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著作権分科会 国際小委員会(第1回)議事録

1 日時:  平成17年4月4日(月曜日)14時〜

2 場所:  経済産業省別館10階 1020会議室

3 議題  
 (1) 国際小委員会主査の選任等について
 (2) 国際小委員会審議予定について
 (3) フォークロアの保護の在り方について
 (4) その他

配付資料
  文化審議会著作権分科会国際小委員会委員名簿
  文化審議会著作権分科会の議事の公開について
(平成17年2月28日文化審議会著作権分科会決定)
  小委員会の設置について
(平成17年2月28日文化審議会著作権分科会決定)
  文化審議会著作権分科会国際小委員会審議予定(案)
  フォークロアに関する論点
  フォークロアに関する参考資料


【参考資料】
  文化審議会関係法令等
(※平成17年2月28日文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第1回)配付資料へリンク)
2−1   文化審議会著作権分科会委員・専門委員名簿
(※平成17年2月28日文化審議会著作権分科会(第15回)配付資料へリンク)
2−2   文化審議会著作権分科会各小委員会委員名簿
(※平成17年2月28日文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第1回)配付資料へリンク)
  平成16年度「国際小委員会」検討状況報告
(※平成17年1月24日文化審議会著作権分科会(第14回)配付資料)へリンク)



午後2時開会
○池原国際課長
 開催をいたします。
 本日は、ご多忙の中をご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、国際課長の池原でございます。
 本日は、国際小委員会の最初の会議でございますので、後ほど主査を選任していただくことになりますが、それまでの間、私が進行をさせていただきますので、どうぞご了解をお願いいたします。
 初めに、今回文化審議会著作権分科会国際小委員会の委員にご就任をされた委員の方々を、あいうえお順でご紹介をさせていただきたいと思います。
 石井 亮平委員でございます。
 上野 達弘委員でございます。
 上原 伸一委員でございます。
 久保田 裕委員でございます。
 児玉 昭義委員でございます。
 菅原 瑞夫委員でございます。
 大楽 光江委員でございます。
 高杉 健二委員でございます。
 道垣内 正人委員でございます。
 平嶋 竜太委員でございます。
 前田 哲男委員でございます。
 増山 周委員でございます。
 松田 政行委員でございます。
 森田 宏樹委員でございます。
 山地 克郎委員でございます。
 山本 隆司委員でございます。
 本日は、井上 由里子委員、奥邨 弘司委員、橋本 太郎委員、田嶋 炎委員がご欠席でございます。
 多くの方々につきましては、昨年に引き続いて委員をお引き受けいただきました。今期もまた有意義なご議論をお願い申し上げます。
 続きまして、文化庁関係者のご紹介をさせていただきます。
 辰野 裕一文化庁長官官房審議官でございます。
 吉川 晃著作権課長でございます。
 川瀬 真著作権課著作物流通推進室長でございます。
 岩松 潤国際課国際著作権専門官でございます。
 伊佐 進一国際課専門官でございます。
 田中 健太郎国際課海賊版対策専門官でございます。
 それではまず、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。

○事務局
 お手元の資料のご確認をお願いいたします。
 資料1、国際小委員会委員名簿、資料2、分科会の議事の公開について、資料3、小委員会の設置について、資料4、国際小委員会審議予定(案)、資料5、フォークロアに関する論点、資料6、フォークロアに関する参考資料、参考資料1、審議会関係法令等、参考資料2−1、分科会委員・専門委員の名簿、参考資料2−2、分科会各小委員会委員名簿、参考資料3、「国際小委員会」検討状況報告、以上です。
 不足等ありましたら事務局のほうまでお願いいたします。

○池原国際課長
 よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、本小委員会の主査の選任をお願いしたいと思います。
 選任方法につきましては、文化審議会著作権分科会運営規則の規定により、本小委員会に属する委員の中から互選により選任することとなっておりますが、事務局といたしましては、前期の主査をお務めいただきました道垣内委員に、今期も主査をお願いしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○池原国際課長
 ありがとうございます。
 それでは、道垣内委員を主査として選任をすることでご承認いただきたいと存じます。
 それでは、道垣内委員には、大変恐縮でございますが、主査席のほうにお移りいただきたいと思います。
 これからの議事進行につきましては、道垣内さんにお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○道垣内主査
 ただいま選任いただきました道垣内でございます。
 私、国際私法という分野の専門でございまして、著作権については必ずしも専門というわけではございませんけれども、それだけにいろいろご質問をさせていただくことも、私自身からあると思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に従いまして、まずは主査代理の指名ということですが、文化審議会著作権分科会運営規則に基づきまして、大楽委員に主査代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○道垣内主査
 次に、議事内容でございますけれども、その前に、本小委員会の会議公開の取り扱いについて、事務局よりご説明いただきます。

○事務局
 資料2をごらんください。去る2月28日、文化審議会著作権分科会におきまして決定された事項についてご報告いたします。
 まず、1、会議の公開でございますが、原則、会議は公開とする。ただし、人事に係る案件など特段の理由がある場合については非公開の扱いになります。
 3、会議の傍聴につきましては、一般の傍聴等、可能です。
 6、議事録の公開につきましては、原則として発言者名を付して公開する。ただし、正当な理由があると認める場合につきましては、議事録の全部、または一部を非公開とすることができることとなっております。
 会議資料の公開につきましては、原則として公開にすることとしております。
 以上が、2月28日の分科会におきまして決定された事項でございます。本決定に基づきまして、小委員会でも議事の公開について進めていきたいと考えております。以上です。

○道垣内主査
 ただいまご説明がありましたように、議事の公開の方針については、議事の内容の公開を一層進めるという観点から、前期に規則が改められたところでございますが、今期も原則として一般に公開するとして開催するということで、分科会においても決定されておりますので、よろしくご承知ください。
 本日は、ここまでは人事に係る案件もあったわけでございまして、非公開でよろしいのではないかと思いますが、これ以降は、本日に予定されております議事の内容を見ますと、特段非公開にするには及ばないと思いますので公開にしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○道垣内主査
 それでは、異議がございませんでしたので、本日の議事は今後公開ということで、傍聴の方いらっしゃるようでしたらご入場いただくように願いいたします。
 (傍聴者入室)
 それでは、第1回国際小委員会の開催に当たりまして、辰野文化庁長官官房審議官より、ごあいさつお願いいたします。

○辰野文化庁長官官房審議官
 それでは、一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、このたび国際小委員会の委員をお引き受けいただきまして、まことにありがとうございます。
 私も、実はこの4月1日に就任したばかりでございますけれども、直前が文化財部長を9カ月やっておりました。この分野におきましても、文化財についての国際的な協力、それからフォークロアにも関わりますが、無形文化遺産をどのように扱うかについて、国際的に大きな議論がなされています。著作権におきましても、国際的な分野からの様々な検討が我が国にとっても非常に重要な課題となっているわけでございます。
 昨年の9月以降、本委員会におきまして、国際的な課題、WIPO(ウィポ)において検討されております放送機関に関する条約への対応のあり方、それからアジア地域との連携の強化及び海賊版対策のあり方につきましてご審議をいただき、本年1月の文化審議会著作権分科会において、これらの検討状況を報告いたしたところでございます。文化庁といたしましては、いただいたご意見等を踏まえまして、国際的な議論にしっかりと対応していきたいと考えているところでございます。
 今期は、残された検討課題といたしまして、フォークロアの保護のあり方、それからデジタル化への対応のあり方などについてご審議をお願いいたしたいと思います。いずれも国際的な著作権課題として極めて重要なものでございますので、活発なご議論をお願いいたしたいと思います。
 大変お忙しい中恐縮ではございますけれども、国際的な著作権課題について、今後の方向性を適切に定めていくことができますよう皆様方の格段のご協力をお願いいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○道垣内主査
 どうもありがとうございました。
 なお、辰野審議官はきょう、国会の関係で途中退席いたします。今すぐご退席でしょうか。

○辰野文化庁長官官房審議官
 ここで失礼いたしますが、またよろしくお願い申し上げます。

○道垣内主査
 では次に、本小委員会の設置の趣旨や、あるいはその審議事項につきまして、資料3に基づきまして事務局よりご説明願います。

○事務局
 お手元の資料3をごらんください。去る2月28日、分科会におきまして決定されました小委員会の設置につきまして報告いたします。
 まず、本年度につきましても、3つの小委員会を設置することが決定されております。法制問題小委員会、契約・流通小委員会、国際小委員会となります。こちらは著作権分科会運営規則に基づきまして正式に決定されております。
 本国際小委員会におきましては、2に書いてありますとおり、国際的ルールづくりへの参画のあり方、アジア地域との連携の強化及び海賊版対策のあり方につきまして、ご審議いただきたいと考えております。
 なお、臨時委員及び専門委員につきましては、分科会長が指名することになっております。
 以上でございます。

○道垣内主査
 これは決まり事ということでございますので、ご了解ください。
 では次に、本小委員会の審議予定につきまして、これも事務局よりご説明願います。

○事務局
 資料4をごらんください。昨年9月2日におきまして、今後の検討事項について審議の上、決定された事項でございます。
 昨年度は、放送条約への対応のあり方、アジア地域との連携の強化及びその海賊版対策のあり方などにつきまして、ご審議いただきました。今年度につきましては、残された課題につきまして検討いただきまして、最終的に報告書を取りまとめたいと考えております。
 1ページめくっていただきますと、今後の審議予定につきまして書いてございます。正式には、年度が始まって初めての委員会でございますので、平成17年度第1回目になります。今回は、フォークロアの保護のあり方について、次回、次々回で、デジタルへの対応のあり方について、その後で、昨年度からご審議いただきましたすべての内容をとりまとめた中間報告案につきまして、ご審議いただきたいと考えております。
 本検討事項案につきまして、修正あるいは追加事項等ございましたら、お願いします。

○道垣内主査
 いかがでございましょうか。資料4の1枚目は、昨年の9月2日に一応決定になっておりますが、同じ合議体ですので、その後の状況の変化によっても必要なことがあれば追加、修正は可能だと思いますが。よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○道垣内主査
 では、大枠はこれということで、その細かくは2枚目の紙に従って審議をしていくということでお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題でございます。本日は、国際的な著作権の課題のうち、特に途上国が関与するものについて検討したいと思います。具体的には、これまでWIPO(ウィポ)、政府間会合で議論されているフォークロアの保護について検討したいと思います。
 本課題は、今後さらに検討が進められる予定ですが、基本的な方向として、我が国がこれらの課題にどのように対処していくべきか、また幾つかの大きな課題について、どのような方針で対処すべきかについてご検討いただきたいと思います。
 それでは、事務局からフォークロアの保護のあり方、現状及び課題についてご説明いただきます。

○事務局
 資料5、資料6をごらんください。現在、WIPO(ウィポ)におきまして議論が行われております「フォークロアの保護のあり方」につきまして、問題の背景と課題を説明をさせていただきます。
 まず、フォークロアに関するこれまでの検討の経緯でございますが、資料6の1をごらんください。本問題につきましては、途上国を中心に民族文化財、いわゆるフォークロアの保護につきまして要望がなされております。かなり古くから議論がなされておりまして、まず1967年にベルヌの改訂作業において、フォークロアのほうの可能性について議論がなされております。
 この結果、現行のベルヌ条約第15条第4項の(a)においてフォークロアの保護に関する規定が設けられました。これは既存の著作権制度とは異なりまして、「著作者が明らかでないが、著作者がいずれかの同盟国の国民であると推定するに十分な理由がある場合には、各国の立法判断でもって保護ができる」というのがこの規定でございます。
 その後、フォークロアは文化財保護との関係もございますので、1982年にWIPO(ウィポ)とUNESCO(ユネスコ)で共同で作成されたモデル規定がございます。後ほど内容につきましては資料6に別添がございますので、内容について説明をいたします。
 その後、1985年にはフォークロア保護に関する国際条約ができないかどうかという議論が行われましたが、当時は時期尚早ということで見送られています。
 その後に1986年とありますが、これはすいません、1996年に修正をお願いいたします。WCT、WPPTなど、インターネット条約の策定におきまして、途上国からそのフォークロアの保護に関する検討の開始の要望がなされまして、ここに書いてある内容が合意されております。
 この合意を受けて、2000年のWIPO(ウィポ)の一般総会においてIGCの設置が合意されました。IGCの正式名称につきましては、資料5の1ページ目の1の(2)の最後のパラグラフにあるとおり、「遺伝資源、伝統的知識及びフォークロアを検討するための政府間委員会」というのが正式の名称です。したがいまして、フォークロアだけではなく、遺伝資源、伝統的知識も合わせて検討されています。
 また、資料6に戻りまして、2001年に第1回IGC会議が開かれた以降、年に2回ほど行われてきております。今年の6月に第8回目のIGCが予定されております。
 また、2003年の一般総会におきまして、IGCの進め方について議論がなされております。その際、途上国が法的な拘束力のある国際的な取り決めの検討を強く主張し、一般総会において議論がなされた結果、「将来の保護のあり方について今後検討していく」ことが合意され、今後のIGCの審議内容が決まったわけでございます。
 それを受けまして、事務局から検討ペーパーが提出されています。ペーパーには、具体的な保護の目的、基本的な考え方、保護の方策などがまとめられています。これに基づいて議論がなされており、次回(第8回目)においても具体的な議論がなされるかと考えております。
 それでは、資料5にまいりまして、具体的なフォークロアのイメージを持っていただくために、1の(1)をごらんください。フォークロアとは、「民間伝承や民俗文化財」と呼ばれ、「ある社会の伝統的な文化表現」を示します。なお、これは無形、有形、両方含みます。
 また、IGC会合においては、「フォークロア」とは特定の民族に関する保護を連想することから、「フォークロア」という言葉ではなく「伝統的文化表現」との用語を用いています。
 それでは、具体的な対象につきまして、モデルの規定の内容を見ていただきたいと思います。資料6の別添1をごらんください。(1)から(4)までございます。このうちの(1)から(3)までが無体物でございます。(4)が有体物による表現でございます。これが、現在検討を行っております「フォークロアの定義」の元となるものでございます。これに対してどういったものを加えたらいいのか、あるいはどういったものを除いたらいいのかについて、議論がなされております。
 次に、WIPO(ウィポ)、IGCにおける具体的な議論でございますが、資料5の1ページ目の(1)、(2)をごらんください。まず、事務局から提出されている資料がございまして、今後、国際的な保護のあり方について議論をするためのたたき台が提出されております。具体的な項目として、目的、基本原則、制度選択肢、法的メカニズムについて記述がされております。
 参考までに、どういったものが課題となっているのかについて説明いたしますと、1から7まで記述がございます。これは今後の保護のあり方について検討しなければならない主な課題となります。
 まず、1保護の対象でございますが、先ほど申し上げたモデルにおける対象の記述がございますが、その対象をどう拡大したらいいのか、あるいはどう縮めたらいいのか、今後そのIGCにおいて保護すべきフォークロアの対象をどのように定めるのかが本課題です。
 2は、「保護の手法」とも関わりますが、「どういったものを保護すべきか」という保護の要件です。課題としては、創造的な知的活動の産物である必要があるのかどうか。あるいは、絞り込みをするためにコミュニティーの文化的な特性を具現している必要はあるか。次に、そのオリジナリティーが必要かどうか。これは派生した二次的産物も保護する必要があるかどうかと関係します。
 次に、3受益者ですが、知的財産であれば、その創造的活動を行った人が受益者となりますが、フォークロアの保護であれば、その要件を緩和しまして、一定の地域でありますとか、先住民を受益者とする考え方が提案されております。
 では、具体的な保護の内容についてイメージを持っていただくために、幾つかのモデル規定について説明したいと思います。英文で恐縮でございますが、別添3をごらんください。表題がSui Generis(「特別な権利」)、すなわち著作権とは異なる権利により保護されているモデルを紹介します。これらは、従来の著作権制度とは違って、保護期間であるとか保護の対象、権利者であるとか、そういったものを変更して保護しておりますので、そのイメージを持ってもらうために添付しております。
 保護の権利者については、5ページを見ていただきますと、下の段が権利者となっています。それぞれのモデルごとに権利者というのが異なっておりますが、例えば、左側のモデルは、「資格ある者」、具体的には「発明者以外の地域住民や権利を管理している人」が保護の対象になります。その1つ右側には、「権利当局または発生したコミュニティー」とありまして、フォークロアを創った人ではなく、それを保持する「地域社会や権利管理団体など権利当局」が対象になっております。その1つ右が、「著者」、その1つ右が、「地域社会」、さらに一番右側が、「慣習法によって決められるオーナーグループの一員」と書かれています。
 それでは、資料5に戻っていただきまして、次に4でございますが、今の事務局のペーパーではさまざまな保護の手法が提案されております。知的財産権だけではなく、sui generisでありますとか、不正競争法、通商法、契約法、慣習法、文化保護法といったものが挙げられます。それぞれ法の趣旨に沿って保護が行われているのですが、知的財産法につきましては、著作権だけではなく商標であるとか意匠なども含まれます。sui generisにつきましては、ヨーロッパのデータベース保護などのように、特別な権利を付与すことが考えらます。また、具体的な取引関係がある場合には、不正競争法により「公正な競争条件を確保するための法的措置」が行われている場合もあります。また、国境をまたいだ場合には通商法が対象になりますし、当事者間の取引関係があれば契約法、また、文化財保護のアプローチであれば文化遺産保護法も提案されています。
 次に、5ですが、具体的に財産としての保護される場合には、金銭のやりとりがなされるわけですが、その財産の管理を行うための権利管理団体、権利管理組織が必要かについて検討されています。具体的にどういう運営方法が必要なのかが課題として挙げられます。
 次に、保護期間について説明します。資料6の16ページをごらんください。モデルによっては死後70年といった著作権制度と似たような保護期間を設けているものもありますが、中には期限を置かない、地域社会が存続する限り保護するなどもあります。
 次に、資料57の「エンフォースメント」の規定があります。具体的な紛争が起きた場合のメカニズム、具体的には、制裁措置や救済措置の制度を置くべきかどうかについて検討がなされています。
 参考として、1982年につくられましたモデルについて説明をしたいと思います。資料6の別添1をごらんください。1ページ目の一番上段の趣旨を見ますと、「文化遺産の重要な部分を表し、地域社会により、発展、整備する」とあります。どちらかというと文化財保護の色彩が強いのではないかと考えています。
 具体的な保護の内容としては、第3条にありますとおり、資格のある機関において許諾を受ける必要があると規定されています。次に、第6条では、許諾を受けずに利用した場合の不法行為の規定がありまして、民事救済措置、裁判管轄、知的財産条約との関連の規定があります。なお、このモデル規定は国際的には法的拘束力はありません。あくまで、各国で保護する場合に、モデルとして参考にするものです。
 次に、本日議論いただきます課題について説明します。資料の5の3.をごらんください。本日の議論課題として大きく3つございます。1つは保護の目的、今回の「フォークロアの保護」についてどういった目的を設定すべきか。次に「保護の方策のあり方」について。3つ目が「制度の効力」について、以上の3つでございます。
 まず、保護の目的ですが、これも現在IGCにおいて議論がなされていますが、この「保護の目的」を決めることによって、「保護の方策」も大きく変わってくるのではないかと考えております。事務局のペーパーや過去の各国の発言を見ますと、大きく3つに分かれるのではないかと考えております。
 1つは、途上国を中心に主張がなされております、フォークロアを何らかの財産的な価値のあるものととらえて、財産的な保護を行うというのが1つ目の考え方です。
 2つ目は、フォークロアを文化財としてとらえて、部外者の乱用から守ることが2つ目の考え方です。
 3つ目は、各国独自にフォークロアの保護を行っていますが、今後は国際的に文化継承の必要性を提唱するというのが3つ目でございます。
 具体的には、IGCにおける議論を紹介しますと、先進国対途上国の構造がよく言われますが、国によってスタンスはさまざまでございます。途上国のうちにも、ある国は、例えば自分の持っている民族文化財を人に無断で公表されないように、あるいはその内容を変更されずに利用されないように、著作権制度でいう「人格権的な保護」を求めている国もあります。
 また、ブラジルなど幾つかの強硬な国は、フォークロアを財産的に価値ある財ととらえまして、権利保護を求めています。その場合には、現行の知的財産の体系を一部変えて、フォークロアについても財産的な保護がなされるように、制度の変更を求めています。これに対して、先進国はフォークロアの重要性は合意しますが、既存の知的財産体系を変えてまで、フォークロアを保護することには抵抗しています。まさに、パブリックドメインのものを、制度を変えて財産的に保護をすることについては、反対しています。
 以上の背景をもとに、保護の目的として、3つ挙げています。1つ目はフォークロアを経済的な価値のある知的財産などの一つとしてとらえて、フォークロアを生み出した知的社会への財産的な利益を還元するメカニズムを構築すべきかどうか。2つ目は、文化財としての保護を政策としてとらえ、今のUNESCO(ユネスコ)にありますような保護の手法を導入すべきかどうか。3つ目は、現在も我が国が行っております、国際的な啓蒙活動でございます。
 次に、その保護の方策についてですが、まず現状について触れますと、条約でも、例えばWPPTにおいては、第2条の「実演家」の定義に「フォークロア」の記述があります。
 また、例えば、各国では、商標であるとか意匠を使って保護が行われております。3ページ目の下の段に幾つか例が載っておりますが、カナダだとかオーストラリアでは、伝承される民族の工芸品に関して広範に商標登録がなされています。あるいはアメリカにおいても、インディアンのシンボルについては、第三者が独占的な権利行使ができないように規制がなされております。また、ニュージーランドなどでは、商標法によって、マオリ族の不利益になるときは登録ができないといった商標の制度もございます。また、意匠制度では、中国の茶器だとかカザフスタンのカーペットなどが保護がなされております。
 ただ、御存知のとおり、商標については原則7年とし、その後更新が可能となっておりますし、意匠については原則10年、その後更新ができない制度となっています。このため、十分な保護がなされないと途上国が主張しています。
 以上の現状を踏まえまして、「将来の保護の方策」について議論が行われていますが、1から7まで事項が載っております。1知的財産権制度を活用した排他的許諾権の付与、2sui generisの付与、3報奨金を活用した制度、以上が財産的な保護の方策となります。4人格権的な保護、5通商法、不正競争制度による保護、6契約法、慣習法による保護、7文化遺産としての保護が考えられます。
 以上の制度ごとに特徴がありまして、これをどういうふうに組み合わせていったらいいのかが国際的に議論がなされています。事務局や日本が提案している内容としては、「フォークロアの保護」については、柔軟性と包括性を考えていく必要があるのではないかと考えています。
 具体的には、各国で多様なアプローチがとられて、現在フォークロアの保護がなされております。各国の状況、財の性質、価値によって、いろいろな方策が考えられるわけですが、今後保護の方策を一律に決めるのではなく、各国の状況に合わせていろいろな制度が選択できるような方策が望ましいのではないかと考えています。
 また、保護の対象として必要なものがカバーされるように、具体的な方策が包括的に用意されていることが望ましいと考えております。
 3点目が、制度の効力についてであります。本課題が第8回IGCでも大きな議論になるかと思いますが、国際的な制度を構築したときに、効力についてどうするのかというのが課題です。82年のモデルは法的な拘束力を持っていませんので、各国独自の判断で保護が行われてきたわけですが、今後、法的な拘束力を持たせた場合に、いろいろな弊害も考えられます。
 したがいまして、日本としては、上段で申し上げたとおり柔軟性と包括性をもって各国が対応できるように制度を構築すべきと考えておりますが、そうしますと、制度も法的な拘束力を持つものではなく、各国が目指す制度のガイドラインでありますとか、モデル的なものになるのではないかと考えております。ただ、82年のモデルと違って、例えば制度のフォローアップであるとか、各国の取り組み状況の把握をするメカニズムも必要ではないかと考えております。このため、どういったメカニズムを導入するかも課題となります。
 本日、この3つの課題について中心にご議論いただきたいと考えておりますが、先ほど説明しました「事務局ペーパー」の課題についてもご意見等ございましたらお願いいたします。

○道垣内主査
 どうもありがとうございました。
 それでは、論点の資料に従いまして、課題ごとにご検討いただきたいと思いますけれども、その前に全体的に何かご意見等ございますでしょうか。

○上原委員
 それでは1点質問ですけれども、最初にとりわけ途上国、特に、この資料6のほうにもありますようにSouth Pacific Area、これSouth Pacificと書いてありますけど、これは実際にはPacific Areaですが、Pacific Areaの地域の会合などでは、フォークロアの保護といったときには、traditional knowledge and traditional cultural expressions and folkloreという言い方をしておりまして、traditional knowledgeがついていることが多いんですが、WIPO(ウィポ)もIGCでも、もうtraditional knowledgeのほうは完全に一たん外して、traditional cultural expressionsということで、ここに焦点を絞っていくといふうに考えてよろしいんでしょうか。

○事務局
 本日の議論を明確にするために申し上げます。IGCの議論では、伝統的知識と遺伝資源とフォークロアを明確に分けております。したがいまして、フォークロアについては民族的な文化財、伝統的な文化表現に限定したいと思います。一方で遺伝資源、アイデアの保護については、伝統的知識により検討されていますので、本日は伝統的文化表現に限定して議論いただきたいと考えています。

○上原委員
 あえて混乱させるようなことを申し上げます。今のお話しはそれはそれで非常に言葉としてはわかりやすいんですが、先ほど岩松さんのご説明の中にもありましたように、フォークロアなりなんなりの種類なり、分け方が非常に難しいところがありまして、そういうところからいうと、例えばアイデアと遺伝資源の保護も必ずしもひとくくりにはならないでしょう。これは実は私自身の体験で困ってしまったことですけれども、traditional knowledgeと、それからtraditional expressionsと分けて、どちらかというと前者のほうは、traditional knowledgeのほうは工業所有権に近いようなニュアンスで、意匠なんかもありますんで。それから、それに対してtraditional expressionsのほうについては、やはりある程度著作権なりなんなりの、そういう話をしておりましたところ、「私はどうなのか」と言う発言が、ネイティブアメリカンのメディスンマンの方からありました。メディスンマンというのは踊りを踊ったりなんかして、病を治したりするんだと。それで、病を治したり、何なりするということについてはtraditional knowledgeであろうと。それじゃあそれを行う過程においてはダンスという表現様式を使うんですよ。それで、これをどういうふうに分けるのだろうというふうに言われて、私もぎゃふんとして何も言えなくなってしまったんですけれども、実際の場面になると結構そういう話というのは、恐らくいっぱい出てくるのではないかというふうに思っておりまして、そんなような話で、例えば今までの中で混乱したことがあるかをちょっとお教えいただければありがたいなと思うんですけれども。

○事務局
 私は、最近2回のIGCの会議に出させていただいておりますが、上原委員のおっしゃるように、伝統的知識とフォークロアというのは、確かに完全に分けて議論されておりません。IGCにおいてはセッションを分かれて議論をしておりまして、そのうちの一つが伝統的知識、それと区別してフォークロアがあり、さらに他に遺伝資源について議論を行うセッションがあります。ところが、事務局が議論のために用意しています作業文書を見ていますと、伝統的知識に関する文章と伝統的知識、フォークロアの議論に関する事務局作業文書は、その内容についてほとんど一緒です。今回の資料において検討すべき事項としてあげた項目も、WIPO(ウィポ)事務局の作成した作業文書をもとにしていますが、その検討事項は伝統的知識もフォークロアも、ほぼ同じです。だから、上原委員のおっしゃるように、議論の場所としては明確に区別して議論はしているもののその議論すべき検討事項としては、実は重なることがあると思われます。事務局も、こうした類似性を視野に入れて、作業文書を用意していると思われます。 以上です。

○道垣内主査
 この別添1のUNESCO(ユネスコ)とWIPO(ウィポ)のモデル規定の定義は、これはフォークロアの定義と一般に考えられているものであるということでよろしいでしょうか。

○事務局
 そうです。これはフォークロアの定義ですね。

○道垣内主査
 そうすると、この中に、儀式のような動作による表現なんていうのがあって、それはさっきの踊りで病を治すような場合には、その表現部分はこちらに入るということになるんですか。

○上原委員
 メディスンマン、彼自身が悩んでいらっしゃいましたんで。何か、メディスンマンの場合には、相手の症状に合わせて踊り方のパターンの変えるという技法が、一つの知識であるというようなという部分があるそうです。

○道垣内主査
 わかりました。
 そのほか、議論をしていくに当たってはっきりさせておいたほうがよいということがございますでしょうか。
 私、ちょっと最初に、途上国の関係ということで申しましたけれども、これは日本の伝統文化財のようなものも当然入るということでしょうから、必ずしも途上国の問題ではないんでしょうけれども、声高に保護を、WIPO(ウィポ)の中で叫んでいるのが途上国の人たちが多いと、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○事務局
 はい。

○菅原委員
 確認で、お伺いしたいのですが、文化財的な利用、乱用阻止という観点と、それから財産的保護価値というご説明をいただきましたが、財産的保護価値ということになりますと、例えば排他的な許諾権というようなことが出てくるんだと思います。どういう場面でそれを求めているのかということが、実態としてつかめないので、教えていただきたい。

○事務局
 これは表向きと裏の意向があると思うのですが、財産的な価値を見出して財産的な利益を得る意向があります。その場合には、フォークロアを理由に財産のやりとりをするメカニズムが考えられます。そうしますと、その権利を管理する機関が必要になりますので、集金や分配する組織が必要になります。
 一方、途上国は近年、キャパシティービルディングなど、南北問題を是正するために、様々な提案を行っています。これもその一つとも考えています。つまり、先進国が持っている知的財産に対して、途上国が持っているフォークロアが、富の平準化につながるように活用するとというのが、意向としてあるのではないかと思います。

○菅原委員
 いまひとつわからないのですが、その財産的な仕組みも含めて保護という、そのシステム、そちらはよくわかるんですけれども、それのもとの部分で、このモデルでいきますと3条の中に表現のコピーの出版、複製の話と、それから表現の伝達というところがあって、具体的に言いますと、このような範囲で自分たちの権利というものを主張できる許諾権を持つということが前提にあるんでしょうか。あるいはもう漠然と、単に、経済的に何か受けることができるようにしたい、ということでしょうか。

○事務局
 82年のモデルは、具体的な権利を想定して、利用に対する対価を想定しています。許諾なく利用された場合には、ペナルティーを課す規定もあります。

○前田委員
 今の点でもう一つ、具体的にちょっとお聞きしたいと思うんですが、例えばフラダンスが伝統的なフォークロアの対象であるとして、フラダンスを踊る人の出版物、DVDとかCDをつくるとすれば、今でも当然、実演家の許諾を得ることが必要であり、実演家の許諾を得ずにこれを複製したり放送したりすることは著作隣接権の侵害となり、できないと思うんですが、今のこのフォークロアの問題について議論をしているのは、例えば日本人がフラダンスを勉強し、公衆の前で踊るということをするには、ハワイのフラダンス協会の許諾を取らないといけない、それを勝手にショーとしてやってはいけない、そういった意味での排他的な許諾権をつくるべきだという主張が途上国からなされているという理解でよろしいんでしょうか。

○事務局
 先ほどの質問に対する答えも合わせまして、少し補足したいと思います。まず背景を少し説明させていただくと、このフォークロアの保護については、御存じのように67年からずっと議論していまして、40年ぐらい続いております。しかし、依然として結論が出ておりません。82年にUNESCO(ユネスコ)とWIPO(ウィポ)が協同でモデル規定というものをつくりまして、フォークロアを保護したいと思う国はが国内法制を構築する際に参考と出来るようなモデルをつくり、この問題に関して一応のおさまりを見せるかに見えました。
 ところが最近、やっぱりきちんとした拘束力のある枠組みをつくるべきではないかという話になってまいりました。なぜかと申しますと、WIPO(ウィポ)の中でインターネット対応だ、デジタル対応だと、途上国からみれば新しい技術に対応した形でどんどん著作権の権利を厚くしてきており、そうする動きへの不満があったからと言えると思われます。コンテンツ産業の競争力の比較優位からして、途上国はどちらかというと利用する側であるため、結局、現在WIPIで議論をすすめている著作権制度というものはコンテンツ産業優位な国、つまり主に先進国が利益を得るためのツールになっているという不満です。そこで、WCT、WPPT策定の議論の際に、先進的な技術に対応する著作権制度だけを追求するのではなく、より原作品であるかもしれないフォークロアを保護するような制度の構築についても、再度改めて議論すべきとの動きから、IGCがはじまりました。
 以上の経緯から、フォークロアの保護に現実的なニーズや具体的な問題点があって、保護を要求しているというよりは、知的財産を平準化していくというか、先進国が優位な制度を構築するのであれば、途上国でも彼らが優位となる制度を構築するぞといった、政治的な側面が強いと思われます。
 ただ、では本当に政治的なニーズだけかというとそうではないようです。排他的許諾権制度に関するニーズや、あるいは強制許諾による補償金制度のニーズに対し説得力有る具体的な事例は、私が会議において見聞きしている限りにおいては、存じ上げておりません。しかし、フォークロアにとってシビアな問題は人格権的保護の観点からであります。つまり、ある先住民族が精神的に大切にしている儀式などの文化表現が、彼ら民族に無断で商業的に使用され、精神的に傷つけられてしまったという例はいくつか紹介されている。
 例えば、前回の会議において紹介されていました事例は、ニュージーランドのマオリ族にとって大切な、精神的価値のある儀式を、あるゲームメーカーがゲームの中で使用にしてしまいました。彼らが主張したのは、こうして精神的に傷つけられたとしても、それを守るべき国際的な制度が現存しないため、きちんとWIPO(ウィポ)において議論をしてほしいというったものです。
 こうした、フォークロアの人格権的な保護に関しては、具体的な事例も幾つか挙がっており、より現実的な問題として、多く国々は、その解決に向けて何らかの措置についての検討を進めていくべきとの立場を示しております。  先ほどのご質問に戻れば、フォークロアの保護について排他的許諾権を求めるニーズ、あるいは補償金制度に対するニーズがあるかという観点からすると、私が会議に出席した感触としては、具体的な事例も紹介されておらず、現実問題と結びついたそれほどシビアな要求とは思えません。どちらかといえば、政治的なイシューになっているところも大きいのではないかなと思っております。
 前田委員のご質問についてお答えします。フラダンスは、委員のおっしゃるように、実演という観点であればWPPTにおいて守られるかもしれません。また、その他の観点から、例えば不正競争防止法で守られるかもしれません。主に先進国の意見というのは、こうした様々な観点から保護を検討し、そのどれにおいても保護が及ばない部分とは何かを検討し、その穴となった部分について保護する手法を議論するべきではないか、というものです。ところがフォークロア保護の国際的検討における極めて初期における、途上国の主な意見というのは、一つの大きな枠組みで、フォークロアの保護を達成するといったものでした。ところが最近の各国の意見を聞いていると、そこまで強力な枠組みを求める国は無いようです。現在の各国の意見を俯瞰すると、こうしたone size fits allという、一つの枠組みで全ての保護を達成しようという主張は実的ではない、との共通認識があるようです。つまり、フォークロアの保護については、いろいろな既存の制度や枠組みを組み合わせて達成していきましょうとの認識を共有しております。その枠組みの一つとして、sui generis制度とよばれる特別な権利、あるいは排他的許諾権が必要となるかどうかというのが、主な今の途上国の意見になっています。
 以上です。

○上原委員
 どこかでご紹介しようと思っていたのですが、皆さんイメージがわかないところが多いようですので、私、参考資料をお持ちしましたので、具体例をお見せしてちょっとご報告というか、特にフラの宗匠の話も聞いてまいりましたので、前田委員の話に直接お答えできるところであろうかと思いますので、手元に3部、封筒に入っていない資料があると思います。これは実は私、昨年7月にパラオ共和国で行われました、第9回Pacific Art Festivalで行われたシンポジウムのtraditional knowledge and traditional expression及びフォークロアの保護に関するパネリストとして参加してまいりましたときに、集めてまいりました資料でございまして、若干、きょうの会議の中で、まさに具体例ということで皆さんにもお感じいただけたらと思いまして、急遽、家にありましたものをコピーして持ってまいりましたので、きょうの資料ということで、私の持ち込み資料でお配りいたしました。
 まず、話をちょっと、先頭に絵のかいてある、これは実はMedia Accreditation Manualというのですが、これはたしかこの当時、この委員会のホームページに出ておりました。この資料をめくっていっていただきますと、一番終りのほうにapplicationformが出ておりまして、実はきょう委員の方にしか配っておりませんが、私、慌ててコピーしてきたものですから、自分の申込書を、住所から電話番号までみんな入っているので、ちょっと委員の方だけに配付をさせていただいております。自分のところで抜くの忘れまして、自分の記録用にPCに入れておいて、そのまま家で刷り出して配ったものですから私のすべての個人情報が入っておりますので、委員の皆様におかれましても、ひとつ個人情報の保護のほどにつきましてはご協力いただきたいところでございますので、よろしくお願いいたします。
 これを見ていただきますと、実際に9番のところで、「Role of Media」、「Print Journalist」、「Photographer」、「Radio Journalist」、「Television Producer」、「Camera Operator」、「Type of Media」、どういうメディアとかというようなことを全部印をつけるような形になっております。
 次のページを見ていただきますと、これ、当然この中にはフリーランスも入っているし、これは、私がバツをつけているところが大きくなっているのは、この印をつけるとちゃんと自動的にその括弧が大きくなるようにフォームができておりまして、そういうフォームのものでございます。このFeeの部分がございまして、commercial useの場合には250ドル払わないと、この取材証がもらえないと。取材証がもらえないということは、基本的にそこでビデオや写真が撮れないということで、観光客がそれをする分には問題ないんですが、かなりプロフェッショナルな形をして撮っておりますと警備員等が寄ってくるという現状がございました。Educational useは100ドル、それからofficial delegationmediaであったり、それからarchival purpose onlyの場合には、ただということになっております。それで、そのほか、13番のところには「I plan on filing my story via...」というようなことで、どういうふうに使うつもりかということから、売るつもりかとか、いろんなことまで全部入っておりまして、それで、あるいはあなたが持ってくる装備は幾らぐらいするものですかというところまで全部書いてあります。
 もう一つの紙がコピーライト・ライセンス・アグリーメントでございまして、これは付属しておりまして、こちらも一緒に出さないと記者証をくれません。こっちも私は提出しているのですが、フリーランスで申し込んでみたところ、やはり250ドルということで見ていただきますと、この2ページ目のところの4番のBのところで250ドルというふうに書いてありますけれども、そのBのところで「Licensee shall pay to licenser loyalty10パーセント」ということで、商売したら10パーセントのロイヤリティーを払いなさいよということが書いてございます。あと、いろいろ書いてあるんですけれども、ほかのところも見ていただければと思います。
 ちなみに、先ほど、山本委員のほうからもご指摘がありましたが、準拠法はパラオ共和国となっております。ということでございまして、一応この権利機関はこの本委員会になっておりまして、委員会にお金を、要するにロイヤリティーを払ってもらって、委員会からそれぞれの国、団体にこれをバックする。そこでまた処理という方法がとられているようでございます。
 これの一番のポイントは、やはり自分たちの文化を、先進国が来て、それを出版なり何なりに使って儲けても、自分のところに何も戻ってこないという歴史が何回も繰り返されていたということについての思いです。実際に本当に10パーセントでどれほどの額になるのかと思うんですね。それで、エンフォースメントを考えた場合に、各国に散って戻ってきた人たちがどの程度の使い方をして、幾らもうけたかをどの程度正確につかめるかという、そういうことは実際には非常にわかりにくいところでありますが、精神的にはやはり、いわゆるフォークロアと言われているものを勝手に出版したり、あるいはビデオにしたりして儲けてきたことについて、自分たちの権利は何も及ばなかったということに対する、要は“けったくそ”といいますか、それに対してはきちんとしたいんだという思いが非常に強く出ているところかと思います。
 実はシンポジウムの議論の中でもございまして、例えば古いフォークロアから新たなものをつくるときに、現在の著作物を取り入れようとすると、それは現在の著作権で守られているものだから、それについては許諾を得てお金を払わないと使ってはいけないと言われるけれども、我々のフォークロアをそこの会議に出ていた人たちの表現でいうと、白人が使おうとするということに対して、我々の財産を勝手に使うなといってもこれはパブリックドメインだから使っても構わないんだということで、その席では著作権は我々のフォークロアの敵であるというのが合い言葉のようになっている部分がございました。
 したがって、実態としてはやはり、そういう実態に対する不本意、今までの積み重ねというものが、いわば精神的な権利と同時に、経済的な部分でも、自分たちが使うときには著作権でとめられ、自分たちが使われるときには著作権では守られないという状況に対する不満をいかに解消するかというところが、非常に根のところで強い。財産権の場面で言えば強い部分ではないかなというふうに、実際の状態があるというふうに思っております。
 また、もう一つの、いわゆるmoral rightに近いとお話しがあったところに関して言うと、やはり一部のものにつきましては極めて聖なるものでありまして、一切、その民族、あるいはそのclanの中でも秘儀として行われているようなものが、例えばこっそりとカメラが入って写されるということで、本来こういったspiritual rightというようなものが守られるべきだというところではないかと思います。
 これはTKを絡ませますともっとややこしい論議になるわけですが、フォークロアという部分で言いますと、この2つが非常に大きな、実体として要求されているところ、それではそれを政府としてどう整理して論議していくのかというのは別になりまして、実態として出ているところではないかなと思います。
 ちなみにそのシンポジウムでは、たしか私のつたない英語力でも、私はハワイのフラの中でも一番偉い宗匠という女性が出ておりまして、その方の話によれば、かなり自分のフラをきちんと伝えているのに、いいかげんな形で持っていかれるのはたまらんと。例えばちゃんと教えたものを弟子から弟子に、例えば日本舞踊が弟子から弟子に伝えられるように伝えられて演じられる分には、日本人がフラを踊るといって自分は許諾が一々必要だとは感じていないというところで、1つには、やはり伝統的なフラそのものに対する尊敬をまず第一に持った上で、次に使用ということを、いいかげんに、遊び半分にやるのではなくしていただきたいという気持ちが非常に強いということであったように思います。
 それも単に、これは特にフォークロアの問題を考えるときに非常に難しいのは、さらに2つの問題がございまして、途上国にというか、undeveloped countryの問題と、そうではなくて、いわゆるindigenousの人々の問題という、2つの問題が混在しているところで、これも制度上考えると非常に難しいところだと思っております。
 といいますのは、undeveloped country、つまり先ほどのパラオ共和国であったり、あるいはマーシャルであったり、あるいはインドネシア連邦の中の4つの州の中のヤップ島などというのは、物すごく伝統色の強いところでありますが、こういうところは自分たちの国と、政府と、それから自治州を形成している中に、憲法を持ち、自分たちの法律でもって現在律しておりますので、それに対してある程度の対応は国連加盟国としてできるというところがございます。それに対して、フラの宗匠であったり、あるいはメディスンマンであったりというような人たちにしてみると、自分たちの公権力がないという状態にあるわけで、要するに、もともと私どもは土地を奪われた上に文化まで奪われようとしているというのが、最終的な主張になると思います。ここの部分が入り交じっているところが、フォークロアを取り扱うときの制度を考えるときに、非常に難しい問題として立ちはだかっているというところ。というのが、現在の状況として具体的にみえているところではないかと思いますので、一応議論の前の報告を、余分な話をさせていただきました。
 もう1枚の紙は、パラオ共和国の法案でございます。まだ通っておりません。パラオでは著作権法は既に、一昨年の暮れだか昨年の頭に成立しております。アメリカ型でございますので、隣接権に対するきちんとした規定はございません。こちらのほうは、1行目にありますように、「protection and promotion of Traditional Knowledge and Expressions of Culture for the people of the Republic of Palau」ということで、こちらはまさにフォークロアの法案でございます。これは後ほど見比べていただきたいと思いますが、資料の6に出ております各国のモデルの中の、いわゆる南太平洋モデル、これと非常に似た構成になっておりまして、支分権等についてはかなりかぶった書き方をしております。これはまだ通ってませんで、この「Introduced by」、一番上に書いてあります名前ですけれども、「Dengokl」という上院議員は弁護士さんでございまして、弁護士資格はアメリカの弁護士資格を使っております。その下のWhippsさんというのは現地の実業家でございます。この中では、一度すべての権利は、法が発効したら国に属して、その後、各権利者と思われる、clanなり個人なりに手を挙げてもらって、それが証明が出てきたらそのclanなり団体に返しますということが書かれております。
 これは実は、この国であればある程度実現可能であろうと思われるのは、この国におきましては文化的首長、通常言われる酋長制度というのが残っておりまして、憲法の中でも、慣習法と成文法は同等の権限を持ち、それでコンフリクトがある場合には、原則として慣習法をすると。で、慣習法の解釈については、「Council of chiefs」というのが大統領の諮問機関としてありまして、ここが解釈を行うということになっておりますので、一度国のものにして手を挙げたときにも、それがだれに帰属するとかということにつきましては、非常に決めやすいシステムが国に残っているとことがあるので、この国においてはもしかしたら実現は可能であろうかとは思いますが、通常これが他の国で法律として成立していくとはなかなか思えないところですが、南太平洋モデルの具体案、まだ実現はしておりませんが、具体案として極めて興味深いところだと思いますので、ご紹介させていただきます。
 ちなみに、私のほうがちょっと日本語に翻訳しようかと思ってやりかかったので、途中、中に汚らしい書き込みがあったりして、支分権とか全部日本語で書き込んだりしておりますが、それはご愛敬ということで読み飛ばしていただきたいと思います。
 この中では、やはりright holder、あるいは期間については、authorを一切問題としない、
 authorright holderではないということ、期間についての定めがないということで、フォークロアを求めている人たちの一番根本になる、保護を求めている人の根本となるのはauthorではない、それを伝えている人たちの権利ということと、それから期間については、長いことやってきたからこそ価値があるものなので、それは期間の定めのあるものではないというのが彼らの主張でありますが、ではどういう法制度がいいかということについては、まさにこのパラオの例は極めて珍しい例でございまして、実際にフォークロアを求める人々から整備された形での制度的な提案がされているということは、極めてまれな状況であるというのが、現在の状況だと思います。

○道垣内主査
 どうもありがとうございました。
 問題の状況を把握しないことにはなかなか論点について議論できないとは思いますけれども、時間の関係もございますので、資料5の2ページの7つの論点、これは個々にやっていくことができればそれでもいいんですけれども、相互に関係していることもあるでしょうから、どの点からでも結構ですので。
 それから多分、これは途上国がWIPO(ウィポ)で言っているということは、先進国でも立法せよと、あるいは先進国も条約に入って、パラオのものも日本で保護するようにということでしょうから、実現可能なところで、少なくともさっきもおっしゃったように、日本のものも外国で保護してもらうとすれば、どういうふうな法制がよいのかという観点からご議論いただければと思います。いかがでしょうか。

○山本委員
 フォークロアの保護の問題、これはかなり前から議論されていたのに対して水を差すような議論で大変申し訳ないのですけれども、フォークロアの保護というのは、私はこれ、適当ではないのではないかなと思っております。
 今、議論がありましたように、2つの観点、独占権を与える、経済的な利益を与えるという面と、人格者的な利益を与えるという2つの側面があるとは思います。まず経済的な独占権を認めるのが適当かどうか。そもそも著作権の枠組みで独占権を与えるというのは、市場に対する独占権を与えることによって、その予期される市場に対する独占権によって得られる利益を目的にして、創作活動に自分の労力や資本を投下していくという、そういう創作促進効果を狙って行う行為というか、制度なわけです。しかし、フォークロアの場合にはもう既にでき上がっているものであって、新たに権利を与えることによって、新たに創作されるという効果を狙っているものでは全くありません。そういう意味で、そもそも著作権の制度には乗らない、適当ではないものだと思います。
 この資料の5のほうで言われておりますフォークロア保護の目的、3点挙げられております。資料5の2ページの下ですが、ここからこの3つのことからついて検討しましても、経済的な独占権を与える根拠にはならないように思います。
 すなわち、1のところでは、フォークロアの保護を生み出した地域社会に利益を還元するというのが、フォークロア保護の目的になるかどうかです。地域社会というのは創作者自身ではありません。単にそのフォークロアを生み出した人から伝承したのがその地域なだけであって、その伝承されるについて対価を払っているわけでもないわけです。その伝承した地域社会が、今度は世界中に伝承されるという次の段階に至っているだけで、そこでその利益を還元しないといけないという問題ではないと思います。
 それから2のところで、部外者からの乱用から守ることとあるのですが、これはほとんど、その乱用という言葉が、意味がないと思います。改変して利用するとかということなだけで、乱用という概念がそもそも当てはまらないように思います。
 それから3のところで、フォークロアの保存を国際的に推進することということが挙げられています。しかし、著作権の制度というのは市場原理の中で需要のあるものに対してお金を払う、そういうマーケットメカニズムを使って文化財の保存というか保護を図るものです。その保存を目的にするのであれば、使われていることによって保存されているわけです。一般に文化財の保護とか保存とかという場合には、放っておいたら消滅してしまうもの、つまりマーケットメカニズムの中では保護されないもの、維持されないものを、お金を出して存続させるというのが目的なわけです。しかしここでの話では、使われているという実態があっての話なので、保存のために国際的に推進するのかというのは、ちょっと筋が違う話だと思います。
 そういう意味で、フォークロアの保護を使うのを、独占権を与えるという意味でのフォークロアの保護というのは、必要性はないと思います。
 さらに、人格的な保護を与えるべきかどうかというのについても一言言わせていただきますと、例えば、私は忠臣蔵が好きなんですが、例えばあれを白人の人たちがつくりかえて、ブロードウェイ版とかハリウッド版でやられたり、そこに山鹿流の陣太鼓の代わりに中国風のドラが鳴っているとかというのは、極めて腹立たしい限りという感情は持つんですが、それはそれとして、やはり我々は許容しないといけない問題ではないかなと思います。それは我々が、日本人がそれを人格的な利益の侵害だといって権利行使するにしても、だれがそれを行使するのか。日本政府がやるのか、日本政府がやるなんていうのはちょっと適当ではないように思います。では、だれがやるのかというと、やはり日本の社会の中で考えると、せいぜい国民世論ぐらいしかないものです。ということから考えると、法的な制度としてつくるというのは適当ではないように思います。
 以上です。

○道垣内主査
 どうもありがとうございました。
 1つの筋で一方の極にあるお立場で、そうすると、1から7までの論点は全く議論をするまでもないということだろうと思います。

○上原委員
 私自身もまだ結論を持っていないんですけれども、逆に言うと山本委員がおっしゃる、保護にするに当たらないんだということには、若干疑問を持っているというところであります。
 実際に、著作権の制度の中でどうしようということになると、確かにこれは違うのではないかなと。このことは山本委員のおっしゃられるとおりだと思います。私も先ほど申し上げましたように、求めていく側からも、あるいは横から見ている側からも、フォークロアの保護の基本的な特徴は著作者が特定できない、期間が特定できないということでございます。実はauthorに権利を与えて、そして文化的な継続性を考えて期間を定めて権利を与えるというのが著作権保護の基本的なベースになっているところでありますので、このベースとかみ合わないところがありますから、あくまでも考え方としては一種のsui generisとして保護することしかあり得ないのではないかと思います。というふうには思ってはおりますが、先ほどの山本委員のお話に対して申し上げますと、まず第1に、現在ではフォークロアを生み出している地域社会、いわゆるフォークロアの基本になっている、例えば先ほどご紹介申し上げた太平洋芸術祭に出品されているようなもの、そこでは伝統的な織物、それに染色の仕方などもご紹介されているわけですが、現実にやってきているわけですが、そういうようなものを成り立たせるためには、そういうようなものを実際に使い、あるいは継続ができるもとの社会が成り立たないといけない。これらの社会はほとんどsubsistenceな社会でございまして、現在の消費社会の中に入っていったと同時に、そういう文化を維持する装置としてのsubsistenceな社会自体が崩壊するという状況に、現実には至っております。
 そうすると、そういったsubsistence社会の崩壊という中で、フォークロアの維持があり得るかということになると、現実には、普通においてはあり得ないというのが、社会的に見た状況だと思います。そういう意味で言いますと、subsistenceな社会であれば、自分たちの生活様式の一端としていろいろな生活様式に組み込まれた繰り返しの文化として、そうしたものは伝承されているわけですが、拡大再生産の資本主義の消費社会に入っている中では、そうした文化の継承というのは通常では行われ得ないというところから、何らかの形でわずかながらでも利益を生み出して継承者にその手間、あるいは実費が戻るような形にしない限りは、それらの文化というのは、似たものはできても、オリジナル、あるいはそれに近い形のものを伝承するということはできない。
 このフォークロアにとって完全なオリジナルがずっと残っていくということはないと思います。ないという実例はいっぱいございます。しかしながら、ある程度の幅の中でつながっていくことが、20世紀後半以降の社会変化の中では、通常ではあり得ない状況になっているというところから、何らかの形での還元というものができることが、保護をするためには望ましいということが言えると思います。
 それからもう一つは、伝承していくことで伝承になっているという山本委員の意見も、ある意味ではもっともでございますが、フラのダンスの宗匠から言わせれば、例えばどこかの宴会でおじさんたちが余興でやっているフラダンスはフラダンスではないということになるわけでして、そうしたフラダンスの本筋をきちんと守るということに対しては、やはりもともとのフォークロアの伝承ということをきちんとした形でやっていくことが必要になるために、乱用されることによって、本来のフラの元が何であるかもわからなくなるということは、フォークロアの伝承なり保護なりにマイナスといった、極めて危険な因子であるということは、やはりあろうかと思いますので、何がフォークロアに適当かどうかはわかりませんが、フォークロアの保護という意味でも、国際的に考えるのであるならば、やはり伝承としても、使われていれば伝承ということにならないのがフォークロアの特徴というふうに考えざるを得ないのではないかと思っております。
 また、人格権の問題ということでお話しますと、忠臣蔵の例がございましたが、確かにそうした問題はあろうかと思いますが、一方では、先ほど申し上げましたように、フォークロアの一部については、極めて、そのclanの中でも、部外秘、一部の持ち主たちしか使えないないということもたくさんございます。酋長が酋長位を継ぐときの歌と踊りというのは、数人の幹部にしか伝えられていないという例はたくさん見られることでありますし、あるいは航海術における星の歌というものにつきましては、全部星の星座の位置なり、あるいは潮の流れなりを、歌、詩の形にして覚えやすくして、それを覚えることによって、それを航海術にも使っていくというようなものでございまして、これは秘伝です。いろいろなものございますが、そうすると、この辺のもので、やっぱり先ほどのマオリの聖なる踊りがゲームによって変えられて、自分たちの精神性が傷つくというようなことから守るためというようなことは、やはりフォークロアの保護の中でとりわけ重要な部分になってくるところで、権利行使は誰かということになると非常に難しい問題もあろうかと思いますけど、そこがいわゆる権利管理機関というようなものをどうとらえるかということになってくるんだろうというふうに思われますが、ここの部分をむしろ、ここの部分から考えていって、どういう形で保護の枠組みを世界的に考えられるのかというふうにとらえていくほうがいいのではないかというふうに考えております。
 そういう意味では、我が国が主張している柔軟性と包括性というのは、方向性としては極めて望ましい方向であるというふうに考えておりますが、どこかのところで、いわゆる拘束性のある条約とまでは言わないまでも、みんなが一定の方向をきちんと向く、宣言のような形でフォークロアを大事にしましょうということが出せることによって、その精神権みたいなことを世界的に守りつつ、要するに個別の財産権の保護に当たるようなやり方を柔軟性包括性という形で対応していくというような方向を目指さざるを得ないのではないかというふうに考えています。

○前田委員
 私は山本委員と同じ意見です。
 知的財産権、あるいはそれに類似する権利をフォークロアに付与することはすべきでないと思います。知的財産権、独占権を与えるということは、他面において第三者の自由、表現の自由や営業の自由を制限するということになると思うんですが、第三者の自由を制限するのを正当化するに足りる何らかの合理的な根拠がなければ、知的財産権類似の権利を認めることはできないと思うんです。山本委員からは、合理化の根拠は創作インセンティブの付与であってフォークロアにはそれが認められないというご紹介があったと思いますが、もう一つの合理化の根拠である自然権的な発想をしても、期間の定めなく保護を求めることはできない。限定的な期間とおっしゃるということなら理解できるのですけれども、そうではなく、期間の限定なく独占権を与えるという合理的な根拠は、私は見出せないと思います。
 それから、同一性保持権に関して、何が正当な文化の継承か、伝統芸能なのかということがわからなくなってしまうんではないかというご指摘がありますが、私はおじさんが宴会でフラダンスをやっても構わないだろう。おじさんが勝手に宴会でフラダンスをやっちゃいけないということのほうが、大きな問題ではないかと。ただ、もし、正当なフラダンスの継承が経済的に難しい状況にあるのだとすれば、それは文化財保護政策の一環として何らかの援助を与えることはあり得るかと思います。例えば、世界遺産というものがありますけれども、無形的な一種の世界遺産として、その継承に努力をしている方々に、何らかの奨励金のようなものが付与するということはあり得るだろうと思いますけれども、それも本来は基本的にはその国の文化政策だとは思いますけれども、1国では難しいということであれば、世界的に何か、その文化の正当なる継承に経済的な援助を与えることは考えられるかもしれませんが、しかしだからといって独占権を付与して、第三者の自由を、行動ないし表現の自由を制限するような制度は考えにくいと思います。

○道垣内主査
 ちょっとご質問ですが、宴会でやるのならいいのでしょうけれども、その踊りをコマーシャルベースに乗せるような形で改変して、オリジナルの人から見ると見苦しいことは見苦しいんだけれども、すごくそれが売れて莫大なお金が入ってきているということになると、改変による精神的な苦痛と経済的な面での配分の両方が問題になると多分途上国の方はおっしゃるんだろうと思うんですが、それでも自由ではないかということになるんでしょうか。

○前田委員
 はい。それは自由だと思います。基本的には、やっぱりどういうコマーシャルにするか、営業活動をするかというのは基本的には自由であって、それを制限するというのは、何らかの制限をすべき根拠、だれかにその制限をする権利を与える合理的な根拠がなければいけない。その合理的な根拠が、フォークロアの保護については見出すことが難しいんではないかと思います。

○大楽委員
 今、非常に興味深く伺ったんですけれども、保護ないしは権利制限のためには合理的な理由が必要だと。その「合理的理由」は多分、この著作権制度とか、従来のさまざまな法制度のいずれかひとつから得られるものでは、多分ないんだろうと思います。理由としたら、多分human rightsとかhuman dignityとか、そういうところに行ってしまうのではないかと思うんですね。そうだとすると、逆に否定するためには、それらを乗り超えるほどの理由が、こちら側で必要になってくるのではないか。。それは非常に、このフォークロアないしはtraditional cultural expressionsというのを、どういうふうに定義するかという、大変ぬかるみ的な問題とも絡んできて、先ほど上原さんがおっしゃったように、例えば伝統的知識と、それからフォークロアないしはTCEというものがすごく入り組み状態になっていると。そのわけのわからなさ自体が、恐らくフォークロアと仮に言うならば、それの一番大きな特徴だろうと思うんですね。それで、そのわけのわからないような状態の中で使われる、キーワードとしてはホリスティックな存在で、全体的な、何か一つ欠けてもだめなんだという文化の、ちょうど相互依存の関係の、混沌の中で伝えられてきた、複数の世代の中で伝承されてきた、そういうものについて、何とかならないかと言われていることだと思うんですね。
 最初に言われている、そういうものが、非常にわけのわからない、名づけがたい不定型なものであるところにもってきて、「文化財の保存、保護という、世界遺産の保護みたいなことでできないか」というお声もありましたけれども、それとちょっと違ってくるのは、フォークロアないしはTCEというものが、生きているということです。それはなるべく原型に近い形で保存しようという動きはあるにせよ、それは例えば聖なる山を守るとか、聖なる建物とか、そういうそこにあるものを保存すればいいというものではなくて、今まさにこの瞬間も生きて動いている、そして人々がそれを受け継いでいる、それが日常に生きていると。あるときには非常に精神的なものであり、あるときには非常に宗教的なものでもあるということ。そこに民族のアイデンティティーとか部族の誇りとか、そういう非常に精神的な深いところまで入っているものが、このフォークロアの中には紛れ込んでいると思うんですね。
 ですから、例えばそれは上原さんがさっきおっしゃったように、どこか宇宙には、どこかから降り注いでくる、祖先の霊が語りかけてくる治療方針にのっとって、この者には引きつけを起こしているからこういう踊りでいこうとか、そういうものが実際的にありながらも、非常に高い精神性を持っているというところから、一般の日常用品に至るまで、ずっと連綿としてつながっていて、どこで切っていいかわからないという、そういうものだと思うんですね、それがあると。そこのところで、ではそれをよその文化の中から入ってきた人が、おもしれえということで一部切り取って、それをビデオにして売ると。「皆さん、こんな奇異な習慣の人たちがいるんですよ」といって。そうすると、その撮られた人たちの心の傷つき方というのは、やはり甚大なものだと。しかし、それをではどうやって救うかというと、ないんですね。それで、UNEPの話が出たときにも同じような議論があったと思うんですね。とんでもない、特許制度の中でそんなことができるかと。でもそれを乗り越えて、何らかの機構をつくったのは、やはりhuman dignityというところにつながる感情、人間の感情だったのではないかと思うんですね。
 すごく何か大きなことを言っているようですけれども、こういう根元的なもの、何もかも開発アジェンダや南北問題で切れると私も思ってはいませんけれども、やはりこの奥底にある、そういう言われなかった不満、言ってこられなかった怒りというのが、この底にあるということ。そしてそれが、もうちょっと厄介なのは、コマーシャルバリューが出てきているということですね。おじさんのフラダンスにもコマーシャルバリューがあるかもしれません。マツケンサンバみたいなことで、突然ブレイクするかもしれません。コピーライトセミナーというのを毎年2、3月に文化庁でやっておられますけれども、以前、その中でこの関係の話をちょっとさせていただいたときに、私の師匠、土井先生から、ご質問があって、盆踊りはどうだと。「パラパラ」というおどりが前にはやったことがありまして、あれは盆踊りから出たのだろうと思うけれども、あれはだれが権利持っているのって。それで私はぐっと詰まって、その後、師匠意地悪だな、つまっちゃったわけですけれども、コマーシャルバリューがあるかどうかということも一つあると思うんです。それは、例えばエキゾティシズムと、エキゾティックという価値かもしれない。単純に美しいということかもしれない。そういうふうなコマーシャルバリューをよその異文化から入ってきて安易に持っていくと、そういう行為に対して何かできないのかと。
 もう一つは、先ほど申し上げたように、宇宙間から日常生活に至るまで、その1つの文化、全体的な文化、それを貫いている精神性、それが傷つけられたときに、じゃあどうやって救ってあげたらいいのか、そうすると、やっぱり人格権的な対応というのが必要なのではないでしょうか。
 これが、既存の法制度では片づかないと。例えば著作権制度だって全然駄目です。Author概念なんて該当しません。right holderもなかなか見出しがたいです。それから「保護期間」なんて、これは永久に保護するというのはおかしいという声もありましたけれども、永続的にそれがある限り保護しなければなりません。それによって多様性を保護する。そして私たち地球に住んでいる者たちが、文化の豊かさを味わうために必要なものだという気がするんですね。
 ですから、そのために具体的な何かを、今探す必要に迫られているのではないかと思うんです。そうすると、例えば表現ということころに、最低限の共通性を見出して、表現物としてくくれるものに対して著作権制度類似の何かを対策として考えられないのかというのが中核にあるのではないかと。そうであるとすれば、国際的な文書としては、私は、個人的な意見ですけれども、ガイドラインのようなものでくくられたらいいのではないか。それこそ、地球上のみんなが、それぞれに対して、それぞれの存在に対して敬意をもって接するための何か、上原委員のおっしゃる同じような方向を向くためのガイドを探ったようなものでもいいのではないか。または、例えば緩やかな、幾つかの中から選べますよという形で、非常にモデル論に近いような形でも拘束力を持った条約というものを考えていいのではないかなと。
 今まで資本主義と市場原理と、それから各種の細分化された法制度の中で忘れられてきた価値というものに光を当ててください、という声なき声に、どうやって対応するかということを言われているのではないかと思います。長くなってすみません。

○道垣内主査
 どうもありがとうございました。

○松田委員
 フォークロアを要求する側の根拠というんですか、3つ理由があるように、私思います。
 1つは、伝承という文化をつくったり演じたりする側が、どうしてもコマーシャルベースの映像に置き換えられてしまって、そのときに正当な対価を得ていないという不満があるのだろうと私は思うんです。これが1つです。
 それから、自分たちが伝承すべき表現、ないしは作品というもの、伝承すべき伝統的文化であるのに、これに対する尊敬というのかな、そういうものがあらわれていないという不満があるんだとも思います。
 それからもっと重要なのは、一定のコミュニティーがアイデンティティーという言葉で高められた精神性のある文化表現、これについてはかなり人格権に近いような保護の要請をしているのではないかと、こういうふうに私は思います。
 一番さきのフォークロアは、コマーシャルベースで使われてしまうことについてです。これは、考えてみると大体は答え出ているのではないかと私は思うんです。著作権ないしは著作隣接権的な保護を、あえてその演じる人たち等が、何とか考え出せばできないことではない。先ほど上原委員のご紹介のように、契約で何とかしろっていう部分や、ただこれはできにくいのは、圧倒的にメディアを持っているのは日本とかアメリカであって、それを利用して放送番組をつくったり、ほかのメディアをつくったりすることができる技術や制度を既に持っちゃっている。それで片一方、フォークロアを提供する側はそれを利用されるという立場に置かれちゃっていて、そもそも公平ではないのではないかという、これは著作権に続く隣接権以外のところから来ている原因が、私あるんだろうと思います。
 したがいまして、この点についてはコマーシャルベースの共有化というのは、言ってみればそういう伝統的文化を表現する人たちに、法的なサポートをしてあげることによってかなり解決するはずだと。これをある程度の機関でやるべきだと私は思います。
 それから、伝承すべき伝統的文化財表現という問題ですが、これは伝承すべきというのは、実を言うとコマーシャルベースによらない部分だろうと私は思います。コマーシャルベースは確かに上原委員言われるように、どんどん広められれば伝承されているわけですから。しかしこれは、民族の伝統として、正当化されたものとして伝統が承継されている部分、これをどう維持するかということだろうと思いました。これは多分、著作権あるいは隣接権的な保護から見たらわかるだろうと思うんです。ましてやそれがコミュニティーのアイデンティティーまで高められていれば、これはもう全く著作権や著作隣接権の立場から見て、この2つの立場から見れば障害にこそなれ、これを法制を駆使して保護するということは不可能だろうと思います。
 結局、これは何を保護してくれと言っているのかというと、精神性みたいなものが1つのコミュニティーにアイデンティティーとして存在したときに、それ自体を保護してくれと、こういうふうに言っているのではないかなというふうに思うわけです。これは、いわゆる知的財産権の法制では絶対無理であって、言ってみますと法制では無理なのではないかなと。お互いに文化を尊重し合うという高い精神性をお互いに持たないとだめなのではないかなと、こういうふうに思います。私の感想であります。

○道垣内主査
 といいますと、結論としては、WIPO(ウィポ)の場では向かない議題であるということですか。

○松田委員
 コマーシャルベースのものについては、可能性が高いと思います。

○山地委員
 私も、これは創作に関するインセンティブではないという点では、山本委員と全く同感であります。したがって、経済的利益を得るために許諾権つきの権利を与えるということには反対であります。
 そもそもこの問題の根本は、やはり南北問題にあるんだと思いまして、そういう意味ではWIPO(ウィポ)にしろWTOにしろ、最近途上国が先進国にだまされたと怒っており、みんな行き詰まってきているわけで、何としてもそこで途上国をなだめてというか、少しは話に乗らなければというようなことで、先進国も何十年も長いことつき合ってきているのではないかと思うんです。そういう意味で議論ができるとすれば、文化の破壊の防止とか文化の保全、保護というところだけだろうと私は思います。sui generisのような権利は与えないというのが私の考えですので、結局ボランタリーな活動とか寄付とか基金をつくることによって何とかならないかと、そういうアプローチではないかと思うんです。
 私は専門でないのでよくわからないんですが、例えば動植物の種の保存のため、国際的にはいろいろ合意が得られて、ワシントン条約だとかラムサール条約でしたか、何かそういうのがあると思うんですが、ああいうのも、何か特定の権利を与えて云々というのではなくて、人類のために、取り返しのつかないことになる、つまり種が絶滅するようなことを何とかみんなで防ごうではないかという、善意の発想でということならば、可能性はあるのかなと思っています。
 いずれにせよ、そういう意味では日本のポジション、資料5の最後、(3)に書いてあるように、この骨子はいいと思います。各国が地域や民族の特性に応じて柔軟に対応すべきものであり、制度を法的拘束力のあるものにするのではなく、ガイドラインやモデル規定に位置づける、そういうような考え方で、しばらく途上国と議論をしてみるというのが精一杯のところではないかと思います。

○道垣内主査
 ありがとうございました。
 もう少し時間ありますので、ご発言のない方どうぞ。

○上野委員
 確かにこういった問題は、インセンティブ論的に説明することは難しいと思います。そうすると、「文化財の保全」ですとか「伝承」あるいは人間の尊厳といったものが出てくるのだと思いますけれども、仮に文化財を保護あるいは保全することが必要だとしても、そのことと先住民を保護するということは同じではないと思うんですね。つまり、先住民の保護をすること、あるいは先住民に権利ないし補償金を与えること、といったような手段が、文化財の保護という目的に本当につながるのか、そしてそうした手段でなければ、その目的を達成できないのか、という点は大いに検討の余地があろうかと思います。
 そうしますと、理由の3点目として挙げられておりますように、「途上国発展・支援」それ自体が目的だと割り切って理解する考え方もあろうかと思います。しかし、こうした政策は、本日の資料にも「国が行っている」と書かれておりますように、本来は国が主体となって行うべきものではないかと思います。もし、フォークロアの利用者が補償金等を先住民に支払うといったような状況になりますと、私人が国の政策を実現するという事態になりはしないか、それはいかがなものかと考えます。
 そうすると、結局は理由の1点目に挙げられておりますように、「利益の還元」ということに求められることになろうかと思います。それならそう決めてしまって、知的財産法の理念とはかかわりなく、著作権法の外に、補償金制度みたいなものをつくるということはあり得ようかと思います。けれども、そうすると、フォークロアの利用者だけが先住民に対して一方的に負担を強いられることになるということになりますから、利用者にはこういう制度がなかなか受け入れられないのではないかと思います。
 そうすると、こういう補償金制度等があったほうが利用者にとってもメリットであるというようなこと、すなわち、そういう制度があったほうが、フォークロアがもっと公になって、もっと利用しやすくなるというように、利用者にとっても先住民にとってもメリットであるということにもしなるのであれば、そういう制度を設けようという話もより現実的に進もうかと思います。ただ、それは理想論なのかもしれません。
 そしてまた、何らかの制度をつくるといたしましても、そこで対等かつ平等な原則を採用するといたしますと、途上国にとって本当にプラスになるのか必ずしも明らかではないように思います。すなわち、道垣内主査もご指摘になりましたように、途上国だけでなく先進国もフォークロアも有しているでしょうし、そうすると、途上国にとってそういう制度を設けることが本当に経済的なプラスになるのか、そのような点は認識されているのだろうかという気がいたしました。以上です。

○道垣内主査
 ありがとうございました。
 まだご発言ない方でありましたら。では、なければですが、ではどうぞ。

○山本委員
 では1点だけ。
 今、上野委員からも、ただ乗り理論についての受益の不均衡が発生しているのではないかというような問題についてご指摘がありました。しかし、著作権制度は何のためにあるのかと考えると、一定の期間、独占権を与えてその後は自由にする。つまりPD(Public domain公有物)にするということ自身が目的であって、もうPDになったものは自由に使えるということは、本来、著作権制度自身が目的としているところなわけです。したがって、PDを使ったから、それをうまく料理して映像化したから、利益を先進国の側が得ているんだと。だからそこに利益の不均衡が生じているんだというのは、そもそも著作権がPDを認めるという制度である以上、当然のことであって、ここに利益の不均衡は発生していないと思います。
 それと、今主査のほうからご指摘があったように、そういうPDの先進国から発展途上国へ、あるいは途上国から先進国への流れというので見てみますと、どちらが多いのかというのは、それはどちらとも言えない。どちらかというと先進国から発展途上国へのほうが多いような話ではないかというふうに思います。
 それともう一点、申し訳ないんですが、大楽委員のほうから、人間の尊厳を尊重する必要があるというところが根拠としてご指摘のありました。それはすごく気持ちとしてはよくわかるんですが、それはそういう著作権制度、今まで申し上げているような制度からいうと、ちょっと感傷的な問題であって、立法政策とは違うのではないかなというのが私の感触です。

○道垣内主査
 もうそろそろ終わりの時間ですが。

○松田委員
 今の点、大楽委員の、著作権制度の中で保護していくべきだと言っているわけでは決してないと私は思います。私も同旨のことを言ったつもりですけれども、世界的な文化の大きな流れからすると、市場経済によってすべてをルール化することに対する大きな何か流れ、考え方の変化みたいなものがあって、そうすると、民族のアイデンティティーとか精神性とかという部分を再度検討しなければならないような大きな流れが、もしかしたらあるのかもしれないと私は思います。

○大楽委員
 確かに感傷的かもしれません。ただ、さっき「ガイドライン」と申し上げたのは、”single fits all”という方式のではいかない不十分だろうということに、IGCでも皆さん着目しておられる、それで私もそれに賛成だということを申し上げたかったんです。慣習法が全てというところもありますし、補助金や補償金制度など、いろいろな制度を考えることができますので、そういうものを組み合わせるということも、「緩やかなガイドライン」の中でなら実現できると思います。

○道垣内主査
 どうも、なかなか多様なご意見で、相当に柔軟性のある枠組みにしていただかない限りは、皆さんの重なり合いがないところで難しいと思いますが、ただ今のご意見を参考にしていただいて、8月にもう一回IGCがあるようですから、そちらへの対処をよろしくお願いいたします。
 今回で、一応予定としては、フォークロアは中心には取り上げませんけれども、再度取りまとめの段階でまたご意見を伺うということになると思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、これで第1回の国際小委員会を終わりにします。
 最後に、事務局から連絡事項等がございましたら。

○事務局
 次回の国際小委員会につきましては、5月の開催を予定しております。日程、場所につきましては近日中にご案内申し上げます。
 本日はどうもありがとうございました。

午後4時閉会


(文化庁長官官房国際課)

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