コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成19年度コミュニティ・スクール推進フォーラムにおける実践発表資料(東京都世田谷区立用賀中学校)

学校名 東京都世田谷区立用賀中学校
所在地 世田谷区上用賀5-15-1
電話番号 03-3700-5600

1.なぜ「学校運営協議会」制度を導入したのか(個別の事楕等)

平成19年度運動会風景

(社会的背景)

 昭和34年の開校当時は、日本の経済が上昇し始めた、いわゆる「岩戸景気」と呼ばれた時代である。
 このような状況の中で誕生した用賀中学校は、16,000平方メートルの敷地に100本余の桜の木を植樹し、自由と活気に満ち、保護者や地域の協力のもと、伸び伸びとした教育活動が展開され現在に引き継がれている。

(地域・保識者との連携)

 本校の歴代PTA会長(32名)のうち10名余は、現在「まち」の中核として、また関係小・中・高等学校の「学校協議会」・「学校外部評価委員会」・「三校連絡会」委員等に携わり大いに活躍している。そのような土壌の中で地域と学校が密接につながっている。
 「学校協議会」では、地域、警察、消防署と連携した防犯、防災、安全対策等の「危機管理」・「健全育成」・「学校支援」を目的として、学校単独の会と近隣中学校8校による会がもたれ、地域・保護者の教育力を教育活動に生かしている。
 「三校連絡会」では、毎学期1回、三校(京西小・用賀小・用賀中)持ち回りで開かれ、今年で第82回を数える。各年度の課題をテーマにして、地域及び小中学校の連携を図り、協働できる体制づくりと情報交換や意見交換を行っている。
 「ようがコミュニティクラブ」は、平成16年3月に地域住民の健康づくりと交流の場として「このまちに、地域総合型スポーツ・文化クラブをつくりたい」という熱い熱意のもと「子どもたちの健全育成」と「豊かな地域コミュニティの形成」を目的に誕生した。本校において、総会、フェスティバル、才能の芽を育てる体験学習、ようが地域防災ネットワーク事業等を開催して、今日に至っている。
 「おやじの会」は、平成10年4月にボランティア活動や地域行事に積極的に参加することを目的として発足した。毎週土曜日の夜には「防犯巡回パトロール」を実施している。
 本校を取り巻く上記のような活動に対して、世田谷区の学校でも、平成9年に「学校協議会」を設置するとともに、総合型地域.スポーツクラブの誕生を見た。また、平成17年3月には「世田谷区教育ビジョン」が掲げる第1の柱「地域とともに子どもを育てる教育」にかかわる5つの施策のすべてに基本となる「世田谷区地域教育基盤」構想が策定されたのである。
 そのような周囲の状況の中で、1.基盤となる地域が通学区域であること。2.中学校区が地域コミュニティの拠点となりうる地理的条件を保有していること。3.学校で行われる地域行事や総合型スポーツ・文化クラブが充実してきたこと。4.学校に対する保謹者・地域の関心が高く、協力や支援を惜しまないこと。5.小中一環・協働の教育を目指し、3校が「互いに責任をもち、自校に誇りをもって取り組む」体制ができつつあること。6.外部講師やボランティア活動等の人材バンクの構築及び職業体験等、学校支援に内部・外部の力を得やすくなること。7.教職員の協働体制が高まり.質の高い教育が期待できること等により、導入することとした。

ようが防災フェアー風景

2.自校のコミュニティ・スクールの特色(ここが他校とは違う点、ここは汎用性がある点等)

 本校の学校運営委員会では、学校経営方針及び学校予算の基本方針について協議と承認、学校教職員の人事に意見を述べることが主なる仕事であることは他校と違わない。
 現在校務分掌と連動して、研究企画部会、チーフ会議、授業交流部会、児童・生徒交流部会、キャリア教育部会を設置し、小中の共同性を高めつつある。また、各部会に学校運営委員が所属し、どのようにしたら活動しやすいか、組織づくりを立案中である。

3.過去の課題と克服方法

 中学校区の小学校は、京西小学校と用賀小学校であるが、用賀小学校はすでに2年前からコミュニティ・スクール指定校であり、一部ではあるが地域・保護者ともにコミュニティ・スクールのノウハウをもった方々が本校へ子どもや孫を入学させていた。また、本校のPTA会長は「外部評価委員」・「学校評議員」・「三校連絡会担当者」であり、町会や商店街あるいはコミュニティクラブの中核として活躍され、学校と強いかかわりをもっていた。そのため、各校の「コミュニティ・スクール委員」・「外部評価委員」・「学校評議員」の選任には、3校を兼務しないよう人材の確保に努めた。
 本校の学区域は、用賀、上用賀、玉川台及び大蔵の一部であるが.地元意識はどの街も非常に強い。コミュニティ・スクールである三校が「ようがの学び舎」として、小中一環・協働の教育を目指していくには、「まち」の意識改革が重要である。

4.コミュニティ・スクールによる成果と携わっているものとしての実感(手応え)

 本校は、平成19年4月に文部科学省コミュニティ・スクールの指定と世田谷区地域運営学校の指定、および、小中一貫教育研究校の委嘱を同時に受けた。このことにより、1.小中の連携が強まったこと。2.教職員の意識の変化が見られること。3.地域の意見が入りやすくなったこと。4.ゲストティーチャーとしての授業参加が期待できること。5.地域社会が、家庭、学校と協働して子どもの教育に参画し始めたこと等が読み取れることである。

5.今後に向けて(検討課題、取組予定等〉

 コミュニティ・スクール委員の活動と校内研究部会への所属について、さらなる検討が必要であること。また、3校の地域運営学校が、各校の独自性をもちながら「責任・誇り・信頼」をキーワードに「ようがの学び舎」として、「地域とともに歩む学校」の創造を英知を結集していくこと。さらに、委員自体が、学校支援委員会の活動に加わり活動の方向性について検討していくことが今後の課題である。

-- 登録:平成23年11月 --