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学校図書館

子どもの読書サポーターズ会議 第10回 概要

前へ 第10回会議(H20.10.22)  

日時

平成20年10月22日(水曜日)14時~16時

場所

東京都港区立青山中学校図書室

参加者

  きむらゆういち氏 (児童文学作家)
  庄司一幸氏 (福島県立あさか開成高等学校教諭、読書コミュニティネットワーク代表)
  小川三和子氏 (東京都新宿区立津久戸小学校司書教諭)
  齋藤明彦氏 (鳥取県自治研修所長、前鳥取県立図書館長)
  小峰紀雄氏 (小峰書店社長、読書推進運動協議会理事、日本書籍出版協会理事長)
  森田盛行氏 (社団法人全国学校図書館協議会理事長)
  木村滋洸氏 (前社団法人日本PTA全国協議会専務理事)
  秋田喜代美氏 (東京大学大学院教育学研究科教授)
  浜尾朱美氏 (キャスター、エッセイスト)
〈座長代理〉 織茂篤史氏 (神奈川県横浜市立青葉台中学校校長)
  田辺陽子氏 (日本大学准教授、アトランタ・バルセロナオリンピック柔道銀メダリスト)
  小林路子氏 (元市川市教育センター指導主事)

議題

  1. 学校図書館の人的体制の在り方について
  2. 青山中学校の取組について
  3. その他

配布資料

1.開会

《渡邉校長先生ご挨拶》

 私が、22年前、港区に着任した頃には、生活指導上どの学校も図書室はあまり活用されていない状態だった。その後も同じような状態が続いていたが、ここ5~6年の間に非常に活性化し、行政からの支援もいただいて、このような明るい図書室となった。

2.資料確認・説明

《事務局より資料2・3・8について説明》

 3回に渡りご審議いただいた審議経過報告については、その成果としてこの9月に審議経過報告として取りまとめをさせて頂いた。内容としては、前回会議等で出された意見等を盛り込む形で記述を充実・精査したというところが中心だが、特に条件整備面や人的体制の部分については、司書の役割の重要性というものが、これまでずっと議論されてきた中での非常に大きな柱だった。そういったご指摘もいただき、司書教諭、司書等の人的体制についての記述の充実が図られたところ。
 また、都道府県や市町村等に対しても、この審議経過報告について通知によって周知を図っている。その通知がこの資料3で、今回の審議経過報告が公表されたこと、それを踏まえ、これを参考としつつ、さらに諸点に留意して読書活動の充実及び学校図書館の活性化に向けた適切な措置を講じられるようにとの依頼を、この通知をもって行っている。
 もう1点、若干遅くなったが、文部科学省の平成21年度概算要求の中で、特に読書活動、学校図書館に関連するものについてご報告させていただく。資料8「文部科学省における子どもの読書活動の推進に関する主な施策」ということで、現在、財務省に対して要求をしている。大きな1本目の柱で、こちらは読書活動そのものを進めていくということを中心とした事業で、家庭教育関係の事業等と合わせて、草の根地域レベルの読書活動に対する助成を行っている「子どもゆめ基金」については、前年度同額の23億円の基金の要求をしている。2つ目の柱、どちらかというと条件整備面を中心とした施策で幾つか新規事業がある。まず、1ページ目の一番下は公共図書館の関係。「図書館機能を活用した『地域の知の拠点』づくり推進事業」で、図書館については、この6月に図書館法の一部改正等がなされ、運営に関する評価や情報提供、有資格者の活用方策等について新しく記述されたところであり、国に検討委員会を置いての実践研究を進めていくこととなっている。研究の内容としては、図書館の未設置市町村等で図書室などを中心として様々な図書サービスを行っていく方策等や、図書館の自己評価・外部評価に関する実践研究が進められる予定である。また、別途調査研究として、民間のシンクタンクに依頼し、図書館評価のガイドラインの策定、指定管理者制度を使った運営についての実態の分析、リスクマネジメントなどについての研究を行うとのこと。次に、「地域の知の拠点」づくり推進事業で、地域の司書有資格者を活用して図書館ボランティアとしての能力を発揮する機会をさらに充実させるといった活動の展開についての支援事業が全国都道府県・市町村の5カ所に対する事業として要求。また、研究協議会として「ディスカバー図書館」と題し、図書館機能と地域のネットワークの強化を図る研究協議を行うといった事業をメニューとした公共図書館関連の事業である。その他学校図書館関係の事業として、学校図書館の活性化推進総合事業、司書教諭の養成講習、さらに、平成19年度から始まった学校図書館図書整備5か年計画に基づいた単年度の地方財政措置等、これらの関連予算も要求しているところ。学校図書館の活性化推進総合事業については、「児童生徒の読書習慣の確立に向けた実践研究」、「子ども読書の街づくり」推進プロジェクトということで、平成19年度から始めている「子ども読書の街づくり」推進プロジェクトについて、引き続き3年目の展開を図っていくことと併せて、平成20年度までの学校図書館支援センター推進事業をさらに発展させる形で、学校図書館の活用高度化に向けた実践研究というものである。その具体なメニューとしては、1つは、学び方を学ぶ場としての学校図書館機能の活性化、もう1つは教員のサポート機能強化、さらには、地域に根差した学校図書館の放課後開放ということで、まさしく、審議経過報告等を通じ、このサポーターズ会議の中でお示しをいただいた方向性等を踏まえた要求とさせていただいている。
 なお、「このほか、これからの学校図書館のあり方について検討するための有識者会議を設置して検討をする」ということで、このサポーターズ会議については、子どもの読む・調べる習慣の確立に向けたプロジェクトの中の1つの柱として設置しているが、いわばその後継に当たる調査研究等を行っていけるようにという要求である。
 最後に、関係者と連携した取り組みや啓発を進めていくというコンセプトの事業で、スポーツ・青少年局参事官室が要求している「子ども読書応援プロジェクト」について、21年度は拡大して要求している。具体的な内容としては、ブックスタートアドバイザーの地域派遣や子ども読書応援団推進事業などと、「子ども読書地域スクラム事業」として、市町村レベルでは子ども読書推進計画の策定率がまだまだ十分ではないといった現状もあるなか、市全体としての取り組みを盛り上げていく上でも、関係機関の連携の枠組みをつくっていくことがスタートとして重要であるということで、そのための推進体制整備を支援するといったことを行う事業を全国47カ所で展開するという内容を盛り込んでいる。また、読書活動推進に関する評価・分析事業ということで、読書活動の効果などについての評価分析を行う。読書は非常にいいことだとみんな分かっているが、それをさらに実証的にデータで示していくことはできないかというように、さらに説得力を増していくための評価・分析を行うといった内容を盛り込んでいるのが「子ども読書応援プロジェクト」である。

〈意見交換〉

〔審議経過報告について〕

  •  物的体制のところで、「学校図書館図書標準の達成を目指した図書整備を進め、多様な図書資料を充実」とあるが、図書標準を達成したところはどうするのかという視点も必要。
  •  情報として、交付税がちゃんと使われているのか、図書標準の達成率はどうかということを示していただきたい。

〔平成21年度概算要求について〕

  •  今の「読書の街」は教育委員会が中心になっているものと、公共都市課といったものが中心になっているものの2パターンある。地域ぐるみといったところで「学校」というものを出すのなら、読み聞かせなどいくつかのパターンを確立し、そこを促進するような形にして欲しい。2年やって終わりでは施策が続かない。

《事務局より資料4・5・6について説明》

 ボランティアではできないこと、司書もしくは司書教諭でなければできないことは何かということをこれまで詰めてきたが、とりわけその中でも、司書教諭と司書との関係についてが焦点となってきた。ともすれば司書がいなくてもできるという罪つくりな図なのではないかというご指摘もある中で、司書の重要性については繰り返し議論されてきており、時期尚早ということで審議経過報告の中には含めずに整理した。学校全体の中での位置づけといったものも整理してということで、いくつかのパターンを示している。資料4「校内における学校図書館運営・活用体制(例)」で、管理職から分掌組織としての学校図書館担当の図書係や読書指導部といった組織があり、更にボランティアや図書委員の子どもがいるといったひとつのイメージを示した。その後ろには別紙として司書と司書教諭の業務分担をパターン的に類型化したものをつけている。

〈意見交換〉
  •  法律上の位置づけがないから「いわゆる『学校司書』」となる。制度上の設置根拠がないということが問題で、位置づけをしっかりとして欲しい。2010年の国民読書年に向けて、文字・活字文化推進機構では推進会議の準備を進めているが、2000年の子ども読書年の際に政治・行政・民間で作った実行委員会よりも一回り大きく、具体的な読書環境をつくるといったことを提案できないかと考えている。公共図書館はもちろんだが、学校図書館の充実をこれまでもずっと掲げてきており、その中でも学校司書は要のひとつ。
  •  現在の実態を踏まえた上でどう変えていくのか。学校司書なら常勤で各学校に1人といったことをきちっと出すとか、スタッフの業務とはこういうものであるということは理解してもらう必要がある。分担表まで出す必要がないとしても、行政として何か考えを出して頂きたい。
  •  現場の声を反映させるのならば、表の縦軸と横軸を入れ替えるだけでもかなり違うのではないか。こういうものは見せるテクニックも大事。そうすれば必要性も見えてくる。
  •  図書館係というような小さなものではなく、図書館部のような大きな組織が多いのが現状。司書教諭が複数いる場合に、組織として動くことが学校図書館を運営する上で重要。
  •  「学校図書館担当事務職員」をつけてもいいが、学校司書の「いわゆる」は外して欲しい。学校司書は環境づくり、司書教諭は学校図書館経営に携わるもの。だから、司書がきちんと働かないと先生が使うことはできない。
  •  「学校司書(常勤)のみ」という事例はあり得ない。このような場合は「図書館担当教諭」といった者がいる。
  •  昭和58年に文部省から出ている「小学校中学校における学校図書館の利用と指導」の中にも、学校の中の体制については書いてあるので参考にして欲しい。施設整備の関係では、平成13年に文科省から出ているパンフレットのなかで、学校図書館は全教員によって関わっていくものであるということや、学校図書館運営委員会のことなども書かれている。
  •  学校図書館資料やメディアをどう考えるのかにもよるが、教材センターとして理科の実験用具や家庭科の備品などとともに、校内のメディアとして一括して管理するというやり方もあり、誰でもどこに何があるのかということがわかるという、そんなやり方もひとつある。
  •  学校図書館スタッフには、理想論から言えば司書教諭と学校司書に加えて係教諭が入ってくるのではないか。また、司書教諭には当然ながら専門性が求められるので、そこも必要。
  •  学校司書を法制化するにあたっては、司書教諭と学校司書の違いをきちんと整理して定義づけなければならない。学校図書館は司書教諭と学校司書の2人でやるのではなく、校務分掌のひとつの組織としてやることが必要。また、学校図書館を支える側と利用する側を分ける必要がある。学校図書館は全員で支えればいいでは曖昧模糊になってしまう。
  •  学校に2名以上司書教諭の有資格者がいても発令されているのは1人だけ。資格保有者が一緒になってサポートしていかなければならない。行政でそういった例を挙げたりサポートしたりしてくれれば、学校司書もやりやすい。
  •  資料4で、教員と教員以外の職員を分ける必要があるのか。学校司書は教員ではないと言うことを明示するだけなので意味がないのではないか。また、司書教諭が軽減されていて常勤の司書がいるというのが理想なので、このパターンを入れておいて欲しい。資料5については、このようなパターンを想定しているというやり方でひとつ出してはどうか、これが理想型というわけでもないはず。資料6については、「いわゆる」はいらない。学校司書を制度化するということから言えば、今、学校司書と言われているのは公共図書館の司書としての訓練を受けた人で学校図書館の司書として訓練を受けたわけではない。これをどう整理するのかが問題。それらの人を教育して学校司書を作り出していくのか、それとも学校司書というものを別途育てていくのか、その辺りの整理はしていかなければならないのではないか。教育委員会と公共図書館の両方にいた立場から言うと、どちらかにしかいられない人間というのは組織運営上よくない。お互いが自分のところしか知らないというのではなく、相互に交流できるような制度化ができればいいと思う。
  •  子ども時代に、いかにして本を読むようになるかということのためにこのような読書の推進運動をしているわけだが、上から目線になってはいないか。一人の子どもの視点から考えて、どうやったら本に興味を持ち、より見たくなるのかという話をしたい。子どもの視点に立ち返って具体的な活動に繋がるような議論になれば、もっとこの会議はよくなるのではないか。
  •  ボランティアについて、現場ではどのように関わっていくのかというところで苦労がある。以前ボランティアには責任が無くていいという話もあったが、これをして下さいというシステムがしっかりとしていれば、ボランティアをする人間も自分の位置づけをはっきりさせた上で入っていけるのではないか。

3.青山中学校からの発表

《梅田リーディングアドバイザリースタッフより資料7にもとづいて説明》

 私の立場は有償ボランティアでの図書館補助ということになるのだが、資料5で言えば、司書教諭とか学校司書に書かれているようなことをやらせていただいている。港区の取組で平成14年から各学校に一人ずつ配置されたが、当初この学校図書館はほとんど使われていないような状態だった。まずは資料を整理するところから始まり、図書室が綺麗になって開いた時点から生徒達が集まり始めた。図書館に人がいるということで、毎日様々な生徒達が来るようになったのだが、そのパワーに圧倒される一方、生徒達が何かを望んでいる、何かが変わるのではないかということを感じた。改装直後の時期がちょうどワールドカップの時期と重なっていたので、生徒達と一緒に各国のユニフォームを着せた人形を手作りし、サッカーと関連した資料などとともに展示したことで、男女ともに生徒が図書館に興味を持つきっかけとなった。
 色々な取り組みをしていく内に、生徒達の中での図書館のイメージが変わってきて、さらにそれが保護者に伝わるようになった。教職員の先生方にも少しずつご理解を頂いているうち、リクエストを受けるようにもなり、教科との連携も進むようになった。生徒達と話す中で気になったのは、マイナス思考の生徒達多いことだった。そんな生徒達でも十分なパワーは秘めているのを感じたので、お話会みたいなものをやろうと提案した所、「どうせ聞きに来てくれないよ。」などと言いながらも、なんとかお話会が始まっていった。お話会の準備には、時間的な制約もあり難しい面もあったが、なるべく多くの子どもが関われるような形で活動した。特に好評なのがクイズであり、お話会のテーマに合わせたクイズを使うことで更なる広がりを狙っている。子どもたちは非常に充実感を感じているようで、学校の中でのお話会から地域の人への読み聞かせ活動へと展開していった。けがの心配など様々な困難もあったが、教職員やPTAの方々のご協力を得てクリアになり、小学校の放課後事業に行くなどの取り組みが進んでいる。そのような中で教職員の学校図書館への理解も深まり、学校図書館がどんどん活性化していった。
 授業以外で、学校図書館に来る生徒達とは1対1で対応することが多いのだが、個性的な生徒が多く来る。そのような場合の対処法については、学習支援の先生からのアドバイスも頂いて連携を図っている。お話会に参加するメンバーは選抜メンバーではなく、意欲のある生徒が中心となって活動している。又、消極的な生徒も関わりを持つ中で成長していった。特別支援学級においても読書にかかる取り組みをしっかりとやっていて、お話会や朗読の発表等で通常学級と触れ合う機会も多い。朝読書については、なかなか定着が難しいが、通常学級においても特別支援学級を見習った取り組みが進んでいって欲しいと思っている。当初、勤務は週に2回で30週という区切りがあったのだが、生徒達の対応もあるので、そのような時間ではとても足りず、管理職の理解も得て、ボランティアとして毎日図書館を開けている。
 これまでいいところばかりをあげてきたが、まだまだ土台作りの段階である。土台がしったりとできた上で、専門の先生などが入るようになれば、本当に良くなっていくと思う。土台作りで一番難しいところは教職員の共通理解と連携。一人一人の先生との連携は上手くいくのだが、学校全体でやろうとするとなかなか難しくなる。今まで学校図書館に頼らずに指導してきた先生方にとっては、学校図書館を活用するには色々と難しいところがあるというのはよくわかるので、このような会議の場で理解を深めていただけるのは本当にありがたい。
 学年によって温度差があり、生徒間で、読書量、興味、関心に大きな格差がある。携帯小説やライトノベルズなどの流行ものには食いつきがいいが、そこから文学書や小説に広がる生徒は少数で読書傾向に偏りがみられる。また、裏方の仕事をやる子どもが減っているのも課題。様々な課題を改善する為に、教職員・保護者との連携を大切にし、皆で育てていく姿勢で臨みたい。
 現状では、先生方に通常業務に加えて図書館業務をやって頂くには、無理があるので、何らかの形で負担軽減もしていただき、共通理解が生まれればもっと活性化していくのではないか。

〈意見交換〉
  •  (PTAを代表して)学校選択制の中でこの学校図書館の暖かさに引かれてここを選んだ。一口に資格とかということではなく、子どもの心を支えてくれる先生や保護者が必要なのだと思うので、そのような方が増えるような活動をしていただきたいと思う。
  •  ここを会場に推薦したのは、設備が整っている図書館では問題点は浮き上がってこないと思ったから。学校司書がいないこの学校で、リーディングアドバイザリースタッフが来ることで学校図書館が変わったように、学校図書館には人が必要。出来ればきちんとした立場というものを作ってあげて常勤にしていただきたいのが本音で、週に3回では何も出来ない。結局はボランティアでということに頼っているのではいけない。この学校は資源がない中でも工夫してやっており、評価して余りある。
  •  学校司書のほか、11学級以下の学校への司書教諭の配置など、予算措置を含めて必要なことはやっていただきたい。東京では学校選択制をとっているから学校司書がいる学校に行こうということにもなるが、田舎ではそのようなことは考えられない。どこにいても同じような環境で学ばせることが出来るようにして欲しい。
  •  人が1人入ればいいというものではない。本当に学校教育の中で機能させていくためには、色々な人が必要になる。
  •  ボランティアをやって体を壊したことがある。情熱のある人間だけに支えられるものであってはならない。
  •  学校図書館の重要性を知っている人間以外の思いこみを変えていく必要がある、

3.閉会

お問合せ先

初等中等教育局

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