2.就学校の指定変更[部活動の有無による指定校変更]

(14)部活動を理由とする指定学校変更(高知県高知市)

1   指定校変更の許可理由等
 
(1)   従来の許可理由
   本市における通学区域の弾力的運用については、「指定学校の変更に関する事務取扱要領」の許可基準に従い行っており、次のいずれかの条件を満たす場合に就学する学校の変更を認めてきた。
 
 学年中途の転居で、当該学期末まで在学を希望する場合
 小学生の保護者がともに仕事に従事し、児童の下校後に保護者がいない事情にある者で、一定の条件による場合
 住宅の新築・改築等で、6か月以内に新住所又は元の住所への移転が確実であり、新住所又は元の住所による学校への就学を希望する場合
 児童生徒の心身の事情により、指定学校への就学が困難であり、その事情に相応した他の学校への就学を希望する場合
 地理的事情による場合
 兄弟姉妹関係による場合
 公共事業及び災害による場合
 住民票の異動届ができない場合
 教育的見地及び家庭の状況等からみて指定学校を変更することが妥当と認められる場合

(2)   許可理由の弾力化
   小学校まで続けてきたスポーツの部活動が校区の市立中学校にないため、私立中学校に進学する事例や、市立中学校に進学した生徒が練習を社会体育で行いながら、試合への参加は市立中学校から行う事例が見られるようになってきた。この背景には、生徒数や教職員数の減少が進むにつれて、競技人口の少ない種目では部員が減少するとともに、部活動の顧問が不足しており、全ての部活動を維持することが困難になる状況があった。そのため、通学区域外通学の許可基準を見直し、次の条件で指定学校の変更を許可することにした。
 
 小学校時代にしていたスポーツの部活動が校区の中学校にない場合
 該当の部活動がある近隣の中学校への入学(転校)を認めるものであり、部活動の成績等は判断基準にしない。
   また、入学(転校)先の部活動の顧問について、在学中に異動がないことを保障するものではないこととした。

2   事情等
   A中学校区に住む小学校6年生のT子は、小学校1年生から社会体育で空手を続けてきた。小学校6年生で既に初段を有し、四国大会で優勝した実績もあった。中学校進学後は、部活動として空手を継続することを希望していた。しかし、校区のA中学校には空手部がなかった。隣接のB中学校には空手部があったことから、B中学校への入学を希望していた。
 本市教育委員会では、T子とその保護者と面談を行った。その結果、T子自身が中学校の部活動で空手をしたいという強い希望を持っており、保護者も全面的に支援したいと考えていることが確認された。この結果、許可基準を満たしており、B中学校への進学を許可することが相当であると判断し、通学区域外通学を許可した。
 T子は、B中学校に入学後、空手部に所属し、意欲的に活動した。その結果、平成17年度全国中学生空手道選手権において、優秀な成績を収めるなど、活躍している。

3   手続の流れ
 
(1)  教育委員会が、保護者からの相談を受ける。
(2)  教育委員会が、児童生徒本人、保護者と面談する。
(3)  教育委員会が、校区の中学校長に次年度該当の部が設置されないことを確認する。
(4)  教育委員会が、許可基準をもとに検討する。
(5)  教育委員会が、検討結果を保護者に通知する。
(6)  教育委員会が指定学校の変更が妥当であると判断した場合は、保護者が教育委員会に通学区域外通学許可を申請する。
(7)  学校教育課が、通学区域外通学に関わる意見書を作成し、学事課に提出する。
(8)  教育委員会が、通学区域外通学を許可する。
(9)  教育委員会が、保護者に通学区域外通学許可を通知する。

4   実績と傾向
   平成13年4月の導入以来、本制度による指定学校変更の実績は33名であるが、種目別の内訳は次のようになっている。
   剣道(11名)
 バスケットボール(10名)
 バレーボール(4名)
 バドミントン(3名)
 柔道(2名)
 ソフトテニス(1名)
 ソフトボール(1名)
 空手(1名)

本事例の問い合わせ先
高知市教育委員会 学校教育課
電話 088-823-9479


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-- 登録:平成21年以前 --