば、それは当然に複製権の侵害の最中なので、もちろんそういう情報が事前に入って、仮処分をとるってかなり難しいと思うんですけど。もう一つは、その会場の管理権がありますから、それで事実上、ガードマンさんたちにその排除を指示するということは、これまた適法だろうと思います。
 したがいまして、今、著作権法で特にこれに対処しなければ、そのような明々白々な違法の状態を排除することができないというわけではないと、私は考えますがいかがでしょうか。

【野村分科会長】 よろしいでしょうか。

【角川委員】 よろしいでしょうか。それについてちょっと。現実に、シネコンの管理権で取り締まるということがなかなか難しい感じがしております。「”私的録画”をして何で悪いんだ」ということで居直られたとき、これは実態としてやくざとシンジケートが絡んでおります。命の危険にさらされること、傷つけられるようなことも覚悟して、ほんとうに貧弱な労働環境の中で、シネコンの人がそれを摘発するということについて、「法律がありますのでそれは禁じております」ということをきちっと言えるような立場が欲しいんですね。これは、後々、国際小委員会でも国際的ルールづくりの在り方について、あるいはアジアの地域における連携の強化、海賊版対策の在り方という観点で取り上げられると思いますけれども、この分科会のほうでもそれについての認識を深めておいていただきたいと思います。おそらく、アメリカから、あるいはヨーロッパの先進国から、映画館における不正コピーの問題が非常に深刻な状況になっておりますので、日本だけではなく取り上げられると思います。

【野村分科会長】 今の著作権法のシステムですと、松田委員も言われましたけれども、違法コピーの対応まで踏み込んで禁止していくという仕組みにはおそらくなっていないし、それを始めるとあらゆるパターンを取り上げないと、かえって逆に穴があいてしまうということもありますので、むしろ、著作権法の外側で、いかに実効性を担保するかという問題かなと感じています。

【松田委員】 著作権に絡んで、実は暴力団が背景にあるというのは、ときどき私どもも体験いたしますし、それから聞くこともあります。例えば、秋葉原あたりでは、明白に違法な作品や、それからソフトウエアを街頭で売っているんです。外国人が売っているんですね。ところがそれを全部手配しているのは、中国人の元締めがいて、その背後には日本の暴力団がいるということは、これは大体わかっているんですね。今のシネコンビデオの件についても、そういうのがもしかあるんだとすれば、これはもう著作権法の問題も考えなきゃいけないかもしれませんが、むしろ、そういう執行をどうするかということを考えましょうよ。それで、お隣の金井先生、まさに日弁連から出ているわけですから、日弁連、そういうことで、権利者の実効を、ほんとうに明々白々、この場合は白か黒なわけでして、こちらは白の立場で戦えるわけですから、何かそういう構造をつくり上げるということで、協力体制が組めると思いますが、どうでしょうか。ぜひ金井委員から、知財の本部がありますので、そういうところで1回話し合いなど設けて、むしろ暴力団と弁護士が戦うという図式をつくらないといけないと思っております。これが本当の法の支配を徹底することだと思います。私も微力ながら、お手伝いすることがあれば行きます。

【金井委員】 持ち帰ってちょっと聞いてみます。

【野村分科会長】 ほかに。紋谷委員。

【紋谷委員】 今の問題ですね、私的使用の複製だと言われたらどうするのかという問題との兼ね合いで問題を出されたと思うんですね。ヨーロッパやなんかでは、美術館や博物館に入るときに、昔の話ですけど、当時日本製のカメラを持っていくとすごくよく撮れるという発想がありまして、入口で一筆書かされるんです。それで、そういう経験もあります。それで、先ほどちょっと、所持に関して話が出ましたけれども、あれは貸与権を認めた後ですね。貸与したという立証が難しい。相手に貸してある、貸さない時には、そのまま置いてあるわけです。そこで、貸与の立証が難しいので、それを取り締まるために所持というのを置いたんですね。
 ですから、そういう経緯と今回の問題はちょっと違う。頒布目的かそうでないかということで違いが出てくるわけですね。ですから、これ一概に、即座にやるのは難しい問題があるかと思います。
 ですから、今考えられる一番簡単なやり方は、会場管理権で、入口で何か持っているものを預けさせるなり、一筆とるなりというのが、ある意味では効果的なのかなという程度のことを、私、感じております。もう少し後で、詳しく検討する必要があるかと思います。

【野村分科会長】 どうもありがとうございました。ほかに御意見。別の問題でも結構です。はい、三田委員、どうぞ。

【三田委員】 教育と福祉の問題について一言述べさせていただきます。
 教育と福祉については、三、四年前にワーキンググループがつくられまして、随分と議論を重ねてまいりました。結果としては、学校で生徒さんがコピーをとるということを権利制限の拡大として認めただけで、それ以外の問題については、結論が出ないままに終わっております。その後、当事者間だけで協議会を続けてまいりましたが、まだ大きな進展はありません。というふうに、大変難しい問題であります。
 昨年度からは、法制問題小委員会は、当事者を全く抜きにして、大学の先生方と弁護士の方々で議論をするということでありますけれども、現状がどうなっているのかということが正確に伝わっておりませんと、なかなか議論も進まないだろうと思います。
 福祉に関して申しますと、視覚障害者の方々のために音訳図書をつくるというのが非常にわかりやすい話なんですけれども、現在は、例えば寝たきりの高齢者の方とか、筋ジストロフィーの方、それから学習障害といいまして、文字一つ一つは読めるんだけれども、文章として理解できないお子さんがいらっしゃいます。こういう方に音訳図書――朗読ですね――を聞かせてあげますと、非常に学習が進む。それができないと、その方はいわゆる知的障害に至るおそれがあるということであります。ですから、そういう方々にも自由に音訳図書が聞けるようにというのは、緊急の課題でありまして、成長期にあるそういうお子さんにとって、1年、2年、制度の改革がおくれますと、その方の生涯にとって重大な影響が出るということでありますので、福祉関係については、なるべく早く解決をしていただきたいと考えております。
 ただ、これは難しい問題がありまして、ほんとうにどの程度の障害があるのかとか、寝たきりの老人というのも、ほんとうに寝たきりなのか、ずぼらで、寝たままで、寝転がって音訳図書を聞けたらいいなという程度なのかという判別をしていただきませんと、特に出版社などではそういう形で図書館などに行って音訳図書がかりられるのであれば、本は買わなくていいということになってしまうということで、非常に出版社などでは警戒感があります。
 そのあたりの区別をどういうふうにしていくのかというのが、非常に重要な問題でありますので、十分に御検討をお願いしたいと思います。
 それから教育について一言申し上げますと、教育については、実は逆でありまして、学校の先生は、担任に限ってはコピーをつくっていいということになっているんですけれども、これはおそらく、ガリ版刷りのようなものをつくっていた時代の話だろうと思います。
 数年前から、学校で使っております教材――学習教材ですね――教科書準拠のドリル等でありますけれども、こういうもの、業者が学校に売り込んで販売しているものについては、これは著作権使用料を払わないといけない。その出版社が払うんですね。ですから、著作者はお金をいただいております。
 もし学校で担任の先生がプリントをつくりますと、最近ではパソコンとプリンタを使えば、こういう専門の業者がつくっているドリルとまったく品質的に同じものが活字になってできるわけですね。ですから、業者から買うと著作権使用料が払われているのに、担任の先生が同じ品質のものをつくっても払われないというのは、これは著作者の権利を著しく侵害している事例に当たるのではないかなと考えております。
 それからもう一つは、担任の先生というのは50人ぐらいのクラスを担任しているわけです。もちろん、中学の国語の先生は、幾つかのクラスを担任しておりますけれども、大きな学校になりますと、複数の先生が一つの学年を分けて受け持つということがあります。そういうところで、中間考査や期末考査、あるいはみんなで使う副教材のようなものをつくりますと、これは担任以外の先生がつくったものが使用されるということになります。それから、今、学校では、皆コンピューターを使います。すると、学校にサーバーがあるわけですね。すると、ある学年の先生がつくった副教材が、そのサーバーの中に入りますと、次の学年の国語の担当の先生が、それをまた引き出して使うということになります。これも担任以外の先生がつくったコピーを使うということになりますので、これなんかは明らかに法律に違反しております。
 この問題は大変複雑でありまして、簡単に権利制限を拡大するとか、そういう形でやってもらっては困るというふうに我々は考えております。
 実際に、我々は今、東京中心なんですけれども、私立の中学、高校の先生方と話し合いをしまして、学校の中でいろいろな教材をつくるときに、著作権というものが障害になって自由に教育ができないというのは、現場の先生方にとっても大変なストレスでありますので、わずかな補償金を払っていただくことですべての問題を解決するというシステムを、今度の4月から実施することになっております。これはほんとうにわずかなお金なんですけれども、それで権利をはっきりさせて、それで実際に学校でさまざまなコピーをつくっていただくということにしております。
 こういうふうに民間のほうで話し合いが進んでおりますので、何か、こういう審議会で暴力的に権利制限を拡大するというような形で、著作者の権利の侵害が広がるということがないように、要望としてお伝えしたいと思います。
 以上です。

【野村分科会長】 ほかに。あるいは今の御意見についてございましたらどうぞ。今の三田委員の御意見も、課題としては法制問題小委員会の中に入っておりますので、いずれ議論される機会があろうかと思います。ほかにいかがでしょう。

【神山委員】 全くのフリートーキングの場と理解してよろしいですか。

【野村分科会長】 はい。

【神山委員】 実は私、著作権法でいつも疑問に感じていることが一つあるんですね。これはかなり基本的なことなんですけれども、2条の「著作物の定義」なんですね。これが、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの」、こういう定義がされているんですね。
 ところが、実際問題で、世の中にある著作物というのがこの定義でおさまっているんだろうか。
 例えば、10条以降に例示がありまして、最後に「プログラム」とある。プログラムっていろいろあるんでしょうけれども、例えば企業の中で使われている単純な経理処理とか、在庫管理とかのプログラム。これは思想または感情をあらわしているんでしょうか。あれは文芸、学術のどこの範囲に入るんでしょうか。
 これは言葉の定義というか、理解の仕方かもしれませんけれども、ごく普通の日本語の感じから言うと、どうもここに当てはまってくるとは思えないような気がします。
 それから、例えば最近ですと、携帯電話なんか皆さんお持ちですけど、あれの取扱説明書っていうのがございますね。結構分厚いのがある。企業がつくるああいうもの。あれは、最近なかなか表現にも工夫されているものがあって、十分著作物にたえるだろうと私は思っているんだけれども、あれは思想または感情をあらわしているんでしょうか。文芸、学術のどこに入るんでしょうか。
 どうも、現実に――もし裁判をやれば、十分著作物として裁判所も認定してくれると私は思うんですけれども、しかし、2条の「著作物の定義」というのを、ごく素直に、日本語の感覚で読むと、かなり限定されてきてしまうような気がするんですね。現実に世の中に流通している著作物。おそらく、企業の中でつくられるような報告書、企画書というようなものから始まって、私どもは新聞社なんですけれども、新聞記事まで含めてというふうに、実用的というか、実務的な著作物というのが、この定義ではかなり排除されてしまうんじゃないかという気がしてならないんですね。
 これは、法制問題小委員会で、ある程度時間をかけて議論されなきゃならない問題だろうと思うんですが、日ごろ非常に疑問に感じていることなので、こういう際なのでちょっと意見を言わせていただきました。

【野村分科会長】 これについてはなかなか大問題ですけれども、法制問題の小委員会でも、著作権法の用語等の見直しというのが、一応課題の中に入って入るんですけれども、今の段階で、事務局のほうで何かございますか。

【吉川著作権課長】 今の御意見は、正直言って、私のように1年何カ月前に急に著作権課に来た人間の持っている感想と、わりと近いことをおっしゃっていただいたと思います。細かく法文を読んでいくと、歴史的な経緯があって、それでおさまっている部分というのがあるように思います。ですから、国語的に読み進めてみるとどういうふうに読むのかなと思うようなところが、正直言ってございます。
 今後の課題の中に「表現・用語の整理等」という事項もを挙げていただいていますので、用語や表現の問題として対応を検討することになるものと思います。3年間、ないしはもう少しこぼれるかもしれませんけれども、今後の検討の中で取り扱っていくべき貴重な御指摘だと受け取らせていただきました。

【野村分科会長】 それではほかに御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい、どうぞ。大林委員。

【大林委員】 新しい、今年度の会ということで、前回、最後のときに申し上げましたが、著作権法に関する今後の検討課題というのがこのまま引き継がれ、議論されるんだと思いますが、私どものほうでも、実演家としては、保護期間の見直しというのをもう1度ここで申し上げさせていただきたいと思います。死後50年から70年になっていく著作者のほうと違いまして、著作隣接権のほう、特に法人ではない個人、自然人である実演家のほうは、起算の時点が違うことによる不利益と申しますか、生存中に期限が切れてしまうという大きな問題を抱えておりますので、これはぜひぜひ取り上げていただきたいと思っております。
 くどいようでございますが、2ページのところの、これは著作者ということは書いてありますけれども、それは書いていないものですから、ここで申し上げたいと思います。
 それから、私的録音、録画に関しましても、これはぜひ、検討を続けていっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。実演家の総体的な、経済的な権利問題に関しましては、できるだけ流通を考えながらも、なおかつプロデューサー、制作者、そういった方々も含めて、著作物をつくり上げていく人たちに等しくいろいろな権利が及んでいくという方向性を、ぜひ守っていただきたい。現場のほうもぜひ大切にしていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【野村分科会長】 どうもありがとうございます。では岡田委員、続けてお願いします。

【岡田委員】 今の著作権法に関する今後の検討課題、先日の会議で、これを実現に向けて、半年から3年を見ていますとおっしゃって、今、あちらの方の御質問で、3年でこぼれるかもしれないが、文言に関してもというようなお話でしたが、6カ月から3年といわず、急ぐものはほんとうに早急に、1カ月、2カ月、3カ月で結論を出して、実行に移してもらいたいと思っております。
 先日お話しをした私的録音録画補償金の問題のことです。よろしくお願いいたします。

【野村分科会長】 それぞれの問題で、時間の長短というのはいろいろあると思いますけれども、結論が出ればどんどん実施していくということは、おそらく事務局のほうも異論がないと思いますので。
 はい、どうぞ。瀬尾委員。

【瀬尾委員】 先ほどの法制問題小委員会の構成の件と、それから今の文言の定義の件、二つちょっと絡んでいると思うんですが、実は、前年度の法制問題小委員会の各委員の方々へのアンケートの中で、その定義について、比較的扱いやすいものから取り上げるべきではないかということで、何度も繰り返してしまいますが、ビデオの静止画は写真ではないとすることを正式に決めたほうがいいというお話が、これは取り組みやすいために先にやるべきではないかという意見があったように思います。
 実はこれは、写真という現場からしますと、非常にゆゆしい問題なので、こういう、先ほどの学者の先生方、また弁護士の先生方、あと消費者団体の皆さんの議論の中で、現場とかけ離れた結論が早急に出されてしまうことに対して、非常に大きな危惧を抱いております。ですので、現場と実態を、そちらのメンバーの中でも非常に突っ込んだ部分でお考えいただいた上で、法制問題小委員会の結論を出していただきたい。これに対する危惧がございますので、小委員会に対するお願いでございます。
 以上です。

【野村分科会長】 今の点につきましては、法制問題小委員会は、法律の専門家中心に構成されておりますけれども、実態については十分理解した上で議論を進めたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
 ほかに何か御意見ございますでしょうか。
 それでは、まだ若干時間ございますが、本日の審議は以上にしたいと思いますが、ただ今、いろいろ御意見いただきましたので、各小委員会におきましては、本日の意見も踏まえて検討を進めていただきたいと思います。
 最後に事務局のほうから、連絡事項についてお願いいたします。

【吉川著作権課長】 本日はどうもありがとうございました。次回の著作権分科会につきましては、各小委員会における検討状況等を踏まえて、改めて日程の調整をさせていただきたいと存じます。

【野村分科会長】 それでは、これで文化審議会著作権分科会の第15回を終わらせていただきます。本日は御協力どうもありがとうございました。

── 了 ──


(文化庁長官官房著作権課)

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